shooting star

「心配しなくても、大丈夫だよ」

そう笑う彼は、ひどく儚げに見える。

「…なら、いいが」

表面上だけでも“大丈夫”という事にしておこう。
そうしないと、崩れてしまいそうで。



「でもね、アイズ」

言葉を選ぶように、慎重に話す。

「もし、将来的に僕が、君より先に死んだら」

もしも、だよ、と軽く笑って。

「きっと星になって、流れるから。ちゃんと祈ってね」

どんなに沢山の人々が僕に祈っても。

「君の願いだけは、死んでも叶えるから」

譲れない、最期の誓い。



「…1度死んでるんだから、もう死ねないだろう」
「あれ?そっかー。やだなぁ、アイズってば」

あはは、と笑うカノンにつられて、アイズも微笑む。
雲が晴れ、再び部屋を月の光が照らした。

「―――」
「え、アイズ何か言った?」
「何でもない」

えー気になるよ~、と叫ぶカノンに、アイズはただ笑って空を見上げた。
それにならって、カノンも外に向き直る。


『俺も同じだ』


もし俺が先に死んだら。
お前と同じ事を思うだろう。



その夜、2人に流星は訪れなかった。


 ≪fin.≫
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