名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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戸惑いながらも一応は(建前としてだろうけど)歓迎しているような素振りの監督生──おそらくパーシーだろう──へ笑みを傾ける。
遠巻きに感じる視線に素知らぬふりをしながら案内された席に腰かける。監督生が気を利かせたのか、それとも有名人の近くに良くも悪くも座りたくなかったのかはわからないが私の座った席はハリーの斜め前の席になった。
斜め間に座るハリーは私のことを不思議そうにちらちらと視線を向けるが、ロンの組み分けが始まるとそちらへ視線を移し、グリフィンドールに選ばれると拍手とともに迎えた。私の前の席のハリーの横の席は埋まっていたので私から遠い方のハリーの隣にロンは座った。
長い間汽車に揺られていた体は疲れ切っておりそんななかで現れた食事は(もとよりおいしいのだろうが)──通常よりもおいしそうに見えた。……うん、おなかすいた。
ダンブルドアが独特の、校長あるあるの長い話とは無縁な話を聞きやはり早く終わるって素晴らしいなとその思いを込めながら拍手をすると食事の時間が始まる。
とりあえずと私は大皿へと手を伸ばした。
チキン、ジャーキーな感じでおいしい…あまり家ではでない類いだけどたまに食べるのも悪くないよね。まあ、美味しいとはいえそれよりもなんでもいいから日本食が食べたいけど。もう、一年くらい食べていない。
……チェリーパイおいしそうだな。いやそれよりとりあえずローストビーフを食べよう。
大皿からローストビーフを取る。
ふと、視線を感じて大皿から取ったローストビーフを切り分けていた手を止める。視線の方を向くとハリーとロンがいた。
「先ほどぶりね、ミスターポッター、ミスターウィーズリー」
にっこりと微笑みながら少しばかり馴れ馴れしく話しかける。どうせ親戚だし遠慮は無用だろうと思って。とはいえ今日会ったばかりだが。私が話しかけるとハリーは困惑したような表情で首をかしげた。困惑というよりは何と応えていいかわからない、という方が正確かもしれない。
「そうだね…ええっと…」
「改めて自己紹介させていただくわ」
何て呼べば良いのだろうかという風に視線をさ迷わせるハリーの言葉を遮って口を開く。聞き耳をたてられている気がするけれど特に気にせず一応声はあまり他に聞こえないように落として話す。
「私 の名はミッシェリーナ・ローゼリア・ポッター。あなたの父、ジェームズ・ポッターの姉ローゼリアの娘よ。まあつまり私 たちは…従姉弟ということになるわね」
因みにローゼリアとは母の名前である。イギリスでは結構珍しい特徴的な名前だ。私のミドルネームでもある。
「従姉弟?僕に?ダドリー以外に従姉がいるの?」
「ええ、そうなるわね」
「け、けど何で?魔法使いの親戚がいるなら…僕…」
眉を下げて訴えかけるように言葉を途切れ途切れ紡ぐハリーに罪悪感を刺激される。
「ごめんなさいね、私 も11歳になるまで知らなかったの」
「…そうなんだ…僕も11歳の誕生日になるまで僕が魔法使いだっていう、とても重要でとても素敵な秘密を知らなかったんだ」
「あらそうなの。偶然ね!けれど嬉しいわ!家族が増えるだなんて!私 、本当に嬉しいのよ!まさか血のつながったいとこに会えるだなんて!仲良くしましょう。ふふ、どうぞよろしくね?私 の家族」
「うん、こちらこそよろくね」
ふふっと笑みを溢しながらせっかくの生存がわかる血の繋がった親戚だしファーストネームで呼びたいよなあと思い許可をとる。
「ねえ、ハリーって呼んでもいいかしら?」
「うん。僕もミッシェリーナって呼んでもいい?」
「ええ、勿論。気軽にミッシェリーナでもローゼリアとでも呼んで頂戴」
「あ…そういえば君、えーとそのマルフォイじゃないんだね?ポッターなんだ…?マルフォイの兄弟なのに…。……あ、もしかして…」
「私 、養女なの、実は。お母様が私の後見人だったから…育てて下さっていたの」
父の名前を告げなかったからか不思議そうに尋ねられた。何だか嫌な予感がするので慌てて訂正する。変な誤解をされでもしたらたまったものじゃない。
「ああ、なるほど。つまり君はマルフォイ家と血が繋がっていないということ?」
「……まあ遡れば繋がってはいるけど…そんなの言い出したらきりがないものね」
うーんと首を傾げる私にロンがきょとりと目を瞬かせた。
「へえ、僕てっきり…でもそれなら君のお父さんは?」
(え、それ聞く?ううーん私が聞きたいんだよなあ。)
うーんと返答に困って考える。
「黙秘させていただくわ」
「ええー!」
「少なくともお父様ではないわよ…」
すげなく回答を拒否した私に残念そうに肩を下げるハリーを宥めるようにそれでいて呆れたように言葉を続ける。たぶんと心のなかで付け加える。…違うよね?流石に。
「そうはいっても私 、未だに私 があの人たちから生まれてきていないのが信じられないのよ。」
「なぜ?」
何も考えずにぽろりと漏れた言葉にロンが身を乗り出して聞いてくる。
「随分と私 に甘くて優しい方達だからね。」
「ええ…」
回答がお気に召さなかったのか意外だったのか眉を潜めて唇を尖らせてしまった。反応が面白いな、ハリーもロンも。そう思ってくすくすと笑う。
「あなたとも、仲良くなれたら嬉しいわ。ミスターウィーズリー。」
「え、あー…うん!よろしく!」
一瞬養女とはいえマルフォイ家との人間とよろしくするのはみたいな表情を浮かべられたが何とか言質を取ることができた。よかった、よかった。
仲良くしましょう、ロン・ウィーズリー。私たちはどうせみな遡れば同じ祖へと繋がっているのだから。
***
「あら汽車以来ね。ミスグレンジャー。蛙は見つかったようね?」
パーシーと話していたハーマイオニーと目があったので話しかける。
「貴女、あの時の!ええ見つかったわ!さっき聞こえてきたのだけど、あなたハリーポッターのいとこだったのね!しらなかったわ。まさかハリーポッターにいとこがいるだなんて!」
「ええ、私 も知らなかったわ」
小さく笑いながらそういうと訳ありだと察したのか軽く眉を潜め口を噤んだ。賢い子だな、と思う。この歳で好奇心も全て隠して相手を尊重するのは難しいし、まず第一に察するのが難しいだろうから。蝋燭の光が彼女の髪を照らす。私は目を伏せて微笑む。
「気にしないで、大したことじゃないの。」
「そう?けれどあなたの名前が呼ばれたとき随分とざわめいていたわ。まあハリーの比ではないけれど…」
「アレと比べてはダメよ。魔法界でハリーを知らない人なんて捜す方が難しいんだもの」
苦笑しながらそう告げる。流石にイギリス魔法界でハリー・ポッターを知らないのはマグル生まれかよっぽどの辺境の田舎で生まれ育ちでもしない限りあり得ない。悲鳴がすぐそばからきこえる。私はなにも知らないし聞こえない。なんか視界の端でニコラス卿の首が…
「”二十世紀の魔法大事件”とか色々読んだのだけど従姉妹の記述なんてなかったわ」
よく知っているなあと感心する。一応読んだことはあるがこっちは魔法界で11年生きているんだ。
「私 の母について記されている本もあるわよ。……一応って感じだけど。”ポッター一族~純血一族の栄衰~”だとか”聖二十八一族から弾かれた一族たち”だとか”英雄はなぜ生まれたのか”とかに…まあ私 も自分の母だとは思わなかったから軽く読んだだけだけど」
「ローゼリア・ポッターが貴女のお母様なのよ」と前世の記憶を思い出す前にお母様に言われたときに聞き覚えがあったのだ。ポッター家の長女でありジェームズ・ポッターの姉だと記述されていた。ハリーが生き残った男の子として有名になったのにしたがってポッター家についてとりあげる本が爆発的に増えたのである。
そんな風にとりとめとなく話しながら満腹の中にオレンジジュースを流す。疲れているのか何だか眠たくなった。早く部屋でやすみたい。
食事がみな一段落ついたころ、ダンブルドア校長が立ち上がる。注意をダンブルドアが告げる。森に入らぬこと。廊下で魔法を使わぬこと。今年いっぱいは四階の右側の廊下に入らぬこと。学校で入ったら危ない場所には大きな柵をつけるべきだよね。好き勝手のリズムで歌を歌うこととなる。私はなんと歌えばいいかわからず口パクでごまかした。…入学初日に好きなリズムで歌えは厳しいって…。
最後の声が特に大きいタイミングで一緒に最後の音だけ出しさも歌ってましたといわんばかりに装おうというすごくなんともまあなやり方ではあるが。食事はお開きとなり就寝時間となった。各々の監督生についていくように言われた。
はてさてグリフィンドールの列についていくべく机から離れハリーの後ろへとくっついて歩いていると声がかかった。
「……姉様。」
「ドラコ、監督生に着いていくように言われたでしょう。」
「そんなことはどうでもいい!」
意図せずして嗜めるような口調になった私にドラコは頬に血を集めながら激昂して怒鳴った。ちらちらと好奇の視線が私やドラコに突き刺さる。まあ、妥当なものだ。この子の怒りは正当なものだ。ずっと家族だと信じていた人間が実は血の繋がりのなくて……何の説明もないとは。逆の立場なら私だって憤慨するし何なら「どういうことよ!」とでも言ってドラコに平手の一つでもお見舞いするかもしれない……いや、流石に平手はないか。私が悶々と考え込んでいると黙りこくっていた私に何を思ったのかドラコは唐突に、冷めたように怒りに燃えていた瞳を凍えたものへと変えた。
「何も話す気はないのですか。もういいです……もういい、あなたなんて知るか」
すん、とした表情で身を翻しスリザリンの列に向かった。
私は焦って何か話しかけようと「ドラコ…」と呟くが後が続かなかった。その言葉にドラコは足を止めるも私が口を開けずにいると再び歩きだした。かける言葉が思いつかなかった。そして何よりこの選択が間違いだとはっきりと理解したのだ。私は何か話すべきだった。きっとなんでもよかったのに。
私はチャンスを不意にした。
遠巻きに感じる視線に素知らぬふりをしながら案内された席に腰かける。監督生が気を利かせたのか、それとも有名人の近くに良くも悪くも座りたくなかったのかはわからないが私の座った席はハリーの斜め前の席になった。
斜め間に座るハリーは私のことを不思議そうにちらちらと視線を向けるが、ロンの組み分けが始まるとそちらへ視線を移し、グリフィンドールに選ばれると拍手とともに迎えた。私の前の席のハリーの横の席は埋まっていたので私から遠い方のハリーの隣にロンは座った。
長い間汽車に揺られていた体は疲れ切っておりそんななかで現れた食事は(もとよりおいしいのだろうが)──通常よりもおいしそうに見えた。……うん、おなかすいた。
ダンブルドアが独特の、校長あるあるの長い話とは無縁な話を聞きやはり早く終わるって素晴らしいなとその思いを込めながら拍手をすると食事の時間が始まる。
とりあえずと私は大皿へと手を伸ばした。
チキン、ジャーキーな感じでおいしい…あまり家ではでない類いだけどたまに食べるのも悪くないよね。まあ、美味しいとはいえそれよりもなんでもいいから日本食が食べたいけど。もう、一年くらい食べていない。
……チェリーパイおいしそうだな。いやそれよりとりあえずローストビーフを食べよう。
大皿からローストビーフを取る。
ふと、視線を感じて大皿から取ったローストビーフを切り分けていた手を止める。視線の方を向くとハリーとロンがいた。
「先ほどぶりね、ミスターポッター、ミスターウィーズリー」
にっこりと微笑みながら少しばかり馴れ馴れしく話しかける。どうせ親戚だし遠慮は無用だろうと思って。とはいえ今日会ったばかりだが。私が話しかけるとハリーは困惑したような表情で首をかしげた。困惑というよりは何と応えていいかわからない、という方が正確かもしれない。
「そうだね…ええっと…」
「改めて自己紹介させていただくわ」
何て呼べば良いのだろうかという風に視線をさ迷わせるハリーの言葉を遮って口を開く。聞き耳をたてられている気がするけれど特に気にせず一応声はあまり他に聞こえないように落として話す。
「
因みにローゼリアとは母の名前である。イギリスでは結構珍しい特徴的な名前だ。私のミドルネームでもある。
「従姉弟?僕に?ダドリー以外に従姉がいるの?」
「ええ、そうなるわね」
「け、けど何で?魔法使いの親戚がいるなら…僕…」
眉を下げて訴えかけるように言葉を途切れ途切れ紡ぐハリーに罪悪感を刺激される。
「ごめんなさいね、
「…そうなんだ…僕も11歳の誕生日になるまで僕が魔法使いだっていう、とても重要でとても素敵な秘密を知らなかったんだ」
「あらそうなの。偶然ね!けれど嬉しいわ!家族が増えるだなんて!
「うん、こちらこそよろくね」
ふふっと笑みを溢しながらせっかくの生存がわかる血の繋がった親戚だしファーストネームで呼びたいよなあと思い許可をとる。
「ねえ、ハリーって呼んでもいいかしら?」
「うん。僕もミッシェリーナって呼んでもいい?」
「ええ、勿論。気軽にミッシェリーナでもローゼリアとでも呼んで頂戴」
「あ…そういえば君、えーとそのマルフォイじゃないんだね?ポッターなんだ…?マルフォイの兄弟なのに…。……あ、もしかして…」
「
父の名前を告げなかったからか不思議そうに尋ねられた。何だか嫌な予感がするので慌てて訂正する。変な誤解をされでもしたらたまったものじゃない。
「ああ、なるほど。つまり君はマルフォイ家と血が繋がっていないということ?」
「……まあ遡れば繋がってはいるけど…そんなの言い出したらきりがないものね」
うーんと首を傾げる私にロンがきょとりと目を瞬かせた。
「へえ、僕てっきり…でもそれなら君のお父さんは?」
(え、それ聞く?ううーん私が聞きたいんだよなあ。)
うーんと返答に困って考える。
「黙秘させていただくわ」
「ええー!」
「少なくともお父様ではないわよ…」
すげなく回答を拒否した私に残念そうに肩を下げるハリーを宥めるようにそれでいて呆れたように言葉を続ける。たぶんと心のなかで付け加える。…違うよね?流石に。
「そうはいっても
「なぜ?」
何も考えずにぽろりと漏れた言葉にロンが身を乗り出して聞いてくる。
「随分と
「ええ…」
回答がお気に召さなかったのか意外だったのか眉を潜めて唇を尖らせてしまった。反応が面白いな、ハリーもロンも。そう思ってくすくすと笑う。
「あなたとも、仲良くなれたら嬉しいわ。ミスターウィーズリー。」
「え、あー…うん!よろしく!」
一瞬養女とはいえマルフォイ家との人間とよろしくするのはみたいな表情を浮かべられたが何とか言質を取ることができた。よかった、よかった。
仲良くしましょう、ロン・ウィーズリー。私たちはどうせみな遡れば同じ祖へと繋がっているのだから。
***
「あら汽車以来ね。ミスグレンジャー。蛙は見つかったようね?」
パーシーと話していたハーマイオニーと目があったので話しかける。
「貴女、あの時の!ええ見つかったわ!さっき聞こえてきたのだけど、あなたハリーポッターのいとこだったのね!しらなかったわ。まさかハリーポッターにいとこがいるだなんて!」
「ええ、
小さく笑いながらそういうと訳ありだと察したのか軽く眉を潜め口を噤んだ。賢い子だな、と思う。この歳で好奇心も全て隠して相手を尊重するのは難しいし、まず第一に察するのが難しいだろうから。蝋燭の光が彼女の髪を照らす。私は目を伏せて微笑む。
「気にしないで、大したことじゃないの。」
「そう?けれどあなたの名前が呼ばれたとき随分とざわめいていたわ。まあハリーの比ではないけれど…」
「アレと比べてはダメよ。魔法界でハリーを知らない人なんて捜す方が難しいんだもの」
苦笑しながらそう告げる。流石にイギリス魔法界でハリー・ポッターを知らないのはマグル生まれかよっぽどの辺境の田舎で生まれ育ちでもしない限りあり得ない。悲鳴がすぐそばからきこえる。私はなにも知らないし聞こえない。なんか視界の端でニコラス卿の首が…
「”二十世紀の魔法大事件”とか色々読んだのだけど従姉妹の記述なんてなかったわ」
よく知っているなあと感心する。一応読んだことはあるがこっちは魔法界で11年生きているんだ。
「
「ローゼリア・ポッターが貴女のお母様なのよ」と前世の記憶を思い出す前にお母様に言われたときに聞き覚えがあったのだ。ポッター家の長女でありジェームズ・ポッターの姉だと記述されていた。ハリーが生き残った男の子として有名になったのにしたがってポッター家についてとりあげる本が爆発的に増えたのである。
そんな風にとりとめとなく話しながら満腹の中にオレンジジュースを流す。疲れているのか何だか眠たくなった。早く部屋でやすみたい。
食事がみな一段落ついたころ、ダンブルドア校長が立ち上がる。注意をダンブルドアが告げる。森に入らぬこと。廊下で魔法を使わぬこと。今年いっぱいは四階の右側の廊下に入らぬこと。学校で入ったら危ない場所には大きな柵をつけるべきだよね。好き勝手のリズムで歌を歌うこととなる。私はなんと歌えばいいかわからず口パクでごまかした。…入学初日に好きなリズムで歌えは厳しいって…。
最後の声が特に大きいタイミングで一緒に最後の音だけ出しさも歌ってましたといわんばかりに装おうというすごくなんともまあなやり方ではあるが。食事はお開きとなり就寝時間となった。各々の監督生についていくように言われた。
はてさてグリフィンドールの列についていくべく机から離れハリーの後ろへとくっついて歩いていると声がかかった。
「……姉様。」
「ドラコ、監督生に着いていくように言われたでしょう。」
「そんなことはどうでもいい!」
意図せずして嗜めるような口調になった私にドラコは頬に血を集めながら激昂して怒鳴った。ちらちらと好奇の視線が私やドラコに突き刺さる。まあ、妥当なものだ。この子の怒りは正当なものだ。ずっと家族だと信じていた人間が実は血の繋がりのなくて……何の説明もないとは。逆の立場なら私だって憤慨するし何なら「どういうことよ!」とでも言ってドラコに平手の一つでもお見舞いするかもしれない……いや、流石に平手はないか。私が悶々と考え込んでいると黙りこくっていた私に何を思ったのかドラコは唐突に、冷めたように怒りに燃えていた瞳を凍えたものへと変えた。
「何も話す気はないのですか。もういいです……もういい、あなたなんて知るか」
すん、とした表情で身を翻しスリザリンの列に向かった。
私は焦って何か話しかけようと「ドラコ…」と呟くが後が続かなかった。その言葉にドラコは足を止めるも私が口を開けずにいると再び歩きだした。かける言葉が思いつかなかった。そして何よりこの選択が間違いだとはっきりと理解したのだ。私は何か話すべきだった。きっとなんでもよかったのに。
私はチャンスを不意にした。
