標的22 新学期
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春休みも終わり、新学期…。
今まで1年生だった魅真は、この日から2年生になり、まるで中学校に入学した時のように、不安と期待で胸がいっぱいになっていた。
学校に来ると、昇降口の近くに貼られているクラス分け表を、ドキドキしながら見る。
「えっと……私は………………あ、あった!A組だ。えっと他には…………あ、隼人君にツナ君、京子ちゃんと武君も一緒!やった!みんな一緒だ」
幸運なことに、誰とも別れることなく同じクラスになったので、魅真は喜んだ。
標的22 新学期
それから放課後となり、魅真はいつも通り、委員会の活動のために応接室を訪れた。
「何?ここに来るなり、そんなにげっそりとして…。何かに憑りつかれたのかい?」
「違います」
けど、いつもと違って、疲れた顔をしていたので、雲雀はめずらしく問いだすが、まったく見当違いなことを言ってきたので、魅真はきっぱりと否定した。
「じゃあ、なんだい?」
「実は、新しいクラスメートの中に、変な人がいるんですよ」
「変な人?」
「そうなんですよ。えっと……確か、内藤ロンシャンとかいう人なんですけど、自分はマフィアで、将来はマフィアのボスだとか変なこと言ってて……。クラスの子は、ホラふきとか言ってたけど…。それにその人、妙に明るいっていうかひょうきん者っていうかお調子者っていうか、なんかずれてるっていうか…」
「ふぅん…」
「しかも、ツナ君と学級委員長を決める対決をしてたんですけど、何故かクラスにいた、並中の制服を着てコスプレしてるおじさんが、内藤君に向かって拳銃を撃ったら、内藤君の中から内藤君が出てきて、急にネガティブになったんです。しかも、額に妙な人形をつけてたんですよ!ツナ君がパフォーマンスしてる時と似てましたけど、なんか気味が悪かったんですよね。
………って……人の話聞いてます?雲雀さん」
めずらしく人の出来事を聞いてきた雲雀だったが、途中であきたのか、魅真が話し終える頃には自分の仕事に戻って、話を全然きいていなかった。
「ああ、聞いていたよ。草食動物と内藤とかいう奴が、学級委員長を決める対決をしていたんだろ?」
「そうです」
「それで、内藤って奴が、いきなりパフォーマンスをしながらおじさんのコスプレをしたら、急にネガティブになったんだろ?」
「違います。ていうか、最初の方しか聞いてなかったんじゃないですか」
「君の話が長いんだよ」
「なっ」
話を聞いていなかったのを、自分の話が長いせいにされたので、魅真はカチンときた。
「まあとにかく、私、あの手のテンション高すぎる人は苦手っていうか、どうもついていけないんですよね。ツナ君達と一緒のクラスなのはうれしいけど、なんだか先行き不安ですよ」
「くだらないね」
「え…?」
「まだ起こってもいない……起こるかどうかもわからないことを、今から気にしてどうするのさ。そんな先のことを案じているひまがあるなら、今のことを気にすれば?」
「…そうですね。そうします」
雲雀にそう言われると、少し頬を赤くし、言ってることには一理あると思い、素直にうなずいた。
次の日の放課後…。
授業は半日で終わったが、こんな日でも、当然委員会の活動はあるので、魅真はいつも通り委員会の活動に勤しんでいた。
今は見廻りをしてる最中で、校舎の裏側を歩いている。
見廻りなので、違反してる者を取り締まらなければいけないのだが、とてもそんな風には見えないくらいにおだやかで、楽しそうに歩いていた。
「(桜…まだ綺麗に咲いてる…)」
それは、学校に植えてある桜が、綺麗に咲きほこっているからだった。
桜を見ているだけで魅真の心ははずみ、まるでピクニック気分であった。
「何やってるの?」
「雲雀さん」
そこへ、後ろから雲雀がやって来て、魅真に注意をする。
「君、今は見廻り中だろ?それなのに、何楽しそうに歩いてるの?」
「べ…別にいいじゃないですか。特に違反者もいないわけですし」
楽しんではいたが、いい加減な態度でやっていたわけではないので、魅真はめずらしく言い返した。
「見廻りの時は、常に気をはってもらわなきゃ困る。いつ敵が現れるかわからないからね」
「何、戦国大名みたいなことを言ってるんですか。大体、そういう雲雀さんこそ、気がゆるんでるんじゃないですか?」
「何?」
言い返されただけでなく、更には逆に注意されたので、雲雀は眉間にしわをよせる。
「雲雀さん、前お花見に行った時、シャマル先生に桜クラ病とかいう、変な病気にかけられましたよね。ここ、桜の花がたくさんあるんですよ。それなのに、こんなところに足を踏み入れるなんて、うかつにもほどがあるんじゃないですか?」
指摘されてようやく気づいたのか、雲雀は足もとがふらついた。
「雲雀さん」
前によろけた雲雀の体を、魅真はとっさに受け止める。
今の二人は、魅真が雲雀の体を抱きしめ、雲雀は魅真を抱きしめながら、頭を肩に置いている状態だった。
「あの……雲雀さん」
まるで恋人同士ようで、今のこの状況に、魅真はドキドキしていた。
「とりあえず、体勢を立て直して……きゃっ」
「!!」
魅真は雲雀を立たせるためにふんばろうと、足を後ろに動かした。
だが、動かした瞬間、ふんでしまった石のせいで、自分が後ろに倒れてしまう。
当然、今は力が入らない雲雀も一緒になだれこみ、魅真の上に倒れてしまった。
そのことで、魅真は顔が真っ赤になった。
周りから見ると、雲雀が魅真を押し倒しているようにしか見えないこの体勢に、体中が沸騰していた。
「(ど…どどどど、どうしよう~~~。早く起きあがらなきゃいけないのに…。でも、この体勢だと力を入れにくいし、そうでなくても、私はもとから力弱いし、雲雀さんは桜クラ病にかかってて力入らないし。それに、よりによって学校でこの状態は、雲雀さん風に言えば、風紀が乱れる!)」
なんとかこの状況を打破しようと打開策を考えるが、心臓が破裂しそうなほどに大きく鳴っており、頭がうまくまわらず、何も考えが思い浮かばなかった。
「く……」
魅真が考えていると、雲雀はうめき声をあげながら、体にムチ打つように、手を震わせながらもなんとか起き上がる。
「雲雀さん、ムリしないで…」
「そんなこと言ったら、いつまでもこの体勢のままだけど?」
「うっ…」
遠まわしに、自分が非力で何も状況を打破する力がないと言われたので、言われたことが当たってるだけに、魅真は何も言い返せなかった。
ともかく、このチャンスを逃したら、自分は抜け出せないので、雲雀が地面に手をついてなんとか体を支えている間に、隙間から抜け出し、立ちあがろうとした。
「とりあえず、桜がないところに行きましょうか、雲雀さ……うわっ」
けど、足に力を入れようとすると、またしても石を踏んでしまい、今度は魅真が雲雀の上に倒れた。
沈黙が流れ、どこか気まずい空気になる。
「君………どれだけマヌケなの?」
「スミマセン…」
あまりのバカさ加減に、もう、緊張とかはずかしいとか、そういった感情はいっさいなくなっていた。
雲雀には嫌味を言われるが、自分でもそう思っているので、魅真はもう謝ることしかできなかった。
あの後、魅真は周りを見て、誰もいないことを確認すると、今度は慎重にゆっくりと起き上がると、雲雀に手を差しのべる。
雲雀もその手をとり、起き上がると、桜のないところまで移動した。
はたから見ると、本当の恋人同士のようなこの行為は、もちろん周りに人がいないからできたものだった。
しばらくすると、ようやく桜がないところまで来たので、雲雀は魅真の手を放し、いつも通りに歩いていたが、雲雀の手が放れたことで、魅真は少し残念な気持ちになった。
だが、それが何故かは、自分でもよくわかっていなかった。
歩いていると、目の前で音楽を聞き、お菓子を食べながらマンガ本を読んでいる男子生徒を発見する。
それを見ると、魅真は男子生徒のもとへ駆けていく。
「こらっ!」
「あ?」
声をかけられると、ヘッドホンをとり、うざったそうに魅真を見上げる。
「プレイヤーやお菓子やマンガは、学校に持ってきちゃいけません!!校則違反よ。よって、それは風紀委員が没収します」
「んだよ、風紀委員のおまけかよ」
「おまけ!?」
おまけ扱いされたので、さすがの魅真もカチンときた。
「おまけが粋がってんじゃねーよ。オレに命令すんな、うざいんだよ」
「なっ…!!」
その上悪態までついてきたので、魅真は怒りで震えた。
「あなたいい加減に…「うぎゃああああ!!」
調子にのってる相手に説教をしようとすると、突然男子生徒の悲鳴があがった。
「あんまり調子にのってると……咬み殺すよ」
「雲雀さん、もう咬み殺してます…」
男子生徒が悲鳴をあげたのは、雲雀が咬み殺したからで、少々おかしなことを言う雲雀に、魅真はつっこんだ。
「君は甘いよ」
「へ?」
「こういう相手には、力ずくでいかないとダメだよ」
「いえ…私、さすがにそういうことは…」
「なんのための武器?言葉だけで、おとなしくいうこと聞く相手だとでも?実際聞かなかったでしょ。そういう相手には、実力行使が一番だよ」
もともと争いは好まない性格で、武器に至ってはムリヤリ持たされただけだが、それでも言ってることは間違いとは言い切れないので、魅真は何も返すことができなかった。
「でも、注意したのはよかったよ」
「え」
「君、だいぶ風紀委員が板についてきたじゃないか。ちょっと見直したよ」
「え……そんな…」
少々微妙な感じではあるが、それでもめずらしく雲雀にほめられたので、魅真は照れて顔を赤くした。
「本当にそうだな」
「リボーン君」
そこへ、どこからともなくリボーンが現れる。
「ちゃおっス魅真、雲雀」
「こんにちは、リボーン君」
「やあ、赤ん坊」
リボーンはあいさつをすると、いつものように魅真の方に跳んでいく。
魅真もリボーンが跳んでくると、いつものようにリボーンを受け止め、だっこをした。
「今日はどうしたの?」
「今日は、雲雀に用があって来たんだぞ」
「僕に?」
「ああ」
「ふーーん。なんだい?僕と戦ってくれるのかい?」
「ちげーぞ。実はな、ツナとクラスメートの内藤ロンシャンて奴が、風紀委員に入りたいんだそーだ」
「ツナ君と内藤君が?」
リボーンが言ったことに、いち早く反応したのは魅真だった。
ロンシャンはともかく、ツナがそう言うとはとても信じられず、すごく疑問に思っていた。
「逃がさないよ」
「うぎゃああ!!」
その時、先程雲雀が咬み殺した男子生徒が、三人が話しているすきに逃げ出そうとしたので、雲雀は彼を、再度咬み殺した。
「と…とりあえず、見廻りの続きをしましょうか」
「そうだね」
「ていうか雲雀さん、その人を持っていくんですか?」
その人というのは、今しがた咬み殺した男子生徒で、なんでわざわざ持っていくのかわからない魅真は、疑問をぶつけた。
「彼は逃げようとしたから、きついお灸をすえてやろうと思ってね」
「そ…そうですか…」
「さすが雲雀だな」
雲雀の徹底ぶりに、魅真はもう何も言えず、リボーンは何やら感心していた。
それから何分か歩いていくと、向かい側からツナが走ってきた。
「やあ」
「あ、ツナ君」
「魅真ちゃん………と、雲雀さん…。(ヒ、ヒバリさん、人ひきずってるー!!)」
ツナは、魅真には普通に接するが、雲雀には恐怖の念を抱いているのと、先程咬み殺した男子生徒(顔がボコボコになって、血と涙を流し、泡をふいている)をひきずっているので、顔を青くしていた。
「ヒバリさんも3年…でしたっけ…?」
それでも、無視することもできないので、ドキドキしながら思ったことを尋ねてみる。
「僕は、いつでも自分の好きな学年だよ」
「(意味わかんねー!!!)」
雲雀はひきずっていた男子をぽいっとすてながら、さもあたり前のように言うが、当然のことながら、ツナには理解ができなかった。
「沢田ちゃん、オレもバイト断っちった!せっかくなら、一緒がいいもんね!」
「げ!」
そこへ、ツナの後ろからロンシャンが追いかけてくる。
彼は楽しそうな顔で近づいてくるが、ツナは嫌そうな顔をした。
「きいたよ。君達、風紀委員に入りたいんだろ?」
「! えーーー!誰がそんなことをー!!?」
そんなこといっさい言ってない…というか、思ったことなどカケラもないのに、一体誰から聞いたのかふしぎに思った。
「彼にきいたよ」
「(あんのピラミッドパワーめが!!!)」
けど、その答えはすぐにわかった。
雲雀が指さす先には、宙に浮くピラミッド型の箱の中で、坐禅をしているリボーンがいたからだ。
ツナは、変なことを雲雀にふきこんだリボーンに、腹を立てていた。
「おっ、いいじゃん!いいじゃん!やろーよ、沢田ちゃん!いやーどもども!トマゾ8代目、内藤ロンシャンでーす!」
けど、ロンシャンは乗り気でツナの肩を組み、怖いもの知らずなのか特に気にしてないのか、あの雲雀に気軽にあいさつをしていた。
「なにいってんの!オレはいいよ!!(つーか、群れてると殺される!!)」
群れるのが大嫌いな雲雀の前で肩を組まれたので、ツナはあわててロンシャンの胸を押して突き放した。
そんなやりとりをしていた時、突然銃声が聞こえたので、魅真は何事かと思った。
しかし、雲雀は至って冷静で、ツナ達の方に顔を向けながら、弾丸をトンファーではじいた。
「まさか、今の音…ヒバリさんに…?」
何が起こったのかわからない魅真とロンシャンに対し、今ので全てを把握したツナは、血の気が引いていき、体が震えだした。
「何のマネだい?殺し合いするなら、気軽に言ってくれればいいのに」
そう言った雲雀の顔は、高揚しており、とても楽しそうな顔をしている。
「(あの細長いおっさん、なんてことしてくれてんだー!!マジ殺されるー!!)」
ツナは顔面蒼白となり、冷や汗を尋常じゃないほどにかき、頭を抱えた。
その時、ロンシャンが撃たれ、額から血を流して仰向けに倒れた。
「ロンシャン」
「え…どうしたの?」
再び銃声が聞こえたと思ったら、ロンシャンが倒れたので、魅真は一体なんなのかと思った。
「もう、お先まっ暗コゲ。過去もまっ暗コゲ」
「(嘆いて許しを乞うつもりだな!)」
これは嘆き弾の効果で、嘆きモードに入ったロンシャンを見た魅真は、ようやくすべてを把握し、ツナと同様に顔が青ざめていった。
「テルミ!!なぜ着信拒否なんだ!!!」
「(フラれたのねーー!!!)」
嘆き弾の効果で、ロンシャンは胸の内を叫ぶ。
「うん、いい鳴き声だ。すごく咬み殺したくなってきたよ」
しかし、その行為は雲雀を煽るだけとなり、雲雀は目を爛々と輝かせ、トンファーを構えた。
「(火に油そそいでるー!)」
その直後、今度はツナまで嘆き弾を撃たれてしまう。
「オレにまっ暗コゲとか…どーでもいいよ…。煮るなり焼くなりどーにでもすればいい…」
ツナは、リボーンに死ぬ気弾を撃たれた時のように、自分の中から出てきた。
ただいつもと違うのは、とても暗く、ネガティブだということだった。
「人生、ダメがこんで嘆くことが多すぎると…どーでもよくなる」
もう、魂がぬけてしまったような状態のツナを見ると、雲雀はトンファーをおろし、構えをといた。
「死を覚悟した人間を倒すことほど、つまらないものはない…」
そして、雲雀にしては、かなりめずらしいことを言う。
「とは思わない」
「ぐはっ」
「ぎゃ」
だけど、そんなことはいっさいなく、二人は雲雀に咬み殺された。
「さすがヒバリだな」
「……そだね…」
と言いながらも、どこか遠い目をしている魅真だった。
ちょっと……かなりおさわがせな新しいクラスメートを迎え、まったく変わらないメンバーとの新しい学年は、こうして始まった。
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