名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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すっかりと暗くなった空を窓から覗く。そろそろ着くのだろう。
にわかに他のコンパートメント内が騒がしくなってきた。身の振り方を考えないとなあと大きくのびをする。
社内放送が流れたのを聞いてクラッブやゴイルに荷物を纏めるよう急かす。お菓子を食べきった袋が散らかっていた。ドラコはこうなることを見越していたのかさっさと荷物を閉まって退屈そうに外を眺めていた。
一際大きく汽車が揺れる。
「どうやら着いたようね」
「そうですね、姉様」
「クラッブ達の荷物も片付いたことだし私たちもそろそろコンパートメントから出ましょうか」
「はい。…行くぞゴイル、クラッブ」
「クラッブ、Mr.クラッブ。荷物は置いていくようにと放送が流れていたでしょう?……他のコンパートメントの方々は殆ど出てしまっているわ。わたくしたちも早く行きましょう」
汽車を人の群れに従っておりると独特の訛りのある大きな声が響いている。
「イッチ年生はこっち!イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!」
なるほど、この声の主がハグリッドだろう。遠目からもわかるほどには大柄だった。
「姉様、もしかしてアレが父上の仰っていた半巨人?」
嘲笑うような声音に私は思わず眉を寄せる。
「ドラコ、人に対してアレなどと言うのはおやめなさいな。品位を疑われてよ。」
私の言葉を聞くとドラコは少し拗ねたようにむくれたが反論が浮かばなかったのか私に対して素直さを見せるためか蚊の鳴くような声で「はい」と呟いた。
ハグリッドの誘導に従い険しい道を歩く。ドラコが足を滑らせそうになり手を掴んだ。視界の端で転び隣の少女に手助けされた子を視界に捉える。ハグリッドがこの角を曲がるとホグワーツが見えると叫んだ。
「まあ!」
前を見て、見えてきた光景に思わず感嘆する。横でドラコも呆気に取られているのが視界の端に移る。水面に明かりが反射している。月と星を背負う校舎はあまりに美しくあまりに幻想的であまりに_______
お城である完全に。
これが学舎だとかどんな冗談だってほどに。カメラもってくれば良かったなあ、写真とりたい。
またカメラ送って貰おう。
断じてこれからの生活から現実逃避しているわけではないことだけは明言させていただこう。
ほんとうだよ?
別に某帝王がいる教室で授業受けたくねえとか地下に目を見たら死ぬ巨大蛇いるんだよなあとかアクロマンチュラがいる森が敷地内にある学校とかどうよ?なんて思っていないから!
それから目をそらしたいとかじゃないから!
黙々と歩いていると気づいたら岸辺に着いていた。
ぬるぬるとした足場に滑ってしまわないかとひやひやする。怖い。
手前のボートにあまり揺れないようにと思いながら腰をかける。それに続いてドラコが私の横に座りクラッブとゴイルが続いた。クラッブが乗った瞬間一際大きく揺れて心臓が跳ねた。こ、怖い。
ハグリッドの声に従い動き出した船に乗りながらドラコは囁やくように私の耳へと顔を寄せ呟いた。
「それなりに見事な校舎ですね」
「ええ、そうね。私たちの実家より広いわ」
「本当に?」
「だって私たちの家にこんなに大きい湖はなくってよ。山もね」
沈黙のままホグワーツ城を目に焼き付けていると船着き場に着いた。差し出されたドラコの手に小さく「ありがとう」とつぶやきながら自身の手を乗せ小舟から立ち上がる。
校舎を見上げてあまりの大きさにおののく。
某大阪のホグワーツよりも圧倒的にでかい。……気がする。
細やかな意匠も、年季を感じさせる石造りの柱も全てが見事で。ああ本当に私はハリーポッターの世界にいるのだと再確認させられた。
ハグリッドがドアを3回ほど叩くと城のドアは開かれ厳格そうな女性が現れた。彼女がマクゴナガル先生だろう。往年の美貌を感じさせるような整った顔立ちだった。てきぱきとした様子でハグリッドと会話ている。
高い天井と大理石の階段。そして壁にかけられた松明が特徴的な玄関ホールを抜ける。
学生のざわめきが聞こえる食堂らしき場所の前を横切り小部屋へと案内される。入学への祝辞を述べられ学校についてのシステムを語られる。学校の準備ができるまでここで待つように言われたので大人しくドラコやクラッブ達と並んで待っていた。なぜだろうか嫌な予感がする。
手慰みに杖に触れる。湖に杖が落ちていないかとローブをおさえたりあるか確認したり。失くしたり壊すのが恐い。
あれだ、あれ。スマホを買ってもらった子供の心理だ。精密機器だから落としたりしてしまって壊したり失くすのが恐い。ある種スマホさえあれば何とかなる現代での命綱だったのに対し、この世界では杖が魔法使いにとっての命綱だ。杖がなくても魔法が使えるようになれば話は別かもしれないがそれでも威力は格段に落ちるだろう。
あとあまりに細いものだから衝撃で折れそうでこわい。
杖を持っていたらすごい魔法使いっぽくて気分も上がるしね!
さてさて目下の問題はどの寮にはいるかだろう。居やすそうなのはハッフルパフ一択。
一番色んな意味で無難なのはレイブンクロー。
スリザリンは…ドラコの反応が怖い。
グリフィンドールは…まあ何とかなる、か…?
今後の身の振り方を考えるならグリフィンドールかな…うーんグリフィンドールに入るかどうかでかなり変わる気がする…。
グリフィンドールにいったらお父様、何か言うかしら…ううーん大丈夫かなあ、一応保険かけたしいけるいける。
そんなことをぼーっとしながら考えているとまるでモノクロ写真の不透明度を下げたようは人物たちが現れた。私は血の気が顔から引いたのを感じた。互いに話していたにも関わらず不幸にも私達に目を留めた。
「これから組分けされるところか?」
少しばかりふっくらとした修道服姿の男が微笑みながら話しかけてきたもので大人しく……警戒心を抱きながらも頷いた。修道士が自身がハッフルパフの卒業生だと告げたところで再びマクゴナガル先生がやってきた。いよいよ組み分けが始まるらしい。ハッフルパフに行けば再び会えると言っていたあたりあの幽霊はハッフルパフの霊か。
ふと、ローブを引かれる感覚がして見てみるとドラコがいつもより少し青ざめた顔色で私の瞳を見つめていた。この子もこの子なりに不安なのだろう。だってどんな選定基準かもわからない組み分けでもしスリザリン以外に入ることになれば両親は_特にお父様はお冠だろうし、この子のプライドも大いに傷つけられることだろう。
「大丈夫よ、ドラコ」
ローブを握っていた手をそっと取り優しく撫でながら慰めるように呟く。こんなことが前にもあった気がする。大丈夫だ。この子は大丈夫。スリザリンに入るのだから。私の言葉に頬をほころばせたドラコはとてもかわいい。すこし赤く染まった頬も。この子は大丈夫_でも私は?
1列になり上級生達の間を進み行く。上級生たちの方を向いて立たされた。緊張するからこのようなことは苦手なのに。天井はまるで吹き抜けのように夜空が広がり蝋燭が宙に浮かんでいる。綺麗なものだ。魔法だけども。上級生たちの視線を感じそっと居住まいを正す。凛として立たなくては。血の繋がりのないただの養女のようなものとはいえ少なくとも今はマルフォイ家の名を背負っているのだし。プライド高く優雅に振る舞うことこそが、マルフォイの教育は間違っていないのだと見せつけることこそが私のできる数少ない恩返しでもある。
背を伸ばして立つ私達の前にマクゴナガル先生は現れあまりにただの帽子を置いた。すると突然ピクピクと震えるように動いて裂けた。口が現れたのだ。すると帽子は歌い出す。聞いたことのある歌だ。独特の拍子の。
それぞれの寮の特色を述べて「だって私は考える帽子!」と歌い終わるのを確認すると無言で拍手をした。まるで礼でもするように帽子が曲がる。何だか奇妙な心地だった。魔法界である以上慣れるべきだけれども。物自身に意思があるときそれは危険な_闇の魔術に関連する物体である確率が高いと知っているからかもしれない。
組み分けは順調に進んでいる。ドラコの名が呼ばれどこか緊張した足取りで…それでいて不安を覆い隠すように…向かっていった。すぐさま「スリザリンッ!」と告げられる。嬉しそうに自慢げに微笑むドラコに私も笑みを返す。
どんどん、どんどんと私の番が近づいていくのを感じる。
ハリーの名が、ハリー・ポッターの名が呼ばれた。
───次は私だ。
どくんどくんと心臓がなる。緊張している。
顔をじゃっかん俯けてしまって髪が顔にかかった。遠くで歓声が聞こえる。
ドラコはハリーの名前が呼ばれ組分けられたにも関わらずまだ私の名が呼ばれないことにやきもきしているようだった。何のトラブルかと今にも声をあげようとしていた。
───けれどその表情は次の瞬間に驚愕へと変わる。
「えー…あー…ミッシェリーナ·ポッター」
マクゴナガル先生に名を呼ばれる。どこか戸惑うような悩むような声色だった。
私の名前が呼ばれるとスリザリン寮生を中心として戸惑いからのざわめきがおこった。
どくんどくんと全身へと響かせる心臓の音を抑えつけ滲む汗に気づかないふりをする。
毅然と堂々とを心がけながら歩き笑みを浮かべて椅子に座る。
人前にたつのは記憶を思い出す前に散々したものだからそこまで緊張はしないのが唯一の救いだ。
ヤバい本当にヤバいびっくりするくらい怖い。ぶっちゃけこれで一生の身の振り方が決まるといっても過言ではない。
みんななんでそんなに余裕そうに受け入れられるんだよ!……まあなるようになるか。
帽子をマクゴナガル先生に被せられる。視界には闇が広がり案外小さな声が直接頭に響いてきた。変な気分だった。
「また君か、相変わらず母君に似ているな。」
「お母さんを知っているの?」
「あぁもちろんだとも」
自分で聞いておいてなんだがすぐにそりゃそうか、と思い直す。生母はこの学校の生徒だったのだから。じゃあマクゴナガル先生とかダンブルドア校長先生とかも知っているのかな。いろいろ聞いたら答えてくれないだろうか。
「それで君はどの寮に入りたい?」
「選べるの?」
「あぁ、だがあまりハッフルパフとグリフィンドールは難しいかもしれないがな。」
「…なぜ?」
「向いていると思うかね?」
ですよねー!確かにサボったりしたくなるときあるし、騎士道精神とかよくわかんないしあと、なんかノリにあわなそう。普通に暮らすならハッフルパフが一番良さそうなんだけどなーもしくはスリザリン。レイブンクローは無理、毎回謎解きするの無理。
まあ、色々と考えても結局答えは決まっているのだけど。
「スリザリンにはいれば安寧がグリフィンドールに入れば試練が待ち受けハッフルパフに入れば…」
「別にいいわ、そういうの。私はどこにいくかきめている。」
「私は、グリフィンドールに入るわ。」
「本当に君はグリフィンドールが好きだね。」
「?違うわよ、別に。好きとかじゃないわ。」
何を言っているのだろうこの襤褸帽子はと思いながら続ける。
「ただ…私の守りたいものを…ドラコやお母様達を守るには一つしかないわ。」
「後悔しないかね?」
「…わからないわよ、そんな風にいわれると揺らいでしまうわ。けれど後悔するとしたらこの時じゃなくて、これからの行動によるものよ。」
黙った襤褸帽子を私は急かすようにして言葉を紡ぐ。
「それともなあに?私はグリフィンには入れない?」
「大胆さはあるし愛のためならどこまでも勇敢になれる…」
ほんとうに?何だか褒められているみたいで嬉しさと同時に擽ったさを感じる。なら、私はグリフィンドールが相応しいということか。選択は間違いではなかったのかという淡い希望は次の言葉にさっさと打ち砕かれた。
「ただ尤も相応しいのはスリザリンだと思うがね」
「あら、私が日和見主義だからですか?」
「できれば私はスリザリンに組分けしたいのだが…また来られても困るしな…良いだろう。」
何だか酷くない?雑くない?というか質問への返事は?まさかほんとうに日和見主義だから?
「…なあ、本当にスリザリンに入る気はないか?」
「くどくってよ、組み分け帽子」
最初に選ばせたのはそっちでしょうにと思いながら応える。
「ならば………」
「グリフィンドォォル‼」
高らかに帽子が固唾を呑んで見守られていた組み分けに終止符を打つように、新生活への祝福を告げるラッパのように大広間の隅々までその声を響かせた。それと同時に痛いほどの沈黙が広がる。はっとしたようにグリフィンドールを中心に拍手が広がった。私は安堵する。
「最後だ。満喫しなさい、後悔せぬように」
組み分け帽子が喋らなくなったのを確認し帽子を両手で持ち上げマクゴナガル先生の方に渡す。軽く髪を手櫛で整えた後髪を左手でかきあげ払いながらグリフィンドールの方へ足を進める。…あれ、なんか悪役っぽくない?気のせいか。
ドラコの方は怖くて見れなかった。
ああ、でもどうして組み分け帽子はあんなにも私をスリザリンに入れたがったのかしら。なぜあんなにも未練がましい声をだしたのかしら。
そう、まるで往年の友を引き留めるような、咎めるような……
にわかに他のコンパートメント内が騒がしくなってきた。身の振り方を考えないとなあと大きくのびをする。
社内放送が流れたのを聞いてクラッブやゴイルに荷物を纏めるよう急かす。お菓子を食べきった袋が散らかっていた。ドラコはこうなることを見越していたのかさっさと荷物を閉まって退屈そうに外を眺めていた。
一際大きく汽車が揺れる。
「どうやら着いたようね」
「そうですね、姉様」
「クラッブ達の荷物も片付いたことだし私たちもそろそろコンパートメントから出ましょうか」
「はい。…行くぞゴイル、クラッブ」
「クラッブ、Mr.クラッブ。荷物は置いていくようにと放送が流れていたでしょう?……他のコンパートメントの方々は殆ど出てしまっているわ。わたくしたちも早く行きましょう」
汽車を人の群れに従っておりると独特の訛りのある大きな声が響いている。
「イッチ年生はこっち!イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!」
なるほど、この声の主がハグリッドだろう。遠目からもわかるほどには大柄だった。
「姉様、もしかしてアレが父上の仰っていた半巨人?」
嘲笑うような声音に私は思わず眉を寄せる。
「ドラコ、人に対してアレなどと言うのはおやめなさいな。品位を疑われてよ。」
私の言葉を聞くとドラコは少し拗ねたようにむくれたが反論が浮かばなかったのか私に対して素直さを見せるためか蚊の鳴くような声で「はい」と呟いた。
ハグリッドの誘導に従い険しい道を歩く。ドラコが足を滑らせそうになり手を掴んだ。視界の端で転び隣の少女に手助けされた子を視界に捉える。ハグリッドがこの角を曲がるとホグワーツが見えると叫んだ。
「まあ!」
前を見て、見えてきた光景に思わず感嘆する。横でドラコも呆気に取られているのが視界の端に移る。水面に明かりが反射している。月と星を背負う校舎はあまりに美しくあまりに幻想的であまりに_______
お城である完全に。
これが学舎だとかどんな冗談だってほどに。カメラもってくれば良かったなあ、写真とりたい。
またカメラ送って貰おう。
断じてこれからの生活から現実逃避しているわけではないことだけは明言させていただこう。
ほんとうだよ?
別に某帝王がいる教室で授業受けたくねえとか地下に目を見たら死ぬ巨大蛇いるんだよなあとかアクロマンチュラがいる森が敷地内にある学校とかどうよ?なんて思っていないから!
それから目をそらしたいとかじゃないから!
黙々と歩いていると気づいたら岸辺に着いていた。
ぬるぬるとした足場に滑ってしまわないかとひやひやする。怖い。
手前のボートにあまり揺れないようにと思いながら腰をかける。それに続いてドラコが私の横に座りクラッブとゴイルが続いた。クラッブが乗った瞬間一際大きく揺れて心臓が跳ねた。こ、怖い。
ハグリッドの声に従い動き出した船に乗りながらドラコは囁やくように私の耳へと顔を寄せ呟いた。
「それなりに見事な校舎ですね」
「ええ、そうね。私たちの実家より広いわ」
「本当に?」
「だって私たちの家にこんなに大きい湖はなくってよ。山もね」
沈黙のままホグワーツ城を目に焼き付けていると船着き場に着いた。差し出されたドラコの手に小さく「ありがとう」とつぶやきながら自身の手を乗せ小舟から立ち上がる。
校舎を見上げてあまりの大きさにおののく。
某大阪のホグワーツよりも圧倒的にでかい。……気がする。
細やかな意匠も、年季を感じさせる石造りの柱も全てが見事で。ああ本当に私はハリーポッターの世界にいるのだと再確認させられた。
ハグリッドがドアを3回ほど叩くと城のドアは開かれ厳格そうな女性が現れた。彼女がマクゴナガル先生だろう。往年の美貌を感じさせるような整った顔立ちだった。てきぱきとした様子でハグリッドと会話ている。
高い天井と大理石の階段。そして壁にかけられた松明が特徴的な玄関ホールを抜ける。
学生のざわめきが聞こえる食堂らしき場所の前を横切り小部屋へと案内される。入学への祝辞を述べられ学校についてのシステムを語られる。学校の準備ができるまでここで待つように言われたので大人しくドラコやクラッブ達と並んで待っていた。なぜだろうか嫌な予感がする。
手慰みに杖に触れる。湖に杖が落ちていないかとローブをおさえたりあるか確認したり。失くしたり壊すのが恐い。
あれだ、あれ。スマホを買ってもらった子供の心理だ。精密機器だから落としたりしてしまって壊したり失くすのが恐い。ある種スマホさえあれば何とかなる現代での命綱だったのに対し、この世界では杖が魔法使いにとっての命綱だ。杖がなくても魔法が使えるようになれば話は別かもしれないがそれでも威力は格段に落ちるだろう。
あとあまりに細いものだから衝撃で折れそうでこわい。
杖を持っていたらすごい魔法使いっぽくて気分も上がるしね!
さてさて目下の問題はどの寮にはいるかだろう。居やすそうなのはハッフルパフ一択。
一番色んな意味で無難なのはレイブンクロー。
スリザリンは…ドラコの反応が怖い。
グリフィンドールは…まあ何とかなる、か…?
今後の身の振り方を考えるならグリフィンドールかな…うーんグリフィンドールに入るかどうかでかなり変わる気がする…。
グリフィンドールにいったらお父様、何か言うかしら…ううーん大丈夫かなあ、一応保険かけたしいけるいける。
そんなことをぼーっとしながら考えているとまるでモノクロ写真の不透明度を下げたようは人物たちが現れた。私は血の気が顔から引いたのを感じた。互いに話していたにも関わらず不幸にも私達に目を留めた。
「これから組分けされるところか?」
少しばかりふっくらとした修道服姿の男が微笑みながら話しかけてきたもので大人しく……警戒心を抱きながらも頷いた。修道士が自身がハッフルパフの卒業生だと告げたところで再びマクゴナガル先生がやってきた。いよいよ組み分けが始まるらしい。ハッフルパフに行けば再び会えると言っていたあたりあの幽霊はハッフルパフの霊か。
ふと、ローブを引かれる感覚がして見てみるとドラコがいつもより少し青ざめた顔色で私の瞳を見つめていた。この子もこの子なりに不安なのだろう。だってどんな選定基準かもわからない組み分けでもしスリザリン以外に入ることになれば両親は_特にお父様はお冠だろうし、この子のプライドも大いに傷つけられることだろう。
「大丈夫よ、ドラコ」
ローブを握っていた手をそっと取り優しく撫でながら慰めるように呟く。こんなことが前にもあった気がする。大丈夫だ。この子は大丈夫。スリザリンに入るのだから。私の言葉に頬をほころばせたドラコはとてもかわいい。すこし赤く染まった頬も。この子は大丈夫_でも私は?
1列になり上級生達の間を進み行く。上級生たちの方を向いて立たされた。緊張するからこのようなことは苦手なのに。天井はまるで吹き抜けのように夜空が広がり蝋燭が宙に浮かんでいる。綺麗なものだ。魔法だけども。上級生たちの視線を感じそっと居住まいを正す。凛として立たなくては。血の繋がりのないただの養女のようなものとはいえ少なくとも今はマルフォイ家の名を背負っているのだし。プライド高く優雅に振る舞うことこそが、マルフォイの教育は間違っていないのだと見せつけることこそが私のできる数少ない恩返しでもある。
背を伸ばして立つ私達の前にマクゴナガル先生は現れあまりにただの帽子を置いた。すると突然ピクピクと震えるように動いて裂けた。口が現れたのだ。すると帽子は歌い出す。聞いたことのある歌だ。独特の拍子の。
それぞれの寮の特色を述べて「だって私は考える帽子!」と歌い終わるのを確認すると無言で拍手をした。まるで礼でもするように帽子が曲がる。何だか奇妙な心地だった。魔法界である以上慣れるべきだけれども。物自身に意思があるときそれは危険な_闇の魔術に関連する物体である確率が高いと知っているからかもしれない。
組み分けは順調に進んでいる。ドラコの名が呼ばれどこか緊張した足取りで…それでいて不安を覆い隠すように…向かっていった。すぐさま「スリザリンッ!」と告げられる。嬉しそうに自慢げに微笑むドラコに私も笑みを返す。
どんどん、どんどんと私の番が近づいていくのを感じる。
ハリーの名が、ハリー・ポッターの名が呼ばれた。
───次は私だ。
どくんどくんと心臓がなる。緊張している。
顔をじゃっかん俯けてしまって髪が顔にかかった。遠くで歓声が聞こえる。
ドラコはハリーの名前が呼ばれ組分けられたにも関わらずまだ私の名が呼ばれないことにやきもきしているようだった。何のトラブルかと今にも声をあげようとしていた。
───けれどその表情は次の瞬間に驚愕へと変わる。
「えー…あー…ミッシェリーナ·ポッター」
マクゴナガル先生に名を呼ばれる。どこか戸惑うような悩むような声色だった。
私の名前が呼ばれるとスリザリン寮生を中心として戸惑いからのざわめきがおこった。
どくんどくんと全身へと響かせる心臓の音を抑えつけ滲む汗に気づかないふりをする。
毅然と堂々とを心がけながら歩き笑みを浮かべて椅子に座る。
人前にたつのは記憶を思い出す前に散々したものだからそこまで緊張はしないのが唯一の救いだ。
ヤバい本当にヤバいびっくりするくらい怖い。ぶっちゃけこれで一生の身の振り方が決まるといっても過言ではない。
みんななんでそんなに余裕そうに受け入れられるんだよ!……まあなるようになるか。
帽子をマクゴナガル先生に被せられる。視界には闇が広がり案外小さな声が直接頭に響いてきた。変な気分だった。
「また君か、相変わらず母君に似ているな。」
「お母さんを知っているの?」
「あぁもちろんだとも」
自分で聞いておいてなんだがすぐにそりゃそうか、と思い直す。生母はこの学校の生徒だったのだから。じゃあマクゴナガル先生とかダンブルドア校長先生とかも知っているのかな。いろいろ聞いたら答えてくれないだろうか。
「それで君はどの寮に入りたい?」
「選べるの?」
「あぁ、だがあまりハッフルパフとグリフィンドールは難しいかもしれないがな。」
「…なぜ?」
「向いていると思うかね?」
ですよねー!確かにサボったりしたくなるときあるし、騎士道精神とかよくわかんないしあと、なんかノリにあわなそう。普通に暮らすならハッフルパフが一番良さそうなんだけどなーもしくはスリザリン。レイブンクローは無理、毎回謎解きするの無理。
まあ、色々と考えても結局答えは決まっているのだけど。
「スリザリンにはいれば安寧がグリフィンドールに入れば試練が待ち受けハッフルパフに入れば…」
「別にいいわ、そういうの。私はどこにいくかきめている。」
「私は、グリフィンドールに入るわ。」
「本当に君はグリフィンドールが好きだね。」
「?違うわよ、別に。好きとかじゃないわ。」
何を言っているのだろうこの襤褸帽子はと思いながら続ける。
「ただ…私の守りたいものを…ドラコやお母様達を守るには一つしかないわ。」
「後悔しないかね?」
「…わからないわよ、そんな風にいわれると揺らいでしまうわ。けれど後悔するとしたらこの時じゃなくて、これからの行動によるものよ。」
黙った襤褸帽子を私は急かすようにして言葉を紡ぐ。
「それともなあに?私はグリフィンには入れない?」
「大胆さはあるし愛のためならどこまでも勇敢になれる…」
ほんとうに?何だか褒められているみたいで嬉しさと同時に擽ったさを感じる。なら、私はグリフィンドールが相応しいということか。選択は間違いではなかったのかという淡い希望は次の言葉にさっさと打ち砕かれた。
「ただ尤も相応しいのはスリザリンだと思うがね」
「あら、私が日和見主義だからですか?」
「できれば私はスリザリンに組分けしたいのだが…また来られても困るしな…良いだろう。」
何だか酷くない?雑くない?というか質問への返事は?まさかほんとうに日和見主義だから?
「…なあ、本当にスリザリンに入る気はないか?」
「くどくってよ、組み分け帽子」
最初に選ばせたのはそっちでしょうにと思いながら応える。
「ならば………」
「グリフィンドォォル‼」
高らかに帽子が固唾を呑んで見守られていた組み分けに終止符を打つように、新生活への祝福を告げるラッパのように大広間の隅々までその声を響かせた。それと同時に痛いほどの沈黙が広がる。はっとしたようにグリフィンドールを中心に拍手が広がった。私は安堵する。
「最後だ。満喫しなさい、後悔せぬように」
組み分け帽子が喋らなくなったのを確認し帽子を両手で持ち上げマクゴナガル先生の方に渡す。軽く髪を手櫛で整えた後髪を左手でかきあげ払いながらグリフィンドールの方へ足を進める。…あれ、なんか悪役っぽくない?気のせいか。
ドラコの方は怖くて見れなかった。
ああ、でもどうして組み分け帽子はあんなにも私をスリザリンに入れたがったのかしら。なぜあんなにも未練がましい声をだしたのかしら。
そう、まるで往年の友を引き留めるような、咎めるような……
