放課後のテルテル坊主

校舎の外は今や、どしゃぶりだった。

「うーわーーー」
「これ、大丈夫かよ」

大丈夫ではないだろう。
だが、教科書やノートなど、濡れて困るものは教室に置いてきている。
まぁ制服は、乾燥機やらアイロンで何とかなるだろうし、自分はシャワーを浴びれば良い。

あっさり結論付いた亮子は、少しでも雨の勢いが弱まったら、飛び出そうと身構えた。



「ほれ」
「なっ!?」

唐突に、頭上に何かを被せられた。

慌てて手に取ると、馴染み深い匂いを感じる。
ふと見ると、いつの間にか香介の服装が変わっていた。

「お前、それ被ってけよ。ちょっとはマシだろ?」
「え……」

彼の視線を追って手元を見ると、月臣の学ラン。
あぁ、これを脱いだから服が変わったのか、と今更ながら理解した。

「別にいいよ、こんなの。香介がちゃんと着ていきなって」

慌てて突き返す。
しかしその上着を、彼はもう一度亮子の頭に被せた。

「俺は大丈夫だって。お前は身体、冷やすなよ」
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