第九十一話 魔界統一トーナメント開幕
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幽助が、魔界統一トーナメントを提案し、黄泉と軀が国家解散してから100日後。
いよいよ、トーナメントの日がやってきた。
場所は、黄泉の国の癌陀羅で行うこととなり、参加者や観戦者が、続々と癌陀羅に集まってきた。
最終的な大会参加者の数は、6272名となり、一目見ようと集まった観客は、数十万を超えていた。
大会参加者の人数は、予想をはるかに超えた数であった。
原因は、黄泉の部下が相次いで出場を辞退して姿を消したことにある。
これによって、黄泉の国家解散が俄然真実味を増し、あわよくば、優勝をかすめとれるかもしれないと思った者が激増したためである。
この応募人数に、誰もがあきれた。
誰もが、勝つのは黄泉か軀である。そう思いながらも、奇妙な興奮と期待感が、魔界全土を覆っていた。
ここに、魔界全てを巻き込んだ魔界統一トーナメントが、ついに開催されようとしていた!!
第九十一話 魔界統一トーナメント開幕
大会当日。
黄泉の国、癌陀羅。
国境には、瑠璃覇と蔵馬の姿があった。
魔界統一トーナメントは、黄泉の国の癌陀羅で行われることとなった。
瑠璃覇と蔵馬は、建物がない、森がひろがる中に立つ闘技場を見て、とても真剣な顔をしており、なかでも瑠璃覇は、とてもピリピリした空気を放っていた。
何故、瑠璃覇がピリピリしているか、蔵馬はわかっていたが、敢えて何も口にしなかった。
ピリピリしている瑠璃覇は、いつ爆発するかわからず、激怒した瑠璃覇は恐ろしいから、ヘタに刺激しないでおこう…というのもあるが、単に気をつかっていたのだ。
それは、原因がわかっているからだった。
何故、今ピリピリしているのかも……。
そして、何故この魔界統一トーナメントに参加したのかも……。
トーナメントに参加した、本当の理由が……。
「瑠璃覇、そろそろ…」
「ああ…。行こう」
二人は会場を一瞥すると、癌陀羅の中へと、足を踏み入れた。
「そういえば聞いたか?参加人数は、6272名になったそうだ」
会場へ向かっていると、突然思い出した瑠璃覇が、蔵馬に話しかけた。
「ああ、知っている。まあ、理由はわかるけどな」
「それだけ…私の野望に近づきやすい……ということでもあるな」
黄泉と軀が国家解散した要因ともいえる上、三国の国王が参加するということで、もとからこの大会は注目をあびている。
人数が多ければ多いほど、優勝した時の知名度はあがる。
魔界にもテレビというものがあるので、きっとそのシーンは、魔界全土に流される。
その時、当然優勝者の顔は映るだろう…。
それを狙っているのだ。
もしそれがかなわなくとも、このトーナメント自体が魔界全土に放送されるものだろうし、戦っているシーンも映るだろう…。
いいところまでいけば、それだけ注目される。
そういった意味で、瑠璃覇は燃えたぎっているのだ。
一方で、今の瑠璃覇の言葉の意味がわかっている蔵馬は、心配そうに見ていた。
「あまりに人数が多いから、参加者を49人ずつのブロックに分けて、予選をやるそうだ。本選に出場できるのは、各ブロック一人だけで、たったの128人らしい」
「それも知っている。最低でも、そこにくいこまなければな…。
問題は、黄泉と軀だ。他にもかくれた猛者がいるかもしれんが、とりあえずはその二人。なんとしても優勝か…それに近い……せめて三位くらいにはならねば」
ギラギラとした目で話す瑠璃覇を、蔵馬は心配そうにみつめると、突然抱きしめた。
「蔵馬?」
いきなり抱きしめてきた蔵馬を、瑠璃覇はふしぎそうに見上げる。
「あまり無理はするな。瑠璃覇が、オレがいなくなったら嫌だと言ってくれたように、オレも瑠璃覇がいなくなったら嫌なんだ」
蔵馬のその言葉に、瑠璃覇のぎらついていた鋭い目がやわらかいものになり、ピリピリした空気も消えてしまった。
「ああ……わかってる…」
瑠璃覇の目は、もういつものおだやかな目に戻っていた。
「ムチャはしない。でも、手はぬかない。全力をつくす。だけど……絶対に、蔵馬のもとに戻ってくる。約束だ」
にこっと瑠璃覇が微笑むと、蔵馬もまた、微笑みを返した。
「いよいよ…だな」
そして、瑠璃覇は蔵馬から離れると、再び真剣な目をして前を見据えた。
会場の中に入ると、そこはすごい数の妖怪達であふれ返っていた。
「話には聞いていたが、すごい数だな」
「ああ」
それは、身動きがとれるかどうかというくらいのものであった。
「ところで……幽助はどこにいるんだ?」
会場が広い上、これだけ人数が多くては、探すのは至難の業だった。
その時、周りがざわついた。
何事かと思っていると、周りから、軀と黄泉の名前を恐れるように呼ぶ声が聞こえた。
ただ、周りの妖怪の反応で、会場内に黄泉と軀がいるのだということはわかったが、状況まではわからなかった。
けど、途中から幽助の声が聞こえたので、恐らく黄泉と軀と話しているのだろうと確信した二人は、声がする方へ進んでいく。
するとそこには、思った通り、黄泉と話している幽助がおり、二人は黄泉が去っていくのと入れ替わるように、幽助のもとへ行く。
「おーー蔵馬、瑠璃覇」
「やあ」
「よォ、幽助」
二人が幽助のもとへ歩いて行くと、瑠璃覇と蔵馬の存在に気づいた幽助が、大きく手をあげて二人にあいさつをしてきたので、二人もそれに短く答えた。
「飛影、久しぶりだな」
「フン」
もう一方からは飛影がやって来たので、幽助は飛影にもあいさつをするが、飛影は相変わらずそっけなかった。
「蔵馬、瑠璃覇、おめーらとやんのは初めてだが…飛影、久しぶりのバトルだな」
「フン。予選でオレにあたらないように祈るんだな。大会主催者が予選落ちなんて、笑い話にもならんからな」
その上、嫌味まで言ってくる始末だった。
「くっ。相変わらずなヤローだな。メシ食ったのか!?」
「それが今、なんの関係があるんだ!?」
飛影が言ったことに怒った幽助は、わけのわからないことを飛影に返し、飛影は意味がわからないとばかりに幽助に返した。
「まあまあ。幽助は、腹が減っては戦はできぬと言いたいんでしょ」
「おう」
「幽助、それはかなりわかりにくいぞ」
幽助独特の言い回しに冷静につっこんでると、大会開始のブザーが、会場内に響き渡った。
「それではこれより、魔界統一トーナメント、予選抽選会を行います」
壇上では、長くて赤い鼻の男が、マイクを持って大会を取り仕切っており、男の横には予選抽選会で使うカードが入った箱と、助手らしき女性が二人控えていた。
いよいよ大会が開始されるので、会場内はすごい盛り上がりをみせた。
「総合実況は、もちろんこの方。暗黒武術会の名司会者」
男が叫ぶと、カメラは客席の一部をズームアップし、その後に、カメラを向けた先がライトアップされた。
「皆様、大変長らくお待たせ致しました。マイクを持たせりゃ魔界一!!バーニングアクティブマイクパフォーマー小兎!!ふっかーーーつ!!」
そこに立っていたのは、暗黒武術会で審判と実況をしていた小兎だった。
「魔界統一トーナメント実況は…」
小兎の周りにいたテレビクルー達がいなくなると、小兎は今いた観客席から、司会席まで跳んで行った。
「小兎!!で、お送り致します!!」
そして、跳躍すると、そのまま自分がすわる席につく。
「いいぞぉーーー小兎ぉお!!」
小兎が現れると、酎は一人、大盛りあがりをしていた。
側にいた陣と凍矢は、そんな酎を見て、どこか引いていた。
「私自身、このような大役を仰せつかって、光栄と不安で胸がいっぱいですが…精一杯やらせていただきます。
さて解説は……」
あいさつをすると小兎は、隣にいる、自分の仕事の相方ともいえる人物の方へ顔を向けた。
「あら?」
けど、横に向くと、鳩が豆でっぽうをくらったような顔になり、間のぬけた声を出した。
「あっはっはっは。どーーもぉ」
何故なら、そこにはコエンマの部下の、ジョルジュ早乙女がいたからだった。
「あなたは…ジョージ渡辺さん!!」
「ジョルジュ早乙女です。もォー、嫌いだなァー。あ、でも、こーゆーイベントには血がさわいじゃってもう……」
小兎と話していると、ジョルジュは突然寒気を感じた。
「ジョルジュ…」
その寒気を感じた方に視線を移すと、その先の観客席の一番上にはぼたんとコエンマがおり、コエンマがとても恐ろしい形相でジョルジュを睨んでいたのだ。
「(こわーいぃ)」
あまりの怖さに、ジョルジュは涙目になり、そこから退散していった。
「(何をやってるんだ、あいつは…)」
そんなジョルジュを、瑠璃覇は呆れ顔で見ていた。
「さて、解説は、元癌陀羅国作戦参謀、妖駄さんです」
「よろしく」
一方で小兎は、気をとりなおして、この大会の本当の解説者である妖駄を紹介していた。
「予選抽選会は当初、浦飯選手が黄泉選手に贈った、国宝石によるクジ引きの予定でしたが、大会参加者があまりにも多いため、カードによるくじ形式で行われます」
会場の前にある壇上には、くじが入った箱があり、それを、並んでいる選手達が次々と引いていった。
くじを引き、そのくじに書いてあった番号がわかると、前の画面に、くじに書いてあるブロックの番号と、選手が胸につけているプレートのナンバーが、即座に反映された。
「優勝候補の一人、軀選手!!74ブロック」
しばらくすると、軀がくじを引き、ブロックが決定すると、周りがざわついた。
「もう一人の優勝候補、黄泉選手!!34ブロック」
次に、黄泉のブロックが決まると、軀の時と同様に、周りがざわつく。
「この大会のきっかけを作った張本人です。浦飯選手!!106ブロック」
軀、黄泉と続いて、今度は幽助が、とてもうれしそうに…そして楽しそうにくじを引いた。
「飛影選手!!5ブロックです」
その後、飛影が引き
「蔵馬選手!!63ブロック」
飛影に続いて蔵馬が引き
「瑠璃覇選手!!96ブロックです」
蔵馬のあとに、瑠璃覇がくじを引いた。
128分の1の確率といっても、可能性はあったので、もしかしたら、蔵馬、幽助、飛影、軀、黄泉と同じブロックになるかもしれないと思ったが、そうならなかったので、瑠璃覇はほっとしていた。
蔵馬、幽助、飛影に勝つことなど造作もないことだが、個人的に戦うのが嫌なのと、軀と黄泉は、戦っても勝てるかどうか微妙だし、もし勝てたとしても、本戦を戦いぬけるかどうかも微妙だからだ。
「瑠璃覇と一緒のブロックじゃなくてよかったよ。一緒のブロックだったら、絶対に勝てなかっただろうしね」
それは蔵馬も同じのようで、蔵馬は壇上を降りながら本音をもらした。
「まあ、もし同じブロックになっても全力で戦うだけだが、私も蔵馬とは嫌かな。くじ運にめぐまれた」
「そうだな」
二人がそんな会話をしていると、突然壇上から驚きの声があがった。
当然、何事かと思った二人は、声がした方へ顔を向ける。
「なんと、黄泉選手とその息子修羅選手が、同じ予選ブロックにぶつかってしまいました。早くも大波乱の予兆です!!」
まさかの、128分の1の確率で、一緒のブロックになってしまった者がいたので、瑠璃覇も蔵馬も驚いていた。
「あの子供はまだ脆弱だが、周りのザコどもよりは強そうだ。こう言ってはなんだが、あの二人が、予選でかちあってくれてよかった。本当にくじ運にめぐまれた」
いつもなら、瑠璃覇はこんなことは言わない。
しかし、この大会では、少しでも多くの妖力を残し、なおかつ、優勝か、もしくは優勝に近い位置に食いこまなくてはならない。そうするには、そんな悠長なことは言ってられない。なりふりかまっていられなかった。
瑠璃覇が言った言葉の意味を理解している蔵馬は、どこか心苦しそうな、悲しそうな顔をして瑠璃覇を見ていたが、決して瑠璃覇が言ったことに対して、言葉を返すことはしなかった。
一方瑠璃覇も、蔵馬が今どんな顔をして、どんな気持ちになっているのかはわかっていたが、敢えて気づかないふりをして、画面の方を凝視していた。
そして、それから何十分か経ち、ようやく参加者全員が、クジを引き終わった。
「たった今、全ての抽選が終了いたしました」
参加者全員がくじを引き終わったので、小兎が進行を務めていると、隣に女性が一人やって来て、小兎に一枚の紙を渡した。
「えっと、はい。ただ今情報が入りました。早くも出場辞退の選手が続出しております。これは、どういうことでしょう」
その紙には、予選が始まる前に、出場を辞退している選手が続出しているということが書かれており、小兎は隣にすわっている妖駄に意見を求めた。
「そうですね。まず、軀や黄泉さ……あ、いや…黄泉選手と同じブロックに当たった者があきらめたんでしょうね。あとは、売名行為・ひやかしで来た者が、帰っていったんでしょう」
「んー、なるほど。ありがとうございました」
妖駄が意見を述べると、小兎は納得し、顔を前に向けた。
「それでは、これより予選を開始いたしまーーーす!!!」
くじ引きが終わり、いよいよ予選が始まろうとしていた。
瑠璃覇は、いよいよ自分の命と人生をかけた戦いが始まるので、とても強く真剣な目で、前を見据えていた。
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