標的52 ボンゴレ、真の後継者
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魅真と雲雀は少し休憩すると、その場を立ちあがり、ツナがいるところへ向かった。
疲れが完全にとれたわけではないが、これ以上悠長に休んでるわけにはいかないからだ。
けど、やはり深手を負っているので、魅真も雲雀もふらふらとしており、途中で雲雀の体が大きく傾いて倒れそうになった。
「雲雀さん!」
だが、そこを魅真が支えた。
「大丈夫ですか?雲雀さん」
魅真が心配そうに雲雀の顔をのぞきこむと、雲雀は軽く口角をあげて笑った。
標的52 ボンゴレ、真の後継者
魅真と雲雀は、リストバンドを見て、ツナがグラウンドにいることを把握し、そちらに向かっていた。
途中でXANXUSにリングが渡ってしまったが、リングに拒まれて血を吐いたことや、XANXUSの口から、9代目とは血の繋がりがないことを知った。
そのあとで、死んだはずのスクアーロの声が聞こえてきて、XANXUSの過去が語られた。
実は、XANXUSは下町で生まれた子供だが、生まれながらに死ぬ気の炎を宿しており、そのせいで、9代目との間に生まれた子供という妄想にとりつかれた母親に、何も知らないXANXUSは9代目と面会させられ、その炎を、ボンゴレの死ぬ気の炎だと認識した9代目に、自分の息子だと言われて、9代目の言葉を信じて疑わなかったこと。のちに9代目にひきとられたこと。9代目の息子として、ふてぶてしくでかくなり、威厳・実力ともに、9代目の息子として、後継者として、文句のない男に成長したが、ある時、自分の母親は9代目とはなんの繋がりもなく、9代目には養子としてひきとられたことや、ボンゴレとは何の血の繋がりもないこと。ブラッド・オブ・ボンゴレなくしては後継者として認められない掟を知ってしまったこと。カスだと見下していた分家のボス候補より劣ると知ったこと。9代目は自分を後継者にするともりがなく、裏切られた悔しさで怒りを燃やしたこと。その半年後に、9代目をひきずりおとしてボンゴレを手に入れるため、クーデターを起こしたことを話した。
《そして、揺りかごにつながるんだな》
《これが、オレの知ることのすべてだ。揺りかごの後に調べた》
「くだらねー………」
スクアーロの話を聞いたリボーンは腑に落ちた様子で、XANXUSは荒い息をくり返しながら、吐きすてるように言い放った。
「9代目が………裏切られても、おまえを殺さなかったのは…最後まで、おまえを受け入れようとしてたからじゃないのか………?9代目は、血も掟も関係なく、誰よりおまえを認めていたはずだよ」
ツナの言葉に、XANXUSは昔の…9代目に初めて会った時のことが一瞬頭をよぎるが、その光景を思い出すと、歯を強く噛みしめた。
「9代目は、おまえのことを、本当の子供のように……」
「っるせぇ!!気色の悪い無償の愛など!!クソの役にも立つか!!」
XANXUSは、ツナが言ったことを否定する。
自分は、その血や掟のせいで、ボンゴレの10代目にはなれないのだから……。
「オレが欲しいのは、ボスの座だけだ!!カスはオレを崇めてりゃいい!!オレを讃えてりゃいいんだ!!」
「な」
「なんて奴だ…」
「かっきーー」
XANXUSが自分の野望を口にすると、ツナ、山本、獄寺は顔を歪めるが、ベルだけは違った。
「ぐぁっ」
あらい息をくり返し、興奮しているせいか、それともまたリングが拒んだからか、XANXUSは再び血を吐いた。
「ぐお……!!ぐっ…」
そして、リングに拒まれた時に切れた指から流れた血でリングがぬけ、地面に落ちた。
「XANXUS様!あなたにリングが適正か、協議する必要があります」
「だ……だまれ!!」
「!」
チェルベッロが近づいてくるが、XANXUSは彼女達を拒むように怒鳴った。
「叶わねーなら道連れだ!!どいつもぶっ殺してやる!!」
「XANXUS様!!」
「大さんせーだ、ボス。やろーぜ」
「当初の予定通りだよ」
「どこまで腐ってやがる」
ベルとマーモンは暴れようとするが、そこに獄寺、山本、了平、クロームがやってきた。
「どいつも死に損ないじゃん。おっ、あっちにも…」
だが、ベルはまったく気にもとめてなかった。
ベルが、獄寺達からむかって右側を見ると、深手を負って、よろよろしながらこちらに歩いてくる、魅真と雲雀の姿があった。
「ししし。こりゃ、1000%間違いなし。お前ら死んだわ」
クローム以外全員が血を流し、しかも疲労しているので、ベルは余裕の表情だった。
「てめー、見えてねーのか?2対5だ!!分がわりーのはそっちだぜ?」
「2対5?何の事だい?君達の相手は、この何十倍もの戦力だ」
「「「!?」」」
「総勢50名の、生えぬきのヴァリアー隊が、まもなくここに到着するのさ」
「! 何を言っている!!」
「ボスは勝利後に、連中の関わりのある者全て片づける要員を向かわせておいたんだ。僕ら幹部クラスの次に、戦闘力の高い精鋭をね」
「お…お待ち下さい!対戦中の、外部からの干渉は、認めるわけには…」
「ん?」
それはルール違反なので、チェルベッロの一人が間に入ってきた。
「知らねーよ」
「かっ」
だが、ベルは持っているナイフで、注意をしたチェルベッロを切り裂いた。
そのチェルベッロは、血を流し、その場に倒れた。
ベルにやられたチェルベッロを見て、後ろにいるもう一人のチェルベッロはまったく動じてないが、ツナはショックで、顔を真っ青にしていた。
「とうとうやりやがった」
「そっちがそのつもりなら、オレ達がツナ側で応戦するぜ。ここから出せ、コラ!」
チェルベッロの一人がやられると、コロネロは他のチェルベッロに、画面を通して叫んだ。
「この場合、文句はないはずだ」
「拙者も戦います!!」
続いて、ディーノとバジルも武器を構え、シャマルも戦う気満々だった。
「……わかりました………」
やられたチェルベッロのそばにいた、もう一人のチェルベッロは、そこから跳躍して、やられたチェルベッロから距離をとると、コロネロ達の要望にうなずいた。
「それでは、ヴァリアー側を失格とし、観覧席の赤外線を解除します」
そして、そう言うと、持っていたリモコンのボタンを押した。
「いくぜ、コラ!!」
「まて」
チェルベッロが、リモコンのボタンを押したので、コロネロはそこから出ようとしたが、リボーンがコロネロを止め、頭にのっていたレオンを暗視ゴーグルに変化させた。
「………解除されてねーぞ」
ゴーグルを通して見てみると、まだ赤外線は解除されていなかった。
「甘いよ。細工しておいたのさ。あいつらは、まとめてオリの中で消す予定だからね」
解除されていなかったのは、知らないうちに、マーモンが細工をしていたからだった。
「!!」
「んだと!?」
「どけ!ぶち破る!」
まさかの事態にディーノとシャマルは驚愕し、それを知ったコロネロは、ライフルを構えて破壊しようとした。
「無駄です。内部からの攻撃で、爆発する仕組みなのです」
けど、その前にチェルベッロがコロネロを止める。
「なに!!」
外側からは解除できず、内側からは破壊することはできない。破壊したら、爆発してしまう。まさに八方塞がりな状態だった。
「くっそう!!こうなりゃ、オレ達だけでやるしかねえ!!」
「!」
頼みの綱であるリボーン達は、観覧席から出られず、もう自分達だけで戦うしかなくなったので、獄寺達は覚悟を決めて、構えをとった。
「…… (骸様……?)」
その時、クロームは骸の声を聞きとった。
「え……。誰か…来る…?」
クロームが一人つぶやいた時だった。
「おい!」
「あれは!」
獄寺と了平が後ろへふり向くと、そこにはヴァリアーの隊服を着た人間が、3名やって来た。
「ナイスタイミーング。待ってたぜ」
それは、先程マーモンが言っていた、生えぬきのヴァリアー隊だった。
「報告します。我々以外のヴァリアー隊、全滅!!!」
真ん中にいた男が報告すると、彼の両隣にいた二人の隊員は、地面に崩れ落ちた。
その報告に、今度は、ベルとマーモンが驚愕する。
「奴は、強すぎます!!鬼神のごとき男が、まもなく…
!!!」
「げげ!!」
報告をしていると、何かがこちらに向かってくる音がしたので、彼らは後ろにふり向くと、顔が青ざめた。
「暴蛇烈覇!!!」
向かってきた何かは、大きな鋼球で、その鋼球は、ヴァリアーの隊員達を一撃で倒してしまった。
「!!」
そして、その聞き覚えのある声と、聞いたことのある技に、ツナは目を見張った。
「「!!」」
目を見張ったのはツナだけでなく、ベルとマーモンもだった。
ヴァリアーの隊員達を倒した鋼球は、大きな音を立てて、地面に落ちた。
「あの人…。ずっと、骸様が話しかけてた…」
「や…奴は…」
見覚えがあるその人物に、獄寺も驚き、目を見張る。
「取り違えるなよ、ボンゴレ。オレは、おまえを助けにきたのではない。礼を言いにきた」
「ランチアさん!!」
それは、以前黒曜戦の時、建物の中に入る前にツナが戦った、骸の影武者のランチアだった。
先程クロームが言ってた、「誰か来る」の「誰か」とは、ヴァリアーの隊員ではなく、このランチアのことだったのだ。
「なんれあいつが?」
「……」
ツナだけではなく、観覧席にいた、もとは一緒に行動をしていた犬も、ランチアがここに来たことに驚いていた。
「ランチア…。あのランチアがなぜ…」
「あいつ、何者?」
ランチアの登場に、マーモンは驚いていたが、ベルは誰なのか知らなかった。
「北イタリア最強と恐れられた……ファミリー惨殺事件のランチア」
ベルの疑問に、ディーノがつれてきたスクアーロが答える。
「あいつ、あんなつえーんらっけ?」
「強いよ」
けど、何故か、長年行動をともにしてきたはずの犬は、ランチアの強さを知らなかった。
「他人に操られるのではなく、自分の意志で戦うあいつには、迷いがないからな」
以前、黒曜で戦った時のランチアは、骸にマインドコントロールをされており、自分のファミリーだけでなく、他のファミリーを惨殺してしまったという過去があり、そのせいで迷いがあったのだが、今は骸から解放されたので、迷いなどはなく、ツナと戦った時以上の強さをもっていた。
「ししし。そーきたか…。…そんじゃあ……」
ランチアが現れ、ここに来るはずの隊員はランチアに倒されて来ることができず、やっとの思いで来た3名の隊員もやられてしまったというのに、それでもベルは、余裕の笑みを浮かべていた。
「とっとと済まそっと♪」
「!!」
それなら、大将であるツナを片付けようと、ツナに向けてナイフを投げた。
「おっと、そーはいかねーぜ」
「ツナ君に、手出しはさせない」
「山本!!魅真ちゃん!!」
けど、そのナイフを、魅真と山本がはじいたので、ツナは無事だった。
「ムム…。こうなってくると…
?」
マーモンがこの先どうしようか考えていると、地面の一部が割れ、そこから泡立つ音が聞こえた。
「ムギャ」
そこからは炎の柱が何本か出現し、マーモンは攻撃をくらってしまい、そのうちの一本の火柱で焼かれてしまう。
「逃がさない」
もちろん、その攻撃をしたのは、クロームだった。
「ねえ」
「!」
「決着つけようよ」
山本のななめ後ろには、雲雀が、鎖を出したトンファーを構えて立っていた。
そして更に、ベルのそばに、違う人物がやって来た。
「いかせんぞ」
それは了平で、了平も拳を構えて立っていた。
「10代目!おケガは!」
「ありがとう…。大丈夫」
そしてツナのそばには、獄寺がツナを守るようにやって来た。
魅真、獄寺、山本で、ツナを守るように、ツナの前に立ち、雲雀、了平、クロームで、XANXUS、ベル、マーモンをかこんだ。
周りを包囲された状態に、ベルは持っていたナイフを地面に落とす。
「ダメだこりゃ」
ナイフを落とすと、降参の意を示すように、両手をあげた。
「ウム……。ボス…ここまでのようだ…」
ベルがあきらめると、マーモンも降参した。
「………役立たずのカス共が…」
二人が降参すると、XANXUSは悔しそうに顔をゆがめる。
「くそ!ちくしょう!てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!」
そして、最後の抵抗とばかりに叫んだ。
「ぐはっ!!」
「……」
それほどまでに、ものすごい執念をもち、どうしても、何がなんでも、10代目ボスの座につきたかったのだということが伝わってきたので、ツナはなんとも言えない顔になる。
「リングの秘密を知っていたら…XANXUSは、ボスの座をあきらめていたと思うかぁ?」
「………どうかな」
観覧席では、スクアーロがディーノに静かに問いかけていたが、ディーノは曖昧な返事を返すだけだった。
「あきらめるわきゃあねぇ!!!より怒りを燃やし掟ごとぶっ壊したはずだぁ!!」
「………」
ディーノに聞いたものの、自分の中では、もう答えは出ているようで、悔しそうに叫んだ。
「………これで、ガキ共はこちらの世界の人間だ。いずれ後悔するだろう。この戦いで、死んでいた方がよかったとな」
そしてそのあと、負け惜しみのようなことを言いながら、画面の向こう側にいるツナ達を睨んだ。
「XANXUS様」
「!」
グラウンドでは、XANXUSの頭の上側に、チェルベッロがやって来た。
「あなたを失格とし、ボンゴレリングを没収します」
「チェル…ベロ…。おま…え達の……望み通りだ……。予言が当たり……満足か……」
「お言葉ですが………これは、我々の望みでも予言でもありません」
「うー フー」
荒い息をくり返すXANXUSの頬に、チェルベッロは手をそえる。
「全ては決まっていた事。あなたは役割を終えたのです」
「…………タヌ…キ…が……。
うう…」
それだけ返すと、限界がきたXANXUSは、意識を失った。
「お疲れ様でした。それでは、リング争奪戦を終了し、全ての結果を発表します」
「!」
「XANXUS様の失格により、大空戦の勝者は、沢田綱吉氏。よって、ボンゴレの次期後継者となるのは、沢田綱吉氏と、その守護者7名です」
自分達の勝利が告げられると、ボンゴレ側の人間は、戦っていた者も、観覧席の者も、全員(一部をのぞく)うれしそうに笑った。
「よくやったな。これで帰れるぞ」
もちろん、リボーンもうれしそうな顔をしており、ツナをほめた。
そのツナは、荒い息をしながら、ズボンのポケットから何かを取り出して、目の前までもってきた。
それは、真ん中に魚の絵が刺繍され、その周りには「安全必勝」と書かれた、手作りのお守りだった。
「……みんな……」
ツナは、ほっとした表情をすると、意識を失った。
「!!」
「ツナ君!」
「10代目!」
「ツナ」
意識を失ったツナに気づくと、魅真達は全員(一部のぞく)、心配そうに、ツナのもとに駆け寄った。
その後、観覧席の赤外線も解除され、それぞれ帰路につき、意識を失ったツナは、獄寺と山本とバジルで送っていった。
次の日……。夜中に帰ってきたが、魅真はいつも通り朝の修業をした後、風呂場で汗を流し、私服に着替えた。
「あ、おはようございます。雲雀さん」
「おはよ」
着替えて縁側に出てくると、ちょうど雲雀が起きたところで、雲雀は魅真にあいさつをされると、無愛想ながらもあいさつを返した。
「昨日はよかったですね。勝負に勝って」
「僕がいるんだから、勝ってあたり前だろ」
「ふふっ。そうですね」
つまりは、自分が一番強いと言いたい雲雀に、同意するように魅真は微笑んだ。
「……魅真…」
「なんですか?」
「ちょっと、ここにすわりなよ」
そんな魅真をジッと見ると、急に雲雀は、自分の隣の床をたたいて、自分の隣にすわるように促した。
「なんでしょう」
特に疑問ももたず、魅真は素直に、雲雀がたたいた場所にすわった。
「魅真……」
「はい」
「僕は……」
魅真がすわると、雲雀は思っていたことを話そうとした。
「失礼します」
だが、その時チェルベッロが庭に現れたので、雲雀は続きを話すことはできなかった。
「あ…。えっと…チェルベッロ…さん?」
「はい」
チェルベッロが来ると、魅真はその場を立ちあがって、縁側のギリギリのところまで歩いていき、チェルベッロもまた、縁側の前まで歩いてきた。
「どうしたんですか?」
「これを届けにまいりました」
そう言って差し出したのは、雲のボンゴレリングだった。
「あっ…それって」
「勝者はあなた方になりましたので、この指輪はあなた方のものです」
話しながら、雲のボンゴレリングを魅真に渡した。
リングを渡されると、魅真は心からうれしそうな顔をする。
「それでは、私の用はこれだけですので。失礼します」
「はい。ありがとうございました」
ボンゴレリングを渡すと、チェルベッロはそこから去っていった。
チェルベッロが去ると、魅真は渡されたボンゴレリングを指にはめる。
「綺麗……」
自分の指にはめられたボンゴレリングをみつめて、うれしそうに笑った。自分達が勝ったのだということを、自分は雲雀と同じで雲の守護者になったのだということを、心から実感したからだった。
「あ!ところで、雲雀さんの話って、一体なんですか?」
急に思い出したように、雲雀がいる方にふり向いて、話の続きを聞こうとする。
「別に……もういい」
「えぇ~。なんですか、それ」
「やる気がなくなったんだよ。今の女の出現でね」
雲雀は怒って、部屋の中に入っていった。
何を話そうとしていたのか気になったが、こうなったら、雲雀は絶対に話してくれないだろうというのはわかっているし、雲雀らしいとも思ったので、魅真はそれ以上追究しようとはしなかった。
「じゃあ、私ちょっとでかけてきますね」
「どこに行くんだい?」
「武君の家です。リング争奪戦の、祝勝会のパーティーがあるというので」
それはつまり、群れにいくということなので、魅真を鋭い目で見た。
「じゃあ行ってきますね。武君ちのお寿司、おみやげにもってこれたらもってくるので」
けど、そんなことはまったく気にせずに、魅真は自分の部屋の扉の前まで持ってきていたカバンをつかむと、笑顔ででかけていった。
家から何分か歩いていくと、山本の家の、竹寿司についた。
「こんにちはー」
扉をあけながら、魅真は中にいる人達にあいさつをする。
「あ、魅真ちゃん」
「久しぶりですー」
「よっ、魅真」
「京子ちゃん、ハルちゃん、花ちゃん」
そこには、京子、ハル、花がいて、魅真を出迎えた。
「いらっしゃい、魅真ちゃん」
「よく来たな、魅真」
「武君、剛さんも」
そしてカウンターからは、山本と、山本の父の剛も姿を見せた。
「剛さん。お久しぶりです」
「おう、久しぶりだな。今日は腹いっぱい食ってけよ」
「ありがとうございます」
剛と会うのはクリスマス以来なので、魅真は剛にあいさつをした。
「おう、来たな魅真」
「よう、魅真」
「魅真殿!」
「おっす」
「よっ」
「よう、嬢ちゃん」
「笹川先輩!隼人君!それに、ロマーリオさんにコロネロ君にバジル君にディーノさんも」
もちろんそこには了平と獄寺もおり、リング争奪戦にかかわった、コロネロ、バジル、ディーノ、ロマーリオもいた。
「久しぶりね、魅真」
「ビアンキさん。お久しぶりです」
「話は聞いたわ。よくがんばったわね」
「いや、そんな…」
彼らだけでなく、ビアンキもおり、ビアンキは魅真の戦いの労をねぎらった。
「ということで、がんばったあなたには、特別料理を用意してあるのよ」
「特別料理?なんですか?」
特別と聞いて、魅真はわくわくしながら、ビアンキが料理を出すのを待った。
「これよ」
「!!???」
けど、その特別料理を目にすると、魅真は固まり、特別料理を凝視した。
目の前に出されたのは、虫がわいて、色が変になっている、どこをどうとっても食べ物とは言いがたい料理だった。
「…ビアンキさん、なんですか?これ」
「寿司よ」
ビアンキがポイズンクッキングを武器としているのは知っていたが、何故今ここで自分に出すのか謎だった。
「……これ、どう見ても寿司じゃ……「おーーーー魅真ちゃんじゃあないか~~~。私服姿もかっわいい~~~❤」
「!!」
その時、魅真の横からシャマルがやって来て、魅真の肩に手を置いた。
「魅真ちゃん、昨日はすごくかっこよかったよ~~。ということで、オジサンとちゅ~を「しません!!」
何が、ということでなのかわからないし、それ以前に、シャマルとキスなんて冗談じゃないので、魅真は強く断った。
「じゃあ、ビアンキちゃん。このオレとちゅーを「うるさい!!」
魅真がダメならビアンキ…と思ったシャマルだったが、ビアンキに、持っていたポイズンクッキングを顔にぶつけられて、倒れてしまった。
顔にあてたことにぎょっとした魅真だが、これでポイズンクッキングを食べずにすむと、ほっとしてもいた。
「ほんっと。ビアンキちゃんはおてんばだな~~」
だがシャマルは、とっさにラップでカバーしたので、ポイズンクッキングはくらっていなかった。
「(今のビアンキさんの行動を、おてんばですませるんだ…)」
今のシャマルの一連の言動に、ある意味では、シャマルは最強かもしれないと思った魅真だった。
「ところで魅真ちゃん、暴れんボーズはこねえのか?」
シャマルは気をとりなおして、魅真に雲雀が来てないのかどうかを尋ねた。
「来るわけないじゃないですか。あの雲雀さんですよ」
何故女好きのシャマルが、雲雀のことを気にするのかわからなかったが、魅真はシャマルの質問に答えた。
質問に答えた魅真は、雲雀の性格はわかっているものの、どこか寂しそうにしていた。
そんな魅真を見たシャマルは、ニヤッと笑う。
「ま!青春だな、二人とも」
魅真の肩を一回たたくと、シャマルは別の場所へ移動していった。
何故今の発言が青春なのか、そして、何故自分だけでなく雲雀もなのか、魅真はよくわからなかった。
けど、隣にいるビアンキは、どういうことなのかわかっており、魅真を見て微笑んでいた。
それからみんなで、パーティーを楽しんだ。
「こんばんは」
しばらく楽しんでいると、まだ来ていなかったツナがやって来て、顔をのぞかせた。
「へいらっしゃい。ツナ君御一行!!」
「あ、ツナ君だ」
「ツナさん!」
「ツナ君!」
「10代目!!」
ツナが来ると、みんな扉の方に注目して、笑顔でツナを出迎えた。
「みんな!」
ツナの後ろには、リボーン、フゥ太、昨日助けてくれたランチア、そしてランチアの肩には、ランボとイーピンがいた。
「10代目っ」
ツナがやって来ると、獄寺はうれしそうな顔をして、ツナのもとへ走ってきた。
「表向きはアホ牛の退院祝いスけど、まちがいなく今日は、祝勝会スから!!リング争奪戦の!!」
「え…いや………」
獄寺はうれしそうだったが、対照的にツナは、どこか嫌そうな顔だった。
「やりましたね!!」
「ああ!!」
「だな!」
「うむ」
「やったね」
「んな~~!!みんな、ボンゴレリングをー!?」
全員がリングをツナに見せると、ツナは絶叫した。
「クロームにもいってるはずだぞ。ほれ、おまえのだ」
リボーンはツナに、箱にうまった大空のボンゴレリングを渡した。
「ひいい!!それ燃えるから!!」
「燃えねーぞ。XANXUSを溶かして以来、おとなしいもんだ」
「どっちみちいらないって!!そんな物騒なもん!!」
「おまえXANXUSに、10代目になるのはオレだって言ってたじゃねーか」
「言ってないって!!オレはXANXUSに、10代目にはさせないって言ったの!!」
「ハハハ。往生際の悪い奴だな」
そこへ、ツナの後ろから、ディーノが笑いながらやって来た。
「それに、9代目は無事だったんだ。今すぐおまえが10代目になるわけじゃないぜ」
「いや…だからって… (マフィアになんかなりたくない!!)」
今すぐじゃないということは、将来はなるということなので、ツナは顔をひきつらせる。
「あんなチビもやる気なのにか?」
「!」
「この指輪ねぇ、ゴミ箱に落ちてたの」
「(うそつけー!!)」
ディーノが顔を向けた先には、退院祝いのプレゼントの上に乗ったランボが、京子とハルにボンゴレリングを見せていた。
しかも、リング争奪戦に参戦したというのに、未だに、何がなんだかわかっていない様子だった。
「アホ牛の奴、シメてやろーか!!」
「隼人君!」
「まーまー。ランボも、ガンバったじゃねーか!」
やる気がないどころか、リングをゴミ箱に落ちてたとウソをついてる、いい加減な態度のランボに怒る獄寺だったが、そこを魅真と山本が止める。
「ったく…。
まあいいっス!10代目!!んじゃ、今日は未来のファミリーについて、熱く語り、盛り上がりましょう!」
「な (盛り下がるーー!!つーか、将来マフィアやってるつもりないしーー!!)」
「聞いたよ、ツナ君!相撲大会勝ったんでしょ?」
「きょ、京子ちゃん!」
すっかり萎えてしまったツナだったが、京子が来たことで、水を得た魚のようにうれしそうになった。
「そのお祝いもしようね」
「あ…ありがとう……。そうだ……!お守り、ちゃんと…」
京子にほれているので、ツナは顔を赤くしながら京子と話していた。
「デレデレしてるヒマがあったら食べなさい」
「なぜにポイズンクッキングーー!!」
けど、そこへビアンキが割って入り、先程の魅真の時と同じように、ポイズンクッキングと化した、元・寿司をツナに出した。
当然ツナは絶叫し、後ろでは、獄寺がいつものように床に倒れた。
ポイズンクッキングなんて食べたくはないが、ハルがツナに食べさせようとし、ツナはそんな状況に悲鳴をあげ、ランボはツナの頭の上で楽しそうに笑っていた。
まるで、昨日までの生死をかけた戦いがウソのように、みんな、食べたり話したりして、笑いあい、盛り上がった。
そして、何時間か楽しむと、もう夜も近いということで、祝勝会(表向きはランボの退院祝い)は終わり、山本以外、全員帰路についた。
「魅真」
魅真も、雲雀へのおみやげの寿司を手にして、家に帰ろうとすると、ディーノに声をかけられる。
「なんでしょう?ディーノさん」
「もう暗くなってきたし、家まで送ってくぜ」
「え…いいですよ。そんな手間をとらせるわけにはいきませんし…」
ディーノは魅真を家に送っていこうとするが、魅真は申し訳ないので、ディーノの申し出を断った。
「ま!いいから送られていけって、嬢ちゃん」
「うわっ」
「ロマーリオさん」
そこへ、ディーノに助け舟を出すように、ディーノの顔の横に、ロマーリオが姿を見せた。
正面から見ると、ディーノの顔の横に、ロマーリオの顔がならんでいるように見えるので、魅真とディーノ、特にディーノはびっくりしていた。
「ボスは善意じゃなくって、好意で送ってくって言ってんだからな。それに、ボスが嬢ちゃんを送りたがってるから、別になんの問題もねーよ」
「なっ!ちょっ!ロマーリオ!!」
「そうなんですか。じゃあ、お願いします」
つまりそれは、ディーノが魅真を好きだと言ってるようなものなのだが、魅真はまったく気づくことなく、ディーノにお願いをした。
気づいてないのはディーノもわかっていたが、気づいてなくてよかったような、よくなかったような、とても複雑な気持ちだった。
そうして魅真は、竹寿司から近いコインパーキングにディーノとロマーリオと行くと、そこに駐めてあったディーノの車に乗って、ディーノに家まで送ってもらった。
何分かすると、雲雀家の前に着いたので、ディーノは車から出ると、魅真がすわっている後部座席まで行き、魅真がすわっている側の扉を開け、魅真に手を差し出した。
ディーノに手を差し出されると、魅真はその手をつかんで車から出た。
「じゃあ…またな、魅真」
「はい、また今度」
車から出ると、魅真とディーノは別れのあいさつをする。
「あ、いや…オレ…明後日にはもう帰るんだ」
「えっ。そうなんですか?」
「ああ、リング争奪戦も終わったし。いつまでも、留守にはできねーしな」
「そうですか…」
ディーノが帰ってしまうと聞くと、魅真は寂しそうな顔をした。
「……あのさ、魅真」
「はい」
「オレさ……」
そんな魅真を見ると、ディーノは魅真に、自分の想いを伝えようとした。
「オレ……!おまえのこ「何やってるの?」
だが、そこへまたしても雲雀が現れて、ディーノのジャマをした。
「人んちの前で、イチャつかないでくれる?」
「んな!!何言って…恭弥…」
「イチャつく?」
雲雀の出現に、ディーノは焦っていたが、魅真はなんのことなのかさっぱりわからなかった。
「咬み殺すっ!!」
明らかに不機嫌な雲雀は、トンファーを出して構え、ディーノに襲いかかろうとした。
「あっ……い、いや……待て、恭弥!!別に今のは……。それに、もう争奪戦は終わって…」
「問答無用だよ」
別にイチャついていたわけではないし、もう争奪戦も特訓も終わってるのに、自分に襲いかかろうとしている雲雀をディーノは止めようとするが、雲雀は聞く耳もたずで、ディーノに襲いかかっていった。
「何?イチャつくって…」
とり残された魅真はわけがわからず、魅真の隣にいる、すべてがわかっているロマーリオは、三人の微妙な関係と、今のこの状況に、声を押し殺して笑っていた。
そんな二人の前には、トンファーでディーノに襲いかかる雲雀と、雲雀から逃げているディーノの姿があった。
こうして、リング争奪戦は、ツナ達ボンゴレ側の勝利で幕を閉じた。
戦いが終わり、平和が戻ってきた。
だが……すぐにまた、リング争奪戦以上に過酷な戦いが幕をあけることを、この時の魅真は知る由もなかった…。
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