第七話 選考会開始!
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霊界の三大秘宝盗難事件から、数日が経ったある日、幽助は瑠璃覇とともに、とある山中に来ていた。
「おーい幽助っ、早くこんか!」
幽助は息を荒くしながら、その山にある、人工的に作られた石段を一段ずつ登っていたが、幽助に対して、瑠璃覇はまったく息を乱しておらず、軽々とはずむように、石段を何段もとびこえて登っていた。
それは、妖怪の並はずれた身体能力のすごさを物語っている。
山に行くということで、スカートなどの運動には不向きな服装ではなく、赤色のカンフー着を着ており、ポニーテールに結っている髪が、石段を登るたびに、やわらかく揺れ動く。
「ん…んなこと言ったってよぉ…」
「いい若いもんが、だらしないぞ」
「お前にそう言われると、なんかすっげえ違和感を感じるな…。
つかおめぇ、妖怪だってんなら、一体いくつなんだよ?」
「あまり女に年齢を聞くな。だが、少なくともお前の150倍は長く生きている。口の聞き方に注意しろ」
「ひゃっ、150倍!?」
相手は妖怪なので、多少は自分より年がいってると思ったが、予想以上に上だったので、幽助は驚くばかりだった。
「それにしても、長い石段だ。人間でも、たくましい奴がいるもんだな」
そう言いながら、まだ先の見えない頂上を見上げる。
とは言っても、幽助と違って、全く疲労していなかった。
「くそ~~。なんだってせっかくの休みに、こんな人気のねェ山奥にこもらなきゃなんねーんだよ」
「まあ…不本意だが、指令だからな」
指令という言葉を聞くと、幽助はめんどくさそうな顔になる。
「地図によると、この石段さえ登りゃ……」
「おい、幽助…」
「ん、なんだ?
げっ。こ、ここか!?」
瑠璃覇が声をかけるとほぼ同時に幽助は頂上に着き、その時目にしたものに驚いた。
「選考会だ?オリンピックじゃねーっつーの。風呂や便所はあるんだろーな、ここは」
二人は頂上に着くと、自分の身長の倍以上もある門を目にした。
門の右隣には、「幻海師範 門下生大選考会」と書かれた看板がある。
第七話 選考会開始!
幽助は中に入るため、その大きな門を開ける。
門は見た目通り古いようで、開けると同時に、ギギィーという、重そうな音をたてて開いた。
「!!」
門を開けると、その先にある光景に、幽助は驚いた。
「すげー人数。こいつら全部、弟子入り志願者かよ」
そこには、かなりの人数の志願者がいたのだ。
この寺は相当な広さなのだが、それでも、寺の庭をうめつくすほど、大勢の人間がいたのである。
それは、幻海という人物のすごさを物語っていた。
「すごい人だな」
「ん?ああ…」
そう言われて周りを見てみると、割れあごの長髪パーマの男。
口が見えないくらい髭をはやしている、多少修業を積んでいそうな、ごつごつした毛がない頭の男。
そして、戦いとは無縁そうな、ビン底眼鏡のガリ勉男など、様々な人間がいた。
「(~~~~う~~ん。集まってる奴見ても、変な人間ばっかで、幻海って奴がどんな人物かもわかんねーな)」
周りを見ても、幻海という人がどんな人物か見当もつかず、顔をしかめる。
「それにしても、幻海師範が弟子をとると言っただけでこれだけの人間が集まるのだからな」
「それだけ、師範の持つ能力がすごいということだな」
「しかし逆に、体得するには、すさまじい修業に耐えねばならんだろうな」
「………」
奥に進んでいくと、二人の男が幻海の話をしており、それを聞いていた幽助は、何やら嫌そうな顔をしていた。
「(やっぱり、選ぶためにゃ、大変な試験や試技があんだろな~~~。あ~~あ、やっぱくるんじゃなかったよ。うまくぼたんの口車にのせられちまったな――――)」
話は数日前に遡る…。
ある日の昼休み。ぼたんが来たということもあり、幽助と瑠璃覇は屋上にいた。
ぼたんは二人に、指令を伝えに来ていたのである。
「今度の指令は潜入捜査ーー!?」
突然知らされた指令に、幽助は大声で叫ぶ。
「おいおい、どこに入りこめってゆーんだよ。魔界に行ってこいなんてゆーんじゃねーだろうな」
「大丈夫、この世だよ。コエンマ様の知り合いの幻海って人が、弟子を募ってるんだ。そこに弟子入り志願者として、あんた達に行ってもらいたいんだよ」
指令の内容を聞くと、瑠璃覇はフンッと、軽く鼻を鳴らす。
「なに者だよ、その幻海ってのは?」
「れっきとした人間だけどね。コエンマ様の知ってる人の中でも、5本の指に入る、すごい霊能力者なんだってさ。ずっと弟子はとらなかったんだけど、どうやら死期が近いらしくてね。自分が修業で体得してきた能力の奥義を、後世に残したいって言ってるんだよ」
『幻海の開発した能力の秘密なら、のどから手が出る程欲しがっている妖魔の類も多いのだ。幻海の除霊の能力を恐れて、活動をひかえている妖怪怨霊もたくさんいるしな。自分達をおびやかす程の能力なら、逆に体得すれば、強力無比の武器になるからな』
「ってことなんだよ」
「そーゆー奴らに奥義が渡らないように、内側から見張ってろと」
「そ!それが霊界探偵としての、あんた達の仕事。まあ…瑠璃覇ちゃんがいれば、全然大丈夫だろうけどね」
『ついでに、幽助の修業にもなるだろ。こんな機会でもない限り、地道な努力や修業をするタイプじゃないからな』
「(おっと。これは秘密秘密)」
コエンマが最後に言った言葉を思い出し、これは言わない方がいいと判断したぼたんは、とっさに口を閉ざした。
「中でも、一番気をつけろって言ってたのが、乱童と闇で呼ばれている、奥義やぶりを専門にしている好戦妖怪だね。
今までに、99人の霊能力者や修験者の奥義を奪い取ってて、百人目はきっと、幻海師範の奥義をねらうだろうといわれているんだ。
そいつは奥義を盗む度、それを自己流の必殺技にかえて、人間を実験台にして、技をためすんだ。年間に行方不明になってる人間のうち、一体なん人が乱童の"ためし切り"の犠牲者になっているかはわからないけど。
師範の奥義が奴の手に渡れば、その数が倍になるとさえいわれてるんだ」
「ふ~~む。たしかにそれは、人間にとって重大な災いだな」
「そだろ?」
乱童の話を聞き、めずらしく真剣な顔をして正論を言う幽助。
「しかし今のオレには、目の前の休日を遊ぶことも大事だし」
けど、真剣な顔のまま、休日を遊ぶことも大事だと言う幽助に、瑠璃覇は周りがわからないくらい、少し息を吐く程度に小さく笑い、ぼたんはベタにずっこけた。
「はかりにかけれる問題じゃないだろ!!」
「オレにしてみりゃ、でけー問題だ!!」
「………」
大きな声で断言をする幽助に、二の句が継げないとゆう感じで、ぼたんは呆れはてる。
「あ、そうそう。実はこの任務が完了すれば、ボーナスが出る予定だったんだ」
「ボーナス?」
呆れたままで言うぼたんを見て、どうせ大したものじゃないんだろ?とでも言うような顔で、ぼたんを見る。
「全世界異種格闘技戦東京ドーム最前列のチケット」
「この仕事、ひきうけたーーーー~」
けど、それは思っていたのとは逆の、自分がかなりほしいと思っていたものだった。
まさに、のどから手が出るほどに、ほしい代物だったのである。
その、なんとも単純な幽助に、瑠璃覇は二人が気づかないくらい、小さなため息をついた。
「人間として、そんな奴の手に奥義が渡ることを、断固阻止せねばならん!!」
チケットを見せられた途端に、急にやる気になり、調子のいいことを言いながら、わははははと、高らかに笑う幽助。
そんな幽助を、ぼたんは隣で
「そーだそーだ」
と、相手をその気にさせるように盛り上げていた。
「(今思えば、完全にエサに釣られた形だな。瑠璃覇の奴は、なんか呆れてた感じだったし…。それにしてもぼたんのヤツ、いつのまに、オレが格闘技ファンだって知ったんだ?)」
格闘技戦のチケットをエサに、あまりにもあっさりと任務を引き受けたことを、今更ながら後悔する幽助だった。
「(ま、いーや。選ばれなかったときゃ、戻って遊べるわけだしな)」
「ん?」
そんな風に軽く考えていると、人ゴミの中に、幽助に気づいた人物がいた。
「あ!!浦飯!!」
「ん?」
名前を呼び捨てで呼んでいるとこを見ると、どうやら知り合いのようだ。
「桑原!?」
それは、幽助と同じ皿屋敷中学校に通う、幽助のケンカ仲間でもある、同級生の桑原だった。
桑原は、偶然にも鉢合わせた幽助を見て驚く。
「なんでてめーがこんなとこに」
「オメーこそなにしにきてんだよ」
桑原を見て、幽助は同じように驚く。
「幽助。どうした、知り合いか?」
その時、幽助の後ろから、一体何があったのかと、瑠璃覇が声をかけた。
「ん?あっ!あなたは確か、うわさの美少女転校生、銀瑠璃覇さんではありませんか!?」
「え…」
突然目に飛びこんできた、リーゼントの彼。
自分は彼を知らないのに、相手は自分を知っている口ぶりだったので、疑問に思った。
「どうも、はじめまして。私、あなたの隣のクラスの桑原和真といいます。以後、お見知りおきを…」
「あ、はい。私、銀瑠璃覇と言います。浦飯くんのお友達です。よろしく」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
瑠璃覇と話している時、桑原は今までのくだけた表情ではなく、キリッとして歯を光らせ、声もしぶくなり、精一杯かっこよくしていた。
瑠璃覇もまた、いつものしゃべり方ではなく、年相応の中学生といった感じのしゃべり方で話す。
「ところで桑原ぁ。オメー、一体何しにきたんだ?」
「ん?ああ…。なんか最近、今まで以上に霊感強くなったのか、変なもん見えたり、金しばりや霊聴の類がひどくてよー。姉貴のすすめでここにきてみたら、このザマよ」
どうやら桑原は、選考会に来たのではなく、個人的な用事で来ていただけで、偶然にも鉢合わせたらしい。
「ところで幻海って、一体どんな奴なんだ?」
「………オメー、本当になにしにきたんだ?」
あまりにも無知で無計画。
ここに来るくらいなら、当然知っているであろう幻海のこと。
それを、かけらすら知らない…。
しかも、まったく気にもとめていない幽助に、さすがの桑原も呆れはてる。
「姉貴によると、幻海ってのは、霊波動の超一流の使い手だっつんだけどな。
人間の全身をおおっている霊気の流れを、霊波動ってゆーらしいんだけどよ。この霊波動を自由自在にあやつれると、様々な力が発揮できるってわけよ。拳に波動を集中して、すげェ固いもんぶちこわしたり、逆に自分の生命力を波動にのせて、ケガ人や病人直したりな。幻海師範位の達人となると、体を使わず、霊波動のみで人間をぶったおせるらしいぜ」
幽助に聞かれると、桑原は自分の姉に聞いたことを説明した。
「静粛に!!幻海師範がお見えになられるぞ」
話をしていると、どこかから男の声が聞こえ、寺の庭中に響き渡る。
その、鶴の一声のような言葉に、今の今までざわついていた人々が、いっせいに静まった。
そして、寺の中心にある階段の前の障子が、真ん中から左右にゆっくりと開くと、和服とチャイナ服をミックスしたような衣装に、まん中のひし形の中に、「霊」と書かれた帽子を被り、ウェーブがかかった、肩にかかるくらいの長さのピンク色の髪の、背丈の小さな、女性の老人が現れた。
「あのバアサンが幻海?」
目の前に現れた幻海なる人物を、驚きの目で見る幽助。
「(なんか今イチ信用できねーな~~。本当にあれが、すごい能力の持ち主かよ?)」
外見はあまりすごい人物に見えず、幽助は疑いの眼差しを向けていた。
「おやおや、よくまあ集まったもんだね。それじゃ、早速審査を始めようかね」
左目を大きく見開き、寺に集まった者を一瞥すると、審査を始めようとした。
それは、なかなかに威厳がある顔つきだった。
「すさまじい荒行で知られる、師範の審査か……」
「どんなきつい難題でも、こなしてみせるぞ!!」
近くにいた二人の青年は、緊張しながらも、やる気満々。
それを近くで聞いていた幽助も、ゴクっとのどを鳴らし、どんな審査なのだろうとドキドキしていた。
「第一次審査は……!!」
いよいよ第一次審査の内容が、幻海の口から言い渡される。
寺にいる者全員が、言い渡される内容を、心臓をドキドキさせながら、固唾をのんで待っていた。
寺中に緊張が走る…。
「クジ引きじゃ」
だが、言い渡された審査内容は、まるで夜店の遊びのような内容だったので、瑠璃覇以外全員ベタにずっこけた。
「な……抽選だと~~~!?」
「!? 一体なにを考えておられるんだ!?」
内心ドキドキしまくっていた人々が、緊張がとけたようにざわついた。
まあ、ただのクジ引きと言われれば、その反応は当然だろう…。
「このカメの中から、一枚ひくように」
どこから取り出したのか、長方形の小さな紙がたくさん入っているカメを取り出した。
「(だめだこりゃ。やっぱり、ただのもーろくバアサンだぜ。無駄足のとり越し苦労だな)」
そう思い、呆れた顔をしながらも、クジを引くために列にならんだ。
「(ま……なんにしても、クジにはずれたらしかたねェよな。不可抗力だし。これならすぐ帰っても、いいわけはたつわけだ)」
などと、のんきに考えながら、幽助は順番を待っていた。
「(オレは悩み相談にきたんだけどな~~~)」
桑原はその場の空気や流れでクジを引き、そのすぐ後ろにいた瑠璃覇は、あーだこーだと考えずに、無言のまま引いた。
彼ら以外の者達も、続々とクジを引いていき、クジを引いた者は、みんなドキドキしながらクジを見つめている。
「みんないきわたったようだね。それじゃ、開けてみな。中に赤い紙が入ってたら当たり。第一次審査合格だよ」
幻海がそう言うと、みんな袋を開けてみた。
「ああ~~~、はずれだ~~~」
「やった。当たったぞーー!!」
「くそー、ダメだった!!」
袋を破り、中の紙の色を確かめる。
当たった者の歓喜の声や、はずれた者の残念そうな声が飛び交う。
「はずれろはずれろ」
周りの者達とは正反対のことを口にして、別の意味でドキドキしながら袋を破る幽助。
「ゲ」
だが、中から出てきたのは赤い紙。
「「………当たっちまった!」」
隣には桑原がいて、二人は同じことを、声をそろえて言った。
幽助はすごく嫌そうな顔を、桑原は驚きの顔をして…。
「お、お前も当たりか!?」
二人がお互いに指をさして驚いている時、瑠璃覇も幽助の隣(桑原がいる方とは反対側)で袋を破った。
袋から取り出すと、中から出てきたのは赤い紙で、自分の紙を見た後に周りを見ると、「なるほどな…」と心の中でつぶやき、軽く口角をあげる程度に笑った。
このクジの真意に気づいたからだ。
「銀さん。ど、どうでしたか?」
「当たりよ。ほら」
桑原に問われると、中に入っている赤い紙を見せる。
「銀さんも一緒ですか!?いや~、よかったッス。銀さんがいると、とても心強いッスよ」
「ありがとう。お互い、ベストをつくしましょう」
まるで、運動会のようなノリの桑原と、それに合わせて演技をする瑠璃覇を見て、幽助は乾いた笑いを浮かべる。
「(その紙は、あたしが、特別に作った紙だからね。あるレベル以上の霊力を持った者が手にすると、赤く反応するようになっているのさ)」
実はこのクジは、ただのクジではなかった。
ちゃんと、選考会のために考慮して作られたものだったのである。
先程瑠璃覇が感じたのは、これだったのだ。
「当たったヤツはついといで。はずれたモンはとっとと帰りな」
言いながら、次の会場へ移動をするために、後ろに背を向けようとしたその時…。
「待てーーい!!」
幻海の倍以上あるでかい男達が、けわしい顔をして幻海の後ろに立った。
「ワシらは、九州では名の知れた霊能力者なのだぞ!!」
「わざわざ足を運んでやったのに、クジ引きとはどういう事だ!!」
幻海の後ろに来た二人の男は、腹を立て、青筋を浮かべ、すごい形相で文句をつけていた。
「お!?師範の十倍はありそうな巨体が、ふたり文句をつけてるぞ」
「しかし、気持ちはわかるぜ。クジで落とされちまったらな」
そう、彼らはクジの真意に気づかず、たかがクジ引きで落とされたことに対して怒っていたのだ。
「さあ、どういうワケだ!?」
「返答次第では、いかに師範でも許さんぞ」
「耳もとでピーチクやかましいね、小便たれどもが。体裁よく帰ってもらおうっていう好意を無にする気かい?」
だが、そんな脅しの言葉にも、謝罪するどころか逆に悪態をつき、鋭い目で睨みつける。
「霊能力者だって?クジにも選んでもらえなかったインチキ芸人が、笑わせんじゃないよ。さっさと家帰って、クソして寝な」
「うぬふぬう~~!!」
「そこまで愚弄するか!!」
更には、卑下した上にヒヨッコ扱い。
それにぶちギレた二人の、自称・名の知れた霊能力者は、完全に頭に血がのぼり…
「おのれ。ババア、許さん!!」
幻海を倒そうと、襲いかかっていく。
「げ!!完全に切れたぞ。あの、デカイのふたり。あのバアサン、どんな力持ってるか知らねェが、腕力じゃ、とても勝ち目がねェぞ」
そう…誰もがそう思った。
だが……
「喝!!」
幻海が大きく目を見開き、鋭い目で睨みつけ、強く声を発しただけで、二人の男を、手もふれることなく、後ろへふっ飛ばした。
「……………!?」
幽助は、ふれてもいないのに後ろへふっ飛んでいった二人の男を見て、大きく口をあけて驚いた。
「ふ、ふれてさえいないのに!!」
「あの巨体がふっとばされた!?」
「(こ、これが幻海の霊波動ってやつか!!)」
当然周りの者達も、口々に驚きの声をあげた。
幽助は、生で幻海の霊波動を見たことで、まだ口をあけて驚いている。
「はぁ…。年にゃ勝てないね。昔なら眼力だけで、あんなヤツらチビッたもんだ。あたしの霊波動もなまったもんだ」
あんなにすごいのに、それでも衰えているらしい…。
「少なくとも、図体のでかさだけじゃ、本当の力は計れないことはわかっただろ。ま、二次審査に残った奴は、あのふたりより素質があることは確かだよ」
幻海は、しゃべりながら二次審査を行う会場へと足を進める。
「ぼさっとしてないで、とっととついといで」
そう言われると、二次審査に残った者達は、階段をあがり、幻海の後へと着いていく。
「うわさには聞いてたが…恐ろしい技だ」
未だに冷や汗をかきながら、幽助だけでなく、隣にいる桑原も驚いたままだった。
"妖怪達をおびやかす程の力なら、俺が体得すれば強力無比な武器になるからな"
「(なるほどな…………確かにすげえ力だ。オレもマジで欲しくなってきたぜ)」
先程まで文句を言っていたのに、幻海の技を見た途端に、幽助は急に目の色を変える。
「(おっとそうだ。この中に、乱童ってやつが残ってるかどうかを調べなきゃな。妖気計を使えば一発で…)」
幽助は持ってきた妖気計を腕につけ、乱童がここに残っているかどうかを確かめようとした。
「うお!?」
だが、確かめようとした途端に、ビビビビという妙な音を立てて壊れてしまった。
「こ、こわれちまった……!?」
「なにしてんだ、オイ?」
爆発するように壊れたので、妖気計からは煙が出た。
幽助はそれをびっくりして見ており、桑原は一体何事かと幽助の方を見た。
"乱童ほどの、すごい妖力を持った妖怪がすぐそばにいると、妖気計がぶっこわれることがあるからね"
「(……って、ぼたんが言ってたな)
……!!」
壊れた妖気計を見て、指令の内容を聞かされた時に、ぼたんが言っていた言葉を思い出した。
「(いる……!!残った奴の中に乱童が!!)」
緊張は一気に高まり、幽助は周りを警戒した。
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