20140531

【カノアイ】

五線譜の上を躍る音符。
僕には到底読み解けないそれを目でなぞるだけで、君にはその曲が聴こえているんだろうか。

「そんなことはない」
「あれ、そうなの?」
「聞こえるのではなく、奏でている」
「その手で?」

僕の問いにはゆるりと笑うだけで、アイズはまた手元の楽譜に向き直った。
その手ができるだけ、多くの音をすくい上げてゆきますように


(救いを掬って、どうか)
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