標的40 雲雀VS.ディーノ
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雲雀を並中から遠ざける作戦を決行してから、2日目。
雲雀とディーノは山で戦っていた。
そしてその様子を、近くで魅真とロマーリオが見ていた。
標的40 雲雀VS.ディーノ
その日の夜。
もう暗いので、ディーノは近くのホテルをとることにした。
全額ディーノが出すということなので、魅真は遠慮がちで、雲雀はまだ戦えると聞かなかったが、ディーノはなんとか説得した。
夕飯をとると、魅真は特訓のために外に出た。
本当は昼間もやりたいのだが、やっている最中に雲雀とディーノが移動してしまうかもしれないので、昨日今日と、雲雀とディーノが修業をしていない夜に、こうして一人で修業をしているのだった。
そしてその様子を、ディーノが木の影から見ていた。
「よっ、ボス」
「うわあっ」
魅真を見ていると、突然後ろから、ロマーリオが声をかけてきたので、ディーノは短い悲鳴をあげた。
「な、なんだ、ロマーリオか」
「なんだじゃねーよ。なんでこんなところで、嬢ちゃんのことジーッと見てんだよ?」
「は?」
「あの嬢ちゃんのこと、好きなんだろ?モノにしたいんだろ?それなら、こんなところで見てばかりいないで、さっさと嬢ちゃんに、告白なりアプローチなりしてこい!」
「うわっ!」
ロマーリオは、ディーノを魅真のところへ行かせようと、背中を押した。
ディーノは押された時によろけたが、ころばないように、なんとかふんばった。
「ロマーリオ…てめぇ…」
「初恋こじらせた乙女みたいに、好きな相手のことを見ているのもいいが、本当に好きなら、まずは行動しねぇとな。今なら恭弥がいねぇから、チャンスだぜ」
いきなり背中を押したロマーリオを、ディーノは軽く睨むが、ロマーリオはそんなことは気にもとめず、いい顔で笑っていた。
「わーったよ」
ディーノは魅真と話すために、魅真のもとへ歩いていった。
ロマーリオに背中を押されたから…というのもあるが、魅真が好きなのは事実だし、雲雀がいると、なかなか魅真と話ができないので、自分自身もチャンスだと思ったから…というのもあった。
「よ…よう、魅真」
「え?あ、ディーノさん」
ぎこちなく話しかけると、魅真は薙刀をふっていた手を止めて、ディーノがいる後ろの方へとふり返った。
「何か用事ですか?」
「あ、いや……修業がんばってんなって思ってさ」
「もちろんです!私、少しでも強くなりたいので!」
そう答えた魅真は、誰が見てもわかるくらいに気合いが入っていた。
「そ、そうか。何か困ったことがあったら言えよ」
「ありがとうございます、ディーノさん」
魅真が好きだという下心があるのだが、もちろん魅真は、そんなことは気づいていなかった。
「ディーノさんて、本当にいい人ですね」
そして、とどめをさすかのような一言を言われた。
聞いてみるとほめ言葉だが、それはつまりいい人どまりで、恋愛に発展することはないと、暗に言われているようなものだからだ。
魅真が雲雀のことが好きなのはわかっているのだが、それでもショックをうけていた。
「あ、ディーノさん。さっそくですけど、いいですか?」
「ん?ああ、なんだ?」
「実は、戦う時のコツとかあれば、教えていただきたいんですけど…」
「ああ、もちろんいいぜ」
それでも、やはり魅真のことが好きなので、うれしそうな顔で、魅真の質問に答えた。
魅真はディーノの話を、一字一句聞きもらさないように、とても真剣に聞いていた。
そんな魅真を、ディーノは少々複雑な気持ちで見ていた。
「なるほど…。そうだったんですね。ありがとうございます、ディーノさん」
けど、お礼を言われた時に向けられた笑顔に、ディーノはうれしくなり、顔を赤くした。
「あ、あのさ……魅真…」
「なんですか?」
「その………」
魅真の質問に答え終わったディーノは、魅真に告白をしようとした。
しかし、なかなか好きの言葉を言うことができなかった。
後ろの木の影では、ロマーリオをはじめとし、キャバッローネファミリーのディーノの数人の部下が、ディーノを応援していた。
魅真は、ディーノが何か言おうとしているのを待っていた。
その時、視界のはしを、何か動くものが見えたので、なんだろうと思いながら、そちらの方へ目を向けた。
「!!!!!!????」
その動くものを見た魅真は、顔が一瞬で青ざめた。
「実は…「きゃああああああああっっっ!!!!!!」
顔を赤くして、照れるあまり、顔を下の方に向けていたディーノだが、魅真の悲鳴を聞いて、顔をあげた。
「えっ!?」
ディーノが顔をあげると、目の前には、自分の方へ勢いよく向かってくる魅真がいた。
「ぐっ」
そして、ディーノに抱きついた。
抱きついたと言っても、勢いがあったので、突進したという感じで、そのまま後ろに倒れていった。
「いだっ」
いきなり魅真が抱きついてきたことで、ディーノは思考が停止してしまい、受け身をとることができず、体を地面にぶつけてしまった。
「いきなりどうしたんだよ?魅真」
「くっ……くくく、蜘蛛!!」
「蜘蛛?」
「蜘蛛が私の体についてて」
魅真がディーノに抱きついたのは、蜘蛛が自分の体についていたからだった。
「魅真、落ちつけよ。蜘蛛なんてどこにもいねーって」
ディーノは体を起こすと、魅真を落ちつかせようとするが、魅真は怖がるだけだった。
そこへ、ロマーリオ達は魅真には聞こえない声で、ディーノに声援を送った。
ディーノは、魅真の背中や頭をなでて、魅真を落ちつかせようとした。
そうやって、数分間そうしていると、魅真はだいぶ落ちつきを取り戻した。
「な、なあ……魅真……」
なので、今ならいけるかと思ったので、再び告白しようとする。
魅真は、ディーノに声をかけられたので、顔を上に向けた。
「オレは………」
ディーノは顔を真っ赤にしながら、一生懸命大事な言葉を伝えようとするが、うまく言葉が出てこなかった。
「オレは……!」
近くでは、ロマーリオ達も手に汗をにぎり、告白の行く末を見守っていた。
「オレは……魅真のことが…す「何をやってるの?」
だが、勇気を出して、いざ告白!という時に雲雀が現れ、ディーノの告白のジャマをした。
二度にわたって告白を遮られ、雲雀に至っては明らかにわざとなので、ディーノは肩を落とした。
「こんなところで、よりによって、成人している男が未成年の女に手を出すなんて……。風紀が乱れるからやめてくれる?」
そんなディーノの気持ちなど知ったことではない、今の魅真とディーノの状態に怒りを燃やした雲雀は、トンファーを構えた。
「やめてください!違います、雲雀さん。誤解なんです!これは、私の体に蜘蛛がついていたんです。それで怖くなって、恐怖のあまりディーノさんに突進してしまって、その勢いでディーノさんを押し倒してしまったんです!ディーノさんは、そんな私を落ちつかせようとしてくれただけで…」
何故雲雀が怒っているのかはわからないが、こうなった雲雀は、誰にも止められない。そのことだけは、魅真はわかった。
なので、今にもディーノに襲いかかりそうな雲雀に、魅真はこうなった経緯を、あわてて説明する。
けど、それがかえって、火に油をそそぐ形となり、雲雀はますます怒りに燃えた。
誤解だろうがなんだろうが、魅真とディーノが抱き合っているという事実が嫌な雲雀は、聞く耳をもたなかった。
「わーったよ。しかたねーから相手してやる」
何をどう言っても、矛をおさめる気がないとわかったディーノは、魅真から手を離すと、その場に立ち上がり、ムチを構えた。
どうしようもない状況なのがわかってるのと、自分も雲雀の気持ちがよくわかるからだった。
「魅真、先に部屋に戻ってな」
「え?でも…」
こんな状況だし、こんな風になってしまったのは、もしかしたら自分が原因かもしれないと思ったので、魅真は部屋に戻るのをためらった。
「いいから。大丈夫だから、部屋に戻ってろ」
魅真が今、心配と不安な気持ちになっているのがわかったディーノは、なだめるように、魅真に部屋に戻るように促し、安心させるように笑った。
「…わかりました」
渋々といった感じではあるが、魅真はディーノに言われると、部屋に戻っていった。
魅真が部屋に戻っていく姿を、ディーノだけでなく、雲雀も見守っていた。
「…で、あなたさっき、一体魅真に何をしてたわけ?」
魅真の姿が完全に見えなくなると、雲雀は殺気を放ちながら、ディーノに問う。
「何って……さっき、魅真が言っていたままのことだが」
雲雀の問いに、ディーノは少し挑戦的に言い放つ。
「まあ、つっても事故だがな。オレが魅真に告白しようとしたら、さっき魅真が言った通りのことになってな」
「告白?」
ディーノの返答に、雲雀は不機嫌そうに、眉をピクリと動かした。
そして、トンファーを強くにぎると、いきなりディーノに襲いかかっていき、トンファーを横にふった。
だが、そんなことでやられるようなディーノではなく、雲雀の攻撃を後ろに跳んでよけると同時に、ムチを雲雀に向けてふった。
しかし、雲雀もまた、ディーノの攻撃を、後ろに跳んで、あっさりとよけてしまう。
「いきなり何すんだよ、恭弥」
「うるさいよ」
ディーノは文句を言うが、雲雀は聞く耳もたずで、再び襲いかかっていく。
雲雀が向かってくると、ディーノはムチを構えて応戦した。
雲雀はトンファーで、ディーノはムチで、しばらくの間戦っていた。
「つーかさ」
何度目かわからない攻撃をしようとした時、突然ディーノが口を開いたので、雲雀は動きを止める。
「なんでそんなに怒ってんだよ?」
「…別に、何も怒ってないよ」
「ウソつけよ。明らかに怒ってんだろ」
怒ってないと言うが、雲雀はどこからどう見ても怒っているので、説得力がなかった。
「まあ、なんで恭弥がそんなに怒ってんのかはわかるがな」
「わかってるなら聞かないでくれる」
「そういう意味じゃねーよ。オレが言いたいのは、なんでオレが魅真に告白するのに、恭弥に怒られなきゃいけないのかって話だよ」
「…………」
ディーノに問われると、雲雀は黙りこんでしまい、そんな雲雀を見たディーノは、軽くため息をつく。
「お前ってさ、わかりやすいんだかわかりにくいんだか、よくわからねー奴だな」
「うるさいよ」
「まあ、お前の性格や年齢を考えると、うまく言えないのかもしれないけど、あんま怒ってばっかだと、大事なことは伝えられないし、いつか目の前にある大切なものを取り逃がしちまうぜ」
「余計なお世話だよ」
今のディーノの言葉に雲雀は怒って、トンファーを上から下にふりおろすが、ディーノはその攻撃もよける。
「お前は言わなくても、オレは近いうちに魅真に言うぜ。魅真が好きだってな」
ディーノは雲雀に宣戦布告をした。
それを聞くと、雲雀の眉間には、ますます深くしわがよっていく。
「許さないよ」
「お前の許可なんて必要ねーだろ。とにかく、オレは言うからな。恭弥には負けねーぜ」
そう言うと、ディーノは雲雀に背を向けて、ホテルへ戻っていった。
雲雀はディーノがホテルに戻る後ろ姿を、ディーノの後ろ姿が見えなくなるまで、強く睨みつけていた。
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