01.始まりは同窓会から
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丸井くんは、私がここに来て一番最初に座っていた場所で待っていた。
「お待たせ、丸井くん」
「おー、ちゃんと来たな」
言いながら隣の椅子をぽんぽんと叩く。
座れと促しているようだ。
反射的に「お邪魔します」という言葉を漏らしながら、隣の椅子に浅く腰を下ろす。
なんだよそれと笑うが、その後に続くセリフはなく、会場は賑わっているというのにこの場だけが切り離されたかのように静かだった。
「……ほんと、久しぶりだな」
この空気を先に切り裂いたのは、丸井くんだった。
「えっ、あ、うん。5年ぶりだよね」
「さっきは悪かった……」
「え?」
「びっくりして言葉が出なかっただけっつーか」
さっきとは、なんのことだっただろうか。
丸井くんに謝ってもらわなきゃいけないことなんてあったかなと、疑問に思いながら彼の方を見れば、どう言葉を続けたらいいか考えているのか、悩ましげな表情で口元に手を当てていた。
「その……」
「……」
「変わってないってのは嘘。だから、悪かった」
「なんだ、そんなこと!」
「なんだって……」
せっかく謝ったのにと思っているのだろうか。
腑に落ちないのか、語気が強くなった丸井くんに「事実だもん」と笑いながら言えば、次には額を手で覆ってしまった。
そして聞こえたのは、深い深いため息。
「財前は、……か、……いよ」
「え、なに?」
「なんでもねー。おまえ、ほんっと変わんねーな」
「さっき変わってないのは嘘って言ってくれたのに!」
ころころと変わる意見に、むすっと頬が膨らむ。
子供のように拗ねる私が面白かったのか、丸井くんは眉毛を下げながら小さく笑っていた。
「ここにおったんか」
「仁王……と、吉見。」
「んふふ」
「んだよ、気味悪い笑い方すんな」
少しすると、仁王くんとなおちゃんがやって来た。
丸井くんのじとっとした視線はなおちゃんに向いており、続けて「ばーか」と口にされれば、始まるのは2人の口論。
呆れた表情を浮かべる仁王くんを見ればわかる、これは日常茶飯事のようなものなのだと。
「財前、」
「?」
「同窓会終わったら、このメンツで二次会せんか?」
「え、二次会?」
同窓会がお開きになればそのまま帰るつもりでいたので、二次会のお誘いを受けて思わず目を見開いてしまった。
しかも、当時(現在もだろうけど)モテモテだった仁王くんと丸井くん。それからなおちゃんの4人で、というのは本当に予想外だ。
どうしてこのメンバー?他のクラスメートは?そもそも彼ら2人なんて引っ張りだこじゃない?
「ちょ……っと、待ってね、私、そんなに仲良かったっけ……?」
ぐるぐると思考が巡り、つい口をついて出た言葉。
ハッとして「ごめん」と続けるが、その言葉に嘘はない。
「確かに、仁王と丸井とは普通にクラスメートって感じだったもんね。急に誘われても怪しさ満点よね、あはは」
「笑うんじゃなか」
「中学ん時は普通だったかもしんねーけどさ、別にいいだろい、高校大学と一緒な奴ら多いわけだし、その中で財前を選んだって」
「!」
びっくりして、思わず視線を落とす。
その言葉の通り、私よりも長く一緒に学生生活を送っている人が大勢いるのだろうけれど、それでも私と同じように疎遠になってしまった人も少なからずいるはず、なのに。
「葵ちゃんを選ぶなんてセリフも言えるんだね丸井!」
「っ、そもそも成人式後の二次会で痛い目見たからだ!なあ仁王!」
「え?ああ、おー、そうじゃな……あれはきつかった」
「告白大会みたいなやつね、あれはあれで面白かったけどなぁ」
大勢いる中で、私を選んだ、みたいな……。
「見てる分にはいいだろーな……って、財前?おーい?」
「っ、ごめん、なんだっけ」
ひらひらと視界に入ってきた手のひらに、ハッとする。
自意識過剰だ、この同窓会で、あまりにも友達の少ない私を見て同情してこんな提案をしてくれたに違いない。
「俺たちと二次会、どうなんだよ?」
「えっと……はい、ぜひ……」
「お待たせ、丸井くん」
「おー、ちゃんと来たな」
言いながら隣の椅子をぽんぽんと叩く。
座れと促しているようだ。
反射的に「お邪魔します」という言葉を漏らしながら、隣の椅子に浅く腰を下ろす。
なんだよそれと笑うが、その後に続くセリフはなく、会場は賑わっているというのにこの場だけが切り離されたかのように静かだった。
「……ほんと、久しぶりだな」
この空気を先に切り裂いたのは、丸井くんだった。
「えっ、あ、うん。5年ぶりだよね」
「さっきは悪かった……」
「え?」
「びっくりして言葉が出なかっただけっつーか」
さっきとは、なんのことだっただろうか。
丸井くんに謝ってもらわなきゃいけないことなんてあったかなと、疑問に思いながら彼の方を見れば、どう言葉を続けたらいいか考えているのか、悩ましげな表情で口元に手を当てていた。
「その……」
「……」
「変わってないってのは嘘。だから、悪かった」
「なんだ、そんなこと!」
「なんだって……」
せっかく謝ったのにと思っているのだろうか。
腑に落ちないのか、語気が強くなった丸井くんに「事実だもん」と笑いながら言えば、次には額を手で覆ってしまった。
そして聞こえたのは、深い深いため息。
「財前は、……か、……いよ」
「え、なに?」
「なんでもねー。おまえ、ほんっと変わんねーな」
「さっき変わってないのは嘘って言ってくれたのに!」
ころころと変わる意見に、むすっと頬が膨らむ。
子供のように拗ねる私が面白かったのか、丸井くんは眉毛を下げながら小さく笑っていた。
「ここにおったんか」
「仁王……と、吉見。」
「んふふ」
「んだよ、気味悪い笑い方すんな」
少しすると、仁王くんとなおちゃんがやって来た。
丸井くんのじとっとした視線はなおちゃんに向いており、続けて「ばーか」と口にされれば、始まるのは2人の口論。
呆れた表情を浮かべる仁王くんを見ればわかる、これは日常茶飯事のようなものなのだと。
「財前、」
「?」
「同窓会終わったら、このメンツで二次会せんか?」
「え、二次会?」
同窓会がお開きになればそのまま帰るつもりでいたので、二次会のお誘いを受けて思わず目を見開いてしまった。
しかも、当時(現在もだろうけど)モテモテだった仁王くんと丸井くん。それからなおちゃんの4人で、というのは本当に予想外だ。
どうしてこのメンバー?他のクラスメートは?そもそも彼ら2人なんて引っ張りだこじゃない?
「ちょ……っと、待ってね、私、そんなに仲良かったっけ……?」
ぐるぐると思考が巡り、つい口をついて出た言葉。
ハッとして「ごめん」と続けるが、その言葉に嘘はない。
「確かに、仁王と丸井とは普通にクラスメートって感じだったもんね。急に誘われても怪しさ満点よね、あはは」
「笑うんじゃなか」
「中学ん時は普通だったかもしんねーけどさ、別にいいだろい、高校大学と一緒な奴ら多いわけだし、その中で財前を選んだって」
「!」
びっくりして、思わず視線を落とす。
その言葉の通り、私よりも長く一緒に学生生活を送っている人が大勢いるのだろうけれど、それでも私と同じように疎遠になってしまった人も少なからずいるはず、なのに。
「葵ちゃんを選ぶなんてセリフも言えるんだね丸井!」
「っ、そもそも成人式後の二次会で痛い目見たからだ!なあ仁王!」
「え?ああ、おー、そうじゃな……あれはきつかった」
「告白大会みたいなやつね、あれはあれで面白かったけどなぁ」
大勢いる中で、私を選んだ、みたいな……。
「見てる分にはいいだろーな……って、財前?おーい?」
「っ、ごめん、なんだっけ」
ひらひらと視界に入ってきた手のひらに、ハッとする。
自意識過剰だ、この同窓会で、あまりにも友達の少ない私を見て同情してこんな提案をしてくれたに違いない。
「俺たちと二次会、どうなんだよ?」
「えっと……はい、ぜひ……」
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