空とフェンスと、君の手と
since 9 -----
一方、屋上へ繋がる扉の影まで下がった2人は、扉の隙間に顔を並べて耳を澄ませていた。
「うぅ~何を話してるんでしょうかね~」
「うーん、さっぱり聴こえないね。さすが理緒、ぎりぎりの距離に配置したんだ」
「くぅっ!何でそんなに冷静なんです!?あぁ~気になります~」
ぎゅうう、とひよのが力いっぱい両手を握り込んでいると、背後の階段を誰かが登ってくる気配がした。
しかし、カノンもひよのも、全く反応しない。
「お!カノンに…嬢ちゃん?何やってんだ?」
場に不似合いな、明るい声が響いた。
「わ。不審者丸出しだよ、2人共」
「あ!浅月さんに理緒さん」
「ちょうどよ…くはない、かもしれないけどっ、まぁ、いらっしゃい」
ぱたぱたと後ろから登ってきた理緒が、小さくウインクする。
ちら、と視線だけを向けて、屋上を香介から隠すように扉に張り付く2人に、香介が眉をひそめた。
「何だよ、それ。向こうに誰かいんのか?」
「えーっと…いるような、いないような…」
わざとらしく目を泳がせる2人を見て、面倒臭そうに自らの首に片手をやる。
「なぁ、それよか亮子のヤツ知らねぇか?」
「え!っと…っ!」
「あーっと、り、亮子?」
彼女の名前が出た途端、2人の表情が動く。
心なしか、嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか。
「まさか、おめぇらが覗いてるのは、亮子なのか?」
「あーっ、そんな訳ないじゃないですかぁ!」
目の前の情報通が、ぱたぱたと手を振る。
「…もう、そのベタな芝居はいいから。ちょっと見せてみろよ」
一方、屋上へ繋がる扉の影まで下がった2人は、扉の隙間に顔を並べて耳を澄ませていた。
「うぅ~何を話してるんでしょうかね~」
「うーん、さっぱり聴こえないね。さすが理緒、ぎりぎりの距離に配置したんだ」
「くぅっ!何でそんなに冷静なんです!?あぁ~気になります~」
ぎゅうう、とひよのが力いっぱい両手を握り込んでいると、背後の階段を誰かが登ってくる気配がした。
しかし、カノンもひよのも、全く反応しない。
「お!カノンに…嬢ちゃん?何やってんだ?」
場に不似合いな、明るい声が響いた。
「わ。不審者丸出しだよ、2人共」
「あ!浅月さんに理緒さん」
「ちょうどよ…くはない、かもしれないけどっ、まぁ、いらっしゃい」
ぱたぱたと後ろから登ってきた理緒が、小さくウインクする。
ちら、と視線だけを向けて、屋上を香介から隠すように扉に張り付く2人に、香介が眉をひそめた。
「何だよ、それ。向こうに誰かいんのか?」
「えーっと…いるような、いないような…」
わざとらしく目を泳がせる2人を見て、面倒臭そうに自らの首に片手をやる。
「なぁ、それよか亮子のヤツ知らねぇか?」
「え!っと…っ!」
「あーっと、り、亮子?」
彼女の名前が出た途端、2人の表情が動く。
心なしか、嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか。
「まさか、おめぇらが覗いてるのは、亮子なのか?」
「あーっ、そんな訳ないじゃないですかぁ!」
目の前の情報通が、ぱたぱたと手を振る。
「…もう、そのベタな芝居はいいから。ちょっと見せてみろよ」