第四十話 勝負の行方
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その爆風で小兎はふきとばされ、瑠璃覇と蔵馬はリングの下に体をひっこめた。
「あたた」
場外にとばされた小兎は、体を起こしてリングを見てみた。
「ああっと、ふたりの姿が見えませんーーー!?激しい力のぶつかり合いで、両者ふっとんだ模様です!!」
小兎がリングの上を確認すると、そこには幽助の姿も陣の姿もなかった。
「って~~」
幽助は場外にとばされ、フェンスにぶつかり、テントの横に倒れていた。
「くそっ、しくじったか……!!」
今の技すら通じなかったので、幽助はくやしそうな顔で起きあがる。
「浦飯選手は場外にふきとんでます。一方陣選手はーーー!?」
幽助はみつかったが、陣がいないので探してみると、上の方でみつけた。
「あぶねーあぶねー。直撃くらったらやばかっただなーー」
「上!!上です」
陣は、なんとか直撃はまぬがれたようで、衣服の一部がやぶれてはいるが、大してダメージを受けていないようだった。
「かなり手強いな………」
今の流れを見ていた飛影が、突然テントの中から幽助に話しかける。
「霊丸と旋風拳が激突する瞬間、逃げることを考えず、突風を上昇気流の様に操り、衝撃波の方向を変えることで、ダメージを最小におさえた。
百戦錬磨という奴だ。キャリアが違うな。あの拳をおさえて、勝つ方法はなにかあるのか」
「ねェ!!だが、終わるまでわかんねーぜ」
自身満々でないと言う幽助に、飛影はあきれた眼差しで見ていた。
「お前らの勝ち負けなどどうでもいいが、ただつっ立ってるのもあきてきた。先に言っておくぞ。お前が負けたら、次はオレがやる。ルールなんぞくそくらえだ。文句のある奴は殺す。
皆殺しだ」
飛影は妖気を放出しながら、鋭い目を向けた。
それは、飛影に妖気が戻っていることを表しており、飛影の言動に、瑠架だけでなく幽助も恐ろしさを感じていた。
「5、6、7」
そのことを聞くと、幽助は足に力をいれて跳び上がり、カウント7でリングに戻った。
「ファイト!!」
「まかしとけや。二回戦は、オレでケリをつける!」
飛影にそう言った時の幽助は、とても真剣な顔つきで、今度こそ陣を倒すと決意してるような目だった。
第四十話 勝負の行方
「お、でかくでただな。次のこと考えったら、オレは倒せねーぞ」
陣は両腕をまわして、今度は両腕に竜巻を作った。
「陣選手。両腕に、竜巻を作り出しましたァーー」
「!!」
「霊丸封じ第2弾だべ」
「(確かに、あれじゃ、右手でしか撃てねー霊丸じゃ対抗できねー)」
対する幽助は、両腕の修羅旋風拳を見ると、霊気を高めた。
「な、なんでしょうかこの構えは!?未だかつて、見たことがありません」
「ふうう」
「(あれは……覆面と同じ技…か?確かにあの技なら、指一点に集中する霊丸よりは、対抗する術はあるだろうが…。
しかし……あんなにも霊気を放出するような技は、霊丸をすでに三発も撃ってしまっているから、幽助の残りの霊力を考えると、あと一発といったところだろう。
まったく……。いくらなんでもムチャしすぎだな、あいつ。霊気の配分も、後先もよく考えずに、今目の前にいる敵を倒すことしか考えてないとは……。ほんとにバカな奴。
でも……)
ちょっと……うらやましいかな…」
「え、何?」
「あ、いや……なんでもない」
思わず最後の言葉だけが口からもれてしまい、なんのことなのかさっぱりわからない蔵馬は瑠璃覇に問うが、瑠璃覇は適当に誤魔化した。
「すっげェ。全身台風みてーな力がみなぎってるだ」
それを見た陣は、ぞくぞくしていた。
「おもしれーーー勝負だーー!!」
陣は幽助を倒すべく、まっすぐに向かっていった。
幽助の前まで陣が接近してくると、幽助は、まず霊気を放出したまま、陣の右手を左の手の平で受け止める。
「なにィ!?」
思いもよらない事態に、陣は呆然とした。
陣の拳を受け止めたせいで、後ろに下がっていき、同時にリングがけずりとられていった。
「うおおおお」
そして、受け止めた陣の右の拳をはじきとばした。
「!!」
「左手でーーーーーー!!パンチをブロック!!はじき飛ばしましたァア」
「く!!」
けど、まだ右手の旋風拳が残っており、陣は、今度は右手で幽助を攻撃した。
しかし、それすらも幽助の左手によってブロックされる。
「くらえーーー!!」
そして、それを見て驚いた陣に、一瞬の隙ができた時……。
「霊光弾!!」
幽助は霊気を高めた右手で、陣の腹にパンチを入れた。
あまりにすさまじい威力に、陣はふっとんでいき、観客席の一番後ろの柵の前に激突した。
「クリーンヒットォーーー!!陣選手、風を使う間もなく、観客席に激突ーー!!」
陣が観客席に激突し、場外になったので、小兎はカウントをとり始めた。
「4、5、6」
「(くるか~~~!?来るならきやがれ)」
とは思っているものの、さすがに霊丸三発に霊光弾一発撃ったので、足がぐらついてる幽助。
「(できれば寝てろよ~~~~)」
強気なことを思っていたが、もうへとへとなので、このまま終わってほしいと願っていた。
しかし、幽助の思いは通じることなく、陣は起き上がった。
「いいパンチだった~~~~。おめ……強え~~なァ~~」
けど、陣は力を使い果たしたようで、幽助を賞賛した後、そのまま後ろへ倒れた。
「10!!場外10カウント!!浦飯選手の勝利です!!」
「ふ~~~」
一度起き上がったが、すぐにまた倒れ、場外10カウントダウンで自分の勝ちとなったので、幽助はほっとして息をはいた。
「なんてザマだ!!とうとう残りひとりになっちまった」
「2対5だったってのによォー」
最初は、人数からして圧倒的不利な状況だったにもかかわらず、陣までもが倒されてしまったので、観客席からブーイングが飛んできた。
その時、魔性使いチームのオーナーが吏将のもとまで駆けてきて、吏将と何やら話をすると、不敵に笑い、もといた場所へと戻っていった。
「魔性使いT、大将前へ!!」
次はいよいよ大将戦で、大将である吏将は、マントをぬぐとリングに上がってきた。
「浦飯幽助、お前は私に指一本触れることなく負ける」
「なにィ~~~」
リングに上がるなり、不敵な笑みを浮かべて自信満々に言ってきたので、幽助は怒る。
「始め!!」
「おもしれェ、試してやんぜ!!」
挑発にのった幽助は、吏将を倒すために走っていくが、それでも吏将はそこから動かず、不敵に笑うだけだった。
《その試合STOP!!》
その時、突然場内放送でストップがかかり、幽助はずっこけて頭をリングにぶつけた。
「なんと、VIP席のある本部よりものいいです!!」
「ちくしょオ。一体なんだァ?」
《さきほどの、陣VS浦飯戦で浦飯選手が場外に落ちた際、審判のカウントのとり方が遅かった疑いがあり………》
「え!?私ですかー!?」
まさかの自分の失態が内容だったので、小兎は涙目になる。
《協議の結果、陣・浦飯両選手、場外10カウント引き分けとします!!》
まさかの結果に、幽助は呆然とし、観客達はさわぎだす。
「一体どういうことだ?」
「つまり、陣と浦飯の試合は、両方とも場外ってことか」
「カウント…遅く感じたか……?」
「いや…普通だと思ったが…」
「とにかく、これで浦飯が戦えなくなって」
「飛影とパープル・アイは出れねェから……」
「両チームで残ってるのは…………」
「吏将ひとり…!?」
「ということは……」
「浦飯Tの負け………?」
「浦飯Tの負け…?」
「浦飯T(やつら)の負けか!!」
ようやく本部が言っていたことを理解した妖怪達は、ますます強くざわめきだす。
「フ……そういうことだ。どうした審判?やつらの負けを宣言しろ」
「な……納得できません。本部!!再考をお願いします!」
「裁定はくつがえりません!!」
「~~~」
抗議するものの、あっさりと返されたので、小兎は言葉を失う。
「なんて奴らだ…!」
これには、瑠璃覇も不快感を示した。
「り…吏将!オ、オレも、こんな勝ち方は納得できない。命をかけた画魔に、なんと言えるのだ!!」
「甘ったれたロマンチシズムは捨てろ。言ったはずだ。目的は勝つこと。無駄な殺し合いはせずに、楽に勝てればいいのさ」
「くっ……」
「なにをしている。オレ達の勝ちを宣言しないか!お前を殺して、新しい審判を連れてきてもいいんだぞ」
「…………」
吏将が小兎につめ寄ると、小兎は無言のまま構える。
そこへ幽助が、小兎の隣に立ち、吏将を睨みつけた。
「一番納得いかねーのは、だれかわかってんのか、コラてめー」
「…………フン」
散々汚い手を使われて、もうブチ切れる寸前な幽助は吏将を睨みつけるが、吏将はそんなものには動じず、鼻で笑う。
「幽助…勝ちなんざ、奴等にくれてやれ。奴を見て、いかに意味のないバカげた遊びかわかったろう。こんなヤツらのルールにつき合うことなどない。
ここからはオレのルールでやってやる。本当に強い奴だけが生き残る、サバイバル・ゲームだ」
テントの中から幽助に声をかけた飛影は、結界の中にいながらも、妖気を放出した。
それは、妖力が回復しているのが、見てわかるほどだった。
「ちょっと待ってよ。私も納得できませんわ!!本部!!私の結界では、こやつを押えきれませんわ!!」
飛影から放出された妖気を感じとった瑠架は、己の保身のために、本部に抗議をする。
「………確かにな。オレももう、ぶっちぎれる寸前だぜ。
つきあうぜ飛影!派手に暴れてやる!!」
「やる気か!!」
幽助は飛影のやり方に賛同し、自分達の負けが宣言されると同時にとび出そうと、臨戦態勢に入った。
観客は観客で、これから起こるであろう出来事を予想し、場内には緊張が走る。
「………浦飯T、戦闘可能選手不在のため、魔性使いTの勝…」
小兎はあくまでも雇われた身なので、不本意ではあるが、魔性使いチームの勝ちを宣言しようとした。
「待っったぁあーーーーーーーー!!!」
だがその時、会場全体に響き渡るような大きい声が、小兎が魔性使いチームの勝利を宣言することに、待ったをかけた。
そのことにより、会場にいる者全員が何事かと思い、声を発した人物に注目した。
「さっきからきいてりゃ、てめェら全く。このオレ様の存在を、すっかり忘れやがって」
それは、イチガキ戦で瀕死の重傷を負った桑原だった。
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