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神威の方へと早く帰って来た。
「神威いない…。どこ行っちゃったんだろう…」
みたらし団子買ってきたのに…。
「ま、いっか。花火が始まる前には戻ってくるといいな」
今日の花火を2人で見たい。
夏最後の思い出にしたいから。
別にこれが最後ってワケじゃないけど……。
「夏海?」
「あ、神威。どこに行ってたの?」
「ちょっとその辺をフラフラと?」
「何故に疑問系?」
まぁ、神威が戻ってきたからそんなに問いつめたりはしないけど…。
「神威の分の団子買ってきたけど…食べる?」
「食べるー」
ガサガサと袋から団子を出してハイ、と神威に渡した。
2人は黙々と団子を食べていた。
「(沈黙が…っ沈黙が!耐えらんない…)」
話す話題が浮かばず結果、黙ったままになった。
神威からも話しかけてこない。
「(あー…早く花火始まらないかな~…)」
ホロリと涙が出る。
沈黙が痛いだけであった。
「夏海」
長い沈黙を破ったのは神威だった。
「何?」
「昔のこと、ホントに記憶にないの?」
「え…」
「実は覚えてるんじゃないの?」
「……や、いや…」
「忘れてるフリしてるだけじゃないの?」
「…やだっ!やめてよ!!そんなこと言われても本当に覚えてないんだからしょうがないでしょ!!」
ううん…多分覚えてる…。
思い出さないようにと自分で枷をつけてるだけ。
母さん達といた時しか記憶がない。
気がついたらあの家にいた。
もちろん周りを見回しても母さん達はいなくて。
そして月日が経って神威とすれ違った、という感じだ。
「本当に…覚えてないの…。覚えてたら苦労…しないよ…」
「夏海…」
「……っ」
「夏海ごめん…」
私は神威に抱きついた。
今神威に抱きつかないと私が壊れそうだったから。
抱きついた私を神威は優しく抱きしめてくれた。
それが嬉しくて、涙がぽろぽろ溢れ出た。
そんな中、花火が打ち上げられた。
色とりどりな花が光る星空の中に次々と咲いていった。
花火に魅入っていたので、涙は自然と止まっていた。
「…綺麗」
「そうだね」
花火は次々と打ち上げられて、クライマックスに今までより大きい花火が星空に咲いた。