shooting star

暗い部屋に、静寂が下りる。

先程まで、あんなに明るかった月光が薄らいだ。
アイズが何気なく月を振り返れば、綿のような雲が、時間をかけて月の前を横切るところだった。

夜空でも、雲の白さはわかるものなのだと、今更ながらに思う。



「よく言うじゃない?流れ星に願いを唱えれば~って」

カノンの明るい声に、意識を呼び戻された。

「願いを叶えてくれる、か」
「でも、その流れ星は死んじゃった人な訳でしょう?」

少し、語弊がある気はするが。

「って事はさ。人は死ねば、誰かの願いを叶えられるのかなぁ」

命の灯火の、最期の力で。
文字通り、生命を懸けて。



急に、手に触れる窓ガラスの冷たさを感じた。

「カノン」

語気が強まる。

だがカノンは動じない風で、けらっと笑ってアイズを見上げた。

「やだなぁ、アイズ。怖い顔しちゃって
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