………

｢食べられなくはない、が｣
｢…が!?｣


｢甘くない｣



クッキー、というお菓子だと言い張る以上、甘いのは最低ラインではないんだろうか。
そんな事を考えながらも、歩は手に取った一つをきちんと完食した。

そんな様子をじっと見つめていたひよのは、溜め息をつくと、自身も甘くないクッキーに手を伸ばす。
あからさまに、しょんぼりとする少女を見て、何か言おうとした歩だが、フォローの言葉はまったく思いつかなかった。
そういうところは、無駄に正直者である。



｢やっぱり修行が足りなかったんですかねー｣
｢なら人に出すのは、修行が終わってからにしてくれ｣

そうそう練習台にされては堪らない。
歩は何気なく言ったのだが、それがひよのの神経に引っかかったらしい。