名前に関して“その名の通り“などといった記述があるかもしれませんが読みとばしてください
賢者の石
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少しばかり非科学的なことを言おうか。
私には前世の記憶がある。というか絶賛思い出し中である。
十一歳にもなって前世の記憶を思い出すとは思わなかった。まあでも赤ちゃんの時に思い出さなくて良かった。絶対黒歴史が増えるもんね……あはは。流石にものごころがついた状態でのおむつ替えなどは遠慮したい。
いや、私だって前世の記憶とか無いでしょ、普通。とか思っていたよ?いたんだよ?!少し前まで…。だけどさあ!残念ながらありえたんだよ……。だってこの身体はわたし のものではないし、わたし のものではない私 の記憶が、思い出がある。そして体も違う。
…………あれ?でも私何で……うーんぎりぎり覚えている最後の記憶を思い出そう。
前日に徹夜してしまって頭がぼぉっとしながら、夜の暗闇のなかを家に帰るべく横断歩道を歩いていたら突然目の前がまぶしくなって周りの悲鳴と肉が潰れる音がやけにリアルに響いた。
(あ、これ死んだな)と謎に冷静に考え、(死んだらどうなるんだろ、結構短い人生だった。もう少し生きたかったなぁ親不孝な私を許して)、とか思考を巡らせながらゆっくりと瞼を伏せると視界は真っ黒に移り変わる。
そしてしばらくすると疼くような痛みの走りだす頭と瞼越しに覗く眩しい光にまだトラックの明かりが目の前にあるのか、頭も痛いし最悪だな、いやでも死ななくてよかったなどと思いながら薄っすらと目を開け、そう、それが現在である。
そして私は眼前に広がった光景に思わず目を見開く。明らかに自分のものではない天蓋付きの高そうなフリルが引くぐらいついたベッドにふかふかのクッション。
何より驚くのは私が大好きだった映画の登場人物で主人公のライバルキャラが目の前にいて「姉様」と呼ばれその両親に知らない名でよばれていることである。まだまだ混乱の渦中にいる。
自分の身体を見下ろしたら肌が自分のもの以上にきめ細かく白く、体つきは華奢で髪が前世では肩辺りだったのに腰辺りまで波打っている。
髪艶々だな。今世でも黒髪なのはちょっと残念。まぁ綺麗だし良いか。
それにしても、頭痛が酷い。この身体でも何処かでぶつけたのか?と眉を顰めていると、この身体の本来の持ち主らしき記憶が流れ込んできた。
そして気絶し、また目覚めた。気絶してばかりである。目覚めたときにも周りに家族がいた。空が目覚めた時から打って変わり暗いことからどれぐらい看病してくれているんだろと思う。お母様達は過保護だし優しいからなあ。申し訳無さすぎる。
「大丈夫ですか?姉様。どこか痛いところでも在りますか?」
と目の前でドラコがコテッと心配そうに首を傾げた。はっきり言わせてもらおう。
凄く可愛い!天使みたい。
全てが浄化された気がする。どうしてあんなに捻くれたのか分かんない。家族だから優しいのかな。家族で良かった。“私”がブラコンになるのも頷けるよね!
……とはいえこんな考えを知られるのはさすがに恥ずかしいというかきついので悟られないよう穏やかな微笑みを浮かべてこたえる。
「大丈夫よ、ドラコ。心配してくれてありがとう。」
起き上がりベッドに凭れ、微笑みながらドラコの頭を優しく撫でる。今気づいたが目の下に薄っすらと隈がある。心配をしてずっと起きていてくれたのだろうか。無理をさせてしまったのならば申し訳ないな。
「本当に大丈夫なの?ミッシェル。もう少し寝ていなさい。」
「大丈夫ですわ、お母様。でもお言葉に甘えてもう少し寝ていることにします。それにドラコもしっかり寝たほうが良いと思うの。ずいぶん心配してくれたみたいだから」
まだ混乱しているし頭も痛いのでのでお言葉に甘えることにする。
「分かったわ。おやすみ」
「おやすみ。ほらドラコも行くぞいつまでも女性の部屋に居ては失礼だ」
「分かりました。おやすみなさい姉様」
「ええ。おやすみなさい」
名残惜しく思いながらドラコの頭から手を放し目を合わしてお母様とお父様に挨拶をした後部屋から両親に引っ張られるようにして出ていくドラコに手を振り微笑む。
*******
少し状況を整理しようと思う。
この身体の持ち主…まあつまり今世での私の意識と前世での私の意識はあくまでおそらくだが…融合しているように思う。だって前世での私も今での私もあくまで記憶があるだけなどというわけではなく両方の意思、考え、性格がくみあわさっている…と思う。なぜなら今の私はどちらの私でもないから。…とはいえ感情などは前世の私の方が強いと思うが…まあいまさら振舞い方を変えるわけにもいかないのだし言動は今世の私…か。
だが二人の人格が組み合わさると思えばずいぶんと仰々しいが違和感や戸惑いはあまりない
なぜなら前世での私と今世での私の気質は似通ったところがあるから。
生粋のインドアのため基本自宅でのんびりと読書を(したりイラストを描くのが)するのが好きだった私。お嬢様育ちゆえに屋敷からほとんど出ず運動も苦手とする私。
家族とあまり似ておらず悩んで、それでも前世と同じようにドラコやお母様やお父様が_家族が心の底から大好きで愛している今世の私。
そしてまあ少しばかり…プライドが高くて気が短い。
改めて挙げていくとなかなかに共通点が多いように思う。だから融合もしやすかったのだろう。
そして、記憶をゆっくりと頭の中で整理していって確信したことがある。
やはりこの世界はウィザーディングワールド…つまりはあの人気児童書ハリポタの世界なのだ。
私の今世での名前はミッシェリーナと言い両親や周りからミッシェルと呼ばれている。そしてマルフォイ家の長女でありドラコと同い年の姉としてすくすくと育てられたが十一歳の誕生日を期に実は両親のあのハリーポッターの従姉であることを知らされ、ホグワーツへの入学を期にポッター姓を名乗るように言われたらしい。そして何より今年はハリーが入学してくる年である。
……
…………
……………………。
わー。設定盛りだくさーん。ヤッター。
いやいや。全然嬉しくない。なんなのこれ?これさあ、絶対に間違いなく原作に巻き込まれるやつじゃない?私知ってる。
いやでも他に転生とか逆行している人が……居ても巻き込まれそうだよね。マルフォイ家長女としてパーティーとかに出たこと何度もあるもん。そんな人間が急にポッター姓になってあの英雄様の従姉とか注目集めないわけないよね……。
はぁ…もしかしてこれが俗にいう転生特典とかいうやつなのか?
いや、いらないよ、神様
どうせくれるのならもっとましなものをくれ。
ていうかさ、なんで寄りにも寄ってハリポタの世界なのかな?他の数ある転生舞台の物語の中でもハリポタは特に地獄だ。異論は認めたくない。
なぜか?
イギリスに住んでいる時点でマグルだろうと魔法使いだろうと関係なく巻き込まれ襲われる可能性があり、ホグワーツに通っていたら魔法大戦に巻き込まれる可能性が限りなく大きい。
学生の身でだよ?!可笑しいでしょ!それも前線!そりゃ戦わなきゃいいだけかもだけど……。
挙げ句の果てには私はマルフォイ家の養女でハリーの従姉。両親に売られる可能性だってある。ここまで大切に育てられてきたのに、さすがにそんなの悲しい。もしかしたらもともと利用する為に育てたのかもしれないけど…。
でも何があっても私達は家族よ、と言ってくれた両親を信じたいしな。
クルーシオとか絶対に嫌だけど。
そりゃあ一度はね、この世界に行ってみたいなぁ。魔法使いたい!
とか子供のころ純粋に思っていたよ?でもさぁ、ああいうのはね見ている立場だからさ良いんだよ!神様目線だから良いんだ。あれが客観じゃなく主観になってみて?最悪死だよ?アバタなんて嫌、絶対‼原作変えたりしないようにしないといけないし。
呪いの子みたいな世界になったら絶対私も殺される。それは絶対に嫌だ。何が何でも原作と同じ未来にしなきゃ。いや、もう私がいる時点で原作変えないなんて無理じゃない?
はー、どうしよう
*******
目が覚めたら天使が居た。
「おはようございます。姉様」
何なら挨拶もしてきた。
…
………
うん。
えっ夢じゃなかったんだ。
ていうことは私死んだってこと?嫌だなー。なんで死んだんだろ。確かトラックのせいだよね。あの運転手寝ていたよね。呪
とりあえず天使…ドラコに挨拶を返しゆっくりと起き上がる。強い眠気はあるが昨晩の頭痛はだいぶ引いていた。
ドラコはそろそろ食事だから早く着替えて降りてくるように言うと出ていった。
女の子の夢を体現したかのような猫脚に薔薇と羽根があしらわれた黒いドレッサーの前へ行き鏡を覗く。
そして自身の顔を見ると思わず真顔になり見惚れた。
ぱっちりとしたアーモンド型の紅い瞳に白磁のような白く肌目細かい肌に熟れた果実のような朱唇。けぶるように長い睫毛。艶々でウェーブのかかった髪。
これ人生勝ち組じゃない?ってレベルの顔面である。というか明らかにブラックの血入っているよね。そういえば実母の祖母がブラック家か。
前までの今世の私は家族と似ていないことを気にしていたけど、そんなのどうでも良いって思うよね。
これが転生特典か。これは純粋に嬉しい。
一つ気になることがあるとすれば昔は髪と同じ黒壇のような色をしていたはずの瞳だが……一瞬頭を過ぎった名前を頭を振ることで振り払う。
そして髪を梳かしたあと山のような量の服が入ったクローゼットを開ける。中から白いフリルやレースの付いたゴスロリっぽいブラウスを出して着た。ゴスロリっぽいとはいったけど上質な白いシルクのブラウスは肌触りがよく、すべらかだった。薔薇のレースがフリルのようになった物がついたリボン─確かジャボって言うんだっけ?─を胸元に付けて、袖に同じく薔薇のレースのついたお袖留めをつける。裾に薔薇のレースが付いたロングスカートを履く。そして、その中にパニエを履いた。
そして白い薔薇のレースの太腿の真ん中辺りまでの靴下を履きガータでそれを止める(ご丁寧にもガータにまでレースがついている)を着たあとにヘッドドレスを付けてみる。流石にボンネットは室内で付けるのは嫌なので。でもかわいいな、今度出かけるときに着けよう。
別に良いでしょ?前世ではロリータなんて着られなかったんだし。この容姿と若さを存分に発揮していいじゃん。と誰にともなく内心言い訳をしながら姿見の前で一回転する。よし、問題無い。
そろそろ下に行こうと思い部屋を出て扉を閉める前に部屋を見る。明らかに子供部屋とは思えないというか誰かの部屋とは思えないほど無駄に広い部屋を眺める。赤と黒でまとめられたこの部屋は前世の私の趣味でもなければ今世の私の趣味でもない。そりゃ嫌いではないけれど。
この部屋は元々訳あってマルフォイ家の邸で過ごして居た私の実母が使っていた部屋らしい。殆どの家具はそのままにしてあるらしく大人用の物もある。そして最後に赤いベルベット地のウィンドウベンチに腰かけながら庭を一望できる窓に視線をやると無言で扉を閉める。
階段を降り食事をする為の部屋に入る。するとそこには両親とドラコがもう揃っていた。
「おはようございます。遅くなって申し訳ありません。お母様」
とりあえず朝の挨拶と遅れたことを詫び、席に着く。
「いえ、気にしないで。病み上がりだもの。具合はもう大丈夫?」
「はい。大丈夫ですわ。」
「そう。またしんどくなったら言いなさい。それでは頂きましょうか。」
その声をひきがねに屋敷下僕妖精達が次々と食事を持ってきた。
何気なく爪先を見つめてふと顔を上げたら屋敷しもべ妖精……ドビーと目が合った。
私には前世の記憶がある。というか絶賛思い出し中である。
十一歳にもなって前世の記憶を思い出すとは思わなかった。まあでも赤ちゃんの時に思い出さなくて良かった。絶対黒歴史が増えるもんね……あはは。流石にものごころがついた状態でのおむつ替えなどは遠慮したい。
いや、私だって前世の記憶とか無いでしょ、普通。とか思っていたよ?いたんだよ?!少し前まで…。だけどさあ!残念ながらありえたんだよ……。だってこの身体は
…………あれ?でも私何で……うーんぎりぎり覚えている最後の記憶を思い出そう。
前日に徹夜してしまって頭がぼぉっとしながら、夜の暗闇のなかを家に帰るべく横断歩道を歩いていたら突然目の前がまぶしくなって周りの悲鳴と肉が潰れる音がやけにリアルに響いた。
(あ、これ死んだな)と謎に冷静に考え、(死んだらどうなるんだろ、結構短い人生だった。もう少し生きたかったなぁ親不孝な私を許して)、とか思考を巡らせながらゆっくりと瞼を伏せると視界は真っ黒に移り変わる。
そしてしばらくすると疼くような痛みの走りだす頭と瞼越しに覗く眩しい光にまだトラックの明かりが目の前にあるのか、頭も痛いし最悪だな、いやでも死ななくてよかったなどと思いながら薄っすらと目を開け、そう、それが現在である。
そして私は眼前に広がった光景に思わず目を見開く。明らかに自分のものではない天蓋付きの高そうなフリルが引くぐらいついたベッドにふかふかのクッション。
何より驚くのは私が大好きだった映画の登場人物で主人公のライバルキャラが目の前にいて「姉様」と呼ばれその両親に知らない名でよばれていることである。まだまだ混乱の渦中にいる。
自分の身体を見下ろしたら肌が自分のもの以上にきめ細かく白く、体つきは華奢で髪が前世では肩辺りだったのに腰辺りまで波打っている。
髪艶々だな。今世でも黒髪なのはちょっと残念。まぁ綺麗だし良いか。
それにしても、頭痛が酷い。この身体でも何処かでぶつけたのか?と眉を顰めていると、この身体の本来の持ち主らしき記憶が流れ込んできた。
そして気絶し、また目覚めた。気絶してばかりである。目覚めたときにも周りに家族がいた。空が目覚めた時から打って変わり暗いことからどれぐらい看病してくれているんだろと思う。お母様達は過保護だし優しいからなあ。申し訳無さすぎる。
「大丈夫ですか?姉様。どこか痛いところでも在りますか?」
と目の前でドラコがコテッと心配そうに首を傾げた。はっきり言わせてもらおう。
凄く可愛い!天使みたい。
全てが浄化された気がする。どうしてあんなに捻くれたのか分かんない。家族だから優しいのかな。家族で良かった。“私”がブラコンになるのも頷けるよね!
……とはいえこんな考えを知られるのはさすがに恥ずかしいというかきついので悟られないよう穏やかな微笑みを浮かべてこたえる。
「大丈夫よ、ドラコ。心配してくれてありがとう。」
起き上がりベッドに凭れ、微笑みながらドラコの頭を優しく撫でる。今気づいたが目の下に薄っすらと隈がある。心配をしてずっと起きていてくれたのだろうか。無理をさせてしまったのならば申し訳ないな。
「本当に大丈夫なの?ミッシェル。もう少し寝ていなさい。」
「大丈夫ですわ、お母様。でもお言葉に甘えてもう少し寝ていることにします。それにドラコもしっかり寝たほうが良いと思うの。ずいぶん心配してくれたみたいだから」
まだ混乱しているし頭も痛いのでのでお言葉に甘えることにする。
「分かったわ。おやすみ」
「おやすみ。ほらドラコも行くぞいつまでも女性の部屋に居ては失礼だ」
「分かりました。おやすみなさい姉様」
「ええ。おやすみなさい」
名残惜しく思いながらドラコの頭から手を放し目を合わしてお母様とお父様に挨拶をした後部屋から両親に引っ張られるようにして出ていくドラコに手を振り微笑む。
*******
少し状況を整理しようと思う。
この身体の持ち主…まあつまり今世での私の意識と前世での私の意識はあくまでおそらくだが…融合しているように思う。だって前世での私も今での私もあくまで記憶があるだけなどというわけではなく両方の意思、考え、性格がくみあわさっている…と思う。なぜなら今の私はどちらの私でもないから。…とはいえ感情などは前世の私の方が強いと思うが…まあいまさら振舞い方を変えるわけにもいかないのだし言動は今世の私…か。
だが二人の人格が組み合わさると思えばずいぶんと仰々しいが違和感や戸惑いはあまりない
なぜなら前世での私と今世での私の気質は似通ったところがあるから。
生粋のインドアのため基本自宅でのんびりと読書を(したりイラストを描くのが)するのが好きだった私。お嬢様育ちゆえに屋敷からほとんど出ず運動も苦手とする私。
家族とあまり似ておらず悩んで、それでも前世と同じようにドラコやお母様やお父様が_家族が心の底から大好きで愛している今世の私。
そしてまあ少しばかり…プライドが高くて気が短い。
改めて挙げていくとなかなかに共通点が多いように思う。だから融合もしやすかったのだろう。
そして、記憶をゆっくりと頭の中で整理していって確信したことがある。
やはりこの世界はウィザーディングワールド…つまりはあの人気児童書ハリポタの世界なのだ。
私の今世での名前はミッシェリーナと言い両親や周りからミッシェルと呼ばれている。そしてマルフォイ家の長女でありドラコと同い年の姉としてすくすくと育てられたが十一歳の誕生日を期に実は両親のあのハリーポッターの従姉であることを知らされ、ホグワーツへの入学を期にポッター姓を名乗るように言われたらしい。そして何より今年はハリーが入学してくる年である。
……
…………
……………………。
わー。設定盛りだくさーん。ヤッター。
いやいや。全然嬉しくない。なんなのこれ?これさあ、絶対に間違いなく原作に巻き込まれるやつじゃない?私知ってる。
いやでも他に転生とか逆行している人が……居ても巻き込まれそうだよね。マルフォイ家長女としてパーティーとかに出たこと何度もあるもん。そんな人間が急にポッター姓になってあの英雄様の従姉とか注目集めないわけないよね……。
はぁ…もしかしてこれが俗にいう転生特典とかいうやつなのか?
いや、いらないよ、神様
どうせくれるのならもっとましなものをくれ。
ていうかさ、なんで寄りにも寄ってハリポタの世界なのかな?他の数ある転生舞台の物語の中でもハリポタは特に地獄だ。異論は認めたくない。
なぜか?
イギリスに住んでいる時点でマグルだろうと魔法使いだろうと関係なく巻き込まれ襲われる可能性があり、ホグワーツに通っていたら魔法大戦に巻き込まれる可能性が限りなく大きい。
学生の身でだよ?!可笑しいでしょ!それも前線!そりゃ戦わなきゃいいだけかもだけど……。
挙げ句の果てには私はマルフォイ家の養女でハリーの従姉。両親に売られる可能性だってある。ここまで大切に育てられてきたのに、さすがにそんなの悲しい。もしかしたらもともと利用する為に育てたのかもしれないけど…。
でも何があっても私達は家族よ、と言ってくれた両親を信じたいしな。
クルーシオとか絶対に嫌だけど。
そりゃあ一度はね、この世界に行ってみたいなぁ。魔法使いたい!
とか子供のころ純粋に思っていたよ?でもさぁ、ああいうのはね見ている立場だからさ良いんだよ!神様目線だから良いんだ。あれが客観じゃなく主観になってみて?最悪死だよ?アバタなんて嫌、絶対‼原作変えたりしないようにしないといけないし。
呪いの子みたいな世界になったら絶対私も殺される。それは絶対に嫌だ。何が何でも原作と同じ未来にしなきゃ。いや、もう私がいる時点で原作変えないなんて無理じゃない?
はー、どうしよう
*******
目が覚めたら天使が居た。
「おはようございます。姉様」
何なら挨拶もしてきた。
…
………
うん。
えっ夢じゃなかったんだ。
ていうことは私死んだってこと?嫌だなー。なんで死んだんだろ。確かトラックのせいだよね。あの運転手寝ていたよね。呪
とりあえず天使…ドラコに挨拶を返しゆっくりと起き上がる。強い眠気はあるが昨晩の頭痛はだいぶ引いていた。
ドラコはそろそろ食事だから早く着替えて降りてくるように言うと出ていった。
女の子の夢を体現したかのような猫脚に薔薇と羽根があしらわれた黒いドレッサーの前へ行き鏡を覗く。
そして自身の顔を見ると思わず真顔になり見惚れた。
ぱっちりとしたアーモンド型の紅い瞳に白磁のような白く肌目細かい肌に熟れた果実のような朱唇。けぶるように長い睫毛。艶々でウェーブのかかった髪。
これ人生勝ち組じゃない?ってレベルの顔面である。というか明らかにブラックの血入っているよね。そういえば実母の祖母がブラック家か。
前までの今世の私は家族と似ていないことを気にしていたけど、そんなのどうでも良いって思うよね。
これが転生特典か。これは純粋に嬉しい。
一つ気になることがあるとすれば昔は髪と同じ黒壇のような色をしていたはずの瞳だが……一瞬頭を過ぎった名前を頭を振ることで振り払う。
そして髪を梳かしたあと山のような量の服が入ったクローゼットを開ける。中から白いフリルやレースの付いたゴスロリっぽいブラウスを出して着た。ゴスロリっぽいとはいったけど上質な白いシルクのブラウスは肌触りがよく、すべらかだった。薔薇のレースがフリルのようになった物がついたリボン─確かジャボって言うんだっけ?─を胸元に付けて、袖に同じく薔薇のレースのついたお袖留めをつける。裾に薔薇のレースが付いたロングスカートを履く。そして、その中にパニエを履いた。
そして白い薔薇のレースの太腿の真ん中辺りまでの靴下を履きガータでそれを止める(ご丁寧にもガータにまでレースがついている)を着たあとにヘッドドレスを付けてみる。流石にボンネットは室内で付けるのは嫌なので。でもかわいいな、今度出かけるときに着けよう。
別に良いでしょ?前世ではロリータなんて着られなかったんだし。この容姿と若さを存分に発揮していいじゃん。と誰にともなく内心言い訳をしながら姿見の前で一回転する。よし、問題無い。
そろそろ下に行こうと思い部屋を出て扉を閉める前に部屋を見る。明らかに子供部屋とは思えないというか誰かの部屋とは思えないほど無駄に広い部屋を眺める。赤と黒でまとめられたこの部屋は前世の私の趣味でもなければ今世の私の趣味でもない。そりゃ嫌いではないけれど。
この部屋は元々訳あってマルフォイ家の邸で過ごして居た私の実母が使っていた部屋らしい。殆どの家具はそのままにしてあるらしく大人用の物もある。そして最後に赤いベルベット地のウィンドウベンチに腰かけながら庭を一望できる窓に視線をやると無言で扉を閉める。
階段を降り食事をする為の部屋に入る。するとそこには両親とドラコがもう揃っていた。
「おはようございます。遅くなって申し訳ありません。お母様」
とりあえず朝の挨拶と遅れたことを詫び、席に着く。
「いえ、気にしないで。病み上がりだもの。具合はもう大丈夫?」
「はい。大丈夫ですわ。」
「そう。またしんどくなったら言いなさい。それでは頂きましょうか。」
その声をひきがねに屋敷下僕妖精達が次々と食事を持ってきた。
何気なく爪先を見つめてふと顔を上げたら屋敷しもべ妖精……ドビーと目が合った。
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