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花の本、死煙と共に
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「支度は出来ているな。」
「はい」
「ふむ。……よく似合っている。」
「あ、ありがとうございます……?」
ノックの音と共に総帥が部屋へ入ってきた。
じろじろ、というわけではないけれど、爪先から頭まで見られると少し気恥ずかしさがある。
あのあとタンスの中を確認したら、桜華軍の軍服と思しき装束が備え付けられていた。ケルパーズの物とは少し違って、どこか装飾が少し多いような気もした。益々不思議に思ったけれど、着替えておかなくてはならなかったから躊躇することはなかった。
もし総帥の機嫌を損ねたりしたら大変だろうし。
つまり私は今その軍服姿でいるわけだけれど、流石に似合っていると言われるとは思わなかった。
「では、行くぞ。今から我の私室に向かう。到着するまで、誰に話しかけられようと絶対に口を開くな。いいな」
「はい。」
「流石に目は冴えたか、いい返事だ。付いて参れ。……帽子も被っておけ。」
状況がわからないのもあって、言われるがままに返事をする。
部屋から出るな、というのは迷子になったりすると大変だらからかと思ってはいたものの、室内なのに帽子を被れとか、喋ってはいけないとなると、もしかしたら何かあるのかもしれない。
それにしてもリアルな夢だ。……夢にしては、長いし、記憶も視界もはっきりしている。時間の感覚もある、いきなり場面が変わることもない。出された食事もおいしかったし、きちんと胃に溜まっている感じもする。
夢と信じるにはどうにも不可思議なことばかりで、私の頭を更に悩ませている。
前を歩く総帥の背中を見ながら考えていると、前方から白衣を着た男の人が歩いてきた。
「おやおや、これは総帥閣下。ご機嫌麗しゅう」
白衣の男は総帥に近付くと、猫なで声で話しかける。
「ふん」
「我が軍の兵器の性能はいかがかな?つい先日の戦闘でも役に立ったと報告を受けているよ」
「そんな事を言うためにわざわざやってきたのか。ここには許可がないと立ち入れんはずだが」
「まさかまさか、僕は別の情報を聞きに来たのですよ桜華忠臣。いやあ、その先日の戦闘でね?何やら新しい戦利品を見つけたという噂があってねぇ。君ならば何か知っているかと……おや、後ろの子は見ない顔ですね。」
総帥と話すことに夢中になっていたその男は、私に気付くとじろじろと観察してくる。舐め回すようなその視線はお世辞にも気持ちのいい物ではない。
それに気付いた総帥は視界を遮るように移動する。
「二度は言わん。去ね。これ以上我の領地に無断で入り込むようなら容赦はせんぞ」
「おお、怖い怖い。それじゃあ僕はこの辺で。殺されたらたまったもんじゃありませんからねえ」
総帥の威圧感のある低い声を聞き、恐がるような振りをしている。男は白衣を翻して去っていった。……あの人も、どこかで見たことがあるような。
「ふん……狸め、いつの間に入り込んだのやら。警備を強化しておかねばならんな。」
機嫌が悪そうに呟く。彼は後ろの私をちらりと見ると、ぽんと頭に手を乗せた。私は何が起こったのか咄嗟に理解できずに目を丸くする。
「案ずるな。……行くぞ。」
先程まで険しかった、彼の表情が緩む。う、うわあ。総帥も笑うんだ……。
ゲーム内では見たことのなかった顔を見て、なんだか得をしたような気がした。
「はい」
「ふむ。……よく似合っている。」
「あ、ありがとうございます……?」
ノックの音と共に総帥が部屋へ入ってきた。
じろじろ、というわけではないけれど、爪先から頭まで見られると少し気恥ずかしさがある。
あのあとタンスの中を確認したら、桜華軍の軍服と思しき装束が備え付けられていた。ケルパーズの物とは少し違って、どこか装飾が少し多いような気もした。益々不思議に思ったけれど、着替えておかなくてはならなかったから躊躇することはなかった。
もし総帥の機嫌を損ねたりしたら大変だろうし。
つまり私は今その軍服姿でいるわけだけれど、流石に似合っていると言われるとは思わなかった。
「では、行くぞ。今から我の私室に向かう。到着するまで、誰に話しかけられようと絶対に口を開くな。いいな」
「はい。」
「流石に目は冴えたか、いい返事だ。付いて参れ。……帽子も被っておけ。」
状況がわからないのもあって、言われるがままに返事をする。
部屋から出るな、というのは迷子になったりすると大変だらからかと思ってはいたものの、室内なのに帽子を被れとか、喋ってはいけないとなると、もしかしたら何かあるのかもしれない。
それにしてもリアルな夢だ。……夢にしては、長いし、記憶も視界もはっきりしている。時間の感覚もある、いきなり場面が変わることもない。出された食事もおいしかったし、きちんと胃に溜まっている感じもする。
夢と信じるにはどうにも不可思議なことばかりで、私の頭を更に悩ませている。
前を歩く総帥の背中を見ながら考えていると、前方から白衣を着た男の人が歩いてきた。
「おやおや、これは総帥閣下。ご機嫌麗しゅう」
白衣の男は総帥に近付くと、猫なで声で話しかける。
「ふん」
「我が軍の兵器の性能はいかがかな?つい先日の戦闘でも役に立ったと報告を受けているよ」
「そんな事を言うためにわざわざやってきたのか。ここには許可がないと立ち入れんはずだが」
「まさかまさか、僕は別の情報を聞きに来たのですよ桜華忠臣。いやあ、その先日の戦闘でね?何やら新しい戦利品を見つけたという噂があってねぇ。君ならば何か知っているかと……おや、後ろの子は見ない顔ですね。」
総帥と話すことに夢中になっていたその男は、私に気付くとじろじろと観察してくる。舐め回すようなその視線はお世辞にも気持ちのいい物ではない。
それに気付いた総帥は視界を遮るように移動する。
「二度は言わん。去ね。これ以上我の領地に無断で入り込むようなら容赦はせんぞ」
「おお、怖い怖い。それじゃあ僕はこの辺で。殺されたらたまったもんじゃありませんからねえ」
総帥の威圧感のある低い声を聞き、恐がるような振りをしている。男は白衣を翻して去っていった。……あの人も、どこかで見たことがあるような。
「ふん……狸め、いつの間に入り込んだのやら。警備を強化しておかねばならんな。」
機嫌が悪そうに呟く。彼は後ろの私をちらりと見ると、ぽんと頭に手を乗せた。私は何が起こったのか咄嗟に理解できずに目を丸くする。
「案ずるな。……行くぞ。」
先程まで険しかった、彼の表情が緩む。う、うわあ。総帥も笑うんだ……。
ゲーム内では見たことのなかった顔を見て、なんだか得をしたような気がした。