空とフェンスと、君の手と

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「それじゃあ、僕たちもそろそろ配置につこうか」
「うぅ…鳴海さん、フリですからね?くれぐれも変な気起こさないで下さいよ!?」

カノンにがっしりと腕を掴まれたひよのが、その場を離れて行く。
歩は賑やかな2人を見送ると、ぐったりと肩を落とした。

「ったく、どんな気だよ…」
「あそこまで来ると、むしろ面白く見えてくるから不思議だねぇ」
「そうか?俺には、いつまで経っても、あれの面白さは分からんぞ」

真面目な顔で言う歩を見て、亮子がひとつ笑った。

「ふむ、頃合かな」

少年の頷きに、亮子がきょとん、と目で問い掛ける。
歩は何気ない調子で、言葉を続けた。

「そういや、ひとつ大事な事を言い忘れてたんだが」
「?な、何さ、大事な事って!」

慌てる亮子に、距離を詰める事で声を落とさせる。

「そう大声を出すな。いいか?あいつらは俺たちの顔は見えても、何を話してるかまでは分からない距離にいるんだ」
「そういえば理緒が、そんな事、言ってたっけ」
「だから、要はあっちの想像力を、存分にかき立ててやれば良い訳さ。ある意味、適材適所で回ってるよ」

妙に意味深に、歩が笑った。
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