第三十一話 副将戦の対決
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試合開始と同時に、酎は先程の、流れるような動きで幽助の周りを動きまわり、幽助を翻弄し始めた。
「!! 流れるような動き!!」
「我流のようだが、ムダがない!!あれはとらえにくいぞ」
酎は、その流れるような動きで幽助に近づいていき、手刀を繰り出すが、幽助はそれを左腕でガードする。
しかし、酎はその隙をついて、パンチを一瞬で五発も繰り出してきたので、幽助はそれをくらい、後ろへふっとんでいく。
更に酎は、ふっとんでいく幽助を追いかけていき、リングにたたきつけるようにして、裏拳で殴り倒した。
「はええ!!反撃する間がねェぞ」
「(外見とは対照的に、洗練された美技だ)」
あまりの早さに桑原は驚き、蔵馬も酎の技を見て感心していた。
「おっ」
殴り倒された幽助はすぐに起き上がり、反撃をするが、酎は幽助が繰り出したパンチをすべてよけていく。
そして、酎はニヤっと笑うと、幽助の視界から姿を消し、素早く幽助の横に移動すると、幽助を蹴りとばした。
酎に蹴りとばされた幽助は場外までふっとんでいくと、観客席とリングを隔てている壁に激突する。
第三十一話 副将戦の対決
「ういっく」
「すっ、すさまじいです。口をはさむすきますらない、華麗な連続攻撃!!浦飯、一発も返すことなく場外に激突!!」
酎が有利な状態になっているので、観客席からは殺せコールが続いていた。
そんな中、酎は余裕の表情で、片足でリングに立つ。
「どうしたウラメシ選手、オレのとっておきのウル技を見たいんだろ。小手調べも終わらないうちに死ぬのか?」
酎が話しかけるが、幽助は壁の瓦礫に埋もれたままだった。
「じ、軸足が、ドリルみてーに石盤をえぐってやがる。鈴駒の万倍はありやがるケリだぜ」
「あっ、場外です失礼。カウントをとります。
ワ…」
小兎は酎の技に釘づけになっていたので、カウントをとるのを忘れていたが、急に思い出し、カウントをとろうとする。
だが、その瞬間幽助が高く跳び上がり、1カウントを数える前にリングに戻ってきた。
「やべ~~やべ~~、ガードしなきゃ死んでるぜ、今のケリ。なのに、なんでだろな。すげ~~楽しいんだよ。オメーもそーか?」
「……ああ、そうだ。バトルマニアよ」
あんなにすさまじいケリをくらい、ヘタしたら死んでいたかもしれないのに、楽しそうに笑う幽助に、酎も笑みを浮かべる。
「カウント0.5!!試合続行です!!」
幽助がリングに戻ったことで試合は続けられ、二人は再び向かい合った。
「あの、どするでェケリを、片手でブロックしやがった!!こいつはいけるぜ!!」
最初は酎の連続攻撃にヤバイと思ったが、それでも幽助はちゃんとガードしており、無事だったので、桑原はガッツポーズをしていた。
一方幽助は、右手を構えると、何故か会場の屋根に向けて霊丸を放った。
「これがオレの十八番、霊丸だ!残りの弾は3発!一日4発がどうやら限界らしくてな…。そのかわり、威力は霊力を上げてけば、それに比例して増していくぜ」
「な、なんと今度は、浦飯選手が技を披露!!バカ正直なまでのスポーツマンシップ!!武術会始まって以来ではないでしょうか」
「バカかてめー!!酔っぱらいのペースにはまってんじゃねーー」
「どこからどう見てもバカだろ。まったく……あんなバカが、うちのチームにもいたとは…。しかも大将…」
酎と同じように自分の技をばらす幽助に、桑原は怒鳴り、瑠璃覇は呆れていた。
「ガハハハハハ。本当にバカだな。気に入ったぜ、こんちくしょーー」
幽助が気に入った酎は、バカと言いながらも大笑いした。
「……とと。うっぷ」
けど、酔ってるせいで、笑った後その場をふらついた。
「待ちの間も大分飲んだからな。酒の回りがはええぜ。………頃合いだ。
見せてやるぜ、オレのウル技をよ」
しゃべりながら、腰のベルトについている、一本の小さなボトルを取り出した。
「魔界の重濃酒、゙鬼殺じ。こいつは効くぜ」
取り出したのは酒で、それを一気に飲んだ。
「!!
ま、まさか、あれをやる気か、酎!!」
酒を一気に飲みほすと、酎の体に変化が起こり始めた。
「おお お お お」
一体何が起こるのかと、会場にいる者達は、真剣な目で注目する。
「おえぇぇ…」
「……」
けど、急にリングの端に行ったと思ったら、酎は思いっきり吐いた。
どんなにすごいものが見れるのかと思いきや、ただ吐いただけだったので、酎の後ろでは小兎がベタに大げさにずっこけ、幽助はなんとコメントしていいかわからなくなっていた。
「あーあ、やってもーた。みっともねー。一回あれをやんないとヴァージョンアップできないんだもんな。
だけど、完全にへべれけになった酎が、本当の姿なんだ!!深酒と酔拳は、真の自分を人間界に呼び込む儀式なのさ!!」
「!」
「酒気がうすれていく…!いや!!正体不明だった妖気が、酒気と融合しているんだ!!」
「ふうう、すっきりしたぜ…」
吐いて立ちあがった酎は、肌の色が茶色く変化していた。
「のんべ錬金妖術師、酎!!最高の技をもって相手しよう」
そして手を動かすと、わた菓子のような妖気を使って、何かを作りだしていた。
「これは奇っ怪。自らのわた菓子にも似た妖気を使い、なにやら飴細工の様に物体を作り始めましたァ」
「錬金妖術師…。不気味な妖気の正体は、変幻自在の妖力を酒とブレンドして高めていたためか!!」
次第にそれは妖力の球となり、酎は手に、幽助の霊丸のような球体を作り出した。
「霊丸そっくりのエネルギー球を作り出しやがった」
「パワーもほぼ同等の様だ!!一瞬の間にそこまで見切っていたのか!!」
酎はエネルギー球を作り出すと走りだし、幽助も酎との距離をたもったまま走りだした。
「力比べだ。いくぜ!!」
「のぞむとこだ!!」
幽助と酎は同じ方向へ走り出すと、力くらべを始めようとした。
「うおりゃあ」
「ショット!!」
酎は今作り出したエネルギーの球を、幽助は霊丸を放ち、そのふたつの球はぶつかると押し合いになる。
「!! タマの押し合い!!どっちだ」
ふたつの球は、押し合った結果、どちらも破裂するように消えた。
「互角」
球が消えると、二人はお互いに距離をつめた。
「両方とも、撃つと同時に突っこんでやがった!!」
お互い至近距離まで来ると、激しい殴り合いを始めた。
「すげェ…。防御も考えずうちあってやがる!!」
「両方とも、相手がひいた瞬間をねらって撃つ気だ。殴り負けた方が、致命的なスキをつくる!!」
「だが、それも長くは続かないだろうな…」
瑠璃覇がそう言った時だった。
「うおおお」
「ぐっ」
瑠璃覇が言ったことは現実となり、酎は一瞬の隙をついて、幽助を殴りとばした。
「くそ」
幽助はなんとか着地するが、着地した体勢が悪く、隙をつくってしまった。
「まずい」
それを見た酎は、チャンスと思った。
「うおお」
そして、先程よりもかなり大きなエネルギー球を作り出す。
「でけェ。一気に決める気だ!!」
「爆発的に気を放出して戦ってるんだ。長びけば、不利になる上にダメージが残る」
「しかし、力は互角。そう簡単には決着がつかないだろう。この相手を凌駕するくらいの技がなければ倒せない」
「(なまじ力が互角なだけに、両者無事ではすまない…!!)」
「くらえィンンン」
酎はエネルギー球を、渾身の力をこめて幽助に投げる。
「(でけェ)」
「(霊丸の比じゃない!!)」
「(着地の体勢が悪い!!よけられん)」
「(どうするんだ!?幽助!!)」
「だめだ、くらう!!」
それは霊丸の比ではなく、体勢を崩してしまっている幽助は、球にあたりそうになった。
だが、幽助は霊丸の構えをとると、二発連続で霊丸を撃った。
「連射!!?」
一発だけかと思いきや、二発連続で撃ってきたので、酎は驚いた。
「つきぬけたァーーーっ!!」
霊丸は二発ともエネルギー球をつきぬけ、酎にあたりそうになった。
「しかし、酎(ヤツ)のタマも、パワーは死んでねェ!!」
だが、エネルギー球の方も消えることなく幽助に向かっていき、お互いが放ったタマはお互いにあたってしまった。
「両方当たったァーーー!!
い…いや、両方とも消えています!!」
お互いにあたったのかと思いきや、両者の姿はそこにはなかった。
「両者よけたのでしょうか!?それともまた両者場外か!!」
小兎が二人を探していると、二人はいつの間にか、小兎の後ろに立っていた。
「はニャ!?なんと、後ろにすでに立っています。しかし、お互い相手の一撃は受けている様子!!衣服がやぶれ、傷だらけです」
なんとか無事だったものの、二人は相手の一撃をくらい、衣服がやぶれ、全身傷だらけの状態で、息もあがっていた。
「3発…撃っちまったようだな。しかも、今の一撃で全霊気を放出し、もう普通の人間と変わらねェ。違うか?」
「………まあな」
「実は、オレも使いはたした」
「………」
「へ」
「へ」
「へへへへへへへへへへ」
「へへへへへへへへへへへへ」
「わ……わらってます。血だらけで…………。まさにバトルマニア。もう私の理解をこえてます」
力を使いはたし、全身傷だらけで血だらけだというのに、笑っている二人に、小兎は体が震えていた。
「だが…白黒はつけねーとな」
「あたりめーだ」
「よし……決着は…
ナイフエッジ・デスマッチで!!」
酎は、どこからか2本のナイフを取り出すと、決着の方法を提案した。
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