01.始まりは同窓会から
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「まぁ、今回ばっかりは別みたいじゃが……」
ククッと喉を鳴らすように笑う仁王くん。
すると誰かの存在に気づいたのか、ひらりと手を挙げながらその名を呼ぶ。
「遅かったのう、ブン太」
「間に合ったんだからいいだろい。それより仁王、同窓会だからって女子をナンパしてんじゃねー……よ、って、財前!?」
「あ、ひ、久しぶり」
仁王くんに向いていた、じとっとした視線がこちらを向くと、その目は次第に大きく見開かれて。
先ほどの会話の声量とは打って変わり、大きくなったそれに驚いて肩が揺れた。
「よく気づいたね、さすが!」と茶化すように言うなおちゃんに対して、今度は軽く睨むような視線を向けて。
「当たり前だろい。……そんな変わってねーし」
「……」
「ちょっと、そんなことないでしょ!」
失礼だよと怒る声を耳にしながら、地味にショックを受けていた。
そりゃあ劇的に変化したとは思っていないが、あの頃とは違ってお化粧もしているし、服装だって絶対に着ないような大人びた感じなのに。変わっていない、か……。
「そろそろ始まる時間じゃ、ブン太は自分のテーブルに戻りんしゃい」
「……仁王、後で話あるから逃げんなよ。」
「おー」
いつの間にやら、同窓会が始まる2分前になっていた。
くるりと背を向けて離れていく丸井くんの背中を見てため息をつけば、「悪いのう」と仁王くんは困ったように笑う。
「ううん。素材的にそんな変わってないのは事実だし、仁王くんが謝る必要もないよ!」
「素直に言えばいいのに……、あんなでも財前に会いたいとは言っとったんよ」
本人を目の前にして言えないなんて子供じゃなと、呆れたように言いながら椅子から立ってテーブルに向かう仁王くん。
それに倣うように私も動き、なおちゃんと一緒に丸テーブルへと歩を進めた。
「ほんと困っちゃうよね、もっと喜んでくれたら、私としても満足感が得られるのに」
その言葉を不思議に思い、どういうことなのか聞こうとしたところで、会場全体にアナウンスの声が広がった。
『皆さんこんにちは!3年C組の田中太郎です。
本日はお忙しい中、立海大附属中学校同窓会にお集まりいただき誠にありがとうございます』
挨拶が行われる中、他の幹事が各テーブルを回り、グラスにビールが注がれ始めた。
同窓会のはがきには、乾杯時のビール可否のチェック欄があったが、どうやらそれと照らし合わせながらの作業らしい。幹事の皆さん、ご苦労様です……。
あの時は、ビールが飲めるようになっていますようにと願いながらチェックをしたなと少し懐かしく思う。
全員のグラスに飲み物が注がれたことを確認すると、司会者が手にグラスを持つ。
『グラスの準備をお願いします。それでは、本日の再会を祝して、乾杯!』
ククッと喉を鳴らすように笑う仁王くん。
すると誰かの存在に気づいたのか、ひらりと手を挙げながらその名を呼ぶ。
「遅かったのう、ブン太」
「間に合ったんだからいいだろい。それより仁王、同窓会だからって女子をナンパしてんじゃねー……よ、って、財前!?」
「あ、ひ、久しぶり」
仁王くんに向いていた、じとっとした視線がこちらを向くと、その目は次第に大きく見開かれて。
先ほどの会話の声量とは打って変わり、大きくなったそれに驚いて肩が揺れた。
「よく気づいたね、さすが!」と茶化すように言うなおちゃんに対して、今度は軽く睨むような視線を向けて。
「当たり前だろい。……そんな変わってねーし」
「……」
「ちょっと、そんなことないでしょ!」
失礼だよと怒る声を耳にしながら、地味にショックを受けていた。
そりゃあ劇的に変化したとは思っていないが、あの頃とは違ってお化粧もしているし、服装だって絶対に着ないような大人びた感じなのに。変わっていない、か……。
「そろそろ始まる時間じゃ、ブン太は自分のテーブルに戻りんしゃい」
「……仁王、後で話あるから逃げんなよ。」
「おー」
いつの間にやら、同窓会が始まる2分前になっていた。
くるりと背を向けて離れていく丸井くんの背中を見てため息をつけば、「悪いのう」と仁王くんは困ったように笑う。
「ううん。素材的にそんな変わってないのは事実だし、仁王くんが謝る必要もないよ!」
「素直に言えばいいのに……、あんなでも財前に会いたいとは言っとったんよ」
本人を目の前にして言えないなんて子供じゃなと、呆れたように言いながら椅子から立ってテーブルに向かう仁王くん。
それに倣うように私も動き、なおちゃんと一緒に丸テーブルへと歩を進めた。
「ほんと困っちゃうよね、もっと喜んでくれたら、私としても満足感が得られるのに」
その言葉を不思議に思い、どういうことなのか聞こうとしたところで、会場全体にアナウンスの声が広がった。
『皆さんこんにちは!3年C組の田中太郎です。
本日はお忙しい中、立海大附属中学校同窓会にお集まりいただき誠にありがとうございます』
挨拶が行われる中、他の幹事が各テーブルを回り、グラスにビールが注がれ始めた。
同窓会のはがきには、乾杯時のビール可否のチェック欄があったが、どうやらそれと照らし合わせながらの作業らしい。幹事の皆さん、ご苦労様です……。
あの時は、ビールが飲めるようになっていますようにと願いながらチェックをしたなと少し懐かしく思う。
全員のグラスに飲み物が注がれたことを確認すると、司会者が手にグラスを持つ。
『グラスの準備をお願いします。それでは、本日の再会を祝して、乾杯!』
