第六十八話 魔界の穴
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「ば、ばーさん」
それは、ここにいる全員が知っている幻海だった。
「一体どーいうことだ!?」
驚きを隠せず動揺する幽助に対し、幻海は表情を変えず、無言で立っていた。
「答えろくそばばあ!!」
第六十八話 魔界の穴
「一体こいつは何のマネだ!?」
幽助が幻海に怒鳴ると、城戸の手から電話がすべり落ち、それが床にぶつかる音が響く。
「すんません!!」
「あ?」
「本当にすんませんでした!!」
そしてその後、いきなり城戸が土下座して謝ってきた。
「こんなことしたくなかったけど…。すんません!!」
「お前が謝る必要はない。ほとんどあたしが仕組んだようなもんだからね」
「全く師範も人が悪い。うすうす感づいてはいましたが」
「まったくだ。最初から、なんか変とは思ってたがな」
「だァーー。さっぱりわかんねーーーー!!蔵馬、瑠璃覇、頼む。オレにわかるよーに説明してくれよ」
「少々悪趣味な自己紹介。そんなところでしょう?師範」
「まーな。だが別に、趣味でやったわけじゃないよ。パワーだけじゃない。こいつらの領域の能力を、肌で感じて欲しくてな」
「蔵馬、瑠璃覇ちゃん、いつから気付いてたのさ」
「このアトリエに入ってからですよ。彼らはその気になって、もっとずるくやれば、いくらでもオレ達を倒すことができた」
「あ…確かに」
蔵馬に言われると、幽助は、蔵馬達が来る前に城戸に言われたことを思い出して、納得していた。
「それをしなかったのは、何らかの意図があるはずだけど、オレ達のことをよく知っていて、こんなまわりくどいことをする人物は、他に思い当たらなかった」
「る、瑠璃覇は?」
「私も蔵馬と同じ意見だ。もっと言うなら、あの手紙だな」
「手紙?こいつらがよこした、あの置き手紙のことかい?」
「そうだ。あの手紙には、おかしな点があったからな。場所と時間の指定はともかく、その後に書いてあった、「何人でも可」というところだ」
「それのどこがおかしいってんだよ?」
「あんな短時間で、そんなに集められるわけはないが……あれはたとえば……そう……私達の他に、百人でも…千人でも…一万人でもいいということだ。
相手は間違いなく人間。桑原が、幽助は普通の人間とケンカをしに行っていなくなったと言っていたし、あの手紙からは、三人の人間の臭いがしたからな…。
それに、私と桑原と蔵馬と飛影は、必ず来いと書いてあったのもそうだ。私と蔵馬と飛影は妖怪。桑原は人間だが、一般の奴より力がある。私達のことを知ってるということは、当然私達の強さも知っているはず…。どれだけ強い能力をもっていて、どれだけ自信があるのかは知らないが、多勢に無勢という言葉がある。たとえどんなに強い能力をもっていたとしても、たったの三人で、私達と、そんなにたくさんの人数を、ただの人間が相手になどできないしな。
だから、ただの力くらべや恨みの類、金品などが目的ではないと思ったんだ」
「確かにな……」
「更に言えば、こういう脅迫文というのは、絶対に自分が不利になることや、自分に害がふりかかるようなことは書いたりしない。絶対に、自分に有利になり、相手が不利になるようなことしか書かれないからな。
おそらく「何人でも可」というのは、私達四人以外で、魔界や霊界に関係してる者……ということだろう」
「なるほど」
「あともうひとつ…。このアトリエに入った瞬間、幻海のババアくささが臭ってきたからな」
「なるほどな!」
「はったおすよ!!」
最後の説明に、幽助は今まで以上に納得をし、それを聞いた幻海は激怒した。
「理由がまだわからんな。なぜそうまでして、そいつらの能力を、オレ達にわからせる必要がある?」
「お前達五人は強い。だが、やり方次第で、お前達を殺すこともできる奴がいることを、まず知ってもらいたかった。
飛影、お前は海藤の領域で魂をとられた。不用意にしろな」
「あぁ?なんだ飛影、おめーもとっつかまったのか?あ、もうしょーがねーな」
「幽助、お前も同じだ」
「う…」
自分のことは棚にあげる幽助を叱咤すれば、事実なだけに、幽助は言葉をつまらせる。
「けっ。敵の能力がわかってりゃ、そんなヘマしねーや」
「本当の敵が、わざわざ自分から能力をあかすと思うか!!」
「うっ」
「敵につかまることはすなわち、己の死を意味するんだ」
「けど、敵っつってもよ、そいつら結局違うんだろ!?じゃ、一体誰なんだよ!!」
「城戸、話してやりな」
「は、はい」
幻海に促され、城戸はようやく、今までさげていた顔をあげた。
「オレ達、この変な力のことで、幻海さんのところへ相談に行ったんです。浦飯さんのすごい霊力のことは、そのとき知りました。実はオレ達、こんな能力を持ってしまったのは、ごく最近。それも、突然なんです」
「突然?」
「魔界の穴の影響さ」
「魔界の穴?」
「人間界と魔界をつなげる、界境トンネルのことだよ………!!」
「ま、まさか…」
「そう…。あの暗黒武術会のオーナー、左京がやろうとしたのと同じことだ」
「な、何だと…!!」
幻海の口から出た真実に、幽助は驚愕し、口をあけ、目を大きく見開いた。
「ばーさんから話は聞いたぜ」
「桑原」
幻海の話に驚いていると、幻海が入ってきたドアから桑原が入ってきた。
「魔界との扉を開こうとしているヤツがいる!!とてつもなくやばくてデカイ、暗黒の扉だ」
「表情とカッコウが合ってねーよ、てめー」
「うっせーなおめー。わかってんだよ」
シリアスな話をしているが、桑原はトランクスだけで他に服は何も着てないという、なんともマヌケな姿だった。
「おら、服返せてめー。コラァ」
桑原は服を返してもらうため、柳沢の方へ歩いていった。
「でも、左京は死んだはずだよ。一体誰が…」
気をとりなおしたように、ぼたんが幻海に問いかける。
「確かに左京は死んだ…。恐らく、左京の意志を継ぐヤツらがいるっていうことだね」
「左京の意志を…継ぐ者…」
「それにしても信じがたい。まったくの異次元である魔界と、人間界の狭間の、巨大な亜空間に、穴をあけるほどの力が、存在するというのか」
「フン。そんなことができるなら、オレはとっくに魔界に帰ってるぜ」
「百聞は一見にしかず。どうだ、見に行くかい?」
幻海の誘いに、魔界の出身者である瑠璃覇、蔵馬、飛影は目を見張った。
「そいつはどこにあるんだ?」
「蟲寄市」
「蟲寄市!?目と鼻の先じゃねーか!!」
魔界の穴をあけられている場所が、自分達が住む皿屋敷市の隣の市だったので、幽助はますます驚いた。
その時、ぼたんのトランクから、アラーム音が聞こえてきた。
「コエンマ様からだわ」
アラーム音が鳴ると、ぼたんはトランクを床に置いて、トランクをあけた。
《ぼたん!幽助と瑠璃覇はいるか?非常事態だ!!》
トランクをあけると中の画面の電源が入り、コエンマの顔が映る。
「みんなここにいるよ。界境トンネルのことだな」
《おお、幻海か。その通りだ!!異常なスピードで、穴が広がっている。明らかに人為的な力だ!!範囲が狭すぎて、気付くのが遅れてしまった》
「もう既に、人間界に影響が出始めている。突然奇妙な能力に目覚めた人間達が、この一ヶ月の間に、既に30人も出てきて、あたしのところに助けを求めて相談にきた。
こいつらもそうだ。この特殊な能力に目覚めたのは全て、蟲寄市に住んでいる者達だ」
《うーん…。蟲寄市だけに影響がとどまっているのは、不幸中の幸いだが…もう第二段階に入ったか…》
「第二段階……!?どういうことだ!?」
《お前達にどこまで話すべきか…。何しろ、霊界のトップシークレット事項も、その中に含まれているのだからな…》
「もったいつけねーで、さっさと言え!!」
《わかった…。では話そう…。界境トンネルが完全に開くまでには、四段階あるのだ。
まず第一段階、人間界で瘴気が濃くなり、魔界の下等生物が増大する。
第二段階、魔界が近づいたことによる影響を受けて、人間の中に、特殊な能力を持つ者が多く現れ出す。
さらに第三段階、D級以下の妖怪が人間界でもぞろぞろと生まれ出す…。知性の乏しい、狂暴な奴らが……。
そして第四段階、穴が直径2Kmを超えたとき、最終段階に達する》
「最終段階!?」
「一体どうなるんだ!!」
《C級妖怪とB級妖怪が、人間界を自由に出入りできるようになる》
「それは?」
《霊界では、妖怪をその妖力の強さでランク付けしているのだ。B級妖怪とは、戸愚呂クラスの妖怪だと思って間違いない》
「戸愚呂がB級だ!?あんなスゲー奴がB級だってのかよ」
《魔界は、果てしなく深く広い。霊界が管理しているのは、魔界のごく一部にすぎんのだ》
「な……初めてきいた…」
《魔界は、とてつもなく広くて深い、地下のビルだと考えてもらえばいい。我々が管理できているのは、地下一階のわずか半分だけなのだ》
「たったそれだけかよ」
《ここから先は、危険すぎて踏みこめん。長い年月をかけて、少しずつ陣地を広げるしかないのだ。そして、魔界の奥底には、A級妖怪と超A級といわれるS級妖怪がいる……!!S級妖怪は、霊界ですら手が出せん!!》
コエンマの表情が曇り、霊界ですらどうにもできない妖怪がいるという事実に、幽助は冷や汗をかいた。
「コエンマ、霊界はこんな事態に対して、今まで、なんの備えもしてこなかったというのかい?」
《いや…。魔界と人間界の境である亜空間は、強力な結界で封じている》
「な~んだ。それなら安心ね。あ、やれやれ。…ん?だったらどうして、妖怪が出入りできるの?」
《だがその結界は、A級とS級妖怪を外に出さないためなのだ。あまりにも巨大な結界のために、B級以下の妖怪は、その隙間を通りぬけてしまう》
「結界の隙間?」
《しかし、A級とS級妖怪は、一匹たりとも侵入させてはならんのだ!!》
「そ……そんなにヤバイってのかよ。B級妖怪全てより…A級以上の妖怪一匹が………そんなに?」
冷や汗をかきながら声を震わせる幽助に、瑠璃覇、蔵馬、飛影の三人は、目を鋭くさせる。
《もし、一匹でもS級妖怪の侵入を許したら……その時、人間界は………》
深刻な話に、この時瑠璃覇の目は、先程よりもさらに鋭くなった。
「何なんだよ。その、A級とかオバQとかってのは?霊力が戻ってねェから、オレには画面も見えねェし、コエンマの声だって、なーんにも聞こえてねェんだぞ。ちゃんと説明しやがれ」
桑原に質問されるが、みんな桑原の問いには答えず、画面を凝視したままだった。
「何が……あったんだよ?一体」
同じ頃……蟲寄市の一角にあるマンションに、男が一人入っていった。
背の高いオールバックの男で、彼はエレベーターに乗りこみ、最上階で降りると、その一角にある部屋へと入っていく。
廊下を歩いていき、リビングに入ってすぐのところに、熱帯魚を飼育している大きめの水槽があった。
魚が泳ぎ、水草が揺れ動いている中、ひとつの不気味な影が姿を現した。
「トンネルの方は?順調ですか」
不気味な影の正体は、あの戸愚呂兄で、男が側に置いてあった椅子に腰かけると声をかけた。
声をかけられると、男は戸愚呂兄が言ったことに答えるように、口角を少しあげて、軽く笑みを浮かべた。
「そうですか。そいつはよかった。くっ…くくくく。だが、必ずジャマが入りますよ。いまいましいヤツらがいましてね~~。お願いですよ~~~。敵をとって下さいよ~~~~~~。
仙水さん」
戸愚呂兄に名前を呼ばれると、名前を呼ばれた男…仙水は、片目をピクリと動かす。
「あなたならできますよ…」
そう言われると、仙水は立ちあがって窓の方へ歩いていった。
「お前の指図は受けない」
仙水は背を向け、話しながら窓のカーテンをあける。
「……だが、こんな楽しいことは、誰にもジャマはさせないさ」
「お願いしますよ。くくくくくくくく」
戸愚呂兄は不気味に笑うと、水槽の奥にひっこんでいった。
「はてしない、残忍な欲望で腹を満たし、それでも足りずに、なんでも食らい、なんでも壊す人間ども…。お前達が、さばかれる時がきたのだ…!!」
場所は戻り、四次元屋敷では、桑原が、先程コエンマから聞いたことを、みんなから聞いていた。
「なにィ!?魔界と人間界をつなぐ穴から、戸愚呂クラスの妖怪がわんさか踊りながら出てくるだと!?しかも、そいつらがB級で、んでもってさらにその上にはA級とS級妖怪がいるってのか!?霊界でさえ手が出せねェヤバすぎる奴らが!!どうしろってんだよ!?どうしようもねェじゃねェかよォオオ!!」
「落ちつけ!」
「霊界は、A級とS級妖怪を、結界で魔界の外に出れないようにするのが精一杯らしい。しかし、その結界を、人間界の方から壊そうとしている奴がいる」
「詳しい話は、海藤の魂を戻してからだ」
「ああ、いたなそんな奴。ぽっくり忘れてた」
海藤の魂を戻すため、一同は一階に降りていった。
幻海は海藤の前に立つと、霊力を高め、手をかざし、海藤の魂を肉体に戻した。
「うっ…。あ、どうやら、幻海さんの計画通りに、事は運んだみたいですね」
目を覚ました海藤は上半身を起こし、幻海や城戸や柳沢、幽助達が自分の周りにいることで、今の現状を把握した。
「事情は大体聞いた。かなりインパクトの強い自己紹介だったな」
「いや、正直言うと、オレは本気でやらしてもらったよ。一度、キミに勝ってみたかったからね。でも、完敗だった」
「けどよ、自分で魂戻せないんじゃ、ばーさんがいなかったら、一体どうなってたんだよ?」
「もちろん、おっ死んでるさ」
「えぇっ!!」
「こいつらが、あたしのところにきた理由がそれさ。「仲間の魂が戻らなくなってしまった。助けてくれ」って。
魂だけの状態ってのは、一番無防備で危険なんだ。肉体はおろか、霊体からも守られてないんだからね。まる一日ほっとけば、そのまんまあの世行きさ」
「はぁ…。お前のことだ…。自分で試してみたな」
「ああ、自分で禁句を言ったらどうなるか、どうしても知りたくてね」
蔵馬の問いに答えながら、海藤は立ちあがる。
「あらためて自己紹介するよ。海藤優。17歳、高2。能力は、"禁句(タブー)"」
「城戸亜沙斗。15歳、中3。能力は、"影(シャドー)"」
「柳沢光成。16歳、高2。能力は、"模写(コピー)"」
彼らが簡単に自己紹介すると、幻海が三人の前に立った。
「こいつらはみな、蟲寄市の住人だ。不思議な能力に気付いたのは、一か月ほど前だそうだ」
「オレ達、共通して激しい頭痛と吐き気におそわれた時期がある。たぶん、それが能力に目覚めたときだと思う」
「武術会が終わって、間もないころだな」
「それが、トンネルの第二段階だとすると…トンネルが広がりはじめたのは…武術会終了直後か」
その時、再びトランクからアラーム音が鳴り響いた。
「またコエンマ様からだわ」
アラーム音に気づくと、ぼたんは椅子の上に置いておいたトランクを開く。
《魔界へ続く穴は、凄じいスピードで広がっているぞ。このまま進めば、最終段階まで、遅くともあと三週間だ》
「三週間……!!三週間後には、戸愚呂クラスのB級妖怪までが全て…人間界を自由に出入りできるようになってしまう」
幽助の脳裏には、無数のB級妖怪が人間界に侵入してくる様子が浮かび、顔が青ざめ、冷や汗をかく。
「止める方法はねーのか!!穴をふさぐ方法は!?」
《方法は…術者を倒すしかない。これが蟲寄市だ》
方法を説明するため、コエンマは自分の後ろの壁にテレビを出し、蟲寄市を映しだした。
《空間の歪みは現在1.3Km。これが2Kmになり、穴が広がりきってしまえば、もう……ふさぐことはできん!!穴の中心に、空間を歪め、魔界への穴を広げている術者がいるはずだ》
「穴の中心か。場所がわかりゃ、こっちのもんだ。今すぐ行って、穴あけてる奴らをぶちのめしてやるぜ」
「ちょっと待て、幽助!!」
「オメーら案内しろ!!地元なら詳しいだろ」
まるで食いつくように三人にせまる幽助を、幻海はいとも簡単に手ではらい、幽助は宙に浮くと頭から落ちていく。
「ってーーな。何しやがんだババァ!!」
「お前の頭は反省って言葉を知らんのか!!一度脳みそを、クリーニングに出してこい。敵の能力もわからずに向かっていって、今回と同じヘマをやらかす気か。何のために、こんな芝居をやってみせたと思ってるんだ。ボケ!!」
「けど、もたもたしてたら穴は広がる一方なんだぜ!!」
「ああ、浦飯の言う通りだ」
「まだ、三週間ある!!敵は何人か、ボスは誰か、どんな能力か、この三つ。これを知るのが何よりも必要なことなのだ」
「私も幻海に同感だな。敵の情報を、何ひとつつかまずに向かっていっては、返り討ちにあうだけだからな」
「コエンマ。オレも、貴様に聞きたいことがある」
瑠璃覇が幻海が言ったことに同意すると、飛影が一歩前に出てきて、画面の向こうにいるコエンマに話しかけた。
「今のオレは何級だ?」
「飛影!!」
「答えろ。霊界では、オレを何級の妖怪にランクしている」
飛影が問うと、ぼたんは霊界TVの画面を飛影がいる方に向けた。
《今のお前は、B級の中位妖怪にランクされている。戸愚呂弟はB級の上位妖怪だった》
「ちっ。みくびられたものだな」
《ことわっておくが、お前が幽助と戦ったときは、D級の上位にしか、ランクされていなかった。それがわずか半年たらず…。お前の格闘センスには、驚かされるばかりだ》
「フン。それでおだてたつもりか?」
飛影はコエンマから答えを聞くと、踵を返し、ドアに向かって歩きだした。
「飛影」
「人間界がどうなろうとオレの知ったことじゃない」
「おう、待てよ飛影!!」
「魔界との巨大な穴があくなら願ったりだ。穴が直径2kmになれば、B級妖怪は自由に出入りできるんだろ?あとは勝手にやればいいさ。お前らのジャマをする気はない。助けるつもりもない」
「てめー、それ本気で言ってんのか」
「ああ。オレは魔界に帰るぜ」
そう言うと、飛影はこの家から去っていった。
「くそっ。オレは見そこなったなんて思っちゃいねーぞ。もともとあーゆー奴なんだよ。あいつはよ」
「きてくれるさ。オレ達だけじゃ、どうにもならなくなったらな…」
「彼もとまどっているんですよ。魔界が近くなった影響は、人間だけにおきているわけじゃない」
「そうだな…」
何やら意味深なことを言う蔵馬と、それに同意する瑠璃覇。けど、この二人の言葉の意味は、まだ周りの者達にはわからなかった。
「まあ、今はあいつに、おとなしくしてもらっていた方がいいかもしれん。当面の敵は、正々堂々一対一で戦いを挑んでくるとは限らんからな」
「で、どうすんだよ。これから?」
「行動に入るのは、夜が明けてから。こいつらの協力も必要だ」
「やってくれるのか?」
「もちろんだ。自分達の街が、おぞましい姿に変わっていくのをみすごせるか」
「この能力をもってしまった以上、魔界側に利用されるか、人間界を守るか、どちらかだと思う」
「それならオレ達は、人間界を守る側につく」
「よし。とりあえず今日はぐっすり寝ることだな。明朝、二手にわかれて街の様子を探る。とにかく、一人での軽率な行動はさけろ」
話がまとまると、幻海はみんなに警告と、これからの行動について説明をした。
「え、みんなでここに泊まんのか?でもよ、オレ…デリケートだから、枕変わると眠れねーんだよな。一緒にからみあって寝ましょうか?瑠璃覇ちゃん、ぼたんちゃん」
「この…バカもーーん!!」
「誰がするか!!」
「いたぁああああ!!」
ふざけたことを言う桑原に、瑠璃覇とぼたんは二人同時にビンタをした。
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