空とフェンスと、君の手と

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「で、あんた的にはハッピーエンドな訳だろう?」
「う…うん、まぁ」
「なら良かったじゃないか。一件落着だな」

数日後、学内の喫茶コーナーは、気まずそうに座る亮子と、涼しい顔でコーヒーを飲む歩の姿があった。

「き、聞かないのかい?」
「何を」
「あの後、何があった、とか」

言いにくそうに目を逸らして話す亮子を見て、歩も少し視線をずらす。
そんな、顔を赤くして言われても。

「別に、あんたが言いたきゃ言ってくれても良いが」

コーヒーをブラックのまま、静かに一口。

「人のノロケ話を聞く趣味は、あんまりないんでね」
「な、ノ、ケって…」

ちゃんと言えてないから、とツッコむ台詞は、コーヒーと共に飲み込んだ。
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