標的49 大空戦、開始
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「よく言ったぞ、ツナ」
XANXUSに顔を向けたツナの目は、いつもの弱々しいものではなく、強くまっすぐなものだった。
標的49 大空戦、開始
「ボンゴレの歴史に刻んでやる。XANXUSに楯突いた、愚かなチビが一人いたとな」
それでもXANXUSは、態度も、自分がボスになろうという気持ちも変わらなかった。
「一人じゃないぜ!」
そこへ、違う方向から、XANXUSの言うことを否定する声があがった。
「10代目の意志は」
それは獄寺で、獄寺も、クロームも、了平も戦う気満々で、それぞれ武器や拳を構えた。
「オレ達の意志だ!!」
「あなたにリングは渡さない!!」
「個人的に」
もちろんそれは、山本と魅真も同じだった。
雲雀だけどこかずれているが、とりあえずはボンゴレ側の味方で、同じく武器を構える。
「くるか、ガキ共!!」
「いいねぇ」
「反逆者どもを根絶やせ」
ボンゴレ側が戦う意志を示すと、ヴァリアー側も武器を構えて応戦しようとした。
「お待ち下さい!」
「!」
けど、そこをチェルベッロに止められる。
「9代目の弔い合戦は」
「我々が仕切ります」
「なに!!」
「我々には、ボンゴレリングの行方を見届ける義務があります」
「何言ってやがる。XANXUSの犬が!!」
「口を慎んで下さい。我々は、9代目の勅命を受けています。我々の認証なくしては、リングの移動は認められません」
そう言って、チェルベッロはこれ見よがしに、炎が灯った紙を見せた。
「よくも抜け抜けと!その死炎印は、9代目に無理矢理押させたものだな!」
バジルの予想に、XANXUSは笑みを浮かべ、そのことで、バジルの言ったことが本当のことなのだと、ツナは悟った。
「我々は、勝利者が次期ボンゴレボスとなるこの戦いを、大空のリング戦と位置づけます。
すなわち、今まで行ってきた、7つのリング争奪戦の最終戦です。いかがでしょうか?XANXUS様」
「悪くねぇ」
チェルベッロがうかがいをたてると、XANXUSはそれを了承した。
「それでは明晩」
「並中に、みなさんお集り下さい」
「あーらら。モドキに、執行猶予あげちゃったよ」
「なに!」
「てんめー!!」
「ツナは修業で力を使い果たしてたんだ。グッドニュースだぞ」
「フッ。明日が喜劇の最終章だ」
当然だが、XANXUSは勝つ気満々で、笑みを浮かべるとボンゴレリングを二つにした。
「せいぜいあがけ」
そして、片方のハーフボンゴレリングをはじきとばし、ツナに渡した。
「!」
それは、雷戦で奪われた、ツナが持っていた大空のハーフボンゴレリングで、ツナはそれを受け取った。
「!」
ツナがリングを受け取ると、XANXUSは手から炎を放った。
「!」
その激しい閃光に、ツナ達は目をあけていられず、目をつむった。
「消えた…。あの女達もだ…!」
光が消え、目をあけると、そこにはXANXUS達ヴァリアーの姿はおろか、チェルベッロの姿もなくなっていた。
「きゅっ、9代目!!」
XANXUS達がいなくなると、バジルは心配して9代目のもとへ走っていく。
「遅かったか!!」
バジルが9代目のもとへ走っていくと、獄寺達の後ろからディーノの声がしたので、獄寺は後ろへふり返った。
「跳ね馬!!」
校舎の前には、ディーノが部下をともなって立っていた。
ディーノはいそいでこの場所にやってきたようだが、残念ながら間に合わなかったようだ。
「おまえら!!9代目とケガ人を!!」
ディーノの命令で、部下は9代目を担架にのせてはこんだり、グラウンドにしかけられたトラップの探索をしたりしていた。
「門外顧問のチームから連絡を受けた…。まさか…こんなことが…。おまえ、大丈夫か…?」
そんな中、ディーノはリボーンの隣に立ち、何故ここに来たのかを話していた。
「オレ達の受けたダメージは、あまりにもでかい…」
「…………」
「でもな…」
「?」
リボーンは途中で話すのをやめたので、ディーノはリボーンが何を言おうとしたのかわからなかった。
「大丈夫かよ、ヒバリ!」
「めずらしく、大人しくしてたじゃねーか」
クローム達が帰ろうとしていると、ケガの有無をディーノの部下に問われているクロームが、どこか話しにくそうにしている中、獄寺達が魅真と雲雀のもとへやって来た。
「この状況が、あの草食動物の強さを引き出しているのなら、まだ手は出せないよ」
「…!」
「ツナ君…」
雲雀があれ以上暴れなかったのは、そのことが理由で、ツナのことを雲雀が口にすると、全員ツナの方へ顔を向けた。
当のツナは、どこか悔しそうな顔をしていた。
「帰るぞ」
「ぎゃ」
そこへ、リボーンがツナの背中にとび蹴りをいれた。
「明日の勝負までにしっかり充電しねーとな」
「なんでいちいち蹴るんだ」
「なんかムシャクシャしたんだ」
「どんな理由だ!!」
リボーンが蹴りをいれると、ツナはいつものツナに戻っていた。
「(まだ、希望はついえていないんだな。リボーン)」
ディーノは、先程リボーンが言おうとしていたことがわかり、まっすぐな目でツナとリボーンを見ていた。
あとのことは、ディーノやキャバッローネファミリーの人間にまかせて、全員家に帰っていった。
途中雲雀は、キャバッローネの人間に、ケガの手当てをすると言われたが、それを無視して、魅真と一緒に家に帰っていった。
何十分か歩くと、二人は雲雀家についた。
家に入って、雲雀が自分の部屋に入ろうとすると、魅真は雲雀のケガの手当てをすると申し出る。
普段の雲雀なら、そんなものはいいと言うが、この時は魅真の申し出を受けた。
雲雀が了承すると、魅真は一度自分の部屋に行って、救急箱をとってきた。
魅真がやって来ると、雲雀は手当てをしてもらうためにズボンをぬぐが、手当てをするためとはいえ、ズボンをぬいでいる雲雀を見ると、魅真は顔を赤くする。
シャツで下着はかくれているが、それでも見えそうで見えないという、かなりギリギリのところなので、なるべく見ないようにしていた。
「何してんの?早く手当てしてよ」
「は、はい…」
けど、雲雀はそんなことはまったく気にせずに床にすわり、魅真に手当てをするよう催促をした。
自分から言い出したことなので、魅真は顔を赤くしながらも、雲雀の前まで来ると、手当てをしやすいようにその場にすわり、まずは足から出た血をぬぐった。
それから消毒をして、ガーゼをあてて、その上から包帯を巻いていく。
ひどいケガをしている雲雀に、魅真はまるで自分が痛みを感じているように、その顔に苦痛の色を浮かべており、そんな魅真を、雲雀はだまって見ていた。
「これで大丈夫です。しばらくは、痛むと思いますけど…」
「それくらいわかってる。平気だよ」
未だに顔を赤くしている魅真に対し、雲雀は淡々としてズボンをはいた。
手当てが終わると、魅真は手当ての道具を救急箱にしまい、雲雀にあいさつをして、自分の部屋へ戻っていった。
次の日、魅真は学校に行く前に、また中山外科医院へと向かった。ディーノに会いに行くためだった。
中に入っていき、ディーノを探していると、給湯室から声が聞こえてきたので、魅真はノックをして、中から返事があると、中に入っていった。
「おはようございます、ディーノさん、ロマーリオさん」
「魅真じゃねーか。おはよ」
「よう、嬢ちゃん」
そこには、ディーノとロマーリオがすわっており、魅真があいさつをすると、二人もあいさつをした。
「今日はどうした?」
「あの……9代目の容体は?」
この日は、自分のことではなく、昨日重傷を負った9代目を心配してやって来たのだった。
「ああ、そのことか」
「はい。どうなったのかと思いまして…」
「9代目はここにはいない」
「いないって……まさか…」
「いや、死んじゃいねぇ」
いないと言われたので、死んでしまったのかと思ったが、そうではなかったので、魅真はほっとした。
「ここは、一応手当ての道具や薬はあるが、廃病院だからな。それに、言っちゃなんだが、小さな個人病院だ。ここじゃいい治療ができないから、もっと設備のいい病院に運んだんだ。予断を許さない状態だがな」
「そうですか…」
生きていてくれてよかったが、それほどまでに重傷なのだということがわかり、魅真は心配そうに顔をうつむかせた。
そんな魅真を見ると、ディーノは魅真を落ちつかせるように、魅真の肩に手を置いた。
「大丈夫だ。9代目は絶対に助かるさ」
「はい」
肩に手を置いて、笑顔を向けると、魅真は笑顔になった。
そして、少しだけディーノと話をすると、魅真は学校の応接室に行った。
「おはようございます、雲雀さん」
「…うん」
そこにはすでに雲雀がおり、いつも通り執務机で風紀委員の仕事をしていた。
そっけないが、返事が返ってきたことがうれしい魅真は、にこっと笑う。
「あ、雲雀さん。昨日のケガの手当てします」
「うん」
ひどいケガなので、定期的に手当てをした方がいいだろうと思った魅真は、そばに置いてある救急箱をとった。
雲雀は学ランを執務机の椅子にかけると、ズボンをぬいでソファにすわり、それを見た魅真も雲雀の隣に腰かけた。
夜中に手当てをした時に一度見たが、やはり年頃の女子中学生なので、年頃の男子のその格好を見るのははずかしいので、魅真はまだ顔を赤くしながら手当てをしていた。
何分かすると手当てを終えた魅真は、救急箱をもとの位置に戻し、雲雀はズボンをはいた。
「ところで、今朝もいなかったけど、一体どこに行ってたんだい?」
「え!?あ………えと…………ディ……ディーノさんの…ところに……」
ディーノと一緒にいると、雲雀は何故か不機嫌になるので、言いにくそうに話す。
案の定、雲雀は今まで機嫌がよかったが、ディーノの名前を出した途端に不機嫌になる。ムスッとして、口をへの字にまげ、誰が見ても不機嫌だということがわかるくらいだった。
「なんで?」
「え?それは、その……9代目のことが心配だったので…。昨日、キャバッローネの方が9代目を運んでいったので、ディーノさんなら何か知ってるだろうと思いまして……」
会いに行った理由を聞くと、少しは機嫌がよくなったが、それでもまだ機嫌が悪かった。
魅真は、本当のことを話したのに、何故雲雀が不機嫌なのかわからなかった。
「それはそうと、もう一つ聞きたいことがあるんだけど…」
「なんですか?」
「なんで、雲の守護者になったの?」
雲雀はずっと気になっていたことを、魅真に聞いた。
「え……そ、それは……」
「ねえ、なんで?」
いきなりのことに、魅真は言おうかどうか迷っていたが、雲雀が顔を近づけ、何がなんでも聞きたいといった感じだったので、仕方なしに答えようとした。
「…雲雀さんを……守りたいから…です…」
その答えを聞くと、雲雀は目を大きく開いて固まった。
「……別にそんな理由だったら、雲の守護者にならなくたっていいでしょ。それに、君みたいな弱者が、僕を守れると思ってるの?」
「そ、それは……」
きびしい言い方ではあるが、確かにその通りなので、魅真は何も言えなくなってしまう。
「僕に黙って、勝手なことしないでよ」
静かに話しているが、冷たくつき放すような言い方に、魅真はしょんぼりとしてしまった。
「失礼します」
そこへ、チェルベッロがやってきたので、魅真と雲雀は武器を構えた。
「なんの用だい?」
「今夜11時、ここ、並盛中学校にお集まりください」
「え……。そんなこと言われなくても、ちゃんと行きますけど…」
「今夜の大空戦には、守護者が全員集まっていないといけませんので、念のために…。それでは、今夜11時に、ここ並盛中学校でお待ちしております」
晴戦、雷戦、嵐戦の時には、自分と雲雀はおらず、雲雀に至っては、自分が戦う雲戦の時以外には、雨戦の時しかいなかったので、そのために来たのだろうと思っていると、用件を伝え終わったチェルベッロは、応接室から去っていった。
そしてその日の夜、魅真と雲雀は、ともに並盛中学校に向かった。
雲雀はそうでもないが、魅真は昼間の雲雀との会話があったせいで、どこか気まずさを感じていた。
同じ頃、別の場所では、獄寺、山本、了平の三人が、それぞれ別々の道から来て、偶然にも鉢合わせた。
「………」
「………………」
「……」
「行くか…」
「ああ…」
顔を合わせると、最初は無言だったが、並中に行くよう、山本が静かに促すと、三人一緒に並中に向かった。
「みなさん!」
その時、三人の後ろからバジルが走ってきた。
「ツナ達と来るんじゃなかったのか…?」
「ええ…イタリアにいる仲間と交信してて…」
「どうだった?」
「ダメです…。ディーノ殿の話では、まだ親方様達は、ボンゴレ本部を出られずにいる…」
「はね馬も手ーだせねーし。何が起きても、まわりは頼りにできねーな…」
「なーに、ツナが勝つさ」
「ったりめーだ!!」
山本はいつもの山本で、ツナが勝つことを、信じて疑っていなかった。
そんなことはわかりきってると言いたいのか、それとも山本に先に言われたのが悔しいのか、獄寺は山本に噛みついた。
「第一、10代目以外に、ボンゴレのボスがつとまる奴なんていねえ!!」
「! あの…ディーノ殿から聞いた話なのですが…」
「?」
「揺りかご以前…ボンゴレの次期ボス候補は、沢田殿も含め、5人いらしたらしいです。そしてその中でも、年長の3人は、誰もがボスの器に充分な才能に恵まれていましたが、9代目と門外顧問を除く、上層部の全員が支持したのは、XANXUSだったそうです……………。
それほど、XANXUSのボスとしての資質は、圧倒的だと……」
「おい…。その恵まれた3人に10代目は…?」
「入っていません…」
「うむ」
「なるほどな」
「ま、なかあねえ話だろーな」
「え…?」
てっきり、怒るか悔しがるかと思ったが、納得していたので、バジルはふしぎそうにした。
「いいか、新入り。10代目ってお人は、すごすぎて、わかる奴にしかわかんねーのさ」
「は…?」
「ハハハッ。ツナはそんなわかりにくかねーだろ?」
「な!?」
「どっちかっつーと、あいつのすごさって、わかりやすすぎて、見過ごしちまうんじゃね?」
「意味わかんねーんだよ!!野球バカが!」
「!?」
「というか、そもそも沢田は、すごいのかわからん時がある」
「なに!?」
「だが、そこが奴の、並だが並ではないところだ!」
「な?て、てめーら、こんがらがること言うんじゃねえ!!」
「? つまり、どーいうことだ?」
「うーむ。よくわからなくなったぞ!!」
「(拙者と同じだ……。そうか……この方達は、ずっと以前から、沢田殿の、非凡な平凡さに気付いているんだ…)」
バジルが三人を見ながらツナについて考えていると、突然、学校の方からものすごい光が放たれた。
「何だ!?」
「並中の方向だ!」
バジルだけでなく三人もその光に気づき、光が放たれた並中に走っていった。
「中庭だぞ!!」
光は中庭から放たれてるのがわかった四人は、学校内に入ると、中庭の方へ足を進める。
「!!」
中庭に着くと、そこには大量の煙があり、煙の中心には、人が立っていた。
「熱い!!」
「何だ!?」
「! XANXUS!!」
そこにいたのは、今夜の大空戦でツナと戦うXANXUSだった。
「どーなってるっ!?」
「奴の仕業か…!!」
この熱と大量の煙は、おそらくはXANXUSの仕業なのだろうが、何故熱と煙がXANXUSから発せられているのかふしぎに思っていた。
「向こうも体調はいいみてーだな」
「!!」
そこへ、リボーンと、今夜のもう一人の対戦者であるツナがやって来た。
「XANXUS……」
「きたか、カス……」
「お待ちしておりました」
ツナとリボーンが来ると、校舎の屋上からチェルベッロの二人が降りてきた。
「これで、沢田氏側の守護者は、嵐、晴、雨…………。そして、霧の守護者が揃いました」
「!」
「髑髏……!」
「残りは雲と雷ですね」
「え、残りって…」
ツナがそう言った時だった。
「用件は何?」
「どんな用事でよんだのですか?」
「魅真ちゃん!!ヒバリさん!!」
魅真と雲雀が、ツナ達のもとへやって来た。
「用件?」
「オレ達と一緒だな」
「守護者は必ずくるように、チェルベッロから…」
「そうです。命ある守護者全員に、強制招集を発動しました」
「強制招集………?」
「奴もいるぞ」
「?」
「ム」
「ししし」
「マーモン!!」
そこへ今度は、ベルフェゴールとレヴィ、そしてレヴィの手には、鎖でかんじがらめにされた鳥カゴがあり、その中には、一昨日の霧戦で負けて逃げたマーモンがいた。
「もっとソフトにお願い~~~!!!」
「!?」
「超重傷なのよ!!」
「ルッスーリア!」
今度は、ベッドに寝かせられたまま、そこから落ちないように、布団ごと大きなベルトでしばられた、ヴァリアー側の晴の守護者のルッスーリアが、先程現れたのとは別のチェルベッロの二人に運ばれてきた。
「生きていたのか!」
「ベッドごと…?」
「沢田氏側の雷の守護者も来たようですね」
「!?」
最初に目の前に現れたチェルベッロの一人がそう言うと、ツナは後ろへふり向いた。
「ランボ!!」
そこには、ルッスーリアを運んできたのとは、別のチェルベッロが二人おり、そのうちの一人が、酸素マスクをしており、酸素ボンベまでつけているランボを抱いていた。
ランボは眠っており、当然今自分がどういう状態なのかはわかっていなかった。
「な…なんでランボまで!?意識取り戻したばっかりなんだぞ!!」
それほどまでに重傷だというのに、強制的に連れてきたので、ツナは顔を青くした。
「強制招集をかけたのは、他でもありません」
けどチェルベッロは、ただ淡々と進めていくだけだった。
「大空戦では、6つのリングと、守護者の命をかけていただくからです」
そして、守護者を全員、重傷を負っているランボやルッスーリアまでも、強制的に呼び出したわけを話した。
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