Sweet Sweets DayS

「…合格だと言ったんだ」

2度も言うのが恥ずかしいのか、ぶっきらぼうに歩が言う。

「合格、ですか」

ひよのがぼんやりと見つめる。
何だか歩の目が、心持ち泳いでいるような。

視線に気付いた歩が、軽くこちらを睨む。





…あぁ、照れているのか、と気付くのに少し時間が掛かった。



思わず、笑みが零れる。


「もぅ、鳴海さんてば!そういう時は素直に、美味しいよ、ひよのちゃんVvとか言えばいいんですよ!!」

彼のように、素直に照れたり出来ない少女は、おどけて明るい声を出す。

「はい!やっと日の目を見ます!!」
「…何だ、これ?」

目の前に出されたのは、ふんわりしたリボンが揺れる、小さな包み。
巾着のようなそれを、半ば無理やり渡すと、ひよのはぴょん、と一歩下がって、とびきりの笑顔を見せた。





「ハッピーバレンタイン、です」





どうせなら、美味しいと言ってもらえるモノを、送りたいから。

少女の想いが伝わったのか、少年は優しく笑った。





―――合格のご褒美に、貴方の特別の笑顔を。


 ≪Fin.≫
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