第三十五話 大会本部の卑劣な罠
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「劇的な幕切れで、二回戦進出は、浦飯Tに決定!!しかし、その戦いの結果、桑原選手がかなりの重傷を負ってしまいました!!」
浦飯チームは、瑠璃覇の活躍によって、なんとか二回戦進出をはたした。
「手伝おう………」
「お…すまねェ」
幽助が桑原を移動させていると、梁がやってきて、手伝いを申し出た。
「この償いは、オレの全てにかえてでもさせてもらう!!
共に闘わせてくれ!!彼の代わりに!!」
「気持ちはうれしいが」
「し、しかし」
「そんな事したらこいつにぶっとばされっちまう。オレはまだ戦えるぞ、バカ野郎ってな。
それに補欠は一名だけ。しかも仲間が死んだ時のみ。それが大会規定だからな」
「…………そうだったのか」
幽助に説明されると、梁は納得した。
「くそォ、また生きのびやがったぜ!!」
「奴らの、だれか一匹でもくたばるとこ見ねーと納得できねー!!」
また浦飯チームの勝ちになったので、観客席からはブーイングの嵐が起こった。
「皆さん、お静かにお願いします。では、これより二回戦を行います!!」
「!?」
「なに…」
どういうことかと、電子掲示板を見てみると、トーナメント表が写しだされる。
「二回戦、浦飯TVS魔性使いT」
「「「な」」」
「連戦!?」
今しがた試合が終わったばかりだというのに、すぐに次の試合をしなくてはいけなくなったので、幽助達だけでなく、円、梁、魁の三人も驚いていた。
第三十五話 大会本部の卑劣な罠
「一体どーゆーことだ!?聞いてねーぞ」
「ス…スイマセン。私は、命じられた予定を進行するだけの、雇われ司会でして…」
「ひひひーーー!!ナイスなはからいだぜ」
「奴らはクタクタだぜ。散々苦しめてなぶり殺せ!!」
この予期せぬ展開に、観客達は喜び、殺せコールが始まった。
「(まずい…。妖気をずいぶん使ってしまった。あまり無理な戦いはできない…)」
瑠璃覇は、早朝と先程の試合でかなりの妖気を使ってしまい、残りの妖力を考えると、ムチャなことはできないので、顔をしかめた。
「ケッ、やってやんぜ。まだイチガキのムシャクシャが、おさまってねーからな」
「それでは、魔性使いTの入場です!!」
殺せコールが起こる中、小兎が合図を出すと、風をまとって、体全体をマントとフードで隠した集団が現れた。
「―――!出やがったな。もったいつけやがって」
「両チーム代表、前へ!!」
「桑原は、今回はとても戦えねェ。オレ達四人で、なんとか戦わなきゃな」
「(戦えないのは、彼だけじゃない)」
幽助は、四人で戦おうとしていた。
だが蔵馬は、飛影はこの前の六遊怪チームとの戦いで右腕を食われかけ、瑠璃覇は、今朝の飛影の治療と、先程のDr.イチガキチームとの戦いで、かなり妖気を消耗してしまったので、そのことを見抜いていた。
「だれがいく?最初に戦いたい奴が、代表でいい」
魔性使いチームの一人がそう言えば、一番左端にいる人物が、風をおこしてマントをぬいだ。
「オレが行くべ」
その人物は、赤茶色の髪に、頭に一本のツノがある男だった。
「陣だ!」
「風使いの陣だぜ!!」
彼が姿を見せると、観客達がざわついた。
「風使い陣!!それじゃ、まさか奴らは」
「知ってるのか?」
「ああ、かなり有名な妖怪だ。魔性使いとは、仮名だったようだな。奴等の正体は、魔界の忍だ。
妖怪同士の勢力争いの陰で暗躍する、戦闘集団魔界忍者。奴等は、その中でも最も恐れられている゙修羅゙の怪だ」
蔵馬が彼らについて説明をすると、幽助はリングにあがり、中央までやって来た。
「対戦方法を決めてください!」
「一対一(タイマン)で勝ち抜き戦。相手がゼロになるまで戦うべ!」
「上等だ!」
「対戦方法は、一対一の勝ち抜き戦と決定しました」
「おめ、いい風ば持ってるな」
「?」
自分のチームのところに戻ろうとした時、陣に声をかけられるが、幽助にはなんのことかわからず、自分のチームがいる場所へ戻っていく。
《えーー、ここで二回戦の前に、運営本部によるメディカル・チェックを行います。日程の都合上、連戦となる浦飯Tの体調を考慮しての特別処置です。しばらくお待ちください》
幽助が戻ってくると、突然場内のアナウンスが流れた。
「メディカル・チェック?」
なんのことかさっぱりわからずにいると、十字のマークがついたテントの中から、看護師の女性が出てきた。
「ほっとけほっとけ。人間ヤローなんて、治療するこたねー」
「時間のムダだーーー!!」
浦飯チームが優遇されるような状況に、不満を抱いた観客達はヤジをとばすが、看護師はそれを無視して浦飯チームの前に行き、彼らの前で立ち止まると、メンバー1人1人に右手をかざしていった。
そして、瑠璃覇と飛影の前で手を止める。
「あなたとあなた、ちょっときていただけますか」
「いらん世話だ。オレの後ろに転がってる奴をみてやったらどうだ?」
「まったく同感だな」
「戦う者を二、三問診するだけですわ。すぐすみますわ」
女性にそう言われると、二人は仕方なしに、看護師についていく。
「さっさと始めろーーー!!」
「どうせ、そいつらくたばるんだ!!」
周りからヤジがとぶ中、瑠璃覇と飛影は、看護師と一緒にテントの中へ入った。
「それでは質問します。どこか痛みはありませんか?」
「別に」
「気分は悪くありませんか?おなかは?」
「…………貴様、なめてやがるのか?」
「フフ。かなり、ストレスが溜まっている御様子ですね。やはり、少々休まれた方がよろしいですわ」
「バカが。自分の脳みそでも直してろ」
あまりにもバカバカしくてやってられないというように、瑠璃覇と飛影は、テントから出ようとした。
だが、飛影がテントの外に出ようとした瞬間、テントの周りを電流の様なものが流れた。
「オイ…なんだあれは!?」
「結界だ」
「結界だと!?」
その電流の正体は、結界だった。
「こらあーー!!なんのマネだーー!!」
電流の正体を知ると、幽助は怒って、女性のもとへ走って行く。
けど、幽助は結界の力にはばまれて、近づくことができなかった。
そして女性は不敵な笑みを浮かべると、着ていた白衣をぬいだ。
その下には、糸のようなものを、体に巻きつけていた。
「なに!?」
「結界師、瑠架でございます」
「結界師だと!?」
「防呪壁能力は、魔界屈指と自負させていただいております」
「二人をそこから出せ!!」
「さわいでも、もがいてもムダでございます。もうここから出ることはできません。
束呪縄!!」
瑠架が妖気を発すると、二人の体を、光の縄が束縛する。
「ああ……」
「束呪縄か……。ヘタに動いたら体が弱る。動くだけでも危険だ」
《メディカル・チェックの結果、飛影選手と瑠璃覇選手が、総合的に判断し、二回戦を戦うには不適格とみなされました。治療のため、欠場といたします!》
「な……」
「汚いマネしやがって」
あまりに卑怯な手口に、幽助だけでなく、梁までも激怒する。
そして、幽助は怒りのあまり再びリングにあがり、小兎のもとまで駆けていった。
「なにが、総合的にだ!!ハメやがって。てめー、説明しろ」
「わ、私は中立の立場の司会です。なにも知りませーん」
「中立だとぉ~~!?」
幽助は小兎に文句を言うが、小兎は知らぬ存ぜぬと首を横にふる。
それを聞いた幽助は、ますます怒った。
「ムダだ」
そこへ蔵馬がやって来て、幽助を制する。
「なにィ~~!?」
「たしかにこれはワナに違いない。しかし、皮肉だな。あのふたりは隠してはいるが、本当は戦える状態じゃない」
「あ…」
「普通の二人ならば、あの程度の結界はやぶり出て来られるはず。それができないほど、体は弱っている。
この数奇なめぐりあわせ。吉とでるか、凶とでるか…」
「フフフ、2対5になったな。陣!お前ひとりでかたづけられるな」
すると、陣の後ろに大柄な男が立ち、今の状況をうれしそうに笑うが、対照的に、陣はつまらなそうな顔になる。
「はーあ、どっちらけ………。
気が変わったや。だれかいってけろ」
そして、試合を観戦するために、リングを降りようと、自分のチームの方へ歩いていこうとするが、そこを大柄な男に、肩をつかんで止められた。
「なに!?相変わらず勝手な野郎だ。つべこべ言わず行きな!!」
だが陣は、自分の肩をつかんだ男の手をつかむと、男を睨みつける。
「オレさ指図すんじゃねーー」
そして、手をはらいのけ、そのまま壁まで歩いていくと、地面にすわり、壁によりかかって、口笛を吹きはじめる。
「チッ」
「フ…。陣め、久々に歯ごたえのありそうな奴にあえて、機嫌がいいな」
「くく……いいよ。私がいこう」
そう言って、別の男がマントをぬぎ、リングに上がった。
「化粧使い画魔!!」
上がってきたのは、白い肌にとがった耳をもつ男だった。
「蔵馬」
幽助が出ようとすると、それを阻止するように蔵馬が前に立った。
「オレで全員かたづけると言いたいが、奴らの妖気が、そうさせてくれそうもない。できる限り、奴らの手の内を暴いてみる。………その後はたのむ」
いつも冷静な蔵馬がそう言うからには、それほどの相手なのだろうと、幽助は強い緊張感を抱いた。
「始め!!」
殺せコールが響く中、小兎の合図とともに、魔性使いチームとの戦いが始まろうとしていた。
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