第九十話 幽助の提案
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幽助が魔界に旅立ち、他の四人もそれぞれの道を歩み出してから、早いもので一年が経った。
今瑠璃覇は、蔵馬とともに、魔界の黄泉の国の癌陀羅におり、数ヶ月前に蔵馬と瑠璃覇の部下として入った、酎、鈴駒、陣、凍矢、鈴木、死々若丸の稽古の相手をしていた。
「うわっ」
「ぐおっ」
と言っても、瑠璃覇とあまりにもレベルが違いすぎる六人は、あっさりと瑠璃覇に負かされてしまう。
瑠璃覇も一応手加減はしているのだが、それでも実力の差がありすぎるので、長くは続かなかったのだ。
「なあーー、瑠璃覇ぁーー」
「なんだ?」
「お前の技、オレに教えてくれ」
そんな中、今しがた倒されたばかりだというのに、早々と起き上がった陣は、床にあぐらをかきながら、瑠璃覇に頼みごとをしてきた。
「何故だ?」
一瞬、目を丸くした瑠璃覇だったが、すぐにもとの無表情に戻り、目を細めて陣を見やる。
「何故って……そりゃあオレは、お前と同じ風使いだからだべ。そしてお前は、生きた伝説とまで言われた奴だ。やっぱおめーみてーに、すっげえ技を使えるようになりてーからな。強くなりてーんだ、オレ。それには、参考になるものが必要だ。それには、やっぱ同じ属性を扱う奴で、オレよりも強い奴がいいかんな」
けど陣は、そんな愛想のない瑠璃覇の態度もまったく気にしてない様子で、無邪気に笑いながら、その理由を話した。
理由を聞き、陣の無邪気な笑顔を見ると、瑠璃覇は胸の奥が少し熱くなった。
第九十話 幽助の提案
それから、またしばらく特訓すると解散し、瑠璃覇は黄泉と蔵馬のとこに行った。
「瑠璃覇、おつかれ」
「ああ」
部屋に入ると蔵馬が瑠璃覇をねぎらい、瑠璃覇は軽く返事をしながらイスに腰をかけた。
「どうだ?瑠璃覇、あいつらの様子は」
イスにすわると同時に、黄泉から6人の様子を聞かれる。
「悪くない」
しかし瑠璃覇は、相変わらず無愛想で、個人的なことではなく仕事だというのに、ただ短く返すのみで、表情も、言葉づかいも、声色も、とても冷たいものだった。
わかってはいたが、自分に対して冷たい態度をとる瑠璃覇を見て、黄泉はどこか悲しそうな顔をした。
それを蔵馬は見ており、何故そんな表情になるのかは知っているのだが、敢えて気づかないふり、知らないふりをしていた。
その頃、癌陀羅から数キロ離れた、小高い崖の上では……。
「あそこが黄泉の国、癌陀羅です」
そこには、幽助と北神が立っており、眼前にある癌陀羅を見ていた。
「サンキュ、北神。オメーは、もう戻っていいよ」
「いえ、私も行きます」
幽助は北神に帰るように言うが、北神はそれを拒否した。
「雷禅様の死は黄泉にもじき知れます。いえ、もしかしたらもう気付いているかも。そうなると、あなたが癌陀羅に一歩足を踏み入れれば、命も危ない」
「バーカ。だから一人で行くんじゃねーか」
「あなたは既に、我々にとって国王なのです。私には、あなたを守る義務がある」
「ちーー…。しかたねェな。だが、手は出すなよ。今日は、あくまで話し合いだからな」
「それを聞いて安心しました」
北神の理由を聞くと、幽助は折れ、幽助が黄泉のところに行く理由を聞けば、北神はほっとした。
「ここから先はヤバい会話は避けましょう。黄泉は見えない分、耳と鼻がききます。あの国の中の人々の会話は、全て把握していると、雷禅様が言っていました」
「よし、わかった」
幽助は納得すると、北神よりも前に出る。
「黄泉ィィィーー!!聞こえっか、コラァーーーーーーー!!!今から行くから、お茶用意して待ってろォーーーーーーーー!!!」
そして、何をするのかと思えば、癌陀羅に向かって大声で叫んだ。
黄泉は耳がきくというのを利用したらしい…。
「よし、行くべ」
「あは、あははは。なんてお人だ」
幽助の大胆な行動に、後ろにいる北神は、ベタにずっこけ、苦笑いを浮かべていた。
「ところで国王。その荷物の中身は何ですか。イヤな予感がするんですが」
「秘密」
幽助が崖を降りる前、北神は幽助が持つふろしきについて問うが、幽助は教えてはくれなかった。
場所は戻り、癌陀羅のとある一室では…。
「くくく。蔵馬、瑠璃覇、お前達の友人は、なかなか面白い人物だな。これからくるそうだ」
瑠璃覇、蔵馬、黄泉が椅子に腰をかけており、幽助の声が聞こえていた黄泉は、幽助の言動に笑っていた。
「予想より少々早いが、雷禅が死んだのだと思うか?」
「だろうな…」
「………おそらく」
「………うむ。まず、浦飯とやらの出方を見るか。
妖駄、玉露と菓子を用意しろ」
アポのない突然の訪問であるが、様子見ということで、黄泉は幽助に会うことにし、妖駄に命令をした。
「門兵に彼を案内するように伝えろ。その時、浦飯の妖力値を計れ」
「は!」
「蔵馬、瑠璃覇、隣室に兵をそろえて待機してくれ」
「「!」」
「相手の出方次第では、処刑命令を出す。頼むぞ、軍事総長、第二軍事総長」
幽助が二人の友人だとわかっている上で言っている黄泉は、どこかわざと言ってるようにも感じられた。
「面白くなってきた」
そして黄泉は、一人面会をする場所へと移動していった。
「幽助も変わってないな」
「そうだな。 (幽助……一年たっても相変わらずだな。お前のイエス・ノーで、一気に全面戦争だぞ)」
ヘタしたら、一触即発の状況になるかもしれないので、蔵馬も瑠璃覇も緊張し、どこか心配そうな顔をしていた。
それから数十分後、門兵に案内された幽助は、謁見の間におり、黄泉と対面していた。
「粗茶ですが」
「あ、ども。おかまいなく」
メイドにお茶を出され、あいさつをする幽助。
その隣の部屋には、瑠璃覇と蔵馬、そして陣達6人が、黄泉に言われた通りに待機していた。
《くう~~~~。久しぶりだけど、あいつちっとも変わってなさそうだ》
《だが強い!!!ビンビンあいつの力を感じるぜ》
久しぶりに幽助を見た陣と酎は、うれしそうな顔をしていた。
もちろん、声に出すのはまずいので、紙に字を書いて会話をしている。
《だがどうする?万が一の場合、幽助を倒すのか?》
《…どうだろうな》
《少し前まで、それでも、しかたないと思ってた。魔界の均衡のためなら。なによりも、オレなりに幽助と戦ってみたかった。しかし、こんな形じゃない》
《……》
《そんなもん書く必要ねーだろ》
《正直言って、迷っている。皆の意見を聞きたい。最悪の場合、黄泉と幽助どちらにつく?》
《幽助!》
《聞くなっつーの》
立場上は癌陀羅の兵でも、それでも、どちらにつくかと問われれば、自分達が好きな幽助だった。
瑠璃覇、陣、酎、鈴駒、凍矢、鈴木は迷うことなく幽助と答えるが、何故か死々若丸だけは考え中となっていた。
けど、そこを鈴木が、考え中のところに×をうって、幽助と書きなおす。
その解答に、瑠璃覇も蔵馬も軽く笑みを浮かべた。
《多謝》
《いえいえ》
全員が同じ気持ちだったので、蔵馬は感謝の意を伝えた。
「早速だが、用件を聞きたい」
「「!」」
紙で会話をしていると、隣から黄泉の声が聞こえてきた。
「率直に言っていただこう。バカし合いは苦手でね」
「雷禅が死んだ。そんで、オレが国王になっちまったんで、そのあいさつと、この目で敵の大将も見ておきたくてな」
黄泉に言われた通り、幽助は率直に答えた。
「(バカか、あいつは…)」
「(正直すぎる!!殺してくれと言ってる様なもんだぞ!!)」
あまりにもバカ正直すぎる幽助の用件に、瑠璃覇と蔵馬は呆れた。
「ほう……。では、せっかくの機会だ。私の願いを聞いてもらえるかな」
「(黄泉の妖気が変わった!!殺る気か)」
黄泉の妖気が変わると、全員に緊張が走る。
しかし、それを打ち破るかのように、幽助は軽く笑みを浮かべると、持ってきた荷物を机の上に置いた。
「!?」
「その前に、土産があるんだ。受けとってくれや」
「(土産…!?風向きが変わってきたぞ。
まさか)」
「(同盟和議か!?こいつ、意外に食えんな) それはありがたい。開けてみてくれないか。音から察するに石の様だが」
「ちょっと散らかるが、構わねェよな」
しゃべりながら、幽助はしばっている部分をほどいた。
中からは、ビー玉くらいの大きさの、水色、黄色、ピンク、黄緑色をした、数えきれないほどの、たくさんの玉が出てきた。
「そ……それは、我が国の国宝石、瑠璃丸!?幽助さ…国王!!一体!?」
「(やはり和睦か?それなら手を打ちやすい) これはこれは、高価な品をかたじけない」
黄泉は自分の前にある瑠璃丸を一つ手にとり、感触を確かめるように、指の中でころがした。
「うむ…。この手触り、正真正銘の瑠璃丸。
――――で、この贈り物の真意は…
!?」
確かめるように幽助に聞こうとすると、黄泉はあることに気づく。
「名前が彫ってあるね。
こっちは軀。これは東王…。
まさか、全ての石の?」
それは、そのビー玉ほどの小さな石に、それぞれ名前が彫ってあることだった。
「読めたか。さすがだ。オレのやりてーことがわかるか?」
「国宝石にキズをオォーー!?あんた、なんばすっとねーーーー!!」
よりによって、自分の国の国宝石に傷がつけられていたので、北神は激しく動揺し、口調も変わっていた。
「雷禅が死んで、いろいろ考えてみた。でもオレはバカだから、国の頭なんて器じゃねェ。だから、自分のやりたい様にすることにした。
それは、抽選のクジ代わりだ」
と言われても、話の内容がさっぱりわからないので、黄泉は疑問符を浮かべる。
「ただのケンカしようぜ。国なんかぬきでよ」
「な…」
「一度みんな、ただの一人に戻ってよ。くじで組み合わせ決めて、トーナメントやろうぜ。
最後に残った奴が、大将だ。
負けた奴は、全員そいつに従う。何があろうがな」
「(妖気にも体にも全く変化がない…。こいつ、本気か!!) そんな、バカな案に応じると思うのか!?」
国のことなど、まったく考えていない。策略も何もない。脅迫でもなんでもない。そんなことは、幽助は全然考えてはいなかった。
自分にとって、なんの利益も得もないような幽助の案に、当然黄泉が応じるはずもなかった。
「のったべ」
「!」
けど、隣から幽助の案に応じる声が聞こえてきた。
それは陣の声で、陣が答えると同時に、襖が開かれた。
「あーーーーーーーー!!オメーら、何でェ!?」
襖の向こうから現れた懐かしい面々に、幽助はうれしそうにした。
「黄泉…。悪いが、今からオレは、ただの蔵馬だ。但し、幽助の案にお前が応じなければ、この場でオレ達は、幽助につく」
「私もだ」
「蔵馬、瑠璃覇、貴様ら」
まさかの謀反に、黄泉は冷や汗をかいた。
癌陀羅の、幽助が案内された客間を見下ろせる場所には、軀と飛影がいた。
「はっはっはっは。あいつらしい。実にな。実にバカだ」
幽助の、幽助らしい提案に、飛影は大口をあけておもしろそうに笑っていた。
「飛影」
飛影が笑っていると、隣に立っている軀から声がかかる。
「皆に伝えてくれ。今日から軀は、ただの妖怪だとな」
「お前、気に入ったぜ」
「国など関係ない。ただの軀だ。オレもあいつにのった」
軀も幽助の案に応じた。
同じ頃、客間では、黄泉が飛影と軀の言動を把握した。
「(軀め……)」
まさか、蔵馬達だけでなく、自分が敵対している国の主の軀までも同意するとは思わず、予想外の展開に、黄泉は苦虫を噛みつぶしたような顔になる。
「仕方あるまい」
瑠璃覇達だけでなく、軀までも幽助の案にのった今のこの状況では、自分がやられるかもしれないので、黄泉は条件をのまざるをえず、幽助の案に応じた。
これより、わずか半日で、雷禅の死と、軀・黄泉の国家解散の報せが、魔界全土に知れ渡った。
ここに、魔界全てを巻き込んだ、トーナメント開催が決定する。
幽助が癌陀羅を訪ねてきた次の日。
瑠璃覇と蔵馬は、一度人間界に帰ることになった。
だが、瑠璃覇は黄泉に個人的な話があるので、一人黄泉に会いにいき、蔵馬には別の場所で待ってもらっていた。
「どうした?瑠璃覇。めずらしいな。お前が、オレに自ら会いに来るなんて…」
今瑠璃覇は黄泉の部屋におり、黄泉は瑠璃覇が訪ねてきたことに、うれしそうに顔をほころばせた。
「どうしても……貴様に確認したいことがあってな…」
「ほう?それはどんな…」
黄泉は、人差し指を唇の下にやり、瑠璃覇に問いかける。
「あの女が来たのは、私が言玉を受け取る何日前だ?会ったというのはどこでだ?」
「もう一年も前だから、くわしくは覚えていないが……大体二日ほど前だったか…。会ったのは、この癌陀羅でだ」
「そうか…」
自分の問いに、ちゃんと答えてくれたというのに、何故か瑠璃覇はため息をつく。
「黄泉…」
「ん?」
「癌陀羅に、あの女が来たというのは……お前があいつと会ったというのは、ウソなんじゃないのか?」
「…何故……そう思う?」
「私は、去年初めてここに来た時、癌陀羅をくまなく捜索した。妖気を探り、臭いをかぎ、癌陀羅の奴に聞いてまわった。けど、ひとつも有力な情報を得られなかった。私は鼻がきく。元の姿と妖力に戻れば、数日前のものなら感知できる。だが、お前からも、国の者からも、この癌陀羅のどこからも、あいつの臭いはしなかった…」
「………瑠璃覇には敵わんな…」
その返事が、自分が言ったことに対する肯定の返事だとわかり、瑠璃覇は更に深いため息をついた。
「もしかしたら、三大国王である黄泉の側にいれば、そのことが耳に入り、私の妖気を感知して、むこうからやって来るかもしれないと期待してここにいたが……。とんだ骨折り損だったな」
瑠璃覇が不満を口にすると、黄泉は何も言えなくなってしまう。
「話はそれだけだ。じゃあな」
「待て、瑠璃覇」
もう用はなくなったと、瑠璃覇はこの場から去ろうとするが、そこを黄泉に呼び止められたので、無言でふり向いた。
「確かにオレはウソをついた。だが、それはどうしてもお前に、オレのところに来てほしかったからだ」
「そんなことはどうでもいい……」
まったく少しも、興味のカケラも示されないので、黄泉は悲しそうな表情を見せる。
「瑠璃覇、国家解散したといえど、まだオレの命令で動く兵はいる。騙したわびに、今動かせる兵力を総動員して、あの女を探すのを手伝おう」
けど、それでも瑠璃覇の力になろうと協力を申し出るが、瑠璃覇は喜ぶどころか、肩越しに鋭い目で黄泉を睨みつけた。
「遠慮する」
そして、短く…冷たく言い放つと、顔をもとの位置に戻し、前に歩きだす。
「お前に…借りはつくらない…」
歩きながらそれだけ言うと、今度こそ、黄泉の部屋から去っていった。
それから、二日後の霊界……。
「失礼致します、エンマ大王様」
霊界で働く鬼の一人が、エンマ大王の部屋までやって来た。
「なんだ?」
「エンマ大王様に、お客様でございます」
「客?一体誰だ?」
「……そ、それが………」
何故か、言いにくそうに口ごもる鬼に、エンマ大王は疑問符を浮かべた。
「久しぶりだな、エンマ大王よ」
「!」
すると、そこへ一人の老婆が入ってきた。
まだ入室の許可を得ていないのに、老婆が入ってきたことに鬼は焦り、エンマ大王は、自分を訪ねてきた相手に驚き、目を見開いた。
「貴様は……」
「くくく…。まさか、このわしを忘れた…なんてことはあるまいな?」
「いや、そんなことはない。ちゃんと覚えているとも」
「くくくくくく。それは何より…」
鬼は、目の前の光景に、終始驚きっぱなしだった。
この老婆が、エンマ大王と親しげに話していることもだが、何より老婆の素性であった。
実は、この老婆は妖怪なのである。
見た目は人間のようだが、老婆から放たれるものは、霊気ではなく妖気。
妖怪がいきなり霊界にやって来たこともだが、彼女が訪ねてきた相手がエンマ大王だということ、そして何よりも、エンマ大王と親しげに話していることにも、とても驚いていた。
霊界の長が妖怪と話しているなど、信じられないことだったのだ。
「おい」
「は?はっ…」
ほうけていると、いきなりエンマ大王が自分に話しかけてきたので、すぐに覚醒し、返事をする。
「御苦労だったな。もうよい。さがれ」
「はっ」
エンマ大王が彼の労をねぎらうと、鬼は返事をして、そこから去っていった。
老婆と二人だけになると、エンマ大王は御簾をあげて、相手に顔を見せた。
「さて……今回は、一体なんの用だ?」
鬼が去っていくと、老婆に向き直り、用件を聞きだす。
「そんなものは、ひとつに決まっておる」
そう言うと、老婆はニヤリと笑った。
「パープル・アイのことよ」
瑠璃覇の名前を聞くと、エンマ大王は目を細める。
「魔界では、雷禅が死んだ」
「なんと…」
「そして、その雷禅が、人間界でつくった子供が、魔界統一トーナメントというものをやろうと、黄泉に提案した。黄泉はそれを受け入れ、軀もそれに同意し、双方の国家は解散された」
「何…!?」
次々と信じられないことが耳に入り、エンマ大王は驚くばかりだった。
「そして、その魔界統一トーナメントに、パープル・アイも出るようだ」
「ほう…」
「それならば、わしも出ようと思ってな。それを報告に来たのだ。
あの小娘め……必ずこのわしの手で、とどめをさしてやる。お前とは同盟を組んでいるが、こればかりは譲れぬ」
「そうか。パープル・アイを始末できるのなら、ワシはどんな方法でも構わん。好きにせよ」
エンマ大王が許可を出すと、老婆はニヤリと笑った。
「三ヶ月後の、魔界統一トーナメント。その日が、パープル・アイの最期の日よ…!!」
ぐっ…と、強く手をにぎりしめる老婆からうかがえるのは、怒り、恨み、憎しみといった、負の感情であった。
波乱の魔界統一トーナメントまで……あと、98日…。
.