空とフェンスと、君の手と

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「…で?何で俺が、そんな話を聞かなくちゃならないんだ?」
「うっ…だから、その…」

所変わって、放課後の屋上。

「香介の前で、ちょっと見せ付けんのを手伝っておくれよ!」

亮子が、がば、と勢い良く頭を下げた。
その目の前でぽかん、とするのは彼女より1年後輩の、鳴海歩。
頭の回転が速い彼が事態を飲み込むのに、そう時間は掛からなかった。

「な、何で俺が!?」
「他に頼めるような奴がいなかったんだよ。な、この通り!」

全校女子に絶大な人気を誇る先輩に拝まれて、歩は慌てて彼女の身体を起こした。

「あんた、陸上部のエースなんだろ?部活の繋がりで、いくらでもいるんじゃないのか?」
「あんなの、下手な事したら本気で学園中の噂になりかねないよ」

そこまで事を大きくしたくはないらしい。

「だったら、言いだしっぺのカノン・ヒルベルトにやらせろよ」
「アイツは…あの真っ黒なオーラを見たら、ちょっと…」

警笛を鳴らすのは、野生の勘か、防衛本能か。

「じゃあ、アイズ・ラザフォードは?同じブレードチルドレンの仲間だろう」
「アレは好かないんだ」

ざっくり。

大体アイツは、この学校にいないだろ、と最もな理由も付け足される。
憐れ、ブレードチルドレン。
歩は頭痛を感じて、こめかみを押さえた。
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