第十一話 奥義継承者決定!
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「乱童~~~~~!!てめェー!!」
桑原がやられたことで、幽助は怒り、叫びながら、少林に向かって突進していく。
「よくも桑原やりやがったなぁーーー」
幽助は、走ってきた勢いと、怒りのままに、少林を強く殴り飛ばした。
その鋭く重い拳は少林をとらえ、少林は川をはねる小石のようにふっ飛んでいった。
「根性入れ直してやんぜ。てめーに殺された99人の分もな」
第十一話 奥義継承者決定!
「くっ…うぐっ……!!おお!?」
少林はすぐに立ちあがるが、あまりに強い攻撃だったために、足がふるえ、うまく立つことができなかった。
「おりゃあ」
その間にも幽助は、強烈なパンチを少林の腹にくらわせた。
攻撃をくらうと、少林はまた、川をはねる小石のようにふっ飛んでいく。
「立てコラァ」
「うぐ…。す、すごい。霊撃力155と出ていたが、実戦となると、200をはるかにこえてるんじゃ…」
「まだまだこんなもんじゃすまさねー」
「はあっ!!斬空裂風陣!!」
「!?」
幽助が再び殴りかかろうとすると、少林は風の技を使い、幽助を倒そうとした。
「かまいたちの、うず現象とでもいうべき技です。あなたを空気の刃がおそいます!!」
「あのままつっこむとズタズタになるぞ!!」
少林から放たれた空気の刃が、すごい勢いで幽助に向かってくる。
「うおおおお」
「な!?と、とんだ!?」
「うずの方向に、頭からとびこむことで、切られる部分を最小限にしおったのじゃ!!」
「(あまりかしこい対処法とは言えないが、まあ…悪くないやり方か…)」
だが、幽助は跳躍して、なるべく技をくらわないようにした。
体が切れて血は流れているが、それでも、顔の前に腕をもってきてからガードしたので、深手にはならずにすんだのだ。
幽助はそのまま少林の元へ下降していくと、腕をクロスさせ、少林ののどに一撃かました。
幽助の強い力と、急所とも言えるべきのどへの攻撃、更にはスピードや勢いもくわわっていたので、少林は口から血を吐き、白眼をむいた。
「………へ、へへ。ざ、ざまあみろ。あの世で反省してろ」
幽助は少林と一緒に仰向けに倒れたが、フラフラの状態でもなんとか立ちあがり、瑠璃覇と桑原とぼたんの元へ歩いていく。
「ぜ、全精力使い切っちまったい」
「やったぁ。すごい。一気にやっちまったねーー。これで、桑原くんも浮かばれるよ!!」
「いや、死んでないから」
自分達のところへ戻ってきた幽助を、ぼたんは喜んだ。
隣では、勝手に桑原を殺したぼたんに、瑠璃覇は冷静につっこんでいた。
「と と」
「あらら。立ってるのがやっとって感じだね」
霊気が完全に戻っていない、霊丸が撃てない状態で風丸と戦い、少林とはほぼ連戦の状態だったので、もう全身がガクガクな幽助は、フラフラと千鳥足をふんだ。
「幽助」
「ん?」
「お前はバカか。何故戻ってきた?」
「その娘の言う通りじゃ、ボウズ。何故戻ってきた。まだじゃぞ」
「え?」
「相手が乱童なら、ここからが、始まりじゃろが」
幻海がそう言った時だった。
「くっ。あははは」
幽助の背後から、不気味な笑い声が聞こえてきた。
「なん十年ぶりでしょうか。人間相手に、乱童の姿で戦うのは」
それは、まぎれもなく少林から発せられるものだったのだ。
「しかもそれが、幻海以外の人間だっていうんですから」
手は、鋭くとがった爪がはえ、少林のものではなくなっていた。
「ワクワクしますねェ。どうやって、苦しめて殺してやりましょうかね」
恐ろしいことを言いながら服を脱ぎすて、元の姿へと戻っていく。
幽助は、その不気味な声と霊気に、おそるおそる振り返った。
「楽しませてもらいますよ」
そこにいたのは、今までの坊主みたいな姿ではなく、髪の長さも色も違う、顔や体に紋様がある妖怪だった。
乱童の体をとりまいている妖気が、はんぱなく強いことを、幽助も肌で感じていた。
「あ、あれが乱童…!!」
見た目も妖気もまったく違う乱童を凝視するぼたん。
その間にも、乱童は幽助のところへ歩み寄っていく。
「う…」
「どうしました?顔色がすぐれませんよ」
「ふざけんじゃねェ」
乱童の本当の妖気を感じとり、顔色が悪くなったが、それでも乱童を倒そうと走っていく。
「おらら。くらえ!!」
乱童に接近すると、乱童の体に何発か拳をうちこむが、乱童は微動だにせず、顔色ひとつ変えないどころか逆に笑っていた。
「先程の攻撃が、最後の力だったようですね。今のパンチには、まったく霊撃力が残っていない」
「うっ…」
幽助の今の現状を理解すると、乱童は、何やら口の中から白い糸を出した。
「こ、これは霊気の糸か!?」
「妖気の糸ですよ。妖怪の中で、これを体内で作り出せるのは私だけでしょうね」
「う!?」
その妖気の糸は、幽助の体に巻きつき、幽助をとらえた。
「ぐ…う、動け…ねェ!!」
胸からひざのあたりまでぐるぐる巻きにされてしまい、まったく動くことができなくなってしまった。
「これは丈夫ですよ。どんなに力を入れても切れません。
ためしてみましょうか!?」
「うああ!!」
乱童は糸の丈夫さを証明するために、持っている糸を振りあげると、幽助を地面にたたきつけた。
「ぐあっ」
幽助は顔が地面に直撃すると、わめき声をあげる。
「そーれ」
しかし、それで終わりではなく、乱童は再び糸で幽助を振りあげる。
「どうです。切れないでしょう!?どんなにどんなにどんなにどんなにどんなにどんなに
ふりまわしてもーーーォ」
そして、何度か頭上でふりまわすと、とどめをさすかのごとく、先程よりも強く地面にたたきつけた。
「うう…。だめだ。あれじゃ逃げようがない。どうする事もできない…!!」
手足の自由がきかなくては、攻撃も防御もできない。そうじゃなかったとしても、もう霊撃力が残っていない状態では、乱童を倒すことは不可能だった。
一方で乱童は、糸ごと幽助をひっぱって歩いていた。
「くあ……!!」
「……そうだ。いいことを思いつきました」
そう言うと、乱童は幽助をしばっている糸を、大きな池の隣に立っている木の枝にしばり、幽助を逆さづりにした。
「………ふふふ。気分はどうです?」
「…く…!!クソガキが。なにをする気だ……!!やるならさっさとやりやがれ」
「あなたにぼくの友達を紹介します」
そして、乱童は妙な呪文を唱えだす。
「(あれは…魔界生物の召喚の呪文!?)」
魔界出身である瑠璃覇は、乱童が何をしているのかがすぐにわかり、身構えた。
「ゲェ!!な、なんだありゃ」
乱童が呪文を唱えると、池の中から、目がたくさんあり、ピラニア以上に鋭い歯をもち、不気味に鳴く大きな魚が現れた。
「魔界からよびよせた魔界魚達ですよ。彼らは食欲が旺盛でしてね」
乱童は今言ったことを証明するように、小さな妖怪を池に投げれば、妖怪はあっという間に食われ、骨だけとなった。
しかも骨はバラバラになっており、周りには血が浮かんでいて、それを見た幽助はさすがにぞっとした。
「特に人間の肉が好物なんですよ」
「あ、あのかまえは」
その構えには見覚えがあった。
それは霊丸の構えで、乱童は見よう見まねで幽助にむけて撃った。
その攻撃は幽助の頬をかすり、微量の血が流れる程度だったが、幽助を驚愕させるには十分だった。
「いい表情(かお)だ」
「前に一度見ただけの霊丸を……!!見よう見まねで……!?」
「うむ…。恐るべき妖力と戦闘センスじゃ」
近くで見ていた幻海も、今の乱童の攻撃には感心していた。
「奥義がヤツに渡れば、あたし以上の使い手になるかもしれん。魔性の技としてな」
「ぼくは生きたまま喰われていく人間の悲鳴が大好きでしてね」
さっきは幽助の頬にあてたが、今度は幽助ではなく、幽助がぶらさげられている木の枝を撃った。
「う!!」
「幽助!!」
「いい声で鳴いてくださいよ」
「うわあああ」
「さあ、美しい血しぶきと悲鳴を上げてください!!」
そのことにより、当然ささえがなくなり、幽助は池の中へ落ちてしまった。
「さて…。彼の骨が浮かびあがってきたら、いよいよ師範の奥義をいただくとしましょうか」
「幽助!!
師範!!あのままじゃ幽助が…!!」
「………むう…」
もう、すでに勝ちは自分に決定してると思っている乱童の顔は笑っていた。
「おっと失礼…。まだあなたがいましたね」
けど、瑠璃覇のことを思い出した乱童は、顔だけを瑠璃覇に向けて、瑠璃覇の顔をちらっと見る。
「ふふっ、心配はいりませんよ。あなたもぼくの友達(魔界魚)に食わせて、楽にしてさしあげますから。
あなたは妖怪ですが、その美しい顔だち…。さぞや美味なんでしょうね。
あなたにも、美しい血しぶきと悲鳴をあげていただきたい」
恐ろしいことを言う乱童だが、瑠璃覇は眉ひとつ動かさずに冷静で、平然としていた。
「そんな風になるのは弱い奴だけだ。相手が、幽助や桑原でよかったな。私が相手なら、お前は今頃、この世にはいない」
「…ずいぶんと自信がおありのようですね。ですが、あまり自分の力を過信していると、足をすくわれますよ」
「それはお前だ、乱童。お前が強いとされているのは、人間界でのみ。魔界に行ったら、お前など一瞬で食われる。
何故お前が恐れられているか?
それは…今まで、弱い人間しか相手にしてこなかったからだ」
「減らず口を……。ですが、そこまで言われると、あなたの正体が気になってきましたよ。
誰です?あなた…。一体、何者です?」
正体を問われると、瑠璃覇はニヤッと笑う。
「…銀…瑠璃覇…。
またの名を……
パープル・アイ」
瑠璃覇が正体を明かすと、乱童だけでなく、近くにいた幻海も驚き、目を大きく見開いた。
だが乱童は、瑠璃覇の正体を聞いて驚くが、すぐにニヤリと笑った。
「まさか…あなたが、あの伝説のパープル・アイだったとは……。あなたの力も奪って、私のものにしてさしあげましょう」
乱童が不敵な笑みを浮かべた理由。それは、名をあげるチャンスだからだった。
「やめとけ。お前に私の力は手にあまる。逆に技に食われるぞ」
「私には、99人の霊能力者や修験者から盗んだ奥義があるんですよ。あなたくらい、あっという間にコナゴナに……」
自信ある乱童の言葉にも、瑠璃覇は嘲笑を浮かべる。
「たかだか数十年しか生きていない、人間の小僧っこから盗んだ技に、私が殺られるか」
「さあ、どうでしょうか。試してみなければわからないでしょう」
「試さなくてもわかる。大体、他人の力を奪うしか能がないから、お前は低級なんだ」
ここまで言われると、さすがに乱童も、不快そうに眉間にしわをよせた。
「そこまで言うなら見せてもらいましょうか?あなたの力を…」
「だから、見せなくてもわかる。
それに……」
「それに…?」
「お前の相手は、私じゃないしね」
「なに…!?」
瑠璃覇がそう言った時だった。
「ざけんじゃねェーーーー!!」
「!?」
池の中から幽助の叫びが聞こえたと同時に、霊気が放出され、池の中が爆発したので、それを見た瑠璃覇は、フッと笑う。
その爆発で魔界魚が、全てバラバラになって吹き飛んだ。
「……へ。やれ…ば、できるじゃねェ…か。バーカ」
「え?」
実は、幽助がこんなにも大量の霊気を放出できたのは、桑原の魂が幽助のもとへ行き、幽助をたきつけ、桑原なりに、叱咤激励したからだった。
「なんですか………今のは。恐ろしい量の霊気が放出された様に見えましたが。まさか…。
しかし、現に魔界魚が全て吹き飛んでいる。
妖気の糸を切って、脱出したとでもいうのですか。
しかし、今の爆発にも似たパワーなら、考えられないこともない…。
最後の力をふりしぼり、脱出に成功したようですね。
しかし、浮かんできたときが、あなたの最期ですよ」
今の放出された膨大な霊気を感じとり、冷静に分析しながら、再び池に顔を向ける。
「さあ、出てきなさい」
幽助が出てきた時、とどめをさそうと、霊丸の構えをとった。
すると、池の中から泡が浮かびあがった。
「そこか!!」
「残念でした!」
だが、目の前の池から出てくると思われたが、幽助はなんと、背後から出てきたのである。
「………!!ばかな。どうやって背後に」
てっきり目の前の池から現れると思ったのに、いきなり背後から出てきたので、さすがの乱童も、これには驚いた。
「その池と、風丸の試合の時に落ちた底なし沼が、下でつながってたんだよ」
幽助は乱童の背中をとると、最後の力をふりしぼり、残った全部の力で乱童を殴り飛ばし、乱童はそのまま池の中へ落ちていった。
「へ……これで打ち止めだ。もう、腕あげることもできねー」
まさに形勢逆転。先程と立場が逆になり、幽助はふるえた体でひざに手をつきながら、かなりギリギリの状態でそこに立ち、池をみつめた。
もう、乱童が沈んだままで立ちあがらないことを願ったが、その願いもむなしく、乱童ははいあがってきた。
「くっ…」
「今のは………かなり効きましたよ」
効いたと言っても、それでも余裕の笑みを浮かべる乱童は、幽助の前に来ると、幽助を殴り飛ばした。
「……もうなに言われよーが、動け…ねェ。勝手にしや…がれ」
もうすでに限界だったので、幽助は殴りとばされて仰向けに倒れると、覚悟を決めた。
「どうやら、本当に力尽きたようですね。ならば、せっかくの機会だし、あなたも縮身の呪術でほうむってあげましょう」
「(……なにか言ってやがるが、頭がグラグラしてわからねーや)」
「私が呪文を唱え終えたとき、あなたに万が一の勝機すらなくなります!
くくく」
乱童は楽しそうに笑いながら、先程桑原に使った縮身の呪術を使った。
「フフフ、終わってしまいましたよ。あなたの体はどんどん縮むだけ!さあ、どうやって殺してあげましょうか。
骨という骨を全部くだいた後、虫ケラのようにふみつぶしてあげるというのはどうですか?」
乱童は笑みを浮かべ、幽助に近づきながら、幽助を殺す方法を楽しそうに話すが、幽助の前まで来た時、ある違和感に気づく。
「な、なに!?」
目の前の幽助を見て、乱童は驚愕した。
それは、幽助がやたらと大きくなっていたことだった。
「ま…まさか。まさか!!縮んだのは、ぼくなのか———!!?」
「?」
「一体…これは!?」
幽助だけでなく、近くにいたぼたんも、小さくなった乱童を見て不思議に思った。
「………技におぼれたな、乱童。
呪術は、術が失敗すれば、呪いは己の身に返ってくる危険なもの。不用意に、なん度も使うべきではなかったな」
「失敗!?バカな!!ボクの念はカンペキだった!!」
「縮身の呪文は、相手の聴覚を通し、脳細胞から全身へと直接念波を送り込む術で、極めて無防備な相手にしか通用せん、不完全な技だったのじゃ。そのことを知っている者であれば、耳をふさぐだけで呪いをふせげるような…な」
「そ、そんな。し、しかし奴は、その事を知らないはず」
幻海の説明に、乱童は、自分が小さくなってしまった事実もあってか、動揺していた。
「!?
さっきから、全然耳が聞こえねーぞ」
二人が何かを話しているということはわかったが、何を言ってるかまではわからず、それを不思議に思った幽助は、耳をたたく。
「ゲ…。池の藻が…こんなに…!聞こえねーはずだ」
「!!」
何故、縮身の呪術が己に返ってきたのか?
それは、偶然にも幽助の耳の中に、池の藻が入っていたからだった。
「他人の技を盗むことにのみ執着し、技の本質をつかめなかったお前の負けじゃ!!」
「敗北!?ふざけるな!!解呪の呪文を唱えれば、すぐにもと通りにな」
「へへ…。おめーが呪文を唱え終わるまで待つほど、オレがお人よしに見えるか?」
「!!」
解呪の呪文を唱え、もとの大きさに戻ろうとした乱童。
だが、解呪の呪文を唱えようとした時、幽助が目の前に立ちはだかった。
「も、もうパンチ一発打つ力も残ってねェが、オメーに向かって、倒れ込むことぐらいはできるぜ!」
「あぁああああああ」
「エルボー・ドロップーーー!!」
幽助は倒れこむと同時に技をかけ、乱童はまるで、小さな虫のようにつぶれてしまった。
乱童は顔面が血まみれになり、白眼をむき、今度こそ倒されたのだ。
「……も……もう、立てねェ。キンタマの位置直す力も残ってねーぞ」
幽助は乱童を倒すと、そのまま、乱童の隣に仰向けになって倒れた。
「ど、どうだいバァサン。我ながらみっともねェ姿だが、一応勝ったぜ」
「何を言うとるか。乱童には勝ったが、まだこっちには、瑠璃覇という娘が残っておるぞ」
「ゲ!そ、そうだった…」
もうズタボロで動けない状態なのに、自分より強い瑠璃覇が残っていることに気づき、幽助は顔が青ざめ、近くに来ている瑠璃覇を見ると、幻海も同じように瑠璃覇を見た。
「………自分よりも弱く、しかも戦って弱っている相手に、手を出すつもりはない。
それに言っただろう?私はお前の奥義に興味はない…と…。
私は本当に、こいつのおもりで来ただけ。言わば、偽の候補者だな」
視線に気づいた瑠璃覇は、二人を見ると、自分は戦意がないことを示す。
「だから、幽助と戦うつもりも、幻海の奥義を継承するつもりもない。私は、ここで辞退するよ」
「うむ!」
瑠璃覇の心の内を聞くと、幻海はあっさりと納得した。
「奥義継承者。浦飯幽助に決定!!」
「やったーーー」
幻海が幽助の優勝を告げると、ぼたんは喜び、瑠璃覇も微かにではあるが、口元に笑みを浮かべていた。
ちなみに桑原は、彼らのいる、約20m先で忘れられていた。
そして——
「乱童は、このまま金庫にでも入れて連行するよ」
「自分が出した糸でしばられてちゃ世話ねー」
乱童は、逃げることができないように、自分で出した糸でしばられていて、それをぼたんが持っており、幽助は回復したのか普通に立っていた。
「あ、それから桑原くんのケガ。師範が、霊波動で骨をくっつけてくれたんだよ」
「本来あたしの霊波動は、こーゆー使い方をするべきものなのじゃからな」
ちなみに桑原は、幻海の力により、体が元通りに戻ったのだった。
「よーし。これで、任務完了!!約束の、東京ドーム世界格闘技戦を見にいくぜ!」
「あれだけ戦って、まだこりないかね」
さっきまでズタボロで、立つことすらままならない状態だったのに、世界格闘技戦を見にいけるのでわくわくしている幽助を見たぼたんは、呆れ顔になった。
「またんか。なにを言っとる、お前は」
「え?」
だがそれを、幻海によって止められる。
「奥義はお主に渡すといったろーが、幽助!これからみっちり、霊光波動拳の基礎を教えてやる。当分の間、ここで修業してもらうぞ!!」
「な、なんだって~~~!!」
任務は完了したものの、幻海の奥義継承者になったことで、結局、ボーナスの世界格闘技戦はなしになったのである。
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