believed it

次の日。
歩は、学校は休みで、まどかは仕事、と珍しく暇を持て余す休日を送っていた。
そろそろ昼食の支度でもするかな、と台所に立ったと同時に、タイミングよく玄関のチャイム。

「はい。…あぁ、あんたか」
「おはようございます。鳴海さん」

家の前に立っていたのは、ゆるく編んだおさげを揺らす、結崎ひよの。
にこり、と笑う姿は、いつもと何ら変わらなく見えた。少なくとも、歩の目に映る分には。

「何だ、休みの日にわざわざ、ウチまで来る程の用があったのか」

昨日の今日で、歩は少々緊張していたが、そんな素振りは全く出さず、少女に接した。

「昨日のお話、ちゃんとじっくり伺おうと思いまして」

新聞部としては、と話す様子は、どこかよそよそしさを感じる。
ふざけているのか、本気なのか判らない歩としては、素直に話に付き合うしかなかった。

「あぁ、長くなるなら、あがるか?」
「いえ、こちらで結構です。お気遣いなく」

…感じるどころではなく、あからさまに他人行儀だった。
らしくなさすぎて、背中に冷たいものを感じる。
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