名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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待ちに待った魔法薬学の初日の授業は案外早くに来た。
朝は入学を機に購入した目覚めさせる気の皆無そうな目覚まし時計のクラッシックの音とハーマイオニーの声とともに起きる。そして夢うつつに制服に袖を通し、髪を赤のリボンでハーフアップに結う。グリフィンドールの赤と同じ色のリボンは昨日届いた入学祝いの一つである。その結び目に実母の形見だというブローチをつけ再度軽く梳かす。
これで身支度は終わり、と眠気を噛み殺し、目をぱちぱちと瞬かせながら朝食の席へ向かう。もし許されるのならふかふかのベッドにダイブして二度寝を決め込みたいところだが、そんなこと私の立場とプライドが許さない。……ちょっとくらい良いかな…? あまり長い学校生活で肩肘はるのも良くないよね。寮の自室くらい…。
そんな欲望が芽を出した。
いやでもせっかく支度したのに崩すのもったいない。やめとこ。
脳の冷静な部分で何とか欲望を抑える。
おとなしく諦めて寝ぼけた頭で急かすハーマイオニーたちと共に食堂に行った。
少し遅かったらしく梟の到来の音とともに食堂へ入る。食事を取り、先生の作ってくださった薬を煽り完全復活を果たす。
いやー眠かった。眠かった。
飲んだ薬の色があまりに禍々しく、悪い意味で魔法使いらしいからかハーマイオニーが眉をしかめている。朝っぱらから何飲んでるんだという胡乱気な視線を軽く受け流して席を立った。
「ごめんなさい、教科書を取りに寮へ戻ってもいいかしら」
慌てていた私たちの傍らに教科書の山どころか文房具すらもなかった。
フリットウィック教授による呪文学の授業が終わった。想像と違い少し声が高い教授である。不安定に本の山の上に立っているものだからドキドキしてしまう。まず本の上に立つというのが理解しかねるというのもある。
まだ2回目というのもあって今回の授業も振る動作の練習と呪文の書き取り、そしておおまかな原理で授業が終わってしまった。いつになったら魔法が使えるようになるのだろうか、などとまだ2回目にも関わらず私はハーマイオニーと頭を悩ませていた。
合流したハリーも悩む私たちに不安げな表情を浮かべていたもので苦笑とともに励ます。
無論、なんの心配もせずともいつか使えるようになるというのはわかっているし、既に使うことはできるので。
次は闇の魔術に対する防衛術である。教師が毎年変わる呪われた科目。闇の魔術へ対抗するための学問が呪われているのは何だかおもしろい。
そして、なんといっても例のあの人もといヴォルデモートを後頭部に取りつかせているクィリナス・クィレルの授業だ。
本日は金曜日であるので一度訪れたことのある教室へと向かった。私たちが一番乗りである。教室に入る前に一度深呼吸した。
うん、くさい。
それが教室に入って第一の感想であった。内装に関して特筆すべき点がないから、というのもあるが。個性あふれるこの学園においてよくある内装の教室であった。せいぜい怪しげなおまじない道具がいくつかぶら下がっているぐらいである。
既に教室内にいたクィレルに近い席をハーマイオニーが取ってしまったからだろうか。いっそ暴力的なまでの匂いである。においの重いカーテンが上からかけられている気がする。私の体からにおわないだろうか。不安である。授業も全然集中できないし。
どうしても後頭部をターバンの奥へちらちらと視線を送ってしまった。授業開始前何度も視線を送る私が気になったのかクィレルに引きつった笑みを向けられ、こちらも愛想笑いを返したがやめられない。だって気になる!無性に。
あれでどうやって寝るんだろう。横向き?
お風呂とかトイレとかどうしているのだろう。ていうかどうやって頭洗うの?頭に植えられていて脳に何か影響とかないのかな?皮膚とかの表面だけなのだろうか?蒸れたりしないのかな?常に顔にターバンが纏わりついていて気持ち悪くないのかな?
頭の中を疑問が駆け巡っていて全くもって授業どころではない。
集中できないミッシェリーナの横ではなんとも言えない顔をしたハーマイオニーがクィレルの告げた言葉をそのまま写していた。
ハーマイオニーはしかめっ面で私の前で腕組みしている。
「授業、ちゃんと聞いていた?」
「もちろん、ちゃんとノートは取っているわ。ただ……強い匂いはあまり得意じゃないのよ」
落第点など取ろうものなら両親に叱られるのはおおいにわかっているのでしっかりノートは取っているが、真面目に聞けていたかどうかは微妙なところである。
ならいいわ、と言い放ったハーマイオニーに続いて私は教室を出た。
次の授業はお待ちかね、魔法薬学である。ハーマイオニーとハリーとロンと一緒に地下にある魔法薬学の教室へと向かう。今日一日殆ど座学だったのもあり、頭の中がわくわく一色の私と違って、ロンはどこか憂鬱そうだった。
「知ってるか?次の授業の魔法薬学。スリザリンの寮監なんだってさ。今すぐ終わってほしいよ」
唇を尖らせてロンが愚痴った。
「知ってるわ!でもなぜ終わってほしいの?たとえスリザリンの寮監だからって悪いとは限らないわ」
ロンに苦言を呈したハーマイオニーだが
「僕もさほど楽しみじゃないかな。たぶん先生は僕のこと、あー……」
「あら、そうかしら?私は楽しみよ」
からかうような声音でたずねるミッシェリーナにロンは嫌そうな顔をした。
「なにいって…ああ、君はマルフォイだから…」
「お父様と先生は親交があるのよ」
にこやかに告げるミッシェリーナにハーマイオニーは嬉しそうに尋ねる。
「では、お会いしたことがあるの?」
「ええ」
「どんな方なの?」
興味津々といった様子のハーマイオニーに私も嬉しくなった。
「魔法薬学の知識や能力に関しては文句がつけようがないわ。一流よ」
「性格は?」
ロンがどこか焦れったそうに聞いた。
「…悪い人では…なくってよ」
さすがに善人だと言い切るのは気が咎めて口をもごつかせ、目を逸らしてしまった。
あまり嘘は得意ではないのだ。
それだけで悟ったのだろう。眼前のグリフィンドール三人衆は憂鬱気に肩を落とした。ハーマイオニーさえもである。
ホグワーツでの生活はまだ慣れない。しかし、だからこそわくわくするものである。
であるからして、わざわざ地下まで降りねばならないような立地の魔法薬学の教室へ向かう足取りは軽い。三人は口をひん曲げてしまっているけど。ハリーとロンは愚痴をこぼし、ハーマイオニーはそんな気難しい教授ならと、教科書片手にながら歩きをしている。階段でもするものだから私はひやひやしてしまう。唐突に動くというのに。どうせ動くのならいっそエスカレーターのように動いてほしい。骨折した生徒がいたらどうするのだろう、エレベーターもないのに。そう考えて魔法薬の存在を思い出した。……絶対まずい。
様子を伺いながら何かあったとしても支えられるようにと、ハーマイオニー側の左手を開ける。もしもの際、かの有名なウィンガーディアムレビオーサ浮かせられるのだろうかと思考して魔法の練習をしようと決意した。魔法大戦は六年後に迫っている。最低限、動けるようにならなくては。いつどうやって練習しようかと算段をつけていると気づかぬうちに魔法薬学の教室まで来ていた。
じめじめとした空間特有の水の匂いに黴臭さが混ざった香り、そしてそれに充満する薬品臭さ。ハーブなどの薬草の薫風も鼻をくすぐるけれど、それが余計に魔法薬学の教室の香りを混沌へと染めている。
暗い教室に壁一面の薬瓶。あちこちの動物の骨格は先生の趣味だろうか。悪趣味だなあ、と眺めながらハーマイオニに並んで最前列を陣取った。ほんとうは授業で最前だなんて冗談じゃないがスネイプ先生の授業なのだから、まあ、しかたのないことである。楽しみだなあ、とわくわくした気持ちを笑みにこぼしながらうきうきと待機しているとバァンと大きな音が鳴る。驚いて少しばかり肩を震わせた。
「何かしら」
咄嗟に出たような小さな呟きが耳に入る。同意見だと思いながら顔を背けた先には真っ黒な蝙蝠のような人。我らがスネイプ教授がいた。
朝は入学を機に購入した目覚めさせる気の皆無そうな目覚まし時計のクラッシックの音とハーマイオニーの声とともに起きる。そして夢うつつに制服に袖を通し、髪を赤のリボンでハーフアップに結う。グリフィンドールの赤と同じ色のリボンは昨日届いた入学祝いの一つである。その結び目に実母の形見だというブローチをつけ再度軽く梳かす。
これで身支度は終わり、と眠気を噛み殺し、目をぱちぱちと瞬かせながら朝食の席へ向かう。もし許されるのならふかふかのベッドにダイブして二度寝を決め込みたいところだが、そんなこと私の立場とプライドが許さない。……ちょっとくらい良いかな…? あまり長い学校生活で肩肘はるのも良くないよね。寮の自室くらい…。
そんな欲望が芽を出した。
いやでもせっかく支度したのに崩すのもったいない。やめとこ。
脳の冷静な部分で何とか欲望を抑える。
おとなしく諦めて寝ぼけた頭で急かすハーマイオニーたちと共に食堂に行った。
少し遅かったらしく梟の到来の音とともに食堂へ入る。食事を取り、先生の作ってくださった薬を煽り完全復活を果たす。
いやー眠かった。眠かった。
飲んだ薬の色があまりに禍々しく、悪い意味で魔法使いらしいからかハーマイオニーが眉をしかめている。朝っぱらから何飲んでるんだという胡乱気な視線を軽く受け流して席を立った。
「ごめんなさい、教科書を取りに寮へ戻ってもいいかしら」
慌てていた私たちの傍らに教科書の山どころか文房具すらもなかった。
フリットウィック教授による呪文学の授業が終わった。想像と違い少し声が高い教授である。不安定に本の山の上に立っているものだからドキドキしてしまう。まず本の上に立つというのが理解しかねるというのもある。
まだ2回目というのもあって今回の授業も振る動作の練習と呪文の書き取り、そしておおまかな原理で授業が終わってしまった。いつになったら魔法が使えるようになるのだろうか、などとまだ2回目にも関わらず私はハーマイオニーと頭を悩ませていた。
合流したハリーも悩む私たちに不安げな表情を浮かべていたもので苦笑とともに励ます。
無論、なんの心配もせずともいつか使えるようになるというのはわかっているし、既に使うことはできるので。
次は闇の魔術に対する防衛術である。教師が毎年変わる呪われた科目。闇の魔術へ対抗するための学問が呪われているのは何だかおもしろい。
そして、なんといっても例のあの人もといヴォルデモートを後頭部に取りつかせているクィリナス・クィレルの授業だ。
本日は金曜日であるので一度訪れたことのある教室へと向かった。私たちが一番乗りである。教室に入る前に一度深呼吸した。
うん、くさい。
それが教室に入って第一の感想であった。内装に関して特筆すべき点がないから、というのもあるが。個性あふれるこの学園においてよくある内装の教室であった。せいぜい怪しげなおまじない道具がいくつかぶら下がっているぐらいである。
既に教室内にいたクィレルに近い席をハーマイオニーが取ってしまったからだろうか。いっそ暴力的なまでの匂いである。においの重いカーテンが上からかけられている気がする。私の体からにおわないだろうか。不安である。授業も全然集中できないし。
どうしても後頭部をターバンの奥へちらちらと視線を送ってしまった。授業開始前何度も視線を送る私が気になったのかクィレルに引きつった笑みを向けられ、こちらも愛想笑いを返したがやめられない。だって気になる!無性に。
あれでどうやって寝るんだろう。横向き?
お風呂とかトイレとかどうしているのだろう。ていうかどうやって頭洗うの?頭に植えられていて脳に何か影響とかないのかな?皮膚とかの表面だけなのだろうか?蒸れたりしないのかな?常に顔にターバンが纏わりついていて気持ち悪くないのかな?
頭の中を疑問が駆け巡っていて全くもって授業どころではない。
集中できないミッシェリーナの横ではなんとも言えない顔をしたハーマイオニーがクィレルの告げた言葉をそのまま写していた。
ハーマイオニーはしかめっ面で私の前で腕組みしている。
「授業、ちゃんと聞いていた?」
「もちろん、ちゃんとノートは取っているわ。ただ……強い匂いはあまり得意じゃないのよ」
落第点など取ろうものなら両親に叱られるのはおおいにわかっているのでしっかりノートは取っているが、真面目に聞けていたかどうかは微妙なところである。
ならいいわ、と言い放ったハーマイオニーに続いて私は教室を出た。
次の授業はお待ちかね、魔法薬学である。ハーマイオニーとハリーとロンと一緒に地下にある魔法薬学の教室へと向かう。今日一日殆ど座学だったのもあり、頭の中がわくわく一色の私と違って、ロンはどこか憂鬱そうだった。
「知ってるか?次の授業の魔法薬学。スリザリンの寮監なんだってさ。今すぐ終わってほしいよ」
唇を尖らせてロンが愚痴った。
「知ってるわ!でもなぜ終わってほしいの?たとえスリザリンの寮監だからって悪いとは限らないわ」
ロンに苦言を呈したハーマイオニーだが
「僕もさほど楽しみじゃないかな。たぶん先生は僕のこと、あー……」
「あら、そうかしら?私は楽しみよ」
からかうような声音でたずねるミッシェリーナにロンは嫌そうな顔をした。
「なにいって…ああ、君はマルフォイだから…」
「お父様と先生は親交があるのよ」
にこやかに告げるミッシェリーナにハーマイオニーは嬉しそうに尋ねる。
「では、お会いしたことがあるの?」
「ええ」
「どんな方なの?」
興味津々といった様子のハーマイオニーに私も嬉しくなった。
「魔法薬学の知識や能力に関しては文句がつけようがないわ。一流よ」
「性格は?」
ロンがどこか焦れったそうに聞いた。
「…悪い人では…なくってよ」
さすがに善人だと言い切るのは気が咎めて口をもごつかせ、目を逸らしてしまった。
あまり嘘は得意ではないのだ。
それだけで悟ったのだろう。眼前のグリフィンドール三人衆は憂鬱気に肩を落とした。ハーマイオニーさえもである。
ホグワーツでの生活はまだ慣れない。しかし、だからこそわくわくするものである。
であるからして、わざわざ地下まで降りねばならないような立地の魔法薬学の教室へ向かう足取りは軽い。三人は口をひん曲げてしまっているけど。ハリーとロンは愚痴をこぼし、ハーマイオニーはそんな気難しい教授ならと、教科書片手にながら歩きをしている。階段でもするものだから私はひやひやしてしまう。唐突に動くというのに。どうせ動くのならいっそエスカレーターのように動いてほしい。骨折した生徒がいたらどうするのだろう、エレベーターもないのに。そう考えて魔法薬の存在を思い出した。……絶対まずい。
様子を伺いながら何かあったとしても支えられるようにと、ハーマイオニー側の左手を開ける。もしもの際、かの有名なウィンガーディアムレビオーサ浮かせられるのだろうかと思考して魔法の練習をしようと決意した。魔法大戦は六年後に迫っている。最低限、動けるようにならなくては。いつどうやって練習しようかと算段をつけていると気づかぬうちに魔法薬学の教室まで来ていた。
じめじめとした空間特有の水の匂いに黴臭さが混ざった香り、そしてそれに充満する薬品臭さ。ハーブなどの薬草の薫風も鼻をくすぐるけれど、それが余計に魔法薬学の教室の香りを混沌へと染めている。
暗い教室に壁一面の薬瓶。あちこちの動物の骨格は先生の趣味だろうか。悪趣味だなあ、と眺めながらハーマイオニに並んで最前列を陣取った。ほんとうは授業で最前だなんて冗談じゃないがスネイプ先生の授業なのだから、まあ、しかたのないことである。楽しみだなあ、とわくわくした気持ちを笑みにこぼしながらうきうきと待機しているとバァンと大きな音が鳴る。驚いて少しばかり肩を震わせた。
「何かしら」
咄嗟に出たような小さな呟きが耳に入る。同意見だと思いながら顔を背けた先には真っ黒な蝙蝠のような人。我らがスネイプ教授がいた。
