空とフェンスと、君の手と

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「で、言い忘れてた話だが」
「あぁ、何なのさ」

険しい視線を避けるように、ゆらり、と視線を泳がせて歩が呟く。

「俺は、浅月とは違うからな」
「…は?」
「殴られたり、蹴られたり、痛い思いをするのは、ごめんだって事を言い忘れてた」
「な!あんたねぇ…!」

歩の表情は、あくまで真剣そのものである。
かぁっと、亮子の顔が紅潮した。

「頼むから、無意識に手を出したりはしないでくれよ?」

コイツは私を、一体何だと思ってるんだ。
堂々と失礼極まりない台詞を言い放つ少年に、亮子の声が荒くなる。

「あんた、私をバカにしてんのかい!?」
「そんな事ないさ。そうしてると、あんただって充分可愛いからな。敵を最低限にする為の仕込みってヤツだ」
「な…っ!?」

亮子が思わず、絶句した。次の瞬間、

がしゃんっ

派手な音を立てて、歩がフェンスに手を付く。
彼の腕に囲まれる形になった亮子は、身動きがとれずに固まっていた。
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