01.始まりは同窓会から
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開催場所をもう一度見て、目の前のホテルを見上げる。
「あの立海だもんね……」
学年に何人くらいいたっけ。同じクラスや委員、部活などで関わらないと「こんな子いたんだ」となるレベルで大人数だった気がする。
参加に丸を付けてポスト投函した後、開催場所や時間といった具体的な内容が記されたはがきが届いていた。
横浜のホテルということは、附属学校なだけあって、あのままエスカレーター式で大学まで進んでいる子が多いのだろう。
……いよいよ疎外感を覚える。
ソファーが置いてあるラウンジに向かうと、同窓会に参加するのであろう人たちが何人かいた。
私と同じようにここで待ち合わせのようで「久しぶり!」「元気してた?」とワイワイしている。
そして服装を見て、フォーマルな服装で着て正解だったなと胸をなでおろした時だった。
「葵ちゃん!」
「!」
声をかけられて振り返れば、手をぶんぶんと振る友達。
吉見なおちゃんだ。
「わ、わああ、久しぶり!なおちゃん!」
「あれ、大人びてると思ったけど、あの時のまんまだ」
言いながら、くすくすとあの頃のように目尻を下げて笑うなおちゃんを見て、まるで5年前に戻ったかのようだった。
時間まで20分あるけどどうしようかと話し、この場にいても仕方ないからと会場に向かうためエスカレーターの方へと歩く。
「それにしても、私だけ浮いてるとかそんなことないよね?」
「えー、それは大丈夫だよ。葵ちゃん以外にも、別の学校に行っちゃった人たくさんいるよ」
「だと思うけど、なんか怖くて!今日はもう、なおちゃんから離れない……」
会場である4階に着けば、たくさんの人で賑わっていた。
受付がちょうど空いていたので、まっすぐとそちらに向かいながら横目でちらりと周囲を見る。
たかが5年、されど5年。
知っている顔もあるはずなのに、見知らぬ人のよう。
「あ、なおちゃんが来た…っと。で、そちらは……」
「財前葵です」
「あっ、あの財前さん!同じクラスになったことないけど、なおちゃんとかに話は聞いてるよ!あたしは前園恭子っていうの」
初めまして、よろしくね。
なんて、同窓会らしからぬ挨拶を交わして、会場へと歩を進めた。
しかし「あの 財前」とはどういうことだろう。変な噂になるような過ごし方もした覚えはないのになと、隣を歩くなおちゃんをじっと見つめる。
が、肝心のなおちゃんはこちらのことなど気にもせずに、各丸テーブルの上に置かれた、名前の書いてある紙をしきりに見ているようだった。
「なおちゃん?私たちのテーブルは、あっちのB4だって前園さん言ってたけど…」
「え!?あ、うん、そうね……周りのテーブルには誰が来るのかなあって思って」
挙動の怪しいなおちゃんを疑問に思いながらも、B4テーブルの上、自分の名前が書かれている紙の前に立って周辺を見渡した。
会場の一番端っこで、なんとなく落ち着く感じだ。
時間までもう少しあるし、壁際に並んでいる椅子に座っていても大丈夫だよねと腰を下ろした時だった。
「久しぶりじゃのう、財前」
「えっ」
床に落としていた視線の先に突如現れた靴先に驚きながらも、ゆっくりと顔を上げれば、目の前には当時よりかなり色っぽさを増した仁王くんが立っていた。
スーツ姿がめちゃくちゃ似合っている。
「あ、に、仁王くん!お久しぶりです」
「なん、緊張しとる?」
「いやびっくりして……!仁王くんもB4テーブルなの?」
「おう」
言いながら、隣の椅子に腰を下ろす仁王くん。
な、なんかすっごい良い匂いするんだけど、香水かな!?
中学時代にこんな接近したことがあっただろうかと、そわそわしている横では「吉見も座りんしゃい」「いや私は立ってる」と、親しげなやり取りをしていた。
こんなに仲良かったかな?という疑問を感じ取ったのか、なおちゃんが苦笑しながら言う。
「実は高校でずーっと同じクラスだったんだ、私たち」
「へえ!すごい!」
「別にすごくなか。それを言うなら、財前は中学ん時ブン太とずーっと同じじゃろ」
「確かに、それもそうだ」
久しぶりに聞くその名前に、どきりとした。
当時、“好き”という感情とは違ったと思うが、なんとなく気になる存在だった人なのだ。さすがに緊張する。
「あの立海だもんね……」
学年に何人くらいいたっけ。同じクラスや委員、部活などで関わらないと「こんな子いたんだ」となるレベルで大人数だった気がする。
参加に丸を付けてポスト投函した後、開催場所や時間といった具体的な内容が記されたはがきが届いていた。
横浜のホテルということは、附属学校なだけあって、あのままエスカレーター式で大学まで進んでいる子が多いのだろう。
……いよいよ疎外感を覚える。
ソファーが置いてあるラウンジに向かうと、同窓会に参加するのであろう人たちが何人かいた。
私と同じようにここで待ち合わせのようで「久しぶり!」「元気してた?」とワイワイしている。
そして服装を見て、フォーマルな服装で着て正解だったなと胸をなでおろした時だった。
「葵ちゃん!」
「!」
声をかけられて振り返れば、手をぶんぶんと振る友達。
吉見なおちゃんだ。
「わ、わああ、久しぶり!なおちゃん!」
「あれ、大人びてると思ったけど、あの時のまんまだ」
言いながら、くすくすとあの頃のように目尻を下げて笑うなおちゃんを見て、まるで5年前に戻ったかのようだった。
時間まで20分あるけどどうしようかと話し、この場にいても仕方ないからと会場に向かうためエスカレーターの方へと歩く。
「それにしても、私だけ浮いてるとかそんなことないよね?」
「えー、それは大丈夫だよ。葵ちゃん以外にも、別の学校に行っちゃった人たくさんいるよ」
「だと思うけど、なんか怖くて!今日はもう、なおちゃんから離れない……」
会場である4階に着けば、たくさんの人で賑わっていた。
受付がちょうど空いていたので、まっすぐとそちらに向かいながら横目でちらりと周囲を見る。
たかが5年、されど5年。
知っている顔もあるはずなのに、見知らぬ人のよう。
「あ、なおちゃんが来た…っと。で、そちらは……」
「財前葵です」
「あっ、あの財前さん!同じクラスになったことないけど、なおちゃんとかに話は聞いてるよ!あたしは前園恭子っていうの」
初めまして、よろしくね。
なんて、同窓会らしからぬ挨拶を交わして、会場へと歩を進めた。
しかし「
が、肝心のなおちゃんはこちらのことなど気にもせずに、各丸テーブルの上に置かれた、名前の書いてある紙をしきりに見ているようだった。
「なおちゃん?私たちのテーブルは、あっちのB4だって前園さん言ってたけど…」
「え!?あ、うん、そうね……周りのテーブルには誰が来るのかなあって思って」
挙動の怪しいなおちゃんを疑問に思いながらも、B4テーブルの上、自分の名前が書かれている紙の前に立って周辺を見渡した。
会場の一番端っこで、なんとなく落ち着く感じだ。
時間までもう少しあるし、壁際に並んでいる椅子に座っていても大丈夫だよねと腰を下ろした時だった。
「久しぶりじゃのう、財前」
「えっ」
床に落としていた視線の先に突如現れた靴先に驚きながらも、ゆっくりと顔を上げれば、目の前には当時よりかなり色っぽさを増した仁王くんが立っていた。
スーツ姿がめちゃくちゃ似合っている。
「あ、に、仁王くん!お久しぶりです」
「なん、緊張しとる?」
「いやびっくりして……!仁王くんもB4テーブルなの?」
「おう」
言いながら、隣の椅子に腰を下ろす仁王くん。
な、なんかすっごい良い匂いするんだけど、香水かな!?
中学時代にこんな接近したことがあっただろうかと、そわそわしている横では「吉見も座りんしゃい」「いや私は立ってる」と、親しげなやり取りをしていた。
こんなに仲良かったかな?という疑問を感じ取ったのか、なおちゃんが苦笑しながら言う。
「実は高校でずーっと同じクラスだったんだ、私たち」
「へえ!すごい!」
「別にすごくなか。それを言うなら、財前は中学ん時ブン太とずーっと同じじゃろ」
「確かに、それもそうだ」
久しぶりに聞くその名前に、どきりとした。
当時、“好き”という感情とは違ったと思うが、なんとなく気になる存在だった人なのだ。さすがに緊張する。
