第二十二話 VS闇ブローカー
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男の着ている服は、下半身の部分だけでなく上半身の部分もやぶけ、体の色が段々変色していくとともに、上半身の真ん中がたてに割れ、口へと変化していく。
「あの世で後悔するんだな。垂金権造の私有地にふみこんだことを…」
更には、髪型も変わり、口も筒のようになっていった。
体どころか、もう先程の姿とくらべると、見る影もないくらいに変わっていた。
彼の姿は、まさに妖怪とよべるものだった。
「てっ、てめェ、妖怪か!!」
男の正体がわかると、桑原は驚いていたが、幽助はそんなには驚いていなかった。
「今さら帰るといっても手遅れだぞ。この姿を見て、生きている人間はいない……!」
「………」
強気な態度でしゃべる男を、幽助はけわしい目で睨んでいた。
第二十二話 VS闇ブローカー
「………………垂金邸にとらえられてる女の子ってのは、妖怪なんだ。いわば、あんたの仲間なんだぜ。ろくでもねー人間にひでー目にあわされてんの、なんとも思わねーのかよ」
「それがどうした?お前ら人間にも、私欲のため、オレ達の黒い力に、魂を売る奴がいるだろう。オレは、人間界の金と欲望に魂を売ったのさ。ケケケ。お前らだって、目の前に大金積まれりゃ、土下座して犬のマネでもやるんだろーが」
「いっしょにすんじゃねーよ」
「ヘドヤローが!!」
男の発言に、幽助と桑原は切れて各々の武器を構えるが、瑠璃覇はその様子を、ただじっと見ているだけだった。
「気どるんじゃねェーーーーっ人間(カス)がぁーーー!!」
男はジャンプして、二人に襲いかかった。
だが、桑原に霊剣で胴体をまっぷたつにされ、手足をバラバラに切られてしまう。
「な
に」
一瞬のうちに、あまりにもあっさりとやられてしまったので、男は目を丸くして驚いていた。
そして、驚いてる間に、目の前にいる幽助が撃った霊丸によって、あっさりと消されたのだった。
「よっしゃあ!!楽勝だぜィ!!」
「口ほどにもねえな」
いとも簡単に倒せたので、二人はガッツポーズをした。
「まったく、嫌なクソヤローだったな。同じ妖怪なのに、仲間とも思ってないなんてな」
「まったくだぜ」
「いや……」
「「ん?」」
「今の奴が言ってたこと、間違いじゃない」
男が言ったことに、嫌悪感を抱いた幽助の言葉に桑原は同意をするが、瑠璃覇はそれを否定した。
「あ?何がだよ」
「全部だ。もちろん、すべての妖怪がそうするわけじゃないし、すべての人間がそうするわけじゃない。
けど、基本的に妖怪には、仲間意識というものは皆無だ」
瑠璃覇は幽助に問われると、その問いに答えるが、瑠璃覇が言ったことに、幽助と桑原は、眉間にしわをよせた。
「私は、元は盗賊だ。あの垂金以上にひどいこと、腐るほどやってきた。だまし、あざむき、殺し、奪う。それは、私にとっては生活の一部であり、生きる糧。日常茶飯事だ。盗賊は魔界じゃ、もっともポピュラーな職業だからな。全然めずらしくはない。そんなことは、魔界じゃあたり前のこと」
「「……………」」
「私も、蔵馬以外の奴は信用してなかった。正直、自分や蔵馬以外の奴がどうなろうと、私の知ったことじゃない。
だけど……」
瑠璃覇は途中で言葉を切ると、奥歯を強く噛みしめた。
「だけど………あいつは……垂金は…気にくわない…」
「瑠璃覇…」
「瑠璃覇さん…」
そんな瑠璃覇の思いを聞くと、二人同時に、瑠璃覇の肩に腕をのせる。
「何?」
幽助は右肩に、桑原は左肩に腕をのせた。
二人の行動の意図がわからず、瑠璃覇は怪訝そうな顔をして、二人を交互に見た。
「そんならよ、オレ達と一緒に垂金ぶっとばそーぜ。な、瑠璃覇!」
「そうそう。それで万事解決じゃねーか」
幽助と桑原が言ったことに、瑠璃覇は目と口をあけて驚くが、その後少しだけ笑顔になる。
「お前達は単純だな」
「「え?」」
「でも、それでいい。お前達は、そのままでいいんだ」
二人は瑠璃覇が言ってる意味がわからず、疑問符を頭に浮かべるだけだった。
瑠璃覇はもう一度軽く笑うと、二人に何も言わずに、先に進んでいった。
その頃、垂金の屋敷では、一人の男が、自分の部下……先程幽助と桑原が倒した妖怪の妖気が消えたと驚いていた。
彼の名は、戸愚呂弟。
今回、雪菜に涙を流させるために垂金に雇われた妖怪であり、魔物の売買を生業とする妖怪集団、闇ブローカーの一員であり、先程幽助と桑原が倒した妖怪の上司である。
それを聞いた垂金は激怒し、戸愚呂弟の実力を試させてもらうと、奇妙な動物がいる部屋に案内した。
そこには、かなり大きい、一体なんの遺伝子をもってるのかわからないくらいの、気味の悪い動物がいた。
これを倒せるかと言われたが、戸愚呂弟は、自分の唯一の武器である筋肉操作を行い、30%の力であっさりと倒してしまったのだ。
それを見た垂金は狂喜し、自分の専属ボディーガードにならないかと誘いかける。
そして、その後で坂下という男に、B・B・Cの連中に電話をしろと命令する。
それは、賭けを行うということだった。
電話をして1分後。
B・B・Cのメンバーは集まり、今回の賭けの対象は、幽助達と戸愚呂兄弟をはじめとする闇ブローカーの対決だった。
第一の賭けは、外にいる闇ブローカー12人と幽助達侵入者のどちらが勝つかというもので、ほぼ全員が闇ブローカーが勝つ方に賭けたが、その中の一番若い左京という男は、幽助達が勝つ方に賭けていた。
その直後、戸愚呂弟は、外にいた12人のうち、6人の部下の妖気が一瞬にして消えるのを感じとり、感心していた。
同じ頃、外では瑠璃覇が風の力を使い、6匹の妖怪を、一瞬にして倒していた。
「いよっし!」
「さすが瑠璃覇さんだぜ」
幽助と桑原は、瑠璃覇が6匹まとめて、一瞬で倒したのを見て感心していた。
「「よっしゃあ」」
段々とノッてきた二人は、あとの残りの敵も一気に倒そうと走り出し、瑠璃覇もその後に続いていく。
ちょうどその時、三人の前から妖怪が6匹走ってきた。
「「あと6匹!!」」
けど、それはいかにもザコといった感じの妖怪で、三人の相手には役不足と言えた。
「おのれ、調子に乗りおって!!妖怪の意地にかけて、ここは通さんっっっ!!」
そう叫んだ後、6匹のうち2匹が、三人に向かって跳びかかる。
「っざってーーーー奴らだぜぇ。オレの恋路を邪魔する奴ァあああ!!」
桑原は叫びながら霊剣を構え
「オレに切られて死んじまえーーー!!」
跳びかかってきた2匹を、一気に切り倒した。
そして、桑原に続いて幽助も、連続でパンチを繰り出し、残りの4匹を一気に片づけた。
「「楽勝!!!!」」
数は自分達の4倍もいたのに、幽助達はあっさりと全員倒したのだった。
「ここだ」
それから、瑠璃覇の鼻を頼りに先に進み、三人は垂金の別荘にたどり着いた。
「おお~~。本当に着いたな」
「…………ここが垂金の別荘だな。しっかし、鼻を頼りにたどり着くなんて、犬みてェだな」
「殺すぞ…」
犬扱いされて、とても不快そうにする瑠璃覇だが、幽助はまったくの悪気ゼロだった。
「ここにあのコがとらわれてるんだな。
待っててくれよ~~!!オレが助けるぜ、雪娘さん!!」
「桑原…得意の霊感で、なにか感じるか?(こいつ、そのコが飛影の妹だって知ったら、どんなツラするだろな~~~)」
「……実は、それらしい妖気ってのが、全然感じられねーんだ。きっと、映像で見たあの呪符が気配すら断ち切るんだろーな。
そのかわり、今ぶっ倒してきた12人とは、比べもんになんねーほど強い妖気が三つ…」
「3対3か。まあ、今なら相手が百匹いよーが負ける気がしねー。霊丸も、力を調節してなん発か撃てるよーになったしな」
「なんだ、オメーもか。オレも、全身の痛みが回復したとたん、すげー力がみなぎってきやがった。まさにレベルアップってやつだ!!」
「「よし!!行くぜ!」」
気合い充分な幽助と桑原。そして瑠璃覇は、雪菜を救出すべく、屋敷の中に入っていった。
一方、垂金とB・B・Cの連中は、賭けを続けていた。
次の者達は、闇ブローカーの中でも、えり抜きの精鋭といわれる三鬼衆だった。
B・B・Cの連中は、また闇ブローカーの方にそれぞれ賭けるが、左京だけが、また幽助達に賭けた。
その頃屋敷内では、侵入してきた幽助達を始末しようと、SP達が銃撃戦を行っていた。
「くそっ、撃て!!」
「なんてすばやい奴等だ」
だが、何度撃っても球は当たることはなく、三人はそれをいとも簡単に避けていく。
それどころか、一瞬で後ろに回りこみ、首を打撃して、一撃で倒してしまった。
「下手な鉄砲は、いくら撃ってもあたんねーんだよ」
「銃口の向きから撃つ時の指の動きまで、はっきりわかるぜ」
「に、人間じゃねェ……!!」
「銃向けても平気なツラしてやがる」
「(まあ……確かに、人間ではないけど…)」
子供だけでなく、大人でもできない芸当をあっさりとやってのける三人を見て、まだやられてないSP達はびびってたじろいだ。
「あなた達じゃ無理よ。どいてなさい」
そこへ、闇ブローカー・三鬼衆の一人が、後ろから姿を現した。
「三鬼衆一の角・魅由鬼、お相手します」
それは、額に一本のつのを生やした、三鬼衆の紅一点だった。
「はっ!!!」
「うお!!」
魅由鬼が跳び、蹴りを繰り出すと、そこは穴があいて床の破片が散乱した。
それを瑠璃覇はあっさりと、幽助と桑原は結構ギリギリで避ける。
「女ァ!?冗談じゃねー。女相手にケンカできっかよ」
「優しいのね。でも、それは差別だわ。そっちがこなくても、死ぬまで容赦しないわよ」
「なら私がやろう。女同士の対決といこうではないか」
「いや、オレが相手だ。向かってくるヤツァ、老若男女区別しねー」
「コラ幽助、私の出番をとるんじゃない」
「うるせー!オレがやるったらやるんだよ!それに…」
「それに?」
「オレが守ってやるって、前言ったろーが」
自分の出番をとられて文句を言っていたが、最後に幽助に言われた言葉で、毒気を抜かれたようになってしまった。
「私はどちらでも構わなくてよ。殺される順番が違うだけのこと」
「その前に確かめねえとな」
身のほど知らずな発言をする魅由鬼に、瑠璃覇は不快そうに顔を歪め、魅由鬼を睨んだ。
その間にも幽助は構えをとり、わけのわからないことを口にした。
「は!!」
お互い合図なしに走っていき、攻撃を交えた。
それを見た瑠璃覇は、眉間にしわをよせ、幽助の行動に対し、かなり引いていた。
「お、おのれ!!不埒な!!」
「?」
魅由鬼は、今の幽助の行動に顔を赤くしていたが、桑原は、何がなんだかわからない状態だった。
「見切ったぜ!!ムダな抵抗はやめとけ。オメーも、今ので、勝ち目がねーのはわかったろーが」
「チィ。黙れ!!」
魅由鬼だけは幽助の言ってる意味がわかったようで、怒って再び幽助に襲いかかっていく。
けど、幽助の鉄拳によって、あっさりと倒された。
「オ、オメー、本当に、女だろーが容赦しねーな」
「いや、一応女だったら手加減しよーと思ってな。
確認してみた…!そいつはオカマだ」
「………え…?」
「な?なにィ」
男の一物をにぎる時のように、手を動かして説明する幽助に、瑠璃覇は信じがたそうに顔を歪め、桑原は目を丸くした。
「敵の攻撃をかわす間に調べてみたら、上はパットか注射かわかんねーが、下にはちゃんとついていやがった」
「な…なんと。今の一瞬のうちに、それだけの芸当を…。か、感心していーのかあきれていーのか…」
先程、瑠璃覇が幽助の行動に引いていたのは、この一連の行動によるものだった。
桑原は桑原で、真実を聞いて微妙な顔をしていた。
「さ……差別だわ!オカマだから手加減しないなんて。体は男でも、心は女よ!!」
「なにィ?ふざけんじゃねェ!!」
倒れただけで、気を失っていなかった魅由鬼が抗議をすれば、幽助はそれに激怒する。
「てめーも今男なら、ハンパなマネすんじゃねー。心がそうなら、きっちり女になっちまえ!!」
幽助の言葉に、魅由鬼は強い衝撃を受け
「ま…負けたわ」
自分の負けを認めた。
その様子を、屋敷内に設置してある監視カメラが写していた。
カメラを見た幽助と桑原はニヤっと笑い
「見てっかァ垂金ェ!!」
「あと2匹倒したら、そっち行くぜ」
カメラに向かって宣戦布告をすると同時に、Vサインをした。
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