標的38 決意と覚悟
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次の日の朝の7時。
沢田家のチャイムが、家に鳴り響いた。
「はーい」
少しすると、奈々が家の中から出てきた。
「あら!久しぶりねぇ、魅真ちゃん」
訪ねてきたのは魅真だった。
「おはようございます、奈々さん」
奈々が姿を見せ、あいさつをすると、魅真も奈々にあいさつをする。
「おはよう。あ、ツナ?ちょっと待ってて、今呼んでくるから」
「あ!違うんです」
「え?」
この家には、家人である自分とツナ以外にも居候がいるが、魅真はツナの友達なので、てっきりツナに会いに来たと思っていたが、違ったので、奈々は頭に疑問符を浮かべた。
「あの……今日は、ツナ君じゃなくて、ツナ君のお父さんの、沢田家光さんに会いに来たんです」
「え……。主人に?」
魅真は、ツナの父親の家光とは面識がないはずなのに、何故訪ねてきたのか疑問に思ったが、それでもそれ以上は気にすることなく、魅真に言われた通りに、家光を呼びに、家の中に入っていった。
そして、少しすると、再び沢田家の家の扉が開いた。
「やあやあ、おはよう」
中からは、ツナと同じようなツンツンした髪型の、あご髭をたくわえている、ランニングシャツを着て、作業着のズボンをはいて、作業着の上着を腰に巻いた男性が、にこにこと笑いながら出てきた。
「あ、おはようございます」
初めて会うが、きっと彼がツナの父親なのだろうと思った魅真は、少しあわててあいさつをする。
「君が魅真ちゃんか。オレがツナの父親の、沢田家光だ。よろしくな」
「こんにちは。はじめまして。真田魅真といいます。こちらこそ、よろしくお願いします」
思った通り、彼がツナの父親だったので、魅真は更に緊張した。
「魅真ちゃんは、ツナの友達なんだってな」
「はい。ツナ君には、本当によくしてもらって…」
「そうかそうか。ありがとな。ツナと仲良くしてくれて」
「いえ……そんな……」
「いやいや、本当に感謝してるぜ。
ところで、オレに用ってのはなんだい?」
家光が核心にふれると、魅真は先程とは違う意味で緊張した。
「実は……」
けど、生つばを飲みこむと、真剣な顔になり、口を開いた。
「ボンゴレリングについて」
魅真の口から、ボンゴレリングという単語が出てくると、家光の顔もまた、先程ののんきな顔とは違い、真剣なものになった。
標的38 決意と覚悟
家光と話をした後、魅真は学校に行った。
学校に着いて少しすると、ディーノがやって来て、昨日と同じように屋上にいった。
「よう、恭弥。今日は戦う前に、指輪の話をしてえ。騙してるみてーで、スッキリしねぇからな」
「いいよ。興味ないから。あなたを、グチャグチャにすること以外」
特訓を始める前に、ディーノはボンゴレリングのことを話そうとしたが、雲雀はどうでもいい様子だった。
「ったく、困った奴だぜ」
「ねえ、真剣にやってくれないと、この指輪捨てるよ?」
指輪のくわしいことは知らなくても、何か重要で、何かあったら困る、大切なものだということは、ディーノを見ていてわかったので、雲雀は指輪を人質(物質?)にした。
「なっ、まて!のやろ~~っ。(気位が高いっつーか、戦闘マニアっつーか……)」
捨てられては困るので、ディーノはあわてた。
後ろのフェンスでは、魅真とロマーリオが、今のやりとりに、声を押し殺して笑っていた。
「わーったよ。じゃあ交換条件だ。真剣勝負でオレが勝ったら、おまえには、ツナのファミリーの一角を担ってもらうぜ」
それならそれでと、ディーノはムチを構え、特訓を始めようとした。
ディーノがムチを構えると、雲雀もまた自分の武器のトンファーを構え、ディーノに襲いかかっていった。
昨日のような激しい攻防をくり返しており、その様子を、魅真とロマーリオが見ていた。
「あの……ロマーリオさん…」
「ん?なんだ、嬢ちゃん」
「ロマーリオさんて、マフィアなんですよね?ディーノさんと同じで」
「ああ。ボスのことは、ボスがガキん頃から知ってるぜ」
「じゃあ、戦えるんですか?」
「まあな」
質問に答えるが、どうして魅真がこのような質問をするのか、その質問の意図がわからず、ロマーリオは疑問に思っていた。
「それなら、一つお願いしてもいいですか?」
「なんだ?」
「私に、戦いの特訓をしてほしいんです」
「へ?」
予想もしていなかった頼みごとに、ロマーリオは間のぬけた声を出した。
けど、特に断る理由もないし、夕方までひまといえばひまなので、魅真の頼みを引き受けることにした。
そして、特訓を始めてから二時間後…。
「お!なんだ、魅真も特訓してんのか」
雲雀との特訓を一旦やめて休憩をしたディーノが、魅真とロマーリオのもとへやって来た。
「あ、ディーノさん。雲雀さんは?」
「ちょっと休憩だ。戦ってばかりもよくないからな。こまめに休まねーと」
「そうですか」
ディーノの後ろを見てみると、絶対に納得していなさそうな雲雀が、地べたにすわっていた。
「それより、なんで魅真も特訓してんだ?」
「あ、いえ……。昨日も言った通り、強くなりたいので…」
「ふーん。そっか。それじゃあ、オレとも特訓すっか?」
「え?」
突然の申し出に、魅真は目を丸くする。
「本当に強くなりたいんなら、オレが指導してやるぜ」
「い、いえ……。そんなっ!ディーノさん、雲雀さんの特訓をしているのでしょう?それに、今は休憩中だって……。そんなことしたら、全然つかれがとれませんし、そんな…ご迷惑をおかけするわけには……」
人のいい笑みを向けられるが、ディーノのことを考えると、そんなムチャぶりはさせられないので、魅真はあわてて断った。
「いいっていいって」
「でも……」
「魅真の強くなりたいって言葉に、ウソ偽りはねぇみたいだしな。それにこれは、オレがそうしたいから言ってるんだぜ」
と言われても、魅真はやはり渋っていた。
「魅真の力になりてーんだ」
渋っていたが、ディーノの優しい微笑みを見ると、頬を赤くそめた。
「…はい……。じゃあ、お願いします」
そして、ディーノに特訓のお願いをした。
お願いをされると、ディーノはまた、人のいい笑みを浮かべた。
魅真とディーノは、さっそく戦いの特訓を始めた。
もちろんディーノは、魅真がどのくらいの強さかわからないので、まずは魅真の強さを見極めてから、今の魅真のレベルに合わせて、手加減をして特訓をした。
魅真はディーノに特訓をしてもらって、とてもいきいきとしており、うれしそうにしていた。
しかし、それを見ていた雲雀は、とても不機嫌な顔をしていた。
不機嫌そうにしていたが、しばらくは、魅真とディーノの特訓を見ていた。
「ねえ……」
だが、やはりあまり気が長くないので、5分ほどすると、雲雀は魅真とディーノに声をかけた。
「恭弥」
「雲雀さん」
二人は雲雀に声をかけられると、特訓を中断して、雲雀の方へ顔を向けた。そこには雲雀が、不機嫌そうな顔をして、こちらを睨んで立っていた。
「どうしたんですか?」
雲雀は見るからに不機嫌な顔をしていたので、二人は疑問に思った。
「何二人で、戦いの特訓をしているの?」
そして、いつもよりも低い声で、聞くからに不機嫌な声で問いかける。
「何って……。ディーノさんが、善意で特訓をしてくれてるんです。私は、休憩中だから、申し訳なくて断ったんですけど…。でも、ディーノさんが、私の力になりたいって言ってくれたので、ご好意に甘えることにしたんです」
どこか的外れ(雲雀的には)な答えを聞くと、ますます不機嫌になり、むすっという効果音がぴったりなくらいに、目を鋭くさせ、口をへの字にまげていた。
「もぉ~~~。いくら、特訓相手であるディーノさんをとってしまったからって、そこまで怒ることないじゃないですか」
と、これまた妙な解釈をして、的外れなことを言ってきた。
まったくの見当違いであるが、魅真はとても真剣だった。
その的外れな答えを聞いて、雲雀は更に輪をかけて不機嫌になり、ディーノはずっこけ、ロマーリオは声を押し殺して笑った。
「もう知らない」
そして、雲雀は不機嫌なまま、もといた場所へ戻っていき、二人に背中を向けて、再び地べたにすわった。
「なんなんですか?一体…。わけがわかりません」
何故雲雀が不機嫌なのか、魅真はその理由がわかっていなかった。
魅真はわかっていなかったが、ディーノは理解していた。
雲雀が不機嫌な理由は、魅真がディーノ(特訓相手)をとってしまったからではなく、ディーノが魅真をとってしまったから…。
もっといえば、魅真が、昨日出会ったばかり(本当は一昨日)のディーノと、仲良さそうにしていたからだった。
そのことを、ディーノもロマーリオも理解していたが、魅真だけが理解していなかった。
そんな雲雀に対し、ディーノは同情した。
そして、自分もいろいろと苦労しそうだと痛感していた。
それから、再び雲雀とディーノが特訓を始めてから、一時間ほど経った。
雲雀とディーノは、昼休憩をとることにした。
ディーノは、昼はその辺の飲食店に入ろうと思ったが、魅真が昼ご飯にと弁当を作ってきたので、一緒に食べることになった。
もちろん雲雀はむすっとしているが、そんなことを知る由もない魅真は、にこにこと笑いながら、重箱につめられた弁当をよそっていた。
「はい、雲雀さん」
「うん」
けど、おかずとおにぎりを渡されると、少し機嫌が直った。
雲雀に渡すと、魅真は今度は、ディーノの分をよそった。
「はい、ディーノさんの分です」
「おお、ありがとな」
けど、ディーノにおかずとおにぎりを渡すと、雲雀は再び不機嫌になった。
「お口にあうかわかりませんが…」
相手はイタリア人だが、弁当の中身は和食中心となっているし、そこまで料理に自信があるわけではないので、外国人のディーノの口にあうかどうか心配になっていた。
「あとこれ、フォークです。和食をフォークっていうのは変な感じもしますけど、ディーノさんはイタリアの人なので、ハシは使いづらいと思いまして……」
次に、子供が使うくらいの大きさのフォークを渡した。
「サンキュ。んじゃ、さっそく」
ディーノは渡された弁当を、口にはこんだ。
それを魅真は、ドキドキしながら見ていた。
「うめぇ!」
食べた後に出た言葉に、魅真は顔をほころばせた。
「本当ですか?ディーノさん」
「ああ。これ、魅真が作ったのか?」
「はい」
「そっか。魅真はいい嫁さんになれるな」
「へっ!?」
さらっとナチュラルにほめられたので、魅真は照れて顔を赤くする。
「そんな…ディーノさんも、きっといい旦那さんになれますよ。かっこいいし、優しいし、強いし」
「なんか、すっげぇベタぼめだな。でも、サンキュ」
魅真がほめちぎると、ディーノは顔を赤くしながら、笑って礼を言うが、雲雀はますます不機嫌になった。
「本当に本当ですよ。社交辞令とかじゃなくて…」
「わかってるって。でも、そんなに言うんならよ、将来オレと結婚すっか?」
「えっ!?」
「オレももういい年だし、フリーだしな。魅真ならかわいいし、いい子だから大歓迎だぜ。今が無理なら、大人になるまで待つしさ」
「え?あの……そ……そんな……」
今度は自分がベタぼめされた上、プロポーズまでされたので、魅真は先程とは違う意味で顔を真っ赤にした。
同時に、雲雀の怒りは頂点に達し、顔にいくつもの青筋が浮かんだ。
そして、食事をしていた手を止めると、ゆっくりとその場を立ち上がる。
「ちょっと……」
「なんだ?恭弥……ひっ」
雲雀の声に反応したディーノは、雲雀の方へふり向くが、ふり向いた先にいた雲雀が、あまりにも恐ろしい顔をしていたので、短い悲鳴をあげる。
「何?あなた、魅真を口説くなんて……。成人してる男が女子中学生を口説くなんて、ロリコンなの?」
雲雀は背後に、ゴゴゴゴゴという効果音でもついていそうなほどの迫力だった。
「何言ってるんですか?雲雀さん。ディーノさんの冗談に決まってるじゃないですか」
「そ、そうそう。魅真があまりにもかわいいからさ。ちょっとからかってみたんだぜ」
「…まあ、そういうことにしといてあげるよ」
ディーノがあわてて取り繕うと、雲雀は一応は納得して引き下がった。
だが、雲雀はわかっていた。
ディーノは冗談ではなく、本気だったのだということを…。
本気で魅真が好きで、あんなことを言ったのだと。
けど、それ以上何か言っても、また魅真が的外れなことを言うだけだというのはわかっていたので、大人しく引き下がったのだった。
一方でディーノは、魅真に冗談ととられて落ちこんでいた。
そして、すべてわかってるロマーリオは、少し離れたところで、ニヤニヤと笑っていた。
それから夕方となり、特訓が終わると、ディーノはホテルに帰ろうとした。
「ディーノさん!」
そこへ魅真がやって来て、ディーノを呼び止めた。
「なんだ?魅真」
ディーノは魅真の方へふり向くと、優しく微笑んだ。
側では、雲雀が気にいらなさそうに、鋭い目でディーノを見た。
「今日も、お話いいですか?どうしても、報告したいことがあるんです」
「ああ、いいぜ」
魅真に誘われたので、ディーノはうれしそうに笑った。
「そういうわけなので雲雀さん、私、今日も別々に帰るので」
そう言うと、魅真は雲雀に何か言われる前に、ディーノの背中を押して、屋上から去っていった。
そんな二人を見た雲雀は、ものすごく不機嫌そうな顔をしていた。
魅真がディーノとやって来たのは、昨日行ったホテルだった。
二人はホテルに着くと、昨日のカフェに入る。
「それで魅真、報告したいことってなんだ?」
「はい。実は……」
魅真は、はこばれてきた紅茶を一口飲んでひと息つくと、その報告したいことの内容を話し始めた。
話を聞くと、ディーノと、隣にいるロマーリオまでも驚き、大きく目を見開いた。
「本当かよ?」
魅真の口から出た言葉が信じられず、ディーノは魅真に聞き返した。
「本当ですよ」
「お前、わかってんのか?もう後戻りはできねぇんだぞ」
「わかってますよ」
「つーか、大丈夫かよ?」
「大丈夫ですよ。そのためにも、今特訓してるとこですし」
「そういう問題じゃねぇだろ。はっきり言っちまうと、魅真の力じゃ、奴らにゃ全然歯が立たないぞ」
「わかってます。でも、そんなことは覚悟の上です」
ディーノは魅真のことが心配なのだが、それでも魅真は、自分の意見をまげることはしなかった。
「だから、雲雀さんを守るために、がんばります」
そして、真剣でまっすぐな目で、自分の決意を話した。
そんな魅真を見て、ディーノは悲しそうな顔をした。
魅真が雲雀のことばかり気にかけてるからだ。
確かに、自分は魅真と知り合って、まだたったの三日しか経っていない。
けど、それでも魅真にほれてしまったディーノには、とても辛いものだった。
そして、それから30分ほど話すと、魅真はまたディーノに、家まで送ってもらった。
魅真は家の中に入ると、自分の部屋ではなく、隣の雲雀の部屋に行った。
帰ったことを知らせるためである。
「雲雀さん」
魅真は扉の外から雲雀の名前を呼ぶと、返事がなかったが、いつものことなので、気にすることなく雲雀の部屋の中に入っていった。
思った通り、そこには雲雀がいた。
「雲雀さん、ただいま帰りました」
あれから一時間以上は経っているというのに、まだ雲雀は、制服から着替えていなかった。
しかも、魅真に背を向けており、どこか不機嫌なオーラを放っていた。
「雲雀さん?」
いつもなら何かしら返事をするのに、無言なので、魅真はふしぎに思った。
「遅いよ」
「あ、すみません。次からは、もう少し早く帰ります」
見るからに不機嫌な雲雀に、魅真は思わず謝ってしまう。
「ちょっとそこにすわりなよ」
「え?は、はい」
雲雀に短く言われると、魅真は言われるがままに、雲雀が指をさしていた雲雀の前に正座をした。
「君、どういうつもり?」
「へ?どういう…とは?」
「あのイタリア人に、のこのこついていくなんて、どういうつもりなのかと聞いてるんだよ」
「のこのこって……あれは私から誘ったんですよ」
「君も、一応10代の若い女なんだから、大人の男にほいほいついていったら危ないだろ?」
「一応ってところがひっかかりますが……。もう一度言いますけど、ディーノさんは私が誘ったんですってば」
「なんで?」
「話したいことがあったからです…」
「そういえば、あとで必ず言うって言ってたよね。あれ、なんなの?」
説教されたと思ったら、今度は質問をしてきたので、魅真は言葉がつまった。
「それは……まだ…ちょっと…」
「フーーン…。あの人には言えて、僕には言えないんだ」
先程よりも冷たい声に、魅真はドキッとなって焦った。
「ち、違います!」
「何が違うって言うんだい?」
「い、今はただ……まだ…言えないだけで…」
「いつになったら言えるの?」
「…わかりません」
「何それ…?」
質問には答えてもらえず、煮えきらない曖昧な返事しか返ってこないので、雲雀のイライラは倍増した。
「一年以上前に会った僕よりも、あんな、昨日今日会ったような、得体の知れない男の方を信用するってわけ?」
「ディーノさんはそんな人じゃありません!」
雲雀にディーノのことを悪く言われたので、魅真はディーノをかばった。
だが、魅真がディーノをかばったことで、雲雀はますます不機嫌になる。
「…もういい」
「え?」
「もう出てって」
言いながら、雲雀は魅真に背を向ける。
「何故ですか!?私何も…」
まだこの話は終わっていないのに、そうでなくとも、ここまで冷たくされたことは今までなかったのに、なんでそんなことを言われなきゃならないのかわからない魅真は、雲雀に向かって叫んだ。
魅真が叫ぶと、雲雀は顔だけを魅真に向けた。
その目は、いつもよりも、冷たく…鋭いものだったので、魅真はまたドキッとした。
「今の君と話していると……虫酸が走る…」
そして、雲雀に拒絶されると、魅真はこの世の終わりがきたような、暗い顔になった。
魅真はそれ以上何も言う気力がなくなり、重い足どりで、隣の自分の部屋に戻っていった。
この時魅真は、雲雀はただ機嫌が悪いだけ。時間が立てば、きっといつもの雲雀に戻る。そう思っていた。
しかし……二人の間には確実に、少しずつ…少しずつ、ひびが入っていた。
だが…魅真も雲雀も、そのことにはまったく気づいていなかった。
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