第三十六話 蔵馬、連戦
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「蔵馬VS画魔。始め!!」
小兎から試合開始の合図が出されると、画魔は腰にさした、鞘におさめられている筆を手にとった。
「元来、化粧にはすごい魔力が宿っている。人間も祈願祭などでやるだろう。日常生活でも、女は魅惑の粧を使うしな。オレがあんたに、化粧の本当の魔力を見せてやろう。オレ特製の化粧水を使ってェェエ」
画魔は筆を出すと、話しながら、自分の目や口の周りや体に、怪しげな模様を描いていく。
「ふうう~~~~~~ん。戦闘の粧」
模様が描き終わると、画魔からは、すごい妖気があふれ出てきた。
第三十六話 蔵馬、連戦
「なんとォ。全身に模様をほどこした、画魔選手!!急激に、妖気が高まっていきます!!」
「しゃあーーーっ」
画魔は、まっすぐ蔵馬に向かって走っていき、攻撃を仕掛けてきた。
画魔の拳がリングを破壊するが、蔵馬はその攻撃を、難なく跳んで避ける。
「(妖気内在のパワー型だな。間合いをつめず、ローズ・ウィップでしとめる!!)」
蔵馬は画魔の性質を見極めて、攻撃方法を決めると、距離をとってローズ・ウィップでしとめようとした。
「!!」
けど、一瞬で間合いをつめられ、また殴りかかってくるが、蔵馬はそれをあっさりと避けた。
そして、今度は反対側の拳で画魔は蔵馬に殴りかかるも、それすらも、蔵馬はあっさりと避けてしまう。
「画魔選手のすごい連続攻撃!!蔵馬選手、反撃のチャンスがありません!!」
画魔が連続攻撃をするも、蔵馬はただ、画魔の攻撃を避けるだけだった。
「蔵馬…。相変わらず悪いクセが直っていないな」
「ああ…。敵の性質を見極めてから戦法を決める。蔵馬の悪いクセだ。あれだけスピードがあると、武器を出すスキが作りにくい」
試合を見ていた瑠璃覇が、顔をしかめて呆れていると、隣にいた飛影もそれに同意した。
「植物を武器化する時間は与えねェぜ。このままケリをつけてやる」
画魔は、またすごい勢いで攻撃をしていき、蔵馬はそれを避けていく。
「くっ」
その時、蔵馬は画魔の攻撃を避けて着地をした際に、バランスをくずして手をついてしまい、一瞬のスキができてしまった。
「今だ!」
「!!」
もちろん画魔はそのスキを見逃さず、ふでを横にふるが、蔵馬はそれを跳んで避ける。
「う!?」
だが、その筆はかすかに蔵馬の足をかすっていたのだ。
「足が……!?」
けど、それだけでも充分のようで、蔵馬の左足には、無限大マークのようなものが描かれていた。
そして、今の攻撃をくらったせいで、足が重くなってしまった。
「くくく。どうだ!?足が鉛のように重いだろう!!あんた、もう逃げられねェぜ!!」
今の攻撃は、相手の動きをにぶらせるもので、蔵馬は左足をひきずるように動いていく。
「死の化粧からなぁ」
「なんと画魔選手、敵にも呪いの化粧をほどこすことができるようです。それに加えて、あのスピードと攻撃力!!蔵馬選手、大ピンチ」
蔵馬は重い足をひきずりながら走るが、画魔は後を追ってきた。
足が重くて上手く走れない蔵馬に、あっという間に画魔は追いつき、今度は二本のふでをふるった。
「とらえたぜ」
画魔はふでを使い、蔵馬の両手と右足にも、左足と同じ、無限大のようなマークを描いた。
「獄錠の粧!
あんたの手足の自由を奪った!!例えるなら、手足それぞれに、70kgの鉄球付きの錠をはめたとでもいうとこか」
「く」
「さらに例えれば、成人男子四人をかついで戦っているようなもの。
これで自慢の武器は、一切使えまい!!」
「ああっと蔵馬選手、両手足を封じられてしまった!!これは万事休すかーー!?」
画魔は攻撃するために再び動き出すが、蔵馬は動こうとはしなかった。
「くくく。身じろぎさえせんとは、覚悟を決めたか?
さぁあ、一撃で決めてやるぜ!!」
そして画魔は、正面からまっすぐに、蔵馬に立ち向かっていく。
だがその瞬間、蔵馬は髪でムチを操って、画魔を切りきざんだ。
「な…。かはっ、髪で…!?」
「悪いな。使えるのは、手足だけじゃない」
「ああっと、まさかの大逆転ーーー!!
なんと、髪の毛でムチを操り、画魔選手に決定的ダメージを与えました」
まさかの展開に、会場中がどよめいた。
「ぐっは……。ぐっ、つめを誤ったぜ。少々てこずっても、あんたの妖気全てを防ぐべきだった」
「あまり、しゃべらない方がいい…。もう勝負はついた。オレの呪縛に使っている妖気を解いて、自分の傷の治癒に向けないと危険だぞ」
もう決着はついたというように、蔵馬はムチをもとに戻す。
「くくく、そうかな。勝負はまだわからねェ」
「呪縛されたままでも、今のキミよりはすばやい。ムダ死にはよせ。キミは死ぬにはおしい使い手だ」
「光栄だ」
だが、蔵馬の忠告を無視し、画魔はフラフラになりながらも、蔵馬に殴りかかってきた。
「うああっ」
「よせ!!ムリに動けば本当に死ぬぞ」
殴りかかると、切られたところから血が流れ出す。
蔵馬は画魔を止めるが、画魔は蔵馬の忠告を聞くことはなかった。
「ハァ ハァ ハァ ハァ!!」
それどころか、血が流れ、腕がちぎれても、何度も何度も殴りかかった。
例え、それが蔵馬にあたることがなくとも…。
「………
………」
そして、何度が攻撃をすると、やがて画魔はリングに倒れた……。
「ダ…ダウン!!カウントをとります。
1」
「……もう二度と立てないだろう」
「2、3」
「くくくくくく。くくくくくく」
だが……血だらけで、もう絶命寸前だというのに、画魔はニヤリと笑みを浮かべると、突然笑いだした。
「くくくくくくくく」
「5」
「封じた……」
「なに?」
「あんた……オレの筆には注意していたが、返り血には無頓着だったな。化粧水の正体を教えてやろう。オレの血さ」
「!!」
画魔に言われて体を見てみると、先程の返り血は模様のようになっており、蔵馬の胸もとに、「封呪」という文字が現れた。
「用心深く、頭の切れるあんたに、化粧をほどこすのはまさに命がけだ。
念縛封呪の粧!!
あんたの妖気は完全に封じたぜ。
これが、忍よ……。先の勝利のために、死を選ぶ。
オレが死んでも、10分位は妖気は消えねェ。それまで次の相手をかわせるかな…………」
「10!!」
術の説明をすると画魔は、10カウントの前に、息を引き取った…。
「しまった………」
妖気を完全に封じられたということは、技を出せないということ。これには、さすがの蔵馬も焦った。
「でかしたぞ画魔……。10分で十分だ。敵は討つ」
「次鋒、前へ!!」
次に、マントをぬいで出てきたのは、水色の髪の男だった。
「まずいな…。手足は鉛の様に重くて、思い通りに動かない。その上、妖気まで封じられるとはうかつだった!!」
「次鋒、呪氷使い凍矢」
「お前の死、ムダにしないぞ、画魔。奴はオレが殺す」
凍矢はマントをぬぐとリングにあがり、中央まで歩いていくと、蔵馬と向かい合った。
「ひとつ教えてくれ。なぜ、最強の忍とよばれるキミ達が、この戦いに参加したんだ?」
「………光さ。闇の世界の、さらに影を生きるオレ達には、一片の光もない。だが、気付いたのさ。オレ達の力があれば、いくらでも表の世界を生きられるとな…。
オレ達ののぞみは、だれの手にもそまっていないナワバリ。この島さ。
ここは出発点にすぎない。いずれはオレ達自身が光となり、この世をおおってやる」
蔵馬と向かい合うと、蔵馬に質問をされた凍矢は、その質問に律儀に答えた。
「忍の反乱か…」
「フン。貴様も知っているだろうが…奴等魔忍は、命をかけた戦いの前に、一番弟子に自分の奥義をたくし、部隊を維持する。それをくり返せば、あんな奴らも出てくるさ」
「問題なのは、今の状態で、どうやって蔵馬が奴を倒すかだな…。正直、今のままではきびしい。
………まあ、方法がないわけじゃないが……」
「何!?」
「危険なことだがな…。そして、蔵馬がそれに気づけば…だが……」
「気づけば、勝機はあると?」
「まあな…」
その、瑠璃覇が考える方法とは一体なんなのかと思った飛影は、瑠璃覇をジッと見た。
「おしゃべりはここまでだ。画魔が命とひきかえに作ってくれた時間、無駄にできない」
「始め!!」
蔵馬が圧倒的不利な状況の中、凍矢との戦いが始まった。
.