名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力…諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である……ただし我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
随分とまあ大層なご演説にくすりと笑いが溢れる。いっそ録音したくなるような名文句たちである。よくもまあこんなにつらつらと単語を連ねれるものである。私なら噛んでしまいそうだ。
「何を笑っている?Ms.ポッター」
「……失礼、先生」
困惑と畏怖とともに静まりかえる教室での笑みはずいぶんと浮いてしまったようだ。スネイプ先生に視線を向けられた。入学早々点を引かれてしまっては困るので、ミッシェリーナは殊勝げに目を伏せて、肩をすくめながら謝罪する。
「まあ、良い。……ポッター!」
「はい?」
「お前ではない。Mr.ポッターだ」
この流れだったら私だと思うでしょう、と思って少し拗ねてしまう。ツンとした表情を浮かべ瞼を伏せる。
「は、はい……」
唐突に呼ばれ驚いたハリーが慌てて返事をしながら立ち上がった。僕?!と顔に書かれていて可愛らしいことだと思う。さきほどの出席で揶揄されたからかハリーの表情は引きつっていたが。すっかり苦手意識が芽生えてしまったらしい。
「アスフォデルの球根の粉末をニガヨモギの煎じ汁に加えたら、何ができるかね?」
答えに窮するハリーにスネイプ先生が矢継ぎ早に質問を投げかける。
「ベゾアールを見つけるときはどこで探す?」
「……え?」
なるほど、これ一種のハラスメントだ!と思いながら見つめる。パワハラ?モラハラ?わからないが。
横でぴんと片手を上げる感覚がする。
「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」
「わかりません。……ハーマイオニーが答えたそうなので彼女を当てたらいかがでしょう?」
「座りたまえ」
苛立ったようにスネイプ先生が告げた。
「全く……英雄と呼ばれてもあてにならんらしい。君は答えられるかね?Ms.ポッター」
「……無論ですわ、先生」
じっと瞳を見つめ返すと眉間に皺が寄り、少し目が泳いだ。……なぜ?
疑問を抱く。
にしても珍しいこともあるもんだ。まさかグリフィンに点数を与えるきっかけをつくるだなんて、と思いながらよくよく考えると顔を見たときにしまったという表情をしていた。つまりは間違えたのか、この先生。ハリーへの嫌がらせと知り合いの子供ということで私がグリフィン生なことをすっかり忘れていたらしい。そういえばいとこがいるよな同じ名字だよな対比に良さそうくらいにしか思っていなかったことが判明した。殺意。
されどあとには引けないのだろう。不愉快そうに黙って顎をしゃくった。
「アスフォデルの球根とニガヨモギでしたら眠り薬になります。ベアゾール石はヤギの胃袋にあり、モンクスフードとウルフスベーンですが……名称以外に違いはないかと。どちらも同じ植物──トリカブトを指します」
酷いお人だと笑みを湛えながら朗々とミッシェリーナは答えた。
ハリーを視界の隅に収めると少々青褪めている。私が答えてしまったから焦っているようだった。
「……ああ、そうだ。アスフォデルの球根とニガヨモギでできた眠り薬は強力で生ける屍の水薬と呼ばれる。……諸君、なぜメモを取らないのかね?Msポッターのように答えられたというのなら話は別だが」
みんなが慌ててメモを取る中、私は静かに先生の方を見つめる。ハーマイオニーもわかっているだろうに必死でメモを取っていてなんだか感動してしまうものである。ほんとうに勉強が好きなのだと。
おおかたの生徒がメモを取り終えるあたりで先生が声を張った。
「大鍋を机のうえに出せ。それと教科書もだ。二人一組になりたまえ」
みんながぞろぞろと立ち上がる。私はすぐさまハーマイオニーとペアを組んだ。安泰なので。
「安心したまえ、いたって初歩的な調合だ」
スネイプ先生が調合方法を説明する。
角のあるナメクジを茹でるのか……。
うわっ!ぐっろ!全身、粟立って鳥肌が立つ。入学前にグロくないやつ(薬草とか粉末とか)だけで作っていたときは幸か不幸か感覚でなぜか作れていたし、何なら先生が教えてくれていたからできたけどこんなグロいの扱うなんて無理…。
これからの魔法薬学の授業どうしよう……?
半ば絶望しながらも表情は決して表に出さない。
マルフォイ家の教育のお陰か外面を取り繕うのはすごく得意なのである。
ていうか切ったり煮たりする時点で初歩的と言えるのだろうか。
「ではこれにて授業を終了する」
なぜだろう、普通にできた。
あんまりなんとも思わなかったし、一応目つぶるとか言う実験中に一番してはいけないであろう行為をしたのに普通に完成したのである。やばい。
ペアであるハーマイオニーが優秀ということもあるだろうけど。
なんとも悶々とした感情を抱きながら歩いていると視界に黒髪に囲まれた金髪が入った。咄嗟に避けるか悩むが、ドラコと目があってしまう。気まずげに目をそらされ、思わず苦笑した。ずいぶんとかわいらしい反応だ。
「どうかしたの?…ああ、ドラコ・マルフォイね」
立ち止まった私に横を歩いていたハーマイオニーが首を傾げた。そして私の視線の先にいる人物に眉を寄せた。
「ええ、弟よ」
「大変そうね」
ミッシェリーナの言葉に目を細めたハーマイオニーが言いにくそうにそう呟いた。
「…そうかしらね」
悪いのが誰かはわかりきっている。
ドラコはまだ幼い。子供なのだ。たった11の。にも関わらず事実はあまりに残酷なのである。
私から歩み寄るべきなのだ。私は姉なのだから。前世の年月を考えれば私はドラコよりはるかに大人で。でもまだ11の私(・)が叫んでいるのだ。
(好きでこうなったわけじゃない!!私は何も悪くないのに!)
そう叫んでいるのだった。
「ねぇ、ミッシェル!」
「何かしら、ハリー?」
ドラコが視界から消えた頃明るい声が聞こえて口角が上がるのを感じる。ソプラノボイスを響かせながら尋ねた。
「ハグリッドに会いに行くんだ。えっとハグリッドっていうのは森番で……僕を迎えに来てくれたんだけど……だから、その一緒にどうかなって!」
「もちろんよ!ハーマイオニーはどうする?」
「私はいいわ、今日の復習がしたいの。……いいかしら?」
「ええ、もちろん」
寮に帰っていくハーマイオニーの後ろ姿を見送りながら私はロンと逆側のハリーの横へ並んだ。
「災難だったわね、ハリー。ロンは無事に出来上がった?」
「ハリーのペアは僕だよ。……まあ、特に指摘されない程度には」
「なんだかスネイプは僕のこと嫌いみたいだ……!」
「まあ…仕方がない気もするけれどね…」
「仕方ないなんて何で思うの?」
アーモンド型のエメラルドの瞳を可愛らしく瞬かせながらハリーは尋ねる。微笑ましく思いながらも少し困った表情でミッシェリーナは答えた。
「あー……貴方にトラウマがあるのよ。先生は」
「どういうこと?」
困惑をその瞳に映している。
「……そのうちわかるわ」
ほんとうにその内わかる。その父親譲りの容貌も澄んだ美しい緑の瞳も。その全てがスネイプ先生の地雷だということを。
「でも、あなたは何も悪くないのよ」
たとえスネイプ先生の過去がどのようなものであったとしても。緑の瞳の少女にどのような思いを抱いていたとしても。互いを知らぬのにまだ11の子を嫌悪する理由はないのだから。
ただ一つ言うならあなたのせいではないわ。あなたは何も知らないのでしょうね。父親の名も顔すらも。でも、それで良いのだ。
ぷくりと、拗ねたように頬が膨らんだ。
「……世の中理不尽だ」
随分とまあ大層なご演説にくすりと笑いが溢れる。いっそ録音したくなるような名文句たちである。よくもまあこんなにつらつらと単語を連ねれるものである。私なら噛んでしまいそうだ。
「何を笑っている?Ms.ポッター」
「……失礼、先生」
困惑と畏怖とともに静まりかえる教室での笑みはずいぶんと浮いてしまったようだ。スネイプ先生に視線を向けられた。入学早々点を引かれてしまっては困るので、ミッシェリーナは殊勝げに目を伏せて、肩をすくめながら謝罪する。
「まあ、良い。……ポッター!」
「はい?」
「お前ではない。Mr.ポッターだ」
この流れだったら私だと思うでしょう、と思って少し拗ねてしまう。ツンとした表情を浮かべ瞼を伏せる。
「は、はい……」
唐突に呼ばれ驚いたハリーが慌てて返事をしながら立ち上がった。僕?!と顔に書かれていて可愛らしいことだと思う。さきほどの出席で揶揄されたからかハリーの表情は引きつっていたが。すっかり苦手意識が芽生えてしまったらしい。
「アスフォデルの球根の粉末をニガヨモギの煎じ汁に加えたら、何ができるかね?」
答えに窮するハリーにスネイプ先生が矢継ぎ早に質問を投げかける。
「ベゾアールを見つけるときはどこで探す?」
「……え?」
なるほど、これ一種のハラスメントだ!と思いながら見つめる。パワハラ?モラハラ?わからないが。
横でぴんと片手を上げる感覚がする。
「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」
「わかりません。……ハーマイオニーが答えたそうなので彼女を当てたらいかがでしょう?」
「座りたまえ」
苛立ったようにスネイプ先生が告げた。
「全く……英雄と呼ばれてもあてにならんらしい。君は答えられるかね?Ms.ポッター」
「……無論ですわ、先生」
じっと瞳を見つめ返すと眉間に皺が寄り、少し目が泳いだ。……なぜ?
疑問を抱く。
にしても珍しいこともあるもんだ。まさかグリフィンに点数を与えるきっかけをつくるだなんて、と思いながらよくよく考えると顔を見たときにしまったという表情をしていた。つまりは間違えたのか、この先生。ハリーへの嫌がらせと知り合いの子供ということで私がグリフィン生なことをすっかり忘れていたらしい。そういえばいとこがいるよな同じ名字だよな対比に良さそうくらいにしか思っていなかったことが判明した。殺意。
されどあとには引けないのだろう。不愉快そうに黙って顎をしゃくった。
「アスフォデルの球根とニガヨモギでしたら眠り薬になります。ベアゾール石はヤギの胃袋にあり、モンクスフードとウルフスベーンですが……名称以外に違いはないかと。どちらも同じ植物──トリカブトを指します」
酷いお人だと笑みを湛えながら朗々とミッシェリーナは答えた。
ハリーを視界の隅に収めると少々青褪めている。私が答えてしまったから焦っているようだった。
「……ああ、そうだ。アスフォデルの球根とニガヨモギでできた眠り薬は強力で生ける屍の水薬と呼ばれる。……諸君、なぜメモを取らないのかね?Msポッターのように答えられたというのなら話は別だが」
みんなが慌ててメモを取る中、私は静かに先生の方を見つめる。ハーマイオニーもわかっているだろうに必死でメモを取っていてなんだか感動してしまうものである。ほんとうに勉強が好きなのだと。
おおかたの生徒がメモを取り終えるあたりで先生が声を張った。
「大鍋を机のうえに出せ。それと教科書もだ。二人一組になりたまえ」
みんながぞろぞろと立ち上がる。私はすぐさまハーマイオニーとペアを組んだ。安泰なので。
「安心したまえ、いたって初歩的な調合だ」
スネイプ先生が調合方法を説明する。
角のあるナメクジを茹でるのか……。
うわっ!ぐっろ!全身、粟立って鳥肌が立つ。入学前にグロくないやつ(薬草とか粉末とか)だけで作っていたときは幸か不幸か感覚でなぜか作れていたし、何なら先生が教えてくれていたからできたけどこんなグロいの扱うなんて無理…。
これからの魔法薬学の授業どうしよう……?
半ば絶望しながらも表情は決して表に出さない。
マルフォイ家の教育のお陰か外面を取り繕うのはすごく得意なのである。
ていうか切ったり煮たりする時点で初歩的と言えるのだろうか。
「ではこれにて授業を終了する」
なぜだろう、普通にできた。
あんまりなんとも思わなかったし、一応目つぶるとか言う実験中に一番してはいけないであろう行為をしたのに普通に完成したのである。やばい。
ペアであるハーマイオニーが優秀ということもあるだろうけど。
なんとも悶々とした感情を抱きながら歩いていると視界に黒髪に囲まれた金髪が入った。咄嗟に避けるか悩むが、ドラコと目があってしまう。気まずげに目をそらされ、思わず苦笑した。ずいぶんとかわいらしい反応だ。
「どうかしたの?…ああ、ドラコ・マルフォイね」
立ち止まった私に横を歩いていたハーマイオニーが首を傾げた。そして私の視線の先にいる人物に眉を寄せた。
「ええ、弟よ」
「大変そうね」
ミッシェリーナの言葉に目を細めたハーマイオニーが言いにくそうにそう呟いた。
「…そうかしらね」
悪いのが誰かはわかりきっている。
ドラコはまだ幼い。子供なのだ。たった11の。にも関わらず事実はあまりに残酷なのである。
私から歩み寄るべきなのだ。私は姉なのだから。前世の年月を考えれば私はドラコよりはるかに大人で。でもまだ11の私(・)が叫んでいるのだ。
(好きでこうなったわけじゃない!!私は何も悪くないのに!)
そう叫んでいるのだった。
「ねぇ、ミッシェル!」
「何かしら、ハリー?」
ドラコが視界から消えた頃明るい声が聞こえて口角が上がるのを感じる。ソプラノボイスを響かせながら尋ねた。
「ハグリッドに会いに行くんだ。えっとハグリッドっていうのは森番で……僕を迎えに来てくれたんだけど……だから、その一緒にどうかなって!」
「もちろんよ!ハーマイオニーはどうする?」
「私はいいわ、今日の復習がしたいの。……いいかしら?」
「ええ、もちろん」
寮に帰っていくハーマイオニーの後ろ姿を見送りながら私はロンと逆側のハリーの横へ並んだ。
「災難だったわね、ハリー。ロンは無事に出来上がった?」
「ハリーのペアは僕だよ。……まあ、特に指摘されない程度には」
「なんだかスネイプは僕のこと嫌いみたいだ……!」
「まあ…仕方がない気もするけれどね…」
「仕方ないなんて何で思うの?」
アーモンド型のエメラルドの瞳を可愛らしく瞬かせながらハリーは尋ねる。微笑ましく思いながらも少し困った表情でミッシェリーナは答えた。
「あー……貴方にトラウマがあるのよ。先生は」
「どういうこと?」
困惑をその瞳に映している。
「……そのうちわかるわ」
ほんとうにその内わかる。その父親譲りの容貌も澄んだ美しい緑の瞳も。その全てがスネイプ先生の地雷だということを。
「でも、あなたは何も悪くないのよ」
たとえスネイプ先生の過去がどのようなものであったとしても。緑の瞳の少女にどのような思いを抱いていたとしても。互いを知らぬのにまだ11の子を嫌悪する理由はないのだから。
ただ一つ言うならあなたのせいではないわ。あなたは何も知らないのでしょうね。父親の名も顔すらも。でも、それで良いのだ。
ぷくりと、拗ねたように頬が膨らんだ。
「……世の中理不尽だ」
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