空とフェンスと、君の手と

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「ちょ、弟っ!」
「いいから、黙ってろって。そろそろ向こうが限界だから」
「?限界って…」

歩の囁きを聞いて、ひよの達の方を見ようとした瞬間だった。

「「うわぁあぁっ」」
「ひゃあっ」
「はうあっ」

校舎から屋上に出る為の扉が、勢いよく開くと、ばたばたと4人の生徒が倒れ込んだ。
隠れたときは2人だったのに、いつの間にか人数が倍になっている。

「こ、香介っ!?」

倒れた中に見慣れた赤毛を見つけて、足を踏み出しかけた亮子を、歩が手を動かさない事で塞ぐ。

「もうちょっと、辛抱しろ。アイツがこっちに来るまでだ」
「わ、分かった」

よし、と薄く笑うと歩は、スッと手を離し、香介たちと亮子の間に立った。
さりげなく、亮子を後ろ手に庇うように、片手を少し浮かせる。
のそのそと顔を上げた彼らが、歩の仕種を見て表情を動かす様子に、歩が目を細めた。
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