believed it

途端、香介が、ぎょっとした顔でひよのを見る。
その反応につられて、理緒と歩も彼女を見るが、ひよのは何事もなかったかのように、無表情だった。

「この場面で、表情がないのも怖いぞ…」

香介の呟きに、理緒と歩が同意の視線を送る。
すると、ひよのはスイッチが入ったかのように、笑顔を取り出して見せた。
…明らかな、愛想笑い。


じわり、と3人が後ずさった。


「まぁ、そういう事なんで…」
「では、私は失礼しますね」

歩の言葉をさえぎって、ひよのはぺこり、と一礼すると、あっという間に去っていった。

残された3人は、彼女が完全に見えなくなるまで、息を詰めて見送る。
そして、誰ともなく深い溜め息をついた。

「はあぁあ~~~」
「こ、怖かったよ~ぅ」
「心臓止まるかと思ったぜ…」
「だからあれには、言いたくなかったんだ…っ」

思わず同時にしゃがみこんだ3人には、妙な連帯感が生まれたのだった。
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