an oak leaf

歩がひょい、と葉をつまみあげて、くるくると回し始めた。
それをじっと眺めながら、何気ない風に話し出す。

「柏の葉ってのは、冬になっても全部落ちないんだそうだ」
「…はい?」

あまりに唐突で、何の話だかわからなかった。
だが、歩はひよのの戸惑った顔を気にする様子もなく、話し続ける。

「必ず最後の1枚は、枝に残る。で、次の新たな芽が出るのを見届けて、初めて」

ぱ、と手を広げた。
はらり、と柏の葉が歩の手から離れる。

「役目を終えるんだと」
「はぁ…」

何だか。
それはまるで。

「だから、こどもの日には、柏餅。皆で子どもを見守りましょうってな」

軽い調子で、締めくくる。

柏の葉は、見事に皿に着地していた。
全ては、何事もなかったかのように。
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