あ・い・う・え・お

「お久し振りです“鳴海さん”」

泣きたい気持ちとか、笑いたい気持ちとか、色んな想いが綯い交ぜになって、ただ真っ直ぐに呼んでみた。

「あぁ、あんたか」

そう言った彼の言葉が、今までみたいに接することを許してくれたみたいで。

その瞬間、ぼろりと何かが落ちるように、調子が戻った。

真っ白な病室に響いた私の声に、五月蝿げに眉間を寄せる仕種とか。

年下のクセに、偉そうな命令口調で喋るトコとか。

不意打ちで見せる、ふわりとした極上の笑みだとか。

今までみたいな彼の、今までとは違う大人びた雰囲気に逐一気付きながら、満たされた音楽に少し、泣きそうになってしまった。


までみたいに
終わりは始まり


Fin.

Ayumu×Hiyono/200805xx
title from:液体窒素とい花
3/6ページ
スキ