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花の本、死煙と共に
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目の前には見慣れない天井があった。
否、これは天蓋というものだったかと、ぼんやりと霞がかった思考でただただ見上げていた。
……ん?ここはどこ?
覚醒したてで寝惚けていたが、よくよく考えてみれば自宅にこんなものはない事を思い出す。
そう、確か私は家にいたはずだ。そこで━━
「目ガ覚メタ!」
「総帥ニ連絡!」
直前の出来事を思い出そうとしていたら、聞き覚えのない声を耳にする。どうやら複数いるようだけれど、一体なんだというのか。と言うか誰なのか。
そして総帥、とは。
ゆっくりと起き上がり、声のした方向を見る。
そこには、その、なんというか。
「オ前!大丈夫カ!」
「バイタル測定スル!」
頭部が目玉の、むしろ目玉が頭部……いや、どちらでもいい。とにかく人間でいう頭部が目玉の、軍服を着た小さな何かがいた。
それらは私に声をかけ、一方で血圧やら体温やらを測っている。
私は彼らを知っている。見たことがある。
現実ではなく、ゲームの中のキャラクターとして。
そう、私は確か、コンパスをやっていたんだ。いつもみたいにグスタフと共に戦場を駆け抜けていた。
直前の戦いでは、確か5-0で気持ちよく勝ったのではなかっただろうか。
そこからがどうにも思い出せない。いつの間にか眠っていたのだろうか。いやいや、そんな事よりも他に気にしなければならないことがある。
「体温、血圧、脈、異常ナシ!」
何故ゲームのキャラクターであるケルパーズが私の目の前にいるのか、ということだ。
そして何故健康状態を観察されているのか。
夢だろうか。
未だぼうっとした頭ではあまり深いことまでは考えられそうにない。
そもそもケルパーズを見ても私は驚かなかったし、多分夢なんだろうな。よくあること、だと思う。それにしたってケルパーズに熱測られる夢ってなんなの。
ぱたぱたと忙しなく彼らの様子を見て、なんだか可愛いなと他人事のように考えていると、部屋の扉が開く音を聞いた。
あ、そういえばさっき総帥に連絡とかなんとかって言ってたな。
総帥。
ケルパーズときて、総帥といえば、
「……目覚めたか。」
扉を開け入ってきたのは、総帥と呼ばれるには幾分か年若く見える青年だった。
桜華帝国を治める君主、総帥閣下、桜華忠臣そのひとだ。
彼はベッドの上で起き上がっている私を一瞥すると、ケルパーズからなにやら資料のようなものを受け取り、じっくりと読んでいる。
「ご苦労」
一通り資料を読み終わった後、それをケルパーズへ渡すと、彼は私に向かって近付いてくる。
例えこれが夢だとしても、流石に私は目を白黒させることしかできない。
だって目の前に総帥が。
「貴様、名をなんと言う」
凛とした、気高さのある声色を聞いて、反射的に背筋が伸びてしまう。
「桜花……桜花、燐です」
「ふむ、そうか。やはりな」
"やはり"?彼は私を知っている?どんな設定になっているのか想像も付かない。
「気分はどうだ」
「気分……、どこも悪くありません。あ、あの!ここはどこなんですか、それに貴方は一体、」
夢の中なんだから思いっきりヒロインぶってやろうと、わかりきったことを聞いてみる。
「ここは桜華帝国。我の治める国だ。我は桜華忠臣という。総帥と呼ぶがいい。……娘、貴様はどこから来た。」
「はい、総帥……。私は、ええと、東京から……」
「東京。……そうか。東京。そうであろうな。」
彼は納得したような表情で、軽く頷く。だからどんな設定になっているのか、この夢は。
「事態が飲み込めていないようだな。」
「あ、ええ、……何がどうなって、ここにいるのか、さっぱりです」
「貴様は突然降ってきた」
「……え?」
「詳しくは後程話してやる。そうだな……、午後1時だ。迎えに来てやる。それまでに身支度を整えておけ。我が来るまで一歩たりとも外へ出てはならん。わかったな」
「は……はい……?」
「間抜けな返事だな。……寝起きでは致仕方あるまい。約束を破ってはならんぞ、娘。」
何が起こっているのかさっぱりわからないまま、呆然としていると総帥は何やらケルパーズに告げ去っていった。
降ってきたとか、なんとか、もうよくわからない。でも、夢とはこんなものだ。
明確なのは、1時までに身支度をしておかないといけないということ。そして迎えに来るまで部屋から出てはいけないということ。
掛け時計を見ると11時20分を指している。10分前には用意ができているとして、残りは1時間半。
落ち着いて部屋を見渡すとかなり広い。ドレッサーや化粧台なんかも置いてある。落ちてきたとか言ってたけど、ただの人間を保護するためだけならば、こんな豪華な部屋をあてがわなくてもいいのでは。
「12時ニナッタラ、昼食ヲ届ケル!服ハ ソコノ衣装棚ニ アル!」
ケルパーズが私に向かってそう言う。それに対して頷くと、彼は部屋を去った。
ケルパーズって、一人だと複数系じゃないからケルパーなのかな。と、割りとどうでもいいことを考えながら、言われた通り身支度を整えるべく、ベッドから降りた。
否、これは天蓋というものだったかと、ぼんやりと霞がかった思考でただただ見上げていた。
……ん?ここはどこ?
覚醒したてで寝惚けていたが、よくよく考えてみれば自宅にこんなものはない事を思い出す。
そう、確か私は家にいたはずだ。そこで━━
「目ガ覚メタ!」
「総帥ニ連絡!」
直前の出来事を思い出そうとしていたら、聞き覚えのない声を耳にする。どうやら複数いるようだけれど、一体なんだというのか。と言うか誰なのか。
そして総帥、とは。
ゆっくりと起き上がり、声のした方向を見る。
そこには、その、なんというか。
「オ前!大丈夫カ!」
「バイタル測定スル!」
頭部が目玉の、むしろ目玉が頭部……いや、どちらでもいい。とにかく人間でいう頭部が目玉の、軍服を着た小さな何かがいた。
それらは私に声をかけ、一方で血圧やら体温やらを測っている。
私は彼らを知っている。見たことがある。
現実ではなく、ゲームの中のキャラクターとして。
そう、私は確か、コンパスをやっていたんだ。いつもみたいにグスタフと共に戦場を駆け抜けていた。
直前の戦いでは、確か5-0で気持ちよく勝ったのではなかっただろうか。
そこからがどうにも思い出せない。いつの間にか眠っていたのだろうか。いやいや、そんな事よりも他に気にしなければならないことがある。
「体温、血圧、脈、異常ナシ!」
何故ゲームのキャラクターであるケルパーズが私の目の前にいるのか、ということだ。
そして何故健康状態を観察されているのか。
夢だろうか。
未だぼうっとした頭ではあまり深いことまでは考えられそうにない。
そもそもケルパーズを見ても私は驚かなかったし、多分夢なんだろうな。よくあること、だと思う。それにしたってケルパーズに熱測られる夢ってなんなの。
ぱたぱたと忙しなく彼らの様子を見て、なんだか可愛いなと他人事のように考えていると、部屋の扉が開く音を聞いた。
あ、そういえばさっき総帥に連絡とかなんとかって言ってたな。
総帥。
ケルパーズときて、総帥といえば、
「……目覚めたか。」
扉を開け入ってきたのは、総帥と呼ばれるには幾分か年若く見える青年だった。
桜華帝国を治める君主、総帥閣下、桜華忠臣そのひとだ。
彼はベッドの上で起き上がっている私を一瞥すると、ケルパーズからなにやら資料のようなものを受け取り、じっくりと読んでいる。
「ご苦労」
一通り資料を読み終わった後、それをケルパーズへ渡すと、彼は私に向かって近付いてくる。
例えこれが夢だとしても、流石に私は目を白黒させることしかできない。
だって目の前に総帥が。
「貴様、名をなんと言う」
凛とした、気高さのある声色を聞いて、反射的に背筋が伸びてしまう。
「桜花……桜花、燐です」
「ふむ、そうか。やはりな」
"やはり"?彼は私を知っている?どんな設定になっているのか想像も付かない。
「気分はどうだ」
「気分……、どこも悪くありません。あ、あの!ここはどこなんですか、それに貴方は一体、」
夢の中なんだから思いっきりヒロインぶってやろうと、わかりきったことを聞いてみる。
「ここは桜華帝国。我の治める国だ。我は桜華忠臣という。総帥と呼ぶがいい。……娘、貴様はどこから来た。」
「はい、総帥……。私は、ええと、東京から……」
「東京。……そうか。東京。そうであろうな。」
彼は納得したような表情で、軽く頷く。だからどんな設定になっているのか、この夢は。
「事態が飲み込めていないようだな。」
「あ、ええ、……何がどうなって、ここにいるのか、さっぱりです」
「貴様は突然降ってきた」
「……え?」
「詳しくは後程話してやる。そうだな……、午後1時だ。迎えに来てやる。それまでに身支度を整えておけ。我が来るまで一歩たりとも外へ出てはならん。わかったな」
「は……はい……?」
「間抜けな返事だな。……寝起きでは致仕方あるまい。約束を破ってはならんぞ、娘。」
何が起こっているのかさっぱりわからないまま、呆然としていると総帥は何やらケルパーズに告げ去っていった。
降ってきたとか、なんとか、もうよくわからない。でも、夢とはこんなものだ。
明確なのは、1時までに身支度をしておかないといけないということ。そして迎えに来るまで部屋から出てはいけないということ。
掛け時計を見ると11時20分を指している。10分前には用意ができているとして、残りは1時間半。
落ち着いて部屋を見渡すとかなり広い。ドレッサーや化粧台なんかも置いてある。落ちてきたとか言ってたけど、ただの人間を保護するためだけならば、こんな豪華な部屋をあてがわなくてもいいのでは。
「12時ニナッタラ、昼食ヲ届ケル!服ハ ソコノ衣装棚ニ アル!」
ケルパーズが私に向かってそう言う。それに対して頷くと、彼は部屋を去った。
ケルパーズって、一人だと複数系じゃないからケルパーなのかな。と、割りとどうでもいいことを考えながら、言われた通り身支度を整えるべく、ベッドから降りた。
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