第四十一話 意外な結末
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「く、桑原!!」
「う~~~~す」
突然声をあげた桑原に幽助は驚き、桑原はよろよろしながら、幽助のもとへ歩いていく。
「おお、まだあんなのがいたな」
「にを、この…」
飛影がはいた毒に言い返そうと振り向くと、急にアバラに痛みが走ったのでアバラを押さえ、痛そうに顔をゆがめた。
「ほーーれ。ムチャだ、バカ野郎!!オメーは一回戦で、もうボロボロなんだぞ」
「オレしかいねーんだろが。ムカつくまんま暴れるだけなら、奴らと変わんねーぜ。キタネェ奴らにも、筋通して勝つからかっこいいんじゃねーか?大将」
「勝てればな」
「っちいちっせーんだよ、めーはよ」
再び毒をはく飛影に桑原は食ってかかり、そんなやりとりを見ていた瑠璃覇は、微笑ましそうにくすっと笑った。
「ふう~~、やれやれ。完全に、ひきたて役だな」
「そうだな」
蔵馬はそう言いながらもいい顔で笑っており、瑠璃覇も一緒に笑っていた。
第四十一話 意外な結末
「なんと驚きです!!そうです。この人がいました!!イチガキ戦でひん死の重傷を負った桑原選手。根性の復活!!」
まさかの桑原の登場に小兎も驚いており、観客席からは大きな声があがる。
「両者、中央へ!!」
吏将はずっとリング上にスタンバイしており、桑原はボロボロの状態で、フラフラしながらリングの中央へ歩いていく。
「(滅多にまわってくる大役じゃねェ。男冥利につきるってもんだぜ)」
桑原は、自分が大将の看板を背負い、この大役をまかされることに喜んでいた。
「頭の悪い奴だ。そんなに死にたいか」
「おお、殺してみろや。オレはしぶてェぜ」
「フン」
「始め!!」
桑原が中央に来ると、小兎の口から、試合開始の合図が出され、準決勝進出を決める大将戦が始まった。
「なんてザマだ。とうとう、ひとりずつになっちまった」
「これで、相手を倒した方のチームが勝ちだ!!」
「勝った方が、準決勝進出!!」
「きばれァーーーー桑原ァア!!きたねェ大会本部ごとぶっとばしたれ!!」
試合開始の合図が出ると、幽助は気合の入った声援を送る。
「フン。さあ、こい」
「言われんでもいったるわ!!」
試合が始まり、吏将は余裕の笑みを浮かべて立っているが、桑原はそんな吏将の挑発にのり、吏将がいる方へまっすぐに走っていく。
桑原は走りながら、自分の武器である霊剣を出して倒そうとした。
しかし、霊剣は出現せず、からぶってしまい、あっさりと跳んでよけた吏将によって、蹴りとばされてしまった。
「ぐわっ」
蹴りとばされた桑原は、リングにたたきつけられる。
「ぐっ、馬鹿な…。け、剣が出ねェ!!霊気の剣が…」
「なにィ」
霊剣を出すことができず、桑原は驚愕した。
その間に、吏将は桑原のもとへ走っていき、またしても桑原を蹴りとばす。
「ぐあっち」
蹴られた桑原は、今度は仰向けに倒れた。
だが、桑原は蹴られても立ち上がる。
「それ それ」
しかし、間髪いれずに、吏将に何度も何度も殴られた。
そのたびに桑原は傷つき、血を流す。
「体は正直だな!!剣が出せない理由を教えてやる。お前のケガは普通の人間なら、とっくに死んでいる程重いもの!!今は体の回復で精一杯なのさ!!」
「ハァハァ。くそォ~~~」
「チィ!!」
殴られようが蹴られようが、何度でも立ち上がる。そのしぶとさに、吏将は舌打ちをしながら蹴りとばした。
「それにしても、貴様の頑丈さにはヘキエキだな。
よかろう。冥土の土産に見せてやる。土使い吏将の極技をな!!」
そう言って吏将は、何故か自分から場外に降りた。
「!? 吏将選手、自ら場外に降りました!!一体なにを…?」
小兎もふしぎそうにしていると、吏将の足もとの土が、だんだんと盛り上がっていき、吏将の体を覆っていく。
「ああ!?なんと、1!!場外の土が吏将選手の、2!!体を覆っていきます」
「修羅念土闘衣」
小兎がカウントをとりながら実況を続けている間に、吏将の体は土のヨロイで包まれた。
「そしてくらえ。必殺のォオーーーー!!
ボンバー・タックル!!」
土の鎧を纏うとリングへ戻り、桑原に技を決めた。
その攻撃をくらうと、桑原は、再び仰向けでリングに倒れる。
「ダウン!!1!!2!!」
「フン。これで完全に…」
己の必殺技をもろにくらい、倒れた。それで、もう完全に決着がついたと思った。
しかし……。
「な………何故だ…?なぜ、立ち上がるーーー!?」
傷だらけになりながらも、ぼたぼたと血を流しながらも、体がふらつきながらも、それでも桑原は立ち上がった。
「負けたく…ねェからに決まってんだろ。死んでも、てめェは道連れだ…!!引き分ければ、延長決定戦。そうすりゃ、幽助が今度こそケリつけてくれるぜ」
「う…うぬう~~~」
桑原は自分の決意を吏将に話すと、浦飯チ−ムのメンバーの方へ視線を移す。
飛影…。
憎ったらしいが、てめーは強えぜ…。
確かにな。
蔵馬…。
オメーとの特訓で、ここまでやれたぜ。
瑠璃覇…。
特訓の時、アドバイスや治療をしてくれてサンキューな。
あと、初めて特訓してくれた時も…。
本当は、お前と戦ってみたかったぜ…。
幽助……………
後は、たのんだぜ!!
桑原は、まるで最後のあいさつをするかのように、メンバーそれぞれに念信をし、ニッと笑った。
「桑原!?」
最後の力だ!!
「行くぜェー!!」
桑原は決意を胸に、玉砕覚悟で吏将のもとへ駆けていく。
「(ばかな…。どこにあんな力が) 奴め、本当に死ぬ気か」
「桑原ァア!!」
「桑原っ…!」
「(チクショー。先に行くぜ…!!くたばる前に……もう一度だけ…)」
死を覚悟したものの、桑原は雪菜にもう会えないことが心残りだった。
《和真さん…!!》
しかしその時、突然一人の女性の声が、桑原の頭の中に響いた。
「(あの声は――――。
!!
雪菜さん!!)」
それは、今自分が心の中に思い描いていた雪菜の声だった。
桑原が振り向いた先には、雪菜(本当はぼたん達もいるが、桑原の眼中には入っていない)の姿があった。
「貴様、どこを見ている!!」
自分のもとへ向かってきたはずなのに、急に観客席の方へ目を向けたので、怒った吏将は桑原に殴りかかろうとする。
「てめーはどいてろ!!!」
だが、桑原に裏拳で殴りとばされ、観客席に激突してしまった。
「雪菜さんっっっ!!来てくれたんスか!!」
今さっき死を覚悟したとは思えないくらい、らんらんと目を輝かせ、雪菜に話しかける。
もはや、吏将のことなど眼中にないといった感じだ。
「和真さん。大丈夫ですかーーーー!?」
「ワハハハ。全っ然、ヘーキですよ!!」
雪菜と会って話しただけで、すごく喜んでいる桑原は、もはや今が試合中だということも忘れてる雰囲気だった。
「ぷっ…くっくくくく……」
それを見た瑠璃覇は、思わず吹き出し
「な、なんなんだ、あいつは」
幽助はあきれ
「バ…カな…」
吏将はやられたことが信じられず
「雪…菜?」
飛影は、まさかこんなところに雪菜が来るとは思わず、目を丸くしていた。
その後、場外10カウントで吏将は負け、桑原の勝利が宣言された。
とても意外な結末ではあったが、桑原が吏将を倒したことで、浦飯チームの勝利が決まり、準決勝進出への切符を手にいれたのである。
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