名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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ホグワーツに入学する日がやってきた。朝から楽しみなのかドラコの機嫌が良い。
「姉様!ホグワーツに着いたら何をします?闇の魔術の防衛術の教授はどんな方でしょうか!晩餐の席は隣どうしにしませんか?」
「……ふふ、考えておくわね」
ニコニコしている。可愛い……なでなでしたいぐらいである。
ただ、オールバックはやめた方がいいと思う。似合ってはいるが。触ったら崩れてしまうし。思いっきりなでなでしたいのだ……。
そんなだったらデコフォイだのなんだの言われるよ?ね?
お父様最近生え際を気にしているし……だからやめよ?
そんな思いと共に頭に伸ばした手を下げる。
さすがに直接は言わない。こんなことを言われたらショックだろうし、何よりお父様がショックを受けそうだし。
ドラコのキラキラした目を見ていると可愛いやらなんやらで何故か無性にムカついたので軽くつまんで引っ張った。のびるわ。のびるわ。驚いた。もっちりしてる。マシュマロみたい。いや餅か?
ってか肌目細かっ。……男の子だよね?
プンプン拗ねているが可愛い。本当可愛い
眼福の極み。
姉様のバカとか言われたけど可愛いから良し。
………あぁでも…もし組み分けの時に私がポッター姓だと知ったときのドラコを想像したら少し怖くなってきた。
流石に嫌われるのは嫌だなぁ
………………………
………………。
うん!今は考えないでおこう。嫌なことは後回しで良いんだ!!
その時その時で対処すると決めたばかりではないか。
ウンウン!
………すごいだめだめな人間のゼリフな気がする……
ぷんすこと怒るドラコを宥めたあとそっと両親の目を盗み部屋を出た後に何食わぬ顔でまた部屋に戻る。
その瞬間まるでそれを見計らったように両親が私達に声をかけてくる。
「もうそろそろ出る時間ね。用意は出来ているかしら?忘れ物はなくって?はやく荷物を取っていらっしゃい。遅れてしまうわ。」
もうそんな時間かと思いクリスタルの置き時計を確認し、確かにヤバいと慌てて部屋に荷物を取りに行く。
検知不可能呪文をかけているのでトランクひとつでことたりる。巾着に抑えることも可能だろうけど入れることが難しいからねぇ。口が小さいもの。
ああ、でもトランク一つだからカートとか使わないか……。カートで突っ込むやつやってみたかったなー。
残念無念。
そう思いながら扉に手を掛ける。
バサッバサッ
「ホッホー」
……入学祝いのペットの梟_アンジュがバサバサっと羽を広げ自己主張をした音が耳に入る。
危うく連れていくのを忘れるところだったと申し訳なく思った。
(あははっ………………はは……。ごめん…完全に忘れてたわ…)
「わぁ相変わらずアンジュは宝石みたいなキラキラしたお目目に艶っつやの羽根で素敵ねー綺麗ねー」
とりあえず機嫌取りに褒めたらふふんという感じに胸を張った。綺麗だけどシャンデリアが映ったことによる光の反射で目が痛い。
アンジュは魔法生物?らしい。そのため少し変わっていて目がサファイアでできており嘴がプラチナでできているのだ。羽もまるで真珠やオパールを薄くスライスしたかのようっだった。
一目惚れである。お値段は普通だと口に出したくないが流石はマルフォイ。買ってくれた。けれども11の娘の入学祝いにこの値段はどうかと思う。
若干成金趣味かな?と思ったが飛びかたが謎に優雅なので消し飛んだ。バレリーナみたいな感じで飛ぶんだもん。色の組み合わせがドラコっぽくて帰りにそれに気づいて幼児帰りっぽくなったドラコが「姉様は僕の」って言った瞬間死ぬかと思った。
死んだら売れるかなって初めて見た時思ったけど情がちょっぴり移った。
死んだら剥製にでもしてどっかに飾ろう。
ちなみにこの梟は魔法動物だからか餌代が馬鹿にならない。普通の梟の餌を受け付けてくれないからだ。
荷物を手に持ち籠を両手で抱える。籠の隙間から、羽が顔に当たりそうに何度かなる。嫌がらせだろうか?鳥籠結構大きいのだけど。
部屋から出て階下の応接間に行ったらお母様に呼ばれたので荷物をそぉっと置いたあとトテトテと近寄り横にある部屋に入る。記憶を思い出してからのそれなりに長い時間で毎日のように探検していたのに入ったことのない部屋があるのは何故だろう。
「大丈夫?忘れ物はなくって?」
心配そうに尋ねられ一瞬イヤな予感がしたがにこやかに微笑みながら答える。こういう時に限って忘れ物をする、そんな考えには蓋をした。
「ええ。大丈夫ですよ、お母様「そう。もし何か忘れたり届けて欲しいものがあったら手紙に書いてね?あぁでも何かあったらセブルスに言えば良いわ。良くしてくれると思うから。週に1度はちゃんと手紙を送ってくるのよ?もし送ってくれなかったらドラコか、セブルスに吠えメールを送るわ。お友達が出来たら手紙に書いてちょうだいね?勿論ボーイフレンドができた時もよ?遠慮なんてせずに色々と教えて頂戴ね?!」
「は…はい」
ノンブレスで言った肺活量が凄い流石はブラック家、目がキラキラ…いやギラギラしている。
スネイプ先生を私的なことに使うのはあまり良くないと思うけど。相手は教授だし。
そういえば私何度かあったことがあるんだっけ。ポッター家の人間だと知っているのだろうか。でも私お母さんに似ているらしいから多分気付いていると思うけれど。
でも接し方普通だったよな。
お母さんが寮とか関係なく仲良くする人で良かった…本当に"あの"ジェームズポッターと血が繋がっているのだろうか。
まぁ、スネイプ先生の恨みのこもった目で見られると思うと悲しくなるから。と若干現実逃避しながら乾いた笑みを浮かべているとお父様が止めに入ってくれた。
というかごめんなさいお父様。居たんだ…
「なぁシシィ私はまだミッシェルにボーイフレンドは早いと思うがそれに…「何を言っているんです?あなた。もうミッシェルは11歳よ?婚約者がいても可笑しくない年齢なんですよ?!私とあなたが何歳で婚約したか思い出して!」……」
お父様が1歩離れ悟ったような笑顔のまま目を閉じ首を横に振る。
白旗があったらあげていただろう。父敗退。やはり世の男性が妻に勝てないというのは本当だったんだ。
本音を言えば諦めないで欲しかった。
というかちょっと面白いことを思い付いた。試してみよう。試すだけだから。保険は大事だよ?ねえ?
「お母様しっかり週に1度お手紙をお送りしますよ?あぁでも私がグリフィンドールに入ればやはり…」
あとはちょっぴり悲しそうにするだけ。眉尻を下げ下を向くただそれだけである。
すると……
「何を言ってるのミッシェル?!例え貴方がグリフィンドールだとしても貴方は私の…私達の娘ですよ?貴方がこんなに小さい時から育てていたんですもの。ねぇあなた?」
「そっ…そうだ。誰が何を言おうが私達のむすめだ!だが何か言われたら言いなさい。何とでもしよう。」
ビクッと目に見えて跳ね上がった。白金色の髪がふわりと舞っている。なんか無駄に神秘的だよね。お母様もお父様もどこかふわふわしてるせいもあるけど。急に声かけられたからってそんなにびっくりしないで欲しい。私までビクッてなった。
まあいいか保険はかけれたと思うし。思ってたより重い反応というか…うん…まぁ可愛がってくれてたもんね。ドラコと大差ない扱いをしてくれてたもん。言われるまでは容姿以外では違和感を感じなかったし。差があるとすればドラコは跡取りだからその教育ぐらい。
女の子ということでむしろ可愛がられていたからなぁー
「はい!私もお母様達のこと本当の両親のように思ってます。……あと何か言われたらこちらで対処致しますから大丈夫ですわ…本当に……」
何をするか分からないので何もしないで欲しい…恨みはあんまりかいたくないんだよぉ……
本当後生だから……
「そう言えばどうかしたんですの?早く行かないと……」
絶対に間に合わないと言うわけではないが早いに越したことはないだろう。どうせホームで今生の別れみたいなやり取りを繰り返すことになるのだろうし。
そう思い急かすように言うと小さい掌サイズの布に覆われた何かを差し出される。
「あぁ忘れるところだったわ。実はね、これを渡そうと思って……」
そっとお母様が布を払うと古めかしいどこか重厚そうな印象を与えられる血のような色のビロードの小箱があった。
キョトンとしながらその箱を受け取ると思っていたよりもずしりと重く驚いた。
確認を取ってから開けると親指の第1関節ぐらいの大きさのコサージュがあった。
「凄く…綺麗ね」
ほう、と思わず口から感嘆の息が漏れる。金に縁どられたエメラルドとルビー(?)によって蝶と薔薇が模されたコサージュだった。
ほんとうに綺麗だ。ほんとうに。…そう、確かに綺麗なのだ。アンティークっぽいし。いや事実アンティークなんだろう。
だがはっきり言おう。絶っっっ対に高い!!流石に純金ではないだろうけど……違うよね?
お母様達からの強い視線でじっと見られていることに気づきはっと顔をあげる。
「えぇっと……これは?」
尋ねると酷く優しい表情で答えられる。…どこか悲しそうな。
「これはね。貴方のお母様のものなの。お父様から贈られたものらしいわ。」
お母さんがお父さんにもらったもの…そう思うとなんだか感慨深く感じる。まあ実際会った記憶もないんだけど。
「そう…ですか……あの、お父さんって」
記憶を取り戻してから…実子でないと知ってからもはや恒例ともなったいつもの質問を繰り返す。
するといつも通り悲しそうに頭を撫でられながら「ごめんなさい」と微笑まれるのだった。
*******
急にドアが開けられビクッとした。心臓に悪い。箱を思わずポケットに押し込む。
「姉様達!ここに居たんですか。早く行かないとっ……!」
楽しみなのか興奮した様子のドラコが早足でいつも通り空気なお父様に近づく。
「あれ?姉様そんな髪飾り持ってましたか?」
リボンに付けた形見のコサージュに目敏く気づいたドラコに内心戦きながら誤魔化す。
「えぇ…持っていたわ。それより早く行きましょうか。楽しみでしょう?」
******
やはり思った通り、今生の別れみたいな言葉を言われ涙を滲ませながら立派になってとかいうやり取りをし惜しそうに手を離される。
乗り遅れるかと思いながら何とか汽車に乗った。
汽車に感動するまもなく動き出しクラッブ達が取っといてくれていた。ちなみにゴイルとはこの時ほぼほぼ初めてのこんにちは、である。幼馴染みであるゴイルとは違い。もとはパーティーとかで見かけたり親同士が挨拶する程度の仲であった。コンパメートに入り小さめなトランクを脇に置き両親に手を振った。
ハンカチを片手に手を振るお母様を見て、これが休みの度に続くのかとじゃっかんげっそりした。
「姉様!ホグワーツに着いたら何をします?闇の魔術の防衛術の教授はどんな方でしょうか!晩餐の席は隣どうしにしませんか?」
「……ふふ、考えておくわね」
ニコニコしている。可愛い……なでなでしたいぐらいである。
ただ、オールバックはやめた方がいいと思う。似合ってはいるが。触ったら崩れてしまうし。思いっきりなでなでしたいのだ……。
そんなだったらデコフォイだのなんだの言われるよ?ね?
お父様最近生え際を気にしているし……だからやめよ?
そんな思いと共に頭に伸ばした手を下げる。
さすがに直接は言わない。こんなことを言われたらショックだろうし、何よりお父様がショックを受けそうだし。
ドラコのキラキラした目を見ていると可愛いやらなんやらで何故か無性にムカついたので軽くつまんで引っ張った。のびるわ。のびるわ。驚いた。もっちりしてる。マシュマロみたい。いや餅か?
ってか肌目細かっ。……男の子だよね?
プンプン拗ねているが可愛い。本当可愛い
眼福の極み。
姉様のバカとか言われたけど可愛いから良し。
………あぁでも…もし組み分けの時に私がポッター姓だと知ったときのドラコを想像したら少し怖くなってきた。
流石に嫌われるのは嫌だなぁ
………………………
………………。
うん!今は考えないでおこう。嫌なことは後回しで良いんだ!!
その時その時で対処すると決めたばかりではないか。
ウンウン!
………すごいだめだめな人間のゼリフな気がする……
ぷんすこと怒るドラコを宥めたあとそっと両親の目を盗み部屋を出た後に何食わぬ顔でまた部屋に戻る。
その瞬間まるでそれを見計らったように両親が私達に声をかけてくる。
「もうそろそろ出る時間ね。用意は出来ているかしら?忘れ物はなくって?はやく荷物を取っていらっしゃい。遅れてしまうわ。」
もうそんな時間かと思いクリスタルの置き時計を確認し、確かにヤバいと慌てて部屋に荷物を取りに行く。
検知不可能呪文をかけているのでトランクひとつでことたりる。巾着に抑えることも可能だろうけど入れることが難しいからねぇ。口が小さいもの。
ああ、でもトランク一つだからカートとか使わないか……。カートで突っ込むやつやってみたかったなー。
残念無念。
そう思いながら扉に手を掛ける。
バサッバサッ
「ホッホー」
……入学祝いのペットの梟_アンジュがバサバサっと羽を広げ自己主張をした音が耳に入る。
危うく連れていくのを忘れるところだったと申し訳なく思った。
(あははっ………………はは……。ごめん…完全に忘れてたわ…)
「わぁ相変わらずアンジュは宝石みたいなキラキラしたお目目に艶っつやの羽根で素敵ねー綺麗ねー」
とりあえず機嫌取りに褒めたらふふんという感じに胸を張った。綺麗だけどシャンデリアが映ったことによる光の反射で目が痛い。
アンジュは魔法生物?らしい。そのため少し変わっていて目がサファイアでできており嘴がプラチナでできているのだ。羽もまるで真珠やオパールを薄くスライスしたかのようっだった。
一目惚れである。お値段は普通だと口に出したくないが流石はマルフォイ。買ってくれた。けれども11の娘の入学祝いにこの値段はどうかと思う。
若干成金趣味かな?と思ったが飛びかたが謎に優雅なので消し飛んだ。バレリーナみたいな感じで飛ぶんだもん。色の組み合わせがドラコっぽくて帰りにそれに気づいて幼児帰りっぽくなったドラコが「姉様は僕の」って言った瞬間死ぬかと思った。
死んだら売れるかなって初めて見た時思ったけど情がちょっぴり移った。
死んだら剥製にでもしてどっかに飾ろう。
ちなみにこの梟は魔法動物だからか餌代が馬鹿にならない。普通の梟の餌を受け付けてくれないからだ。
荷物を手に持ち籠を両手で抱える。籠の隙間から、羽が顔に当たりそうに何度かなる。嫌がらせだろうか?鳥籠結構大きいのだけど。
部屋から出て階下の応接間に行ったらお母様に呼ばれたので荷物をそぉっと置いたあとトテトテと近寄り横にある部屋に入る。記憶を思い出してからのそれなりに長い時間で毎日のように探検していたのに入ったことのない部屋があるのは何故だろう。
「大丈夫?忘れ物はなくって?」
心配そうに尋ねられ一瞬イヤな予感がしたがにこやかに微笑みながら答える。こういう時に限って忘れ物をする、そんな考えには蓋をした。
「ええ。大丈夫ですよ、お母様「そう。もし何か忘れたり届けて欲しいものがあったら手紙に書いてね?あぁでも何かあったらセブルスに言えば良いわ。良くしてくれると思うから。週に1度はちゃんと手紙を送ってくるのよ?もし送ってくれなかったらドラコか、セブルスに吠えメールを送るわ。お友達が出来たら手紙に書いてちょうだいね?勿論ボーイフレンドができた時もよ?遠慮なんてせずに色々と教えて頂戴ね?!」
「は…はい」
ノンブレスで言った肺活量が凄い流石はブラック家、目がキラキラ…いやギラギラしている。
スネイプ先生を私的なことに使うのはあまり良くないと思うけど。相手は教授だし。
そういえば私何度かあったことがあるんだっけ。ポッター家の人間だと知っているのだろうか。でも私お母さんに似ているらしいから多分気付いていると思うけれど。
でも接し方普通だったよな。
お母さんが寮とか関係なく仲良くする人で良かった…本当に"あの"ジェームズポッターと血が繋がっているのだろうか。
まぁ、スネイプ先生の恨みのこもった目で見られると思うと悲しくなるから。と若干現実逃避しながら乾いた笑みを浮かべているとお父様が止めに入ってくれた。
というかごめんなさいお父様。居たんだ…
「なぁシシィ私はまだミッシェルにボーイフレンドは早いと思うがそれに…「何を言っているんです?あなた。もうミッシェルは11歳よ?婚約者がいても可笑しくない年齢なんですよ?!私とあなたが何歳で婚約したか思い出して!」……」
お父様が1歩離れ悟ったような笑顔のまま目を閉じ首を横に振る。
白旗があったらあげていただろう。父敗退。やはり世の男性が妻に勝てないというのは本当だったんだ。
本音を言えば諦めないで欲しかった。
というかちょっと面白いことを思い付いた。試してみよう。試すだけだから。保険は大事だよ?ねえ?
「お母様しっかり週に1度お手紙をお送りしますよ?あぁでも私がグリフィンドールに入ればやはり…」
あとはちょっぴり悲しそうにするだけ。眉尻を下げ下を向くただそれだけである。
すると……
「何を言ってるのミッシェル?!例え貴方がグリフィンドールだとしても貴方は私の…私達の娘ですよ?貴方がこんなに小さい時から育てていたんですもの。ねぇあなた?」
「そっ…そうだ。誰が何を言おうが私達のむすめだ!だが何か言われたら言いなさい。何とでもしよう。」
ビクッと目に見えて跳ね上がった。白金色の髪がふわりと舞っている。なんか無駄に神秘的だよね。お母様もお父様もどこかふわふわしてるせいもあるけど。急に声かけられたからってそんなにびっくりしないで欲しい。私までビクッてなった。
まあいいか保険はかけれたと思うし。思ってたより重い反応というか…うん…まぁ可愛がってくれてたもんね。ドラコと大差ない扱いをしてくれてたもん。言われるまでは容姿以外では違和感を感じなかったし。差があるとすればドラコは跡取りだからその教育ぐらい。
女の子ということでむしろ可愛がられていたからなぁー
「はい!私もお母様達のこと本当の両親のように思ってます。……あと何か言われたらこちらで対処致しますから大丈夫ですわ…本当に……」
何をするか分からないので何もしないで欲しい…恨みはあんまりかいたくないんだよぉ……
本当後生だから……
「そう言えばどうかしたんですの?早く行かないと……」
絶対に間に合わないと言うわけではないが早いに越したことはないだろう。どうせホームで今生の別れみたいなやり取りを繰り返すことになるのだろうし。
そう思い急かすように言うと小さい掌サイズの布に覆われた何かを差し出される。
「あぁ忘れるところだったわ。実はね、これを渡そうと思って……」
そっとお母様が布を払うと古めかしいどこか重厚そうな印象を与えられる血のような色のビロードの小箱があった。
キョトンとしながらその箱を受け取ると思っていたよりもずしりと重く驚いた。
確認を取ってから開けると親指の第1関節ぐらいの大きさのコサージュがあった。
「凄く…綺麗ね」
ほう、と思わず口から感嘆の息が漏れる。金に縁どられたエメラルドとルビー(?)によって蝶と薔薇が模されたコサージュだった。
ほんとうに綺麗だ。ほんとうに。…そう、確かに綺麗なのだ。アンティークっぽいし。いや事実アンティークなんだろう。
だがはっきり言おう。絶っっっ対に高い!!流石に純金ではないだろうけど……違うよね?
お母様達からの強い視線でじっと見られていることに気づきはっと顔をあげる。
「えぇっと……これは?」
尋ねると酷く優しい表情で答えられる。…どこか悲しそうな。
「これはね。貴方のお母様のものなの。お父様から贈られたものらしいわ。」
お母さんがお父さんにもらったもの…そう思うとなんだか感慨深く感じる。まあ実際会った記憶もないんだけど。
「そう…ですか……あの、お父さんって」
記憶を取り戻してから…実子でないと知ってからもはや恒例ともなったいつもの質問を繰り返す。
するといつも通り悲しそうに頭を撫でられながら「ごめんなさい」と微笑まれるのだった。
*******
急にドアが開けられビクッとした。心臓に悪い。箱を思わずポケットに押し込む。
「姉様達!ここに居たんですか。早く行かないとっ……!」
楽しみなのか興奮した様子のドラコが早足でいつも通り空気なお父様に近づく。
「あれ?姉様そんな髪飾り持ってましたか?」
リボンに付けた形見のコサージュに目敏く気づいたドラコに内心戦きながら誤魔化す。
「えぇ…持っていたわ。それより早く行きましょうか。楽しみでしょう?」
******
やはり思った通り、今生の別れみたいな言葉を言われ涙を滲ませながら立派になってとかいうやり取りをし惜しそうに手を離される。
乗り遅れるかと思いながら何とか汽車に乗った。
汽車に感動するまもなく動き出しクラッブ達が取っといてくれていた。ちなみにゴイルとはこの時ほぼほぼ初めてのこんにちは、である。幼馴染みであるゴイルとは違い。もとはパーティーとかで見かけたり親同士が挨拶する程度の仲であった。コンパメートに入り小さめなトランクを脇に置き両親に手を振った。
ハンカチを片手に手を振るお母様を見て、これが休みの度に続くのかとじゃっかんげっそりした。