標的58 覚悟の炎
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場所は日本に戻り、昼間野猿と太猿と戦った工場跡では……。
「ぐあっ!!」
地上だけでなく、工場の上にまでブラックスペルの人間がおり、中心にいる人物を、ぐるりと取り囲むように立っていた。
「……た…助けて…ください…」
彼らが取り囲んでいた人物は、その辺にいそうな、普通のサラリーマンの男だった。
今の悲鳴はこの男のもので、男は地面に伏し、両手を後ろ手にしばられており、鼻と口から血を流して、そこにいる人物を見上げた。
「山中武…?」
そこに立っている人物は、男から奪いとった、カードケースに入っている免許証を確認していた。
「ボンゴレの雨の守護者ってのは確か…」
免許証を確認すると、興味をなくしたように、地面に落とした。
「山本武だよ。こいつが間違えやがった」
「申し訳ありません!」
彼の周りに立ってる人間の中には野猿もおり、本当は山本を探していたのだが、一字違いで、おそらくは年齢も近いだろう男を、部下が間違えてつれてきたので、免許証で身分確認をしていた人物に、間違えた部下の胸倉をつかみながら、野猿は訂正するように話した。
「この、哀れな山中はどーする?」
「情をかけてやれ」
男…山中武の前には、野猿だけじゃなく、太猿もいて、武器を構えていた。
「情ってのは、愛情じゃねーよな」
「ああ……」
太猿が確認すると、その人物はうなずいた。
「非情の方な」
太猿が話しかけたのは、あのγだった。
γはタバコを吸いながら、表情を変えずに、残酷なことを言い放った。
「はっ」
そして、γが命令すると、太猿が持っているダークサイスがふりおろされ、その数秒後には、真っ赤な血しぶきが舞った。
標的58 覚悟の炎
同じ頃、ボンゴレアジトのトレーニングルームでは……。
「ハア ハア ハア」
ツナはあれから何度もやっているが、なかなか炎を出すことができなかった。
「なんで……!?なんで炎がでないの?」
「沢田……本当に、覚悟はあるのだろうな…」
「!!」
何度やってもできないツナに、ラルが再度問うと、ツナははっとなって、ラルに顔を向けた。
「あ……あります!!」
なかなか炎が出ないが、やる気はあるので、ツナはイエスと答える。
「(本当に思ってるよ!絶対に、みんなを過去に帰すって!そのためには、ミルフィオーレより強くなって…眼鏡の男を…!!だから、なんだってやる!!どんな修業だって耐えるんだ!!!絶対に!!)」
リングに炎を灯すため、もう一度、目をつむって覚悟をイメージした。
「……」
そして、そっと目をあけてみる。
「………!!」
だが、今までと同じで、リングに炎は灯っていなかった。
「………やっぱりダメだ………」
「ツナ…」
「10代目…」
「やっぱりオレ…口先だけのダメツナなんだ………。本当の覚悟なんてわかってないんだ」
「甘ったれたことを」
「ひいっ」
また弱音を吐いたので、ラルは修正するために拳をかまえた。
「言うな!!」
「ぎゃ!!」
だが、ラルよりもいち早く、リボーンがツナにとび蹴りをした。
「10代目!!」
今の蹴りで、ツナは後ろにふっとんでいき、仰向けに倒れた。
「オレの出番だ」
「……!」
「おまえはさがってろ」
ラルを止めると、リボーンはツナのもとへと歩いていく。
「リ…リボーン」
リボーンが目の前まで来ると、ツナは起き上がり、涙目になってリボーンに顔を向ける。
「カッコつけんな、ツナ。おまえは、ヒーローになんてなれねー男なんだぞ」
「え?」
「皆を過去に帰すとか、敵を倒すために修業に耐えるとか、そんなかっこつけた理屈は、お前らしくねーんだ。あの時の気持ちは、もっとシンプルだったはずだぞ」
「あの時…?」
「初めてリングに炎を灯した時、何をしたかったんだ?」
「え…それは…ただ…京子ちゃんを守りたかった」
「いい答えだぞ」
リボーンに促されると、顔を赤くしながら、素直に気持ちを答えた。
ツナの答えを聞くと、リボーンはうれしそうに笑う。
「今は、守りたいやついねーのか?」
「え……。そりゃあ決まってるよ。
みんなを…守りたいんだ」
更に促されて答えると、リングが光り、リングからオレンジ色の炎が出た。
「!!」
ツナが炎を灯すと、ラルは驚き、リボーン、山本、獄寺は、うれしそうな顔をした。
「でたよ!!リボーン」
「あたりめーだ」
「…………(これほどとはな…)」
炎を灯すことができて喜んでいるツナと、ツナが炎を灯したことを、喜んでいる山本と獄寺、ニッと笑っているリボーンを、ラルはジッと見た。
「(沢田の覚悟も、リボーンの沢田への理解もたいしたものだが…。驚くべきは、沢田が何の躊躇もなく、奥底の感情を素直に出せるだけの、二人の信頼関係)」
どんなにやっても無理だったのに、リボーンに促されただけで、あっさり炎を灯したツナと、炎を灯すためにツナの覚悟をひきださせたリボーンを見て、ラルは感心していた。
ラルの前では、ようやく炎を灯すことができたツナに、「世話やかすな」と言いながら、ツナの骨折していない方の腕を後ろにひねっているリボーンがおり、当然ツナは痛がっていた。
「(いくつもの試練を、2人で乗り越えてきたのだな……)」
今の出来事だけで、ツナとリボーンの関係を見抜いたラルは、まっすぐにツナとリボーンを見ていた。
「ん?」
その時、ラルはあることに気づく。
「真田っ!!お前の炎はどうした!?」
それは、まだ魅真だけが、炎を灯していないどころか、何も行動していないことだった。
リングに炎を灯そうと努力するどころか、自分が渡したリングをつけようともせず、まったくピクリとも動かずに、その場に立っていたからだ。
なのでラルは、今度は魅真に、怒鳴るように叫んだ。
「私は……いいです……」
けど、魅真はまったくあわてる素振りを見せずに、沈んだ顔で、静かに答えた。
「いいとはどういうことだ?」
「やりません、私……」
「やらないだと?過去に戻るために、修業をするんじゃなかったのか!?」
魅真の口から、修業をやらないという言葉が出たので、ラルだけでなく、ツナ達も反応し、魅真を見た。
「ツナ君達が、ラルさんに頼もうと言うので、一緒についてきてしまいました。でも本当は、修業をやる気なんて、これっぽっちもないんです」
「「「え?」」」
「なんだと…?」
ツナ達が驚き、ラルが怒ると、魅真はラルから借りたリングを床に置いた。
それは、直接渡そうとしても、ラルは受け取らなそうだからだった。
「ややこしいことしてしまってすみません。では、私は部屋に戻ります。ここにいても邪魔でしょうから……」
ラルに謝罪すると、このトレーニングルームから出るために、先程乗ってきたエレベーターまで歩いていこうと、ツナ達に背を向けた。
「待ってよ。魅真ちゃんも、雲の守護者じゃないか。守護者がそろわないとダメだし、みんな過去に戻れないよ」
部屋に戻ろうとする魅真を、ツナが必死になって呼び止めると、魅真は無言でふりむいた。
「だって、1時間以内に全員がリングに炎を灯して、匣を開匣できなかったら、修業は中止だって言ってたじゃないか。時間は、あとちょっとしかないんだよ。じゃないと、修業ができないし、そうなったらミルフィオーレだって倒せないし、過去に帰れないじゃないか」
「ごめんね、ツナ君。私、過去に戻る気はないの」
「え……」
意外な言葉にツナは一瞬固まり、間のぬけた声を出す。
「というよりも、過去に戻りたくない……」
「なんでだよ!?この時代は、ミルフィオーレファミリーが支配している、とてもおそろしいところなんだぞ!!」
けど、すぐに覚醒をして、再度魅真に問いつめた。
「全然いいの」
「いいって……。そんな、なんで……」
けど魅真は、あきらめてるわけでも恐怖してるわけでもなく、ただ現状を素直に受け入れようとしていた。
「私ね、10年バズーカにあたった時、死んだって思ったの。10年後に行く時の、あのふしぎな空間は、天国だと思った。でも、死んでもいいって思った。だけど、実は10年後にタイムトラベルしたって知って、とてもガッカリした。
みんなが殺されるのは嫌だけど、自分が生きているのも嫌なの…。だから、ツナ君と武君と隼人君だけで修業をして。私以外のみんなで帰って。私はここに残る」
「何…言って…」
あきらめてるわけでもないのに、死んでもいいとか、この時代に残るとか言ってきたので、ツナはわけがわからない状態だった。
「一体どうしたんだ?」
そこへ、今度は山本が魅真に問うが、魅真は何も答えなかった。
「だまってちゃわかんねーだろうが」
山本だけでなく、獄寺も魅真に答えるように促すが、それでも魅真は、まったく答えようとはしなかった。
「そういえば、昨日ここで会った時、元気なかったね。何かあったの?」
「なんでもないよ……」
ふいに、昨日この時代で会った時の魅真の様子を思い出して聞いてみるが、はぐらかされるだけだった。
「なんでもないって……。なんでもないのに、死んでもいいって思うわけないだろ!」
だけど、いつもの魅真と違う上に、命を粗末にする発言をしていたので、答えを明らかにしたいツナは、少し興奮気味にしゃべる。
「お前が死にたいのはよくわかった。だが、そんなことオレには関係ないな」
そこへ、ラルが口をはさみ、容赦のない言葉をあびせた。
ラルが口をはさんできたことで、魅真はツナに向けていた顔を、ラルの方に向けた。
「言ったはずだ。弱音を吐く奴は、容赦なく修正する…とな」
「修正する以前に、やる気はないと言ってるんです」
「おまえ……ふざけてるのか…?」
魅真にはそんなつもりはないが、ラルにとっては弱音を吐く奴なので、ラルは怒り、眉間にしわをよせた。
「ふざけてなんかいません。本当のことです。私は修業なんかしません。今すぐにおります」
「いい加減に…!!」
またしても弱音を吐いたので、ラルは魅真のもとに歩いていき、ツナや山本と同じように、修正しようとした。
だが、何故かそれを見たツナ達の方が焦り、殴られそうになってる魅真本人の方が、冷静に、微動だにせずにそこに立っていた。
「まあ待て、ラル・ミルチ」
「リボーン」
そこへ、ラルが魅真との距離をつめる前に、魅真とラルの間にリボーンが割って入った。
「魅真、何があったんだ?」
ラルを止めると、リボーンは魅真の方へ顔を向けて、ツナと同じことを問う。
「お前は今まで、弱音を吐くことはあったが、そんな風に悲観にくれて、何もかもどうでもいいと、投げやりにすることはしなかった。この前のリング争奪戦の時は、すごいやる気があって、強くなることに貪欲だったしな」
「……………」
「それなのに、リング争奪戦が終わってから、たったの数日で、こんなにも落差が出るのが、どうにも腑に落ちないんだ」
「魅真ちゃん」
「オレ達でよければ、力になるぜ」
「言ってみろ、魅真」
リボーンが質問したあとに、ツナも、山本も、獄寺も、再度声をかける。
「力になれることなんてないよ…。これは私の問題だし、問題が解決することはないの。一生ね。だから修業はやらない。やりたくないの」
三人が寄りそうが、魅真はそれを拒絶するように、無気力に言い放つ。
「問題が解決するとかしないとか、そんなことはどっちでもいいぞ」
「え?」
「話してみろ、魅真。オレ達は、問題が解決する・しない以前に、なんで魅真がそんな風になっちまったのか、理由が知りてーんだ」
リボーンに促されると、どう受け流そうか考えこむが、これ以上曖昧にして流そうとしても、できそうにないので、仕方なしに答えようとした。
「…………私………ここに来る直前に、雲雀さんと……ケンカしたの……」
「「「えっ…」」」
「うぅん。ケンカって言えるかどうかもわからない。でも、雲雀さんに嫌われてしまって…」
「どういうことだ?」
「昨日の午前中、ディーノさんがイタリアに帰るというから、お見送りに行ってきたの。本当は風紀委員の仕事があったけど、雲雀さんに、ディーノさんのお見送りに行かせてもらう代わりに、絶対に、お昼の2時までに応接室に行くから行かせてほしいって、無理言って、頼みこんで…。
でも、並盛に戻ってきたら、ちょうどツナ君に会って、リボーン君が行方不明になったって聞いたの。2時までに応接室に行くって約束していたけど、まだ時間があったし、私もリボーン君が心配だったから、リボーン君を探しにいったわ。でも、途中で時間を忘れてしまって……気づいたのは、夕方になって、道の途中で雲雀さんに会ってからだった。
もちろん、約束を破ったことについて、いろいろととがめられた。でも、約束を破ってしまったのは事実だから、それについては何も言えない。だから、必死に謝った。二度と約束を破らないって言った。
でも……謝ったけどダメだった。汚名返上しようとしたけど、これから約束は破らないと言ったけど、ダメだった。許してくれなかった。その後、私のことをいらないって言って……。それだけでなく、雲雀さんの家から出ていってもらうって言われて……風紀委員もやめてもらうって言われて……。それだけじゃない。並中からも、並盛町からも出ていってもらうって言われたの。
だから、過去に帰ったって、雲雀さんちにも、並盛町にもいられない。親ももうとっくにいないから、どこに行ったらいいかわからない。頼れる人も、場所もないもの」
魅真から、過去に戻りたくない理由を聞くと、ツナ達はなんとも言えなくなった。
「今回のことで私は、居場所をなくしてしまった…。雲雀さんに嫌われた上に、並盛からも出ていってもらうって言われたら、私にはもう居場所なんてないし、生きていてもしょうがないって思った。もう…何もかも、どうでもよくなったの…」
「だからお前、昼間交戦した時、野猿って奴が攻撃してきた時に、よけようとしなかったんだな?」
「うん……」
昼にミルフィオーレの隊員の野猿と戦い、野猿が攻撃してきた時、魅真が攻撃をよけないという奇妙な行動を思い出した獄寺は、今の魅真の話でようやく得心がいった。
「この時代は、ミルフィオーレファミリーが支配してる、生きるか死ぬかっていうおそろしい世界だけど、そんなことはどうでもいいの。だって私、生きるつもりなんてないもの」
「そんな……」
「それにどのみち、私にはボンゴレリングもないの。リングは雲雀さんが持ってるから…。覚悟だってない。だから、やってもムダなの。
ラルさんの言う通り、このアジトにいたら少しは長生きしてしまうけど、最終的に死が待ってるならそれでいい。だからもういいの。私の命がどうなったって。私のことは、もうほっといてよ!!」
今の言葉を聞くと、ツナは眉間にしわをよせ、顔をゆがめる。
「私はもう死にたいの!!!私なんて、雲雀さんに必要とされないんだったら、生きていたって意味ないの!!!ミルフィオーレファミリーに殺されたって、全然かまわないんだからっ!!!!」
それでも、ツナの表情に気づいてない魅真は、自暴自棄になったように、ヤケになったように叫ぶ。
「ふざけるなっ!!!!」
だが、突然ツナの口から怒声が出てきたので、魅真はビクッとなった。
まさか、普段おとなしいツナが、こんな風に声を荒げるとは思わず、驚いて目を丸くする。
「命がどうなってもいいとか、殺されてもいいとか、そんなこというなよ!!」
普段めったに怒らないツナが、声を大きくして怒鳴ったので、獄寺も山本も、特にラルはびっくりしていた。
「オレには魅真ちゃんが必要なんだ。友達が死んだら、嫌に決まってるだろ!!」
一番大切な雲雀に嫌われてしまったが、大事な友達に必要とされている。魅真の心は、内心複雑になっていた。
「だから、みんなで修業して、ミルフィオーレを倒して、みんなで過去に帰るんだ。魅真ちゃんがいなかったら、意味ないじゃないか!!」
ツナの言葉に、魅真は目から涙をこぼすと、力がぬけて、床にすわりこんだ。
「じゃあ……」
床にすわりこむと、泣いてるのと興奮してるのとで、震える体からしぼり出すように声を出した。
「じゃあっ…!!どうしろっていうのっ!?私に、10年前の世界を、あてもなくさまよえって言うの!?」
かなり興奮している魅真は、ツナにむかって、大きな声で今の感情をぶつける。
「私は、両親はとっくに亡くなってる。でも、雲雀さんちにもいられなくなった。それどころか、並盛町にだっていられない!!もう、雲雀さんの隣どころか、並盛町にもいられないなんて、どこに行ったらいいのかわからないじゃない。私に、生き地獄を味わえって言うの!?」
少々八つ当たりも入っているが、それでもツナは、怒ることなく優しく微笑むと、魅真にあわせてしゃがんだ。
「そうじゃないよ」
「え?」
「行くところがないなら、オレんちにくればいいよ」
「ダっ…ダメだよ!!そんな迷惑はかけられない」
意外な返答に、魅真は涙が止まり、焦ってツナの申し出を断った。
「迷惑なんて思ってないよ。大丈夫だよ。母さん、そういうこと気にしない性格だから」
「そういう問題じゃないよ。だって、雲雀さんは、並盛町から出ていってもらうって言ったんだよ。もしも私がツナ君ちにいることが知れたら、ツナ君、無事じゃすまないよ!!」
断ったのは、自分が沢田家に居候することになった場合、ツナに危害がおよぶことを恐れて…という理由からだった。
「じゃあ、魅真ちゃんは並盛町を出たいの?」
「………それは………嫌……だけど……」
「ほら、それならいいじゃないか」
「でも……それとこれとは別だよ。私がいることが原因で、ツナ君があぶない目にあったら、私は、そんなの耐えられない!!」
「そんなこと気にすんなよ」
魅真がツナと話していると、そこへ山本もやって来て、魅真にあわせてしゃがむと、人のいい笑顔で話しかけてきた。
「なんなら、オレんちに住んでもいいしさ。オレの親父も、そういうこと気にしない性格だからさ」
「でも……」
「魅真、オレ達は友達じゃねーか。友達が困ってんなら、助けてやんのが、本当の友達だろ」
「だけど……。そうなったら、武君がひどい目に!!」
「気にすんなって。それに、この前許してもらえなかったのは、謝りたりなかったからじゃねーのか?この時代には、何も解決していない時に来たみたいだからな。もしかしたら、もう一度話しあって、謝ったら、許してくれると思うぜ。なんなら、オレも一緒に謝ってやるよ。ごめんなーってさ」
「武君…」
ツナと山本の優しさに感激して、また涙を流しそうになってると、今度は獄寺がやって来て、ツナと山本と同じように、魅真にあわせてしゃがんだ。
「もし、10代目や野球バカんとこがダメなら、オレんちにこい。オレんちなら、オレ以外誰もいねえから、気兼ねしなくていいし、雲雀にひどいことをされそうになったら、オレが守ってやっからよ」
「隼人君…」
「オレだって、魅真がいなくなるのは嫌だかんな」
冷たく突き放す態度をとったのに、それでも気にせずに歩みよってくれる存在に、魅真はまた涙を流した。
「あり………ありがと……みんな…」
そして、泣きながらお礼を言った。
そんな魅真を、ラルはどこか呆れたように見ていたが、リボーンはうれしそうに笑いながら、魅真の前までやってきた。
「ほら、魅真」
魅真の前まで来ると、リボーンはどこからかハンカチを出して、魅真に渡す。
「ありがと……リボーン君…」
「気にすんな」
ハンカチを受け取ると、魅真はそのハンカチで涙をふいた。
魅真は少しの間涙を流していたが、数分経つと泣きやんで、ハンカチをリボーンに返し、ハンカチを返すと、先程床に置いたリングをとってその場を立ちあがり、リングを指にはめた。
「すみませんでした、ラルさん。私……やります!!」
「ああ」
ようやくやる気になった魅真に、ラルは短く返事をした。
「とは言っても…」
「ん?」
「私、自分の覚悟がなんなのか、よくわからないんですよね」
「おまえな……」
けど、やる気にはなったが、さっそくつまずいてしまい、ラルからしてみると弱音を吐いたので、ラルは今度こそ修正してやろうかと、拳をにぎる。
「まあ待て、ラル・ミルチ」
「またか」
またしても修正するのをリボーンに止められたので、ラルはかるくため息をついた。
そんなラルにおかまいなしに、リボーンは魅真の前まで歩いていく。
「魅真、おまえは自分の覚悟がなんなのかわからないと言ったが、オレはおまえの覚悟がなんなのか、もうとっくの昔に知ってるぞ」
「え…」
本人ですらわからないのに、リボーンが知っているというので、魅真は驚きの声を出す。
「おまえはもう、とっくに、覚悟があるはずだぞ。それこそ、オレと初めて特訓したあの日からな」
それは、まだ黒曜戦がある前、ツナ達のことを知る前なので、魅真は驚いて目を丸くする。
「以前オレが特訓をした時、なんで戦いたいのかと聞いた時、おまえはなんて答えた?」
「え…。それは、今大切に思ってる人達を、守りたいと思ったから…」
魅真の答えに、リボーンはニッと笑った。
「それにお前は、なんで雲の守護者になったんだ?わざわざ家光に頼みにいってまでして」
「そ、それは…」
質問の内容に、魅真はまだ答えてないのに、頬を赤くした。
「雲雀さんを……守りたいから…」
頬を赤くして答える魅真は、見るからに恋する乙女といった感じで、魅真の答えを聞くと、リボーンは満足そうな笑みを浮かべる。
すると、魅真の覚悟に応えるように、リングから紫色の炎が出た。
リングから炎が出たのを見て、全員驚いた。
「やったあ」
リボーンに促されてだが、リングに炎を灯すことができたので、魅真は喜んだ。
「やったね、魅真ちゃん。今度は紫色の炎だ」
「すげえじゃねーか」
「まーまーだな」
「うん、ありがとう」
ツナ達にほめられると、更に喜んだ魅真は、満面の笑顔でツナ達にお礼を言った。
「では、真田がリングに炎を灯したので、いよいよこの匣を開匣してもらう」
「まかせとけ。オレで終わらせてやるぜ」
獄寺は、またツナの前でいいカッコしようとしてるのか、名乗りをあげた。
「やってみろ」
獄寺が一番手を買って出ると、ラルは獄寺に、匣を投げて渡した。
「よーし、見てろよ」
匣を受け取ると、獄寺は自信満々な顔で、リングに炎を灯す。
「出て来い!!」
そして、炎を灯すと、匣の穴にリングを差し込んだ。
「ん…?こ…こいつは…!!」
「「「?」」」
しかし、匣は開かなかった。
「不良品だな。経験でわかる」
「「え!?」」
確かに、野猿との交戦で匣を開けたが、言うほど経験していないのに、負け惜しみなのか、獄寺はため息をついた。
「オレにもやらせてくれよ」
今度は山本が開匣することを申し出ると、獄寺は山本に匣を渡す。
「こうすんだな」
匣を受け取った山本は獄寺の見よう見まねで、リングに炎を灯すと、匣の穴にリングを差し込む。
「……何も起きねぇ…」
だが、またしても何も起きなかった。
「じゃあ、今度は私がやるよ」
「おう」
山本も開けられなかったので、次は魅真が申し出ると、山本は魅真に匣を渡した。
「えっと…炎を灯したリングを、穴に差し込むのよね」
魅真は山本と同じく、リングに炎を灯すと、見よう見まねで匣の穴にリングを差し込んだ。
「あれ…?」
けど、獄寺と山本と同じように、匣は開かなかった。
「おい!やっぱこれ、壊れてんじゃねーか?」
「壊れてなどいない。匣を開匣できない場合、考えられる要因は2つある。
炎が弱いか、属性が違うか」
「!!」
「属性?」
「リングが発する炎は7種類。ボンゴレリングと同じ、大空・嵐・晴・雲・霧・雷・雨に分類される。更に、匣も同じく7種類の属性に分類され、リングと匣の属性が合わなければ、開匣できない仕組みだ」
「なんか鍵みてーだな」
「おい、ちょっとまてよ。10年後の山本は、そんなこと言ってなかったぜ。奴は、波動がどうこうって…」
「人の体を流れる波動とは、リングが炎を出すために必要なエネルギーだ。波動も、リングや匣と同じように、7種類に分類され、人に流れる波動の大きさとバランスは、生まれながらに、潜在的に決まっている。大抵の人間には、複数の波動が流れているが、1つのリングが炎にできるのは、1種類だけだ」
ラルの説明に、頭のいい魅真と獄寺は平然として聞いているが、難しいのが苦手なツナと山本は、何がなんだかわからなくなっていた。
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