第三話 君のために
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ぼたんが迎えに来ると、瑠璃覇はぼたんに連れられて、霊界へと向かっていた。
「それで?コエンマが言っていた、別の任務とは、一体なんなんだ?」
「詳しいことはよくわからないんだけど……なんか、瑠璃覇ちゃんに頼みたいことがあるんだってさ」
「頼みたいことねぇ…」
オールに乗っている時、瑠璃覇がぼたんに、コエンマが言っていた別の任務について聞いていたが、ぼたんも呼んでこいと言われただけで、詳しいことはわかっていなかった。
それからしばらくすると、霊界にたどり着き、審判の門の中へ入っていった。
「失礼します。コエンマ様、瑠璃覇ちゃんを連れてきました」
「うむ、ごくろう」
入ってきた建物の奥の部屋に入り、入った部屋の奥にある、王と書かれた扉を通ると、そこには部屋の主であるコエンマが、部屋の奥にある机に座っていた。
「一体なんの用だ?お前、さっき私の前に現れて、三大秘宝を取り戻せと言っていたではないか」
「ま、まあ……それはそうなんだが…」
「なんだ、もうぼけたのか?その見目で」
「ぼけとらんわ!あと、見た目は関係ない!」
「ぼけたんじゃないのなら、一体なんなんだ。暇じゃないのに、一時間もずっと私を待っていて、任務のことを伝えたのはおまえだろう」
「う……ま、まあ…な…」
鋭い指摘を受け、コエンマは口ごもる。
「あ、いや…だがな、さっき言ったのよりも、もっと重要な任務があり、それをぜひお前にやってほしいのだ」
「重要な任務だと?」
「ああ、それはな…」
「それは?」
コエンマが、いつになく真剣な顔で話そうとするので、瑠璃覇もつられるようにして、真剣な顔つきになった。
第三話 君のために
それから4日後……。
「まったく…。本当に、なんで私がこんなことをしなければならんのだ。何が任務だ!あれからもう4日…。いい加減にいらついてきたぞ」
今瑠璃覇は、霊界の資料室にいた。
何故こんなところにいるのかと言うと、コエンマに、霊界大秘蔵館の後片付けや、資料室の掃除や整理という……早い話、雑用を頼まれたからだった。
4日もやらされているので、さすがに苛立ってきていて、額にはいくつか青筋が浮かんでいる。
もともと人に命令されるのが嫌いなのと、その命令してきたのが、自分が大嫌いな霊界…しかもそこの長とくれば、瑠璃覇の堪忍袋の緒も切れようものだが、それでも蔵馬のためにと耐えていた。
けれど、さすがに何日も連続で雑用を押しつけられてはストレスもたまるので、このイライラを少しでも抑えるために、瑠璃覇は休憩をとることにした。
ここは資料室で、大きな棚には膨大な量の本が並んでいるので、本が好きな瑠璃覇にとって、とても良い休憩場所であるとも言える。
瑠璃覇は宙を飛ぶと、一番上の棚にある本を手にとり、本に没頭し始めた。
「おお、大分きれいになったな。どうだ?ちょっと休け……なんだ、もう休憩しているのか」
瑠璃覇が本に没頭しだすと、突然資料室の扉が開き、そこからコエンマが入ってきた。
コエンマの声がすると、瑠璃覇はコエンマがいる方に顔を向け、睨むように見る。
けど、コエンマは気にすることなく、扉から瑠璃覇がいるところまで歩いていく。
「それにしても、お前はすごいな。これまでにも、大秘蔵館の掃除に、わしのたまっていた仕事(資料に印鑑を押すだけ)を数千枚こなし、武器と防具の保管庫の整理と手入れと、審判の門の中の掃除を、3日間ですべてこなしているだけでなく、何千坪とあるこの資料室を、たったの半日で三分の一もやってしまったのだからな。
いや~~、本当にすご……ぶふぅっ!!」
コエンマは話している最中に突然宙に浮くと、そのまま勢いよく天井に向かっていき、頭を強く打ちつけてしまった。
そしてそのまま、勢いよく落下していき、またしても頭をぶつけてしまう。
感覚があかない間に二度も頭をぶつけたので、かなりのダメージだった。
これは瑠璃覇が、自分が操る風の力でコエンマを持ち上げると、そのまま後ろから突風を吹かせて、頭を天井で打った後に上から風で押したために、こうなってしまったのである。
瑠璃覇がこのような行動をとったのは、コエンマが、瑠璃覇がここで雑用をやるのはさも当然だというように話していたこともあるが、重要な任務だと言ったのにも関わらず、任務の内容がただの雑用だったことと、何よりも、4日も連続で雑用をやらされていたのが原因だった。
「なっ…。いきなり何をするかァァ!!」
今の瑠璃覇の行動に、当然コエンマは怒った。
だが………
「お前に、そんなことを言う資格があると思っているのか?」
「………スイマセン」
瑠璃覇は色々と鬱憤が溜まってるのもあって、かなり怒っており、ものすごい形相でコエンマを睨んだ。
その形相にびびったコエンマは、逆に謝ってしまう。
そんなコエンマを見ると、瑠璃覇はもう一度睨みつけ、コエンマに背を向けると再び本に目を向けた。
「それにしても、お前の操る風の力は、いつ見てもすごいな」
本を読んで少し経った時、突然後ろ(自分と同じ高さ)から声がしたので振り返ってみると、そこにはコエンマが、瑠璃覇が浮いてる近くにあるはしごを登って、瑠璃覇の近くまで来ていた。
けど瑠璃覇は、ここには自分以外はコエンマしかいないのがわかってるのと、元々冷静な性格というのもあり、全く驚いていなかった。
瑠璃覇は、一瞬だけちらっとコエンマの方を見ると、すぐに視線を本に戻す。
「別に……そんなことで褒められてもうれしくない」
コエンマが相手だというのもあるが、風を操る能力は自分が生まれもったもので、生まれてからずっとあたり前に使っていたので、そんなことでほめられても、うれしくもなんとも思っていなかった。
瑠璃覇は本を見ながら冷たく言い放ち、言い終えると同時に次のページをめくる。
「それよりなんの用だ?私がいなくなってないかどうか、心配だったか?」
「いや、そうではない…。ちゃんとやっているかどうか見に来たのだ」
「同じようなものじゃないか」
軽くため息をつくと、今度は本を閉じた。
まだ少ししか読んでいなかったのだが、飽きたのか、それとも単なる気まぐれか、今まで読んでいた本を、風を使って元の位置に戻した。
それと同時に、今度は別の本を、力を使って自分のもとまで持ってきて読み始める。
「まったく…。ジジイはすぐに心配ばかりするからいけないな」
「誰がジジイだ!!」
口をとざしたと思ったら、今度は嫌味を言ってきたので、コエンマは怒るように盛大につっこんだ。
けど、そんなものは意にも介さず、瑠璃覇は冷静な顔で、本を読み続けていた。
「しかし何故だ?」
「……何がだ?」
瑠璃覇が顔を本に戻すと、コエンマは口を開いて、疑問に思ったことを瑠璃覇に問いだした。
瑠璃覇は本に目を向けたまま、本のページをめくりながら言葉を返す。
「何故、極悪盗賊と言われ、パープル・アイと恐れられているお前が、こんな雑用を、文句の一つも言わずにやっているんだ?別にあの時、断って帰ってもよかったのだぞ」
「……私は、どうしても蔵馬を見つけなければいけない。蔵馬を見つけられるのなら、どんなことだってやってやる…!そのためなら、大嫌いな霊界のいうことをきいても、構やしないんだ…」
「…………」
自分の心情を静かに…それでいて熱く話す瑠璃覇を見ると、コエンマは眉尻を下げ、なんとも複雑そうな顔をした。
「それにそのセリフ、「この任務を引き受けないと、蔵馬を探すのを協力しない」と脅していた奴のセリフじゃないよな」
わざとらしく、4日前に言われた言葉をリピートすると、クスッといじわるな笑みを浮かべてコエンマを見る。
コエンマはさすがに恥ずかしいのか、少し顔を赤くした。
「でも、ここの整理が済んだら、誰になんと言われようとも絶対に帰るぞ。さすがに飽きた」
そう言うと、急に本を閉じて、風で元の位置に戻した。
「ん?どうしたんだ?」
いきなり本を読むのをやめたので、ふしぎに思ったコエンマは、瑠璃覇に問いかける。
「そろそろ再開する。邪魔だから出ていけ」
「ん?あ、ああ…」
かなりツンケンした態度の上、命令口調だが、邪魔してはまずいと思ったコエンマは、あっさりと退出した。
コエンマがいなくなると、瑠璃霸は、首にさげている、小さな金色の珠がついたシンプルな形のネックレスを、制服の中から取り出す。
それは、金鈴珠<コンリンジュ>という魔界の宝石で、瑠璃覇は金鈴珠を取り出すとじっとみつめ、それと同時に昔のことを思い出した。
それは……蔵馬と初めて出会った時のこと。
蔵馬を好きになった時のこと。
蔵馬に好きになってもらった時のこと。
この金鈴珠を、蔵馬にもらった時のこと。
二人、愛し合った時のこと。
魔界で、二人でともに過ごした時のこと。
それらのことを、瑠璃覇は思い出していた。
瑠璃覇は昔のことを思い出すと、傷をつけないようにと、金鈴珠を再び制服の中にしまう。
「…………蔵馬……」
金鈴珠を中にしまうと、切なげな表情で、制服の上から金鈴珠をぎゅっとにぎりしめた。
「おまえは……今、どこにいるんだ?」
そして、顔を上に向け、悲しそうな…寂しそうな目で天上をみつめた。
「(あの日から15年……。本当におまえは人間界にいるのかどうか、不安になってくる…。正直……心が折れそうになることもある…。けど、たったひとつの拠り所であるおまえを探すことを、やめるわけにはいかない…)」
もう、何年も探しているのに、15年もの間、ひとつも手がかりをつかめていないので、不安や心配という感情が、瑠璃覇の心にうず巻いた。
けど、それと同時に、今まで以上に決意を強くする。
早く会いたい。
会って、また愛の言葉を囁いてほしい。
また、強く抱きしめてほしい。
また……熱い口づけをしてほしい。
その想いが、人間界に来てからずっと、そして今も、瑠璃覇を支えていた。
「(待ってて、蔵馬。いつか、絶対にみつけてみせるから……!)」
切なげな表情から一変し、瑠璃覇は強い決意を胸に、まっすぐな瞳で前を見据えた。
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