第五十八話 脅威、100%の戸愚呂!!
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「な、なんてヤローだ。あの霊丸を、まともにくらったのに」
今まで見たことないほどの、大きな霊丸をもろにくらったというのに、まったくの無傷だったので、桑原は顔が青ざめるだけでなく、冷や汗もかいた。
「やっぱり、このままじゃムリか」
霊丸がまったく聞いていないというのに、何故か不敵な笑みを浮かべた幽助は、左腕のリストバンドをとった。
リストバンドをとると、その下の手首は黄色に光っていた。
「おっと、浦飯選手。自らリストバンドをはずしてます。おや!?手首が光っているようにも見えますが」
そして、もう片方の右手のリストバンドもとると、左右の光が繋がって枷のようになり、それだけでなく、足にも同じ光が、枷のように繋がっていた。
第五十八話 脅威、100%の戸愚呂!!
「呪霊錠…。修の行か」
昔幻海と戦っていた仲間なだけあって、戸愚呂は幽助の手足に光るものがなんなのか、一目でわかった。
「浦飯の手足に光る枷が!?あれは一体!?」
「…………ハンデをつけて戦っていたのか。あの戸愚呂と………!!」
「やっぱり、バカはバカだな」
「おい、なんなんだよありゃあ?」
「たぶん、霊力を向上させるためのものじゃないのか?私は、霊光波動拳の使い手じゃないから、よくわからんがな」
「じゃあ、さっきの浦飯の力は、まだ本来のものじゃねえっていうのか?」
「おそらくな…」
瑠璃覇の予想に、桑原は幽助に目線を戻し、固唾をのんで見守った。
一方幽助は、試練を受ける前に、この枷をつけられた時のことを思い出していた。
そして、これをはずすべき時は今だと直感し、心の中で幻海に断りをいれると、腕を横にひろげる。
「開(アンテ)!」
鍵の言葉を唱えると呪霊錠は消え、幽助の霊力が急激があがりだした。
「こーれは驚き!!なんと浦飯選手、まだ余力を十分残して戦っていました!!」
「すげェ!!互角以上だぜ!!あれなら力比べをやっても負けやしねェ」
「(だが……今の戸愚呂はまだ80%。100%にすらなっていない…)」
桑原は興奮して、これなら大丈夫だろうと思っていたが、瑠璃覇は今の状況を、冷静に分析していた。
「…………呪霊錠をかけて、霊力を抑えたままでオレに勝つつもりだったのか」
「まーな。だが、やっぱムリだった」
「オレをためしたつもりか…。ずいぶんとなめられたもんだねェ。
こい……!ためしているのはどちらか教えてやる」
戸愚呂は構えをとり、いつでも応戦できるようにした。
幽助は戸愚呂が構えると、すぐにとび出していく。
それは、今までよりもずっと早い動きだった。
「「速い!!」」
「消えた?」
「それはお前が見えていないだけだ…」
消えたのではなく、目にも止まらないほどのスピードで動いてるだけなのだと、瑠璃覇は呆れ気味に言った。
「うらァ!!」
一気に戸愚呂の懐にとびこんだ幽助は、戸愚呂に連続でパンチをあびせた。
それは、顔や体、腕にあたり、戸愚呂をふっとばした。
「と、戸愚呂を」
「素手でふっとばしやがった」
それを見た観客も桑原も、驚きの声をあげた。
今まで、幽助を含め、誰一人としてそんなことができた者はいなかったからだ。
今の攻撃で後ろにふっとんでいった戸愚呂を、幽助は追いかけていくと、今度は胸に一発くらわせた。
その威力で、戸愚呂は少し血を吐き、地面が陥没した。
「うららららら」
幽助は休むことなく、相手に反撃する間すら与えず、マウントポジションをとり、顔や体や腕を、とにかく殴って殴って殴りまくった。
「こ、拳の弾幕だ。反撃する間を、あれなら全く与えない」
「いける!!!休むな浦飯ィーーー!!」
「そのまま倒せっ!!」
幽助が優勢となり、応援にも力が入った。
しかし、殴っている時、戸愚呂と目が合った瞬間、幽助は背筋が凍る思いをし、突然攻撃をやめて、穴の中からとび出てきた。
「(殺気でも怒気でもねー……。目があっただけで殺される気がしたぜ)」
幽助は顔に冷や汗をかいていた。
戸愚呂は立ち上がると、ゆっくり穴から出てきた。
その体はやせて細くなっており、今までのたくましい筋肉はなくなってしまっていた。
「………不気味だ。まるで、大津波がくる前の海辺に立ってるみたいだ」
蔵馬は、戸愚呂から不気味な気配を感じとり、幽助と同じように冷や汗をかいていた。
「100%……!!」
幽助から受けた傷はなくなり、体がみるみるうちに変化していく。
「初めて"敵"に会えた…。いい試合をしよう……」
戸愚呂からは強い妖気が放たれ、観客席にいる弱い妖怪達は、次々にやられていった。
「るああーーー!!」
妖気を放出すると、筋肉の超蠕動が起こり、戸愚呂は吐きながらもどんどん変形していく。
「(筋肉の超蠕動!!)」
「(信じられん。本当に元人間か!?)」
「今しかねー。攻撃しろーーー!!100%になっちまったら、もうどうしようもねーぞ!!」
桑原が大声をあげて忠告する。
「(体が動かねー。動いてくれーー。
こわさじゃねーな。見てーんだ。オレ自身、ヤツの100%を)」
けど、幽助は戸愚呂を見たまま動かなかった。
周りの観客達は、目の前の恐ろしいものを見ると、冷や汗をかいて固まった。
「……と、とうとうなっちまった」
目の前にいるのは、100%になった戸愚呂。
その戸愚呂を見た途端、桑原の顔から血の気が引いていった。
「さっきから霊感が働かねーから、おかしーと思ってたが、理由(わけ)がわかったぜ。あんな妖気をまともに感じたら、頭がどーにかなっちまう」
目の前にいる戸愚呂は、肩に突起のようなものがあり、大きな肩パッドをいれたような肩に、筋肉のみで体が固められているといった感じの体だった。
桑原は冷や汗が止まらず、コエンマは、今更ながら、あまりにヤバイかけをしたかもしれないと思い始め、幽助が、幻海にもう一年早く会っていたら…と思っていた。
「…と…とうとう100%ですーーーー!!戸愚呂選手がこの姿になっただけで、観客の約1/4が消滅してしまいましたーーー!!」
動けない幽助のもとに、戸愚呂は近づいてくると、幽助に向けて親指を弾いた。
それだけで、幽助は勢いよく後ろにふっとんでしまう。
「なんだありゃ?いきなり浦飯が、後ろにふきとんだぜ」
「指弾…」
「へ?」
「あいつは、拳を突き出した時に出る風圧だけで、敵を倒せるほどの力をもってる。今のは、指を弾いて弾丸のような空圧をつくり、幽助をふっとばしたんだ」
「何ィ?」
全員がわかっていない中、瑠璃覇だけが攻撃を見抜き、桑原達に説明をした。
「(指弾か……!!指を弾いただけで、弾丸みてーな空圧がつくれるのか…!!)」
幽助も今の攻撃で、そのことに気づいた。
「気づいたな。今度は連続でいくぞ」
今の攻撃を、幽助が見抜いたことに気づいた戸愚呂は、連続で指弾の攻撃をした。
幽助はそれを、なんとか拳ではじいていく。
「(ぐっ。なんて重てーんだ。このままじゃ、受けてるだけで、どんどん体力が減ってくぞ)」
けど、幽助は防御するだけでいっぱいいっぱいで、危機を感じていた。
なおも指弾の攻撃は続き、この光景を、観客達は喜んで見ていた。
「くっ。
くそったれ!!」
このままでは埒があかないので、幽助は跳躍して戸愚呂に近づき、戸愚呂に殴りかかっていった。
だが、戸愚呂は幽助のパンチを、親指1本だけで止めてしまう。
「なっ……」
それに幽助は驚き、その隙に戸愚呂は、もう片方の拳で幽助の左腕を殴った。
そのせいで、骨がきしむ嫌な音が響く。
「浦飯ーー!!」
「うぁあ」
殴られた幽助は後ろにふっとんでいき、殴られた箇所は青く変色した。
「ぐっ…。ち、ちくしょお~~~」
幽助はふっとんでいくと、仰向けに倒れるが、すぐに起き上がり、右手の人差し指に霊気をため、霊丸を撃とうとした。
「全力でうってみろ。ラストチャンスかもしれんぞ」
「なめんなーーー!!」
幽助は霊気をためると、巨大な霊丸を撃った。
「喝!!!」
だが、戸愚呂は気合いだけで、霊丸をかき消してしまった。
「気…合いだけで、霊丸を……」
それを見て、幽助や、他の浦飯チームのメンバー、小兎や観客達も、目と口を開き、そのまま固まった。
「元人間のオレの経験からみて、今のおまえに足りないものがある。
危機感だ」
そう言うと、戸愚呂は素早く幽助の前に移動して、幽助の腹にパンチを一発くらわせた。
幽助はその衝撃で、3階の客席までふっとんでいき、壁に背中を強打してしまう。
それは、それだけで壁に穴があいてしまうほどの威力だった。
「おまえ、もしかしてまだ、自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」
たったこれだけの攻撃でこの威力なので、左京は、かけは自分の勝ちだと思い、あまりの強さに、コエンマは冷や汗をかいていた。
「ぐっ、がはっ」
幽助は腹を右手でおさえ、両ひざをつくと、あまりにすさまじい威力のために吐血した。
「勘違いしてないかね。オレが、100%になった理由(わけ)を。お前はまだ、100%のオレと戦う"資格"を持ったにすぎない。今のお前を殺そうと思えば、片腕で十分だということを忘れるな。
だが、それでは100%になった意味がない。わかるかね。
お前には義務がある。今持てる力を最大限に使い尽くし、オレと戦う義務がな。
お前が最大限の力を出すきっかけは、何かをずっと、オレは考えていた。痛みか?死への恐怖か?怒りか?お前の今持てる最大の力を見るためなら、喜んで協力するぞ」
「く、狂ってやがる。奴は完全な戦闘狂だ。
本能だ。闘争本能だけで、奴は生きてやがるんだ」
「本能?ちがうね。純然たる意志だ。自らに課した生きる目的だよ。本能などというものは、生きるための手段にすぎん。
このようにな……」
戸愚呂が話し終えると同時に、戸愚呂の肩の突起が上を向いた。
すると、死んだ妖怪達の魂が、突起の穴にどんどんと吸いこまれていく。
「言い忘れたが、100%のオレは、ひどくハラがへる。弱いものからどんどん喰う。気を吸いとりながらな。この会場のエサを喰い尽くすのに、20分とかかるまい。ぼんやりしてていいのかね?お友達も応援に来てるんだろ?くくく」
戸愚呂は気味悪く笑うと、妖気を放出した。
それによって、まだ死んでいない観客達も次々に魂となり、戸愚呂に吸いこまれていった。
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