20140531

【ラザ理】

無機質な部屋にそぐわない光景に、理緒が首を傾げる。

「アイズ君も猫好きだったっけ?」
「いや、それはカノンのものだ」

部屋の隅に並ぶぬいぐるみからひとつ選んで、少女の頭に乗せてやった。
慌てて添える手が僅かに触れて、その体温にどこか安堵する。

「さしてない遺品だ。欲しければ持って行っても構わないが」
「うーん、ならアイズ君が持っててよ」

恋しくなったら会いに来るから。
そう言って彼女は、くすぐったそうに笑った。
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