第二話 任務開始!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「えー…。じゃあ、席は浦飯の隣だな」
瑠璃覇があいさつをすると、竹中は瑠璃覇に席をあてがった。
竹中のその一言で、クラスメート全員が幽助に注目する。
特に男子生徒は、うらやましそうな…妬ましそうな目で見ていたが、幽助はその気配に気づいていなかった。
その視線は男子だけだったが、一人だけ、雪村螢子という女子生徒は、男子生徒とはまた別の意味の視線を、幽助に向けていた。
「あそこのオールバックの男子生徒の隣が空いてるから、そこに座りたまえ」
「はい」
そんな気配など露知らず、瑠璃覇は竹中に席をあてがわれると静かに返事をして、まっすぐに幽助の元へ歩いていく。
「よろしくね、浦飯くん」
「お、おう」
あてがわれた席の前でピタリと立ち止まると、幽助に向かって、わざとらしくにこっと笑ってあいさつをする。
そんな瑠璃覇を、幽助はひきつった顔で見た。
第二話 任務開始!
一限目が終わった後、幽助は瑠璃覇を連れて屋上へ行った。
「なんだ?いきなりこんなところまで連れてきて…。一体なんの用だ?」
「「なんの用だ?」じゃねえっての。お前なんだって、オレの通ってる学校に転校してきたんだよ!?」
「なんだ、そんなことか…」
質問をされると、何を言うかと思えば…とつけたして、軽くため息をついた。
「そんなの決まってるだろう。その方が都合がいいからだ」
「都合?」
「不本意だが私は、お前の……霊界探偵のパートナーになったのだぞ。一緒にいた方が、何かと都合がいいだろう。もし急に任務が入ったとしても、わざわざ待ち合わせしなくてもいいからな」
「ああ、なるほどな」
幽助はわりと簡単に納得して、先程とは逆の表情になる。
「ところでよぉ。お前、なんでオレのパートナーになったんだ?不本意だってんなら、断ればよかったじゃねーか」
「…………私には探し人がいる。人とゆうか、相手は妖怪だが…。妖怪が自然と絡んでくる霊界探偵のパートナーになれば、早く見つかると思ったんだ。それに、コエンマも多少は協力すると言っていたしな…。
この際早く見つかるのならば、大嫌いな霊界に頼っても構わないと思い、お前に協力してやってるだけだ」
もうひとつの疑問を投げかけると、席につく前に見せた笑顔とは違い、とても冷たい顔を向けられる。
瑠璃覇はそのことを言うと、扉を開け、そこから去っていく。
幽助はその姿を黙って見ていた。
二時間目が終わり、三時間目は体育で、体育館でバスケをやっていた。
「浦飯くんは?」
「小便だって」
「じゃ…当分戻ってこないな」
女子は普通に全員授業を受けていたが、男子の方は、突然幽助がいなくなったので、男子生徒の一人が、別の男子生徒に問いだしていた。
問いだされた方の男子生徒が幽助の行き先を答えると、もう一方の男子生徒は、あっさりと納得した。
その頃、当の本人は…。
「………うーむ。どー見てもただのレンズだよな」
トイレとはただの口実で、体育館裏で小さなレンズを眺めていた。
要はさぼりである。
先程の男子生徒の発言は、これを見抜いてのことだった。
「(これのどこが、探偵七つ道具のひとつなんだか、ぼたんのヤツ)」
レンズを見ながら、瑠璃覇と出会う少し前、復活して霊界探偵に任命された日、この道具をぼたんに渡された時のことを思い出す。
「霊界探偵として、この世の霊界と関わる事件を解決すること。それがあんたの使命だよ。事件があり次第、コエンマ様から指令が届くはずだけど、その前に渡しとくものがあるわ」
そう言ってぼたんは、懐からあるものを取り出した。
「じゃーん!!霊界アイテム探偵七つ道具、霊透眼鏡(れいとうレンズ)」
ぼたんが取り出した霊透眼鏡というのは、カベなどをすかして、かくされたりなくしたりした物を見つけ出すことができるレンズだった。
そしてそれが、今現在幽助が持っているものである。
「…………七つ道具ってひとつじゃねーかよ」
「霊界アイテムは、使うだけで霊的なパワーを消費するんだよ。1コずつ使いこなせるようになっていかなきゃね」
ぼたんがそう言っていたのを、幽助はレンズを見ながら思い出していた。
「別にオレ、今、探し物なんかねーからな。さて、次の時間までふけるか」
結局そのままサボることにして、どこか別の場所へと移動していく。
「(予想通り、体育はさぼったな)」
それを影で、一人の教師が見ていた。
だが、その教師は叱るどころか、逆に好都合だといわんばかりに、ニヤリと怪しい笑みを浮かべていた。
そしてその教師は、そのまま幽助のクラスに行き、何やら生徒のカバンをあさっていた。
今幽助のクラスは体育の時間のため、当然教室には誰もいないので、やりたい放題だった。
「疑われるのは、体育をさぼった浦飯が、最有力。これだけの物が一度になくなれば、すぐに盗難騒ぎになるだろう」
この男が、幽助のクラスに入ってカバンをあさっていたのは、幽助のことが気に入らないからで、自分が生徒の私物を奪うことで、幽助に濡れ衣をきせようとしたのである。
「そうだな。ヘタにあいつのカバンに入れておくよりも、物が見つからない方が、みんなの疑惑がより深まるかもな。これは全部燃やしてしまうか」
それはまさに、教師として、人としてあるまじき行為であった。
「……ほう、こいつは珍しいな。こいつはもらっておくか」
そう言って、黄金の龍が巻きついているペンを自分の上着のポケットの中に入れると、教室を去っていった。
そして体育の時間が終わり…。
「あれ?あれ!?ない!ないよォ」
「どうした高井?」
「黄金の龍が巻きついてる開運の万年筆がないんだよォ。オーダーメイドで、世界にただひとつなんだぞ」
先程、男性教師が盗んだペンの持ち主である高井という少年は、自分が大切にしていた物がなくなり、とても焦っていた。
「体育の前までは、確かにあったんだ!!」
「あれ?オレの時計もねェや」
「あ!!あたしのキーホルダーも!?」
高井という少年につられるように周りの生徒達も騒ぎだし、最終的に、体育の時間にさぼっていた幽助を疑いの目で見た。
「………なんだよ。なに見てやがる」
「ちょっと、一方的に決めつけるのはよくないわよ」
だがそこへ、幽助の幼なじみである雪村螢子だけが、幽助をかばった。
「体育のときいなくなったのは、彼だけだぜ。明白じゃないか」
「どうした。なにを騒いでるんだ」
そこへ、タイミングよく…というかわざとらしく、先程の男性教師・岩本が現れた。
岩本が来ると生徒は事情を話し、その事情を聞いている岩本を、瑠璃覇は鋭い目で見ていた。
それから、岩本は事情を聞くと幽助を職員室に連れていった。
幽助が濡れ衣をきせられ、職員室に連れていかれてから数分が経った。
今はちょうど授業中で、瑠璃覇は教科書を片手にしていると、何やら異様な気配に気付く。
けど、そしらぬ顔で授業を受け続け、そのままその気配を放っておいた。
それから授業が終わると、瑠璃覇は屋上へと向かって行った。
「やっときおったか」
そこにはコエンマが待ち構えており、少々不機嫌な顔で、腕を組んで宙に浮かんでいた。
先程感じた気配は、コエンマのものだった。
「1時間も待てるなど、霊界の統括者の仕事はよほど楽なんだな。
…………どんな用件だ?」
長いこと待たせていたにも関わらず瑠璃覇はまったく悪びれた素振りは見せず、それどころかしれっとした態度で嫌味を言った。
「わしはそんなに暇ではない。緊急を要するから待っていたのだぞ。まったく…1時間もわしを放置しおって…。霊界の長をなんだと思ってるんだ?」
「…来てやっただけでも、ありがたく思うんだな」
けど、それでもひるむことなく文句を言うのだが、瑠璃覇には通じず、上から目線でものを言われる。
「だが、わしが最初に現れた時に、すでに気付いていたのだろう?ならば、仮病なりなんなり使って、さっさとこんか」
「前にも言ったはずだ。私は…霊界の傀儡になるつもりはない…と…」
「………まあ、いいだろう。本題に入る」
鋭く反発的な目で睨まれると、これ以上は何を言ってもムダだとわかり、コエンマは軽くため息をついた後、話を始めた。
「実は三人組の妖怪が、霊界大秘蔵館から闇の三大秘宝、降魔の剣・暗黒鏡・餓鬼玉を盗んでいった。あれは、どれも使い方次第で、多くの人間を操ったり傷つけたりできる、危険な武器に早変わりする代物だ。
もうすでに、幽助は出動させた。
お前も至急幽助と合流し、なんとしても宝を取り戻してくれ!」
「………わかった」
コエンマから任務の内容を聞くと、瑠璃覇は短く低めの声で返し、何故か扉の方ではなくフェンスの方へ向かっていき、フェンスの前まで来るとピタリと立ち止まる。
すると瑠璃覇の周りに、まるで瑠璃覇を包みこむようにして風が起こり、うず巻き、風が発生して数秒経つと、本人の姿が消えていなくなっていた。
だがコエンマは、それを見ても特に驚く様子もなく、平然とした顔で瑠璃覇を見送った。
「……頼んだぞ」
「(コエンマは、この付近に逃げこんだなんて言ってたが、こんだけ人間がいるのに見つかるわけねーよな)」
同じ頃幽助は、街中に出て、妖怪達が逃げこんだと思われる場所を探していたが、なかなか見つけることができないでいた。
そんな時だった。
「!?」
幽助は、頭にいくつもの角が生えた、妙な人物を発見した。
更に隣を見てみると、髪の毛が逆立った小柄な男と、髪の長い優男がいた。
「(まさかあれかな。ちょうど3人組だし…………)」
普通の人間なら気にもとめなかっただろうが、手前にいる大男には、人間にあるはずのないツノが生えていた上、コエンマが言っていた通り3人組だったので、幽助は思わず凝視する。
「向こうの二人は一見妙なとこはねェが、手前のでかいヤツの頭…。ありゃ…うっすら見えるのは、ツノだよな……」
きっと、あの3人が犯人なのだろう…。
そう確信した幽助は、3人の後について歩き出した。
「おい、子供が急に倒れたぞ」
「貧血じゃねーのか」
一歩踏み出すと、突然後ろから騒ぎ声が聞こえてきた。側にいた子供が、突然倒れたので、大人達がびっくりしたのだ。
幽助は一旦立ち止まって声がした方を見たが、3人を見失うわけにはいかないので、3人の尾行を続けた。
後をつけてからかなりの時間が経過したが、まだ目的の場所につかないようで、3人はさっきからずっと歩き続けている。
「(どこまで行くんだ?あいつら…)」
すると、突然建物の間の細い路地へと入っていった。
「(おっ!あそこか?)」
三人が入っていくと、幽助も後について、路地に入ろうとした。
「よぉ、兄ちゃん」
「オレ達、金落として困ってんだよ」
「ちょっと貸してくんねーか?」
だが、路地に入ろうとした時、ガラの悪そうな男達が幽助に絡んできた。
「………今急いでんだよ。後にしろ」
幽助は三人を見失っては困るので、相手にしないことにした。
だが……
「そんなつれねーこと言うなよ」
「本当にちょ~~っとだけでいいんだよ」
「困った時はお互い様だろう?」
男達はしつこく絡んできた。
「うっせーな!おめーらに構ってる暇なんてねーっつってんだろ!!」
なんとかふりほどいて前に進もうとすると、絡んできた男達とは別に、恐らくこの男達の仲間であろう男達がやってきた。
ニタニタと怪しげな笑みを浮かべて、幽助に近づいてくる。
「うおっ!なんだ?こいつら!」
結構な人数なので、幽助は身構えた。
後ろには、ふりほどいた男達も立っている。
「(今、こんな奴らに構ってる暇ねーぞ!でも、こいつらをどうにかしねーと、あいつらを追うこともできねー。くそっ……仕方ねーな…)」
けど、ここを突破しなければ、あの三人組の妖怪を追うことができないので、仕方なく相手にしようと(倒そうと)した。
「幽助っ」
「瑠璃覇!?」
その時瑠璃覇が、幽助の元へまっすぐ走って来て、幽助の周りにいる男を蹴り飛ばした。
「早く行け、幽助!」
「お前、なんでここに!?」
「私のところにもコエンマが来てな。お前のお守りを頼まれた。宝を盗んだ奴を見つけたんだろう?だから早く行け」
瑠璃覇は、幽助に絡んでいる男達を、次々と倒していく。
「けど…」
「何をやってる?早くしないと見失うぞ。早くし……」
「お、おう」
最後まで言う前に、瑠璃覇はあることに気がついた。
「!?」
それは、幽助が身を低くして、自分のスカートの中をのぞいていることだった。
瑠璃覇は相手を倒しながら話しており、ちょうど今、蹴りを出すために足をあげていたので、幽助にばっちり見られてしまったのであった。
そしてその直後、何度か鈍い音が響く。
「早く行けっ」
「はーい」
当然、幽助はボコボコにされた。
幽助はボコボコにされたというのに、どこかうれしそうな顔をして、そのまま盗賊が進んでいった方へ歩いていく。
それから30秒もしないうちに、瑠璃覇は敵を全員やっつけた。
「さて、私も行くか」
全員やっつけたので、自分も幽助の後を追おうとした。
「おーい!瑠璃覇ちゃーーん!」
その時、急にぼたんが空からやって来た。
「ぼたんか。なんの用だ?」
「コエンマ様が呼んでいるよ。至急来てくれってさ」
「私は今忙しい。例の三大秘宝を盗んだ奴を追っているんだ」
「あ、それはなんか、幽助に任せろってさ。瑠璃覇ちゃんには、別の任務をやってほしいんだって」
「別の任務?」
瑠璃覇は少々納得がいかなかったが、渋々ぼたんについていき、霊界へ行った。
.