標的26 海水浴
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夏休みに入って、一週間ほど経ったある日。
魅真は、ツナ、獄寺、山本、京子、ハルと一緒に、海水浴場に遊びに来ていた。
今魅真は、更衣室で水着に着替えており、その顔には笑顔を浮かべていた。
「(とうとうこの日がやって来た。ツナ君達と、海で遊べる日が!!あの時、武君に泳ぎの特訓をお願いしてよかった。がんばったかいがあったわ!!)」
泳げるようになったこともだが、友達と一緒に夏休みに海に遊びに来れたことに、魅真は感激していた。
「ハルちゃん、京子ちゃん、おまたせ」
着替え終わると、魅真は荷物を持って、京子とハルが待っているところにやって来た。
「あ、きたきた。魅真ちゃーん」
「こっちです」
魅真の姿が見えると、二人は自分達がここにいるのがわかるように、手をふった。
「ごめんね。遅くなっちゃって」
「うぅん。そんなことないよ。大丈夫だよ」
「はひ?魅真ちゃん、そんなものを持っていくんですか?」
魅真が目の前に来ると、ハルは魅真の手にあるものを見て驚いた。
そんなものとは、魅真がいつも持っている薙刀のことだった。
海水浴場にまで持ってきた上、これから海で泳いで遊ぶぞ!という時に、武器を持っていこうとしているので、ハルは驚いていた。
「あ、いや……なんか、もう…クセで……」
最初は、武器を持つことを嫌がっていたのに、今ではあたり前に、自分の体の一部として持っている魅真であった。
「魅真ちゃん。その武器が、すっごく大事なんだね」
「京子ちゃん…。それはなんだか違います…」
けど、京子はにこにこと笑いながら、どこかずれたことを言っていた。
標的26 海水浴
「海ーーー!!!」
「やっぱ夏はいいやなーー」
「じじいか、てめーは」
「(なんか感動だなー。友達と海に来る日がくるなんて……!)」
その頃砂浜には、先に着替え終わったツナ達三人がいた。
「それに、市民プールの特訓で、クロールできるようになったんだ!海で初クロール!」
海を眺め、ツナは初めて友達と海に来れたことと、泳げるようになったことに感動してにやけていた。
「見ろよ、あの3人。ちょーカワイクね?」
「雑誌モデル」
「?」
「声かけてみちゃう?」
その時ツナの前にいる三人の男が、自分達の目の前から来る女性を見て、顔を赤くしていた。
「!!」
男達の声に気づいたツナは、男達が見ている方を見ると、同じように顔を赤くする。
「おまたせーー」
「着替えてきましたーー」
「ごめんね、遅くなって」
そこには、水着姿の魅真と京子とハルが、笑顔でこちらに歩いてきていた。
「(超かわいい!!!)」
三人が来ると、ツナは心の中で、京子の水着姿を絶賛した。
ツナの後ろにいる獄寺も、何も言わないが、魅真の水着姿に顔を赤くしていた。
「ちぇ、男付きかよ」
「つまんねーの」
かわいいと思った女の子三人が、ツナ達(男)のツレだと知った彼らは、ガッカリしていた。
「(やっぱ京子ちゃんカワイイな~~。なぜかオレが誇らしいや。
それもこれも、海に皆を誘ってくれた京子ちゃんのお兄さんのおかげだよ)」
友達と海に来れたことにも感激していたが、京子の水着姿にも、ツナはデレデレして感激していた。
「つーか魅真、なんだよ?その薙刀は?」
魅真が、海水浴には不釣り合いな薙刀を、こんなところにまで持ってきていることにいち早く気づいた獄寺は、怪訝そうな顔をして魅真に問う。
「ああ、これ?なんか最近、これ持ってないと落ちつかないのよね」
「…お前……だいぶヒバリのヤローに侵されてきたな…」
「そう?」
「ああ…」
魅真はあたり前のように淡々と答えるが、獄寺は魅真の答えに、更に怪訝そうにした。
「笹川のアニキ泊まり込みで来てんだって?」
「うん…。ライフセイバーやってるセンパイの手伝いで来てるんだよ」
「へえ。ライフセイバーなんて凄いね…」
一方、山本がビーチパラソルをたてながら京子に問い、京子が答えると、ツナは変わらずデレデレしながら、了平のことをほめていた。
「(ライフセイバーといえば、子供の頃おぼれたり、沖に流されたりして、随分世話になったっけ……。沖に流された時は怖かったよなーー。どんどん陸が小さくなって…。その後、何度も流される夢見たっけ…)」
「(ライフセイバーか…。小さい頃、よく海とかでお世話になったな…。流される時は怖くてたまらないし、後で夢に出てきてうなされるし、さんざんだったな。もしかしたら、それが泳げない原因のひとつだったのかも……)」
けど、ライフセイバーというのは、ツナにとってはある意味でいい思い出がなく、昔のことを思い出して、顔色を悪くしていた。
そして魅真もまた、ツナと同じことを考えており、同じように顔色を悪くしている。
ちょっと前まで泳げなかったというとこだけでなく、こんなところまで気のあう二人だった。
「よく来たな、お前達!!」
その時、ツナ達の頭の上から声をかける者がいた。
「ライオンパンチニストで並盛のランブルフィッシュは、夏の一時をライフセイバー見習いとしてすごすのだ!!」
上を見てみると、そこには監視員用の椅子にすわっている了平がいた。
「あの妙な動きで、おぼれた奴を助けられんのか?」
「確かに……」
「ハハ…」
「ちーっス」
この前、ツナや魅真の特訓の時、お世辞にも泳いでるとはいえない動きを見た獄寺は激しくつっこみ、魅真もそれに同意し、ツナはかわいた笑いを浮かべていた。
「さっそくオレの仲間を紹介しよう。と、その前に、夏バテ気味の」
了平は仲間を紹介するために、椅子から降りてきた。
「パオパオ老師だ」
「ぱ…」
「(ダレすぎーー!!!)」
そこには、監視員用の椅子の上でダレてる、パオパオ老師のコスプレをしたリボーンがいた。
「つーか、何でいるんだよ」
「ぱ…」
「そして」
他にもいるようで、了平はその仲間を探していた。
「困るんだよね、ゴミすてられっと」
その時、近くで男の声が聞こえた。
「オレらの仕事ふえるっつーの?」
「ご…ごめんなさい」
「わかりゃいいのよ」
ツナ達が、声がした方へ顔を向けると、浅黒い色をした、いかにもチャラい感じの男が三人おり、自分達よりも小さな、5~6歳くらいの男の子の胸ぐらをつかみあげていた。
当然男の子は涙目になり、あわてて謝った。
いくら悪いことをしたとはいえ、少々やりすぎとも思えるその行為を普通にやる男の姿は、かなり大人気ないものだったが、本人はまったく気にしてはいなかった。
「じゃあ、ここら一帯、掃除しといてくれよ」
男の子の胸ぐらをつかんでいた茶髪の男は空き缶を投げすて、アフロの男はかんでいたガムを吐きすてて、そこから去っていく。
「(ひーっ、ひどい)」
「(なんなの?あの人達は…)」
彼らの行動に対し、魅真、山本、獄寺は、嫌悪感をむきだしにしていた。
「ライフセイバーの先輩だ」
「うい~っス」
「(え……この人達が…!?)」
「(この人達ーーー!!?)」
まさか、子供に対してひどいことをしていた最低な男達が、了平が言う先輩とは思わず、魅真やツナは驚いた。
「先輩達は、元並中ボクシング部だ」
「お、もしかして了平の妹ってコレ?へーー、なかなかオレ好みかもしんない」
「こ…こんにちは」
京子はどこか引き気味になりながらも、兄の先輩ということで、律儀にあいさつをした。
「んじゃーー、女の子は一緒にあそんべ!」
「おまえらは、しばらく海の平和を守ってくれや」
「ちょっ、まっ」
茶髪の男は京子の、アフロの男はハルの、スキンヘッドの男は魅真の肩になれなれしく手を置いて、強引に連れて行こうとする。
京子が連れていかれそうなので、ツナはそれはダメだと引き止めようとした。
「うっ」
だがその時、魅真が自分の肩を抱いたスキンヘッドの男の喉元に、持っていた薙刀の切っ先をあてた。
「小さな男の子を脅し、更には仕事を放り出して、笹川センパイ達に仕事をすべて押しつけるなんて…。そんな風紀を乱すようなことをする人は、ただじゃおかないわ。
あと、なれなれしく人の肩を抱かないで!」
見た目と違って結構強気な魅真に、三人の男は驚いて目を丸くする。
「へへっ…いいねぇ…。気の強いとこも、ますます気に入ったぜ」
けど、これで引き下がると思ったのに、スキンヘッドの男はますます魅真に近づき、魅真を再び連れて行こうとした。
「まてよ」
「てめーらの仕事するスジはねぇぞ」
「んー?」
「2人とも!」
だが、そこを山本と獄寺によって止められる。
「そのとーりだ、センパイ!こいつらをよんだのは遊ばせるためで、ライフセイバーを手伝わせるためではない!」
そこへ了平も加わり、彼らに抗議をした。
「わかんねーのか、了平?オレ達はかわいい後輩に、ライフセイバーの素晴らしさを知ってもらいたいんだ」
「なるほど」
しかし、あっさりと納得させられた了平は、左の手の平を右手の拳で打つという、少々古いリアクションをとった。
「ぽんじゃねーだろ!」
「(お兄さん、センパイ達に利用されてるーー!!)」
あまりにもあっさりと説得された了平に、後ろから、獄寺の鋭いツッコミが入る。
「だったら兄を手伝います」
「そーです!ハルは、ツナさん達と泳ぎに来たんですから!」
「あなた達と一緒にいるなんて、まっぴらごめんよ」
「ああ?」
女の子三人にも抗議されたのが気にいらなかったのか、茶髪の男は低くうなるような声を出した。
「へーーー。どいつがツナさんだ?」
「え!(ハルのバカ。オレの名前出すなよ!)」
茶髪の男が自分の方へ振り向くと、ツナはドキッとした。
「ツナってマグロのことだろ?そーとー泳げるんだろーなぁ」
「それウケるー!」
「えと…あの…」
茶髪の男が振り向いた時に声を発してしまったので、「ツナさん」が誰なのか、あっさりとバレてしまった。
男達はツナを見ながら、バカにしたように笑いとばしていた。
「てめーらバラすぞ、コラ!!」
「獄寺君!」
「ほーう、やるか?」
ツナを慕っている獄寺は当然怒り、相手にガンをとばし、ケンカを売った。
「だが、ケンカはパスだぜ。オレ達はライフセイバーだかんな」
「!!」
「やるなら、フェアに、スポーツで勝負してやる。
3対3のスイム勝負!!
敗者は勝者の下僕となるんだ」
「なあ!?」
「何言ってるんですか!!?」
「どこがフェアなの!?」
勝負の内容を勝手に決め、しかもその内容を自分達の得意分野にしたので、当然、全員納得がいかなかった。
「面白そーだな」
「はむ」
けど、そこをリボーンがハルの口にグローブをあてて、それ以上何も言えないようにした。
「でも」
「あの…」
「だけど…」
「けどよ…」
「しかし………」
「その勝負うけてやるぞ」
「物理的にだまらせたーー!!!」
京子、ハル、魅真、山本、獄寺と、ツナ以外の全員がリボーンに対して抗議しようとするが、リボーンは素早く、グローブをそれぞれの口にあて、だまらせただけでなく、全員の意思を無視して、勝手に勝負を引き受けてしまう。
「んじゃ、決まりだな」
「そんな!!」
相手側もリボーンの意思だけで勝手に決めたので、ツナは悲鳴のような声をあげた。
「何してくれてんだよ、おまえ!」
「勝ちゃーいいだけのことだぞ」
「そりゃあそーだな。まぁいっか」
「しかし、変なじじいだぜ…」
まさか、目の前にいる変なじじいが、自分が尊敬するリボーンとは思わず、獄寺は軽く毒を吐いた。
「向こうに見えるたんこぶ岩を泳いで、ぐるっと回ってくる勝負だ。泳法は自由。3本中2本先取で勝ちだ」
勝負することが決定すると、茶髪の男がルールを説明した。
その内容は、至ってシンプルなものだった。
「んじゃ、オレ一番手いくぜ」
「3本目は10代目たのめますか?」
「えーーー!オレもーー!!」
自分も出なきゃいけない上に、アンカーを頼まれたので、ツナは驚愕した。
「沢田ではまだ心配だ!!オレが泳ごう!!」
「ざけんな!おまえが泳いだら、勝ち目はねえ!」
「(た…たしかに、お兄さんよりオレの方が、泳げるかもしんないけど。でもまだオレ、海で泳げるかわかんないし!それに、向こうは海のプロだぞ!勝てるわけないってーー!)」
たのまれはしたものの、ツナは不安しかなかった。
「ツナ君、がんばってね!」
「しっかり応援するね!」
「応援します!」
「うん!(うん言ってるー!!)」
けど、女子三人に応援されたのもあるが、何よりも、大好きな京子の前で逃げるようなマネはできないので、三人(おもに京子)の応援にうなずいてしまうツナだった。
「では、競技を開始する」
泳者が決まったところで、競技が始まろうとしていた。
「第一泳者。ヨーイ」
了平が、競技用のピストルを撃って合図を出すと、一番手である山本と、アフロの男が海に向かって走りだした。
海に入ると、二人はクロールでたんこぶ岩をめざして泳いでいく。
最初は、山本の方がやや遅れ気味だったが、日々体を鍛えているので、途中から山本の方が前に出て、速いスピードで進んでいった。
「おお!山本の方が速い!!」
「よし!」
「すっごーい!」
「ファイトですー!」
「がんばって、武君!」
山本の方が速く進んでいるのを見たツナ達は、みんな喜んでおり、応援をしていた。
けど隣では、二人の男が怪しげな笑みを浮かべていたが、ツナ達はそれに気づくことはなかった。
少しして、泳者が折り返してきたが、折り返してきたのはアフロの男だけで、山本はいなかった。
「あれっ!?山本が帰ってこない!」
「な!?」
「うそっ!」
「どーしたんだろ?」
山本が戻って来ないので、魅真達はふしぎに思ったり心配したりしていた。
「足でもつって、岩カゲで休んでるんだろ?」
「さあ、どんどんいくぞ。大倉が帰ってきしだい、第二泳者スタートだからな」
二人の男は、白々しく言い放ち、勝手に勝負を進行していた。
相手チームの泳者が戻って来ると、すぐに2本目の勝負が始まった。
「第二泳者、ヨーイ!!」
次の勝負は、獄寺とスキンヘッドの男で、了平の合図で2人は海へ走り出し、勝負が開始された。
獄寺は、山本のようにスポーツマンというわけではないが、運動神経は結構ある方なので、お互いの速さは同じで、いい勝負となっていた。
「すごいよ、互角だ!」
「本当だ!」
「がんばれ!!!」
「獄寺さん、ファイトー!!」
いい勝負なので、これはいけると思われたが、帰ってきたのは、またしても相手チームの男のみだった。
「!! 獄寺君は!?」
「うそ……隼人君まで!?」
「ん~?お前ら、第二泳者も足つったのか?」
「(あやしーーっ。ぜってーー、何かされてるー!!!)」
山本に続いて獄寺まで戻って来なかったので、ツナはさすがに怪しんだ。
「2本先取で、オレらの勝ちだが、大サービスだ。次の一本でおまえが勝てば、そっちの勝ちにしてやるよ」
「ええ!?(ぜってーワナだ!!)」
ニヤついた顔や彼の言動で、ツナは勝負するのをためらった。
「またんか、センパイ!」
その時、了平が横から声をかける。
「奴らが心配だ!!岩へ行ってくる!」
「そーだよ、お兄ちゃん!」
「お兄さん!!」
了平の提案に、みんなが目を輝かせて賛成をした。
「わかんねー奴だなーー、了平!いま奴らは、岩の自然と語りあってるんだ。邪魔するな」
「なるほど!」
「お兄ちゃん!!」
「(洗脳されてんのーー!!?)」
誰が聞いてもうそだとわかるのに、了平はあっさりとだまされ、左の手の平を右の拳でたたいて納得していた。
「第三泳者。ヨーイ!!」
嫌だったが、結局ツナは泳ぐこととなり、了平はピストルで合図を出した。
「さあいこうか、ツナさんよ」
「そんな~~まじで~~!!つーか、ぶっつけで泳げんのか~~~?」
合図を出されると、二人は海の方へと走って行く。
ツナは泳ぐ前から、すでに顔面蒼白だった。
というのも、小さい頃に海でおぼれた時の、いまいましい記憶が甦ったからだ。
けど、がんばらないと京子が危ないので、それだけはヤダと思ったツナは、がんばって泳ぎだした。
「すごーい、ツナ君」
「すごい上達です!」
「がんばれ!ツナ君!!」
前に特訓をしてもらった時の成果なのか、ツナは相手と互角に泳いでいた。
少々おぼつかない感じはあるが、ほとんど泳げなかったツナにはかなりの進歩で、そのことに感動していた。
「誰かーー!うちの子を助けてーー!」
その時、そんなに遠くないところで、女性が叫ぶ声が聞こえた。
沖の方を見てみると、そこにはどんどん波にさらわれていく、小さな女の子がいた。
ツナもそのことに気づき、泳ぐのを途中でやめた。
そして、少しだけそこで止まって男と話をした後、ツナは勝負を放棄して、一人女の子を助けに行った。
「助けにいく気だ!」
「「ツナ君!」」
「ムチャです!」
ツナが助けに行く姿を見ると、魅真達三人は心配になり、周りも驚いていた。
しばらくすると、ツナは女の子のもとにたどりついた。
「おお、ついたぞ」
ツナが女の子のところにつくと、砂浜では歓声がわいた。
けど、次の瞬間、ツナが水の中に沈んでいってしまった。
だが、そのすぐ後に、拳銃の音が聞こえた。
「復活(リ・ボーン)!!!死ぬ気で救助活動!!!」
そして、銃声がすると、ツナは死ぬ気モードになって、水の中から現れた。
「少年がもち直したぞ!」
「子供をつれて、こっちに泳いでくる!」
ツナがもち直し、女の子を連れてくる姿に、周りでは更に歓声が起こった。
京子もハルも喜んでいる中、魅真だけは、真剣な顔で、ツナの死ぬ気モードを見ていた。
「へっ。そーはいくか」
「岩のカゲには、後輩がたんまりいるんだ。ボコボコにしてやれ」
ツナが脚光をあびるのがおもしろくない二人の男は、周りがツナ達に注目して、大きな声をあげているので気づいてないと思っているのか、バカ正直に事実を明かした。
「やっぱり、そういうことだったのね」
「後輩ってのは、こいつらのことか?」
けど、誰かに言ったわけでもないのに、後ろから声が聞こえたので、そちらにふり向いた。
「なにーー!!!?」
男達がふり向くと、そこには薙刀を構えている魅真と、獄寺と山本、そして獄寺と山本にやられた、たくさんの後輩達がいた。
たんこぶ岩のカゲで、後輩にやられたはずの獄寺と山本、そして返り討ちにあった後輩達がいたので、二人の男は驚いていた。
「センパイ方」
「うわ…」
「かわいがってくれたお礼しなくちゃな」
「ひぃーっ」
「覚悟はいいですよね?」
数では圧倒的に勝っていたはずの後輩達を、倒してしまった獄寺と山本を目の前に、二人の男はびびっていた。
そして、浜辺では大乱闘が起こった。
主に戦っていたのは獄寺と山本だが、魅真も戦いに参戦し、二人の男と戦った。
獄寺と山本、ちょっとだけ魅真の活躍により、二人の男は倒された。
ツナの方も、茶髪の男を裏拳で殴り倒し、女の子を連れて浜辺に戻った。
こうして、ツナは少女の救助に成功し、勝利はツナ達の手におさめられた。
だが……
「助けてくれたのは、もっと鬼みたいな顔したお兄ちゃんだった」
「そーだよね」
「ちがう子だわ」
死ぬ気じゃないツナは、信じてもらえなかった…。
ツナは女の子とわかれると、ため息をつきながら、とぼとぼと、みんながいるところへ戻ろうと歩いていた。
「ツナ君」
「あ…魅真ちゃん…」
そこへ、前の方から魅真が一人、ツナのもとへやって来た。
「ツナ君、救助活動すごかったよ。おつかれさま」
そして、にっこりと笑いながらツナを称賛し、ねぎらいの言葉をかけた。
「ほ、本当?ありがとう、魅真ちゃん」
誰一人として、自分が女の子を助けたと信じてもらえなかったのに、魅真は信じて、しかもほめてくれたので、ツナはうれしくなって感激した。
だが……この時魅真が言った言葉にかくされている本当の意味を、ツナはまだ知らなかった。
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